進撃のサイヤ人   作:ただのトーリ

16 / 27
皆さんの好きなDBの技は何があります?
作者はトランクスのやたらと手をシュシュシュッ!って動かしてから放つバーニングアタックですね。
アレ意味あるのかよくわかんないんですけど、ベジータのファイナルフラッシュみたいな大袈裟なモーションが親子だなって感じて好きなんですのね。


入れ替わり

「は、はぁ?」

 

 俺の言葉を聞いたエレンは眉を釣り上げて呆れたような顔をした。

「信じられないのはわかってる。だが話を最後まで聞いてくれ」

「あ、ああ……俺も何が何だか分からないから説明してくれ」

 

 よかった、原作エレンのように喚き散らして錯乱するようなことは無かった。

 いや、元々冷静な性格だがこいつは一度頭に血が上ると冷めるまでが本当に長い。

 冷静なうちに全て説明を終わらせてしまいたい。

 

 

「いいかエレン。隠しても後々わかる事だが、さっきまでお前は15m級巨人として大あばれしてトロスト区の中に入り込んだ巨人共を殺して回ってたんだよ」

「な、何言ってんだよ。俺が巨人なわけないだろ」

「じゃあ聞くが、お前……巨人に食われた時に無くしたはずの手足はどうした」

「ーーっ、それは、……」

「現場を俺は調べた。するとアルミンの証言通り切断されたお前の腕らしきものが発見された。しかも直前にお前は足も欠損していたらしいじゃないか。お前が倒れてたと思われる場所には夥しい出血もあった、恐らく間違いないだろう。

 考えられるとしたら巨人になった際に失われた手足が再生したんじゃないか?」

 

 その言葉に彼は無くなった左腕の袖と傷一つ無い左腕、そして中頃からちぎれたズボンと、どこでブーツをなくしたのか分からない素足となった左足を見る。

 

「そんな、だって……」

 

「いいかエレン、しばらくこのことは隠せ」

「なん、で」

「理由はどうあれ巨人になる力を持ったお前を上層部が放置するとは思えない。最悪、お前を巨人の手先だとか言って処刑する可能性すらある」

 

 俺の言葉にエレンは目を見開き俺を見つめる。信じたくない、という顔だが残念ながら原作でも似たようなことが起きている。有り得ないとは言えない。

 

 

 

「だから、今は俺の言う通りにしてくれ。

 調査兵団に入ってしまえばお前の身柄は俺たち預かりになるから、なにかトラブルがあってもある程度守れる。

 だが訓練兵状態でこれが露呈したら守れるものも守れなくなっちまうんだ」

「……」

「それに、俺たちの同期を守るためでもあるんだ」

「!? どういうことだよっ、なんでミカサたちの話が出るんだ!?」

「理由は不明だが、お前は巨人に食われながらも生還した。もしかするとそれが巨人に呪われる条件なのかもしれない。不確定とは言え、そんな前例が出てみろ。

 俺たちを使い捨ての駒としか思ってない奴らは下っ端から実験体に使い始めるぞ」

 

 かなり無茶のある論法だが、こうでも言わないとエレンを言いくるめられない。

 それに俺は巨人が何故人になるのか知ってちゃいけない人間だ。だからこれくらいの妄想混じりの方がより信憑性が増す。

 

 

「そんなっ」

「その場合、最も実験に使われるのは今回の襲撃で死んだことにできる訓練兵達なんだよ」

「くっ……」

 

 俺の説得にエレンはゆっくりとうなだれるように頷いた。

 

「たのむ、俺はどうなってもいい。だからアルミンやミカサは守ってくれ」

 

 泣きそうな声で呟くエレン。

 俺は彼の肩に手を乗せて言い聞かせるように話す。

 

「わかってる。俺にだってサシャっていう幼なじみがいるんだ。同期は仲間だ、何があっても守る。もちろんお前もな」

「バルト……」

「もし何か言われたら覚えてないで通してくれ。アルミンには……気が動転してたんじゃないかって押し切れ。そのうち事実を話すつもりだが、それまでは事実を知るものは少ない方がいい。一応、俺の部下二人はこのことを知ってるが、言いふらすやつじゃないから安心しろ」

「わかった、バルト、頼む」

 

「まかせろ、俺を……いや、仲間をもっと頼れエレン」

 

 

 なんだか俺、裏で主人公を操り暗躍する悪人の気分になってきたぞ。

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 その後、エレンを連れて戻った。

 

 ミカサやアルミンには『頭を打って意識が朦朧としてるみたいだからそっとしておいてやれ』と言っておいた。

 

 ちなみに「どうやって助けたのか」というみなからの質問だが、腹の中に飲み込まれたが噛み砕かれることがなかったおかげで腹の中で生き延びていたエレンの気に気がついた俺が、巨人を殺して腹をかっ捌いて救出した。と言い切る。

 その後壁の上で休ませていたが、意識を取り戻したので連れてきた……という筋書きだ。

 

 信じられない行動かもしれないが、それよりさらに信じられない戦いぶりを多くの兵士たちが見ていた為、感覚が麻痺していたのか追求されることは無かった。

 

 アルミンだけは少し俺を伺うような視線を向けていたが、まぁアイツはガチの気付きの天才だから諦める。

 

 

 

 ピクシス司令の元へ向かうと、彼は壁の真上で酒を飲んでいた。

 

 

「遅くなり大変申し訳ありません、ピクシス司令」

「いやいや、此度の戦場で英雄的活躍をしてくれたのじゃから叱ったりせんよ。飲むか?」

「いただきます」

 

 差し出された酒を一口飲んで「なかなかの上物ですね」と瓶を返すと「分かるとはお主も好きじゃのう?」と笑った。

 

「さて、お主はどう見る」

「そうですね、まず指揮官としての権限を腰抜けから別の者に変えて欲しいです」

「はっはっは、腰抜けか。確かにあやつは体格の割には子鹿のように肝が小さいからのう」

「ええ、そのへっぴり腰のせいで私の同期の多くは巨人どもの腹に納まってしまいました」

 

 僅かに怒りを滲ませて言うと、まっすぐこちらを見つめて頭を下げた。

 

「奴の最終的な上司はワシじゃ。すまん……被害者遺族にはわしからも十分に補填を出すと約束しよう」

 

 これ以上、司令を責めても意味が無いな。

 

 小さく呼吸をしてから意識を切替える。 

 

 

「失礼しました、少々冷静ではありませんでした」

「構わん、本来なら訓練兵は後ろで後方支援となっていた。そうなっていればあるいは被害を減らせていたかもしれん」

「いえ」

 

 無いとは言えず、押し黙ると司令は視線を巨人の蔓延るトロスト区へと向ける。

 俺たちが減らしたとはいえ、穴がまだ空いている以上そこから次々と入り込んでくる。

 

「……それはそうと、聞けば調査兵団は異変を察知しこちらへ戻っているらしいがいつ頃到着すると思う?」

 

 

 太陽の沈み具合を見て予測を立てる。

 

「恐らく、後一時間弱は必要かと」

「ふむ……さすがにその時間守り続けるのは危険か」

「一つ、案があります」 

「ほう、聞かせて貰えるか?」

「俺を司令と一部調査兵団による合同で行われていた「超人化実験」の成功例として発表するのです」

 

 

 

 俺が提案したのは原作のエレンの立場を俺に置き換えるというものだ。

 巨人共を駆逐するために人間の可能性を最大限まで引き出した超人化実験成功例。

 

 

 空を飛び、気功波を放ち、さらには大猿への変身能力を有する俺は間違いなく人間でありながら人間以外の戦闘力を持った化け物だ。

 しかもその力を理性を持って制御できる、完璧な兵器として告知することでトロスト区の広場に吹き飛ばされた大岩を持ち上げ、穴を封じるという作戦。

 

 

 

「出来るのか?」

「可能です、岩を運んでいるあいだ無防備になるので兵士の皆には援護をお願いすることになりますが」

 

 いくら俺がサイヤ人の超パワーを持っていたとしても人間の状態ではせいぜい大岩の半分までが限度だ。

 

 界王拳を使えば何とか可能かもしれないが、その場合だと大猿に比べてインパクトとして弱い。

 さらに万が一エレンの巨人化が露見した時に、彼もまた俺の能力の派生系だと誤魔化すためには、俺が第一人者として認識される必要がある。

 

 だから大猿になって、中央の馬鹿者どもを威嚇しておく必要がある。

 

 そして今回の変身方法だが……もちろん、日暮れが近いとはいえ月が都合よく出ている訳では無い為、ベジータやターレスが使っていた人工的な月を作り出すパワーボールを使う。

 

 これは本来の方法では無い変身のため、通常時に比べて力が大きく下がる。通常では10倍という強化だがパワーボールを生み出す過程でかなり多くの気を消耗してしまうため、最終的な上昇率は3倍から4倍までにしかならない。

 

 これだとなにか不測の事態が起きた時、対応できない可能性があるのだ。

 

 口から魔口砲と呼ばれる巨大なエネルギー砲を打ち出すことも出来るが……流石に加減が出来ずに街へ被害が出てしまう。それで万が一壁に穴を開けでもしたら最悪だ。

 

 

 ついでに言えば大猿状態は獣の巨人と類似点があるため、マーレの戦士である彼らはさぞ混乱することだろう。ライナーやベルトルトあたりがボロを出してくれたら御の字だ。 

 

 

 

「それは問題あるまい。お主だけに全てを背負わせるほど、我々も臆したつもりも耄碌したつもりもない」

「はい、感謝します。……ただ」

「ただ?」

「今回の一件は完全に俺の独断という扱いになります。エルヴィン団長やリヴァイ兵長への口添えをお願いします。絶対怒られるので」

「……はっはっは! それくらいお易い御用じゃよ、なんなら駐屯兵団から詫びとして支援物資を大量に送りたいくらいなのじゃからな」

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーー

 

 

 俺のお披露目は正直拍子抜けするほどあっさりと受け入れられた。

 実際の戦場で俺の働きを見ていたものが多くいたこともあって、俺の特異性は既に周知の事実だったのだ。

 

 

 もちろん、逃げたいと喚く姿もあったが原作でも行われた司令の演説の末「どうかここで死んでくれ」という命令が彼らの背中を押した。

 

 さらに、大猿の巨人もどきに変身する力についても半信半疑であったがひとまず信じてくれた。

 

 

 

 作戦にはエレンたちも参加することはなく後方支援となった。

 

 しかしサシャの奴が護衛に立候補しやがった。

 俺の班員にサシャとミーナの2人が配属されてしまったのだ。

 

 なんでミーナが、と思わないでもないが「サシャが行くなら私も」と言って聞かないのだ。

 そんなにこいつら仲良かったっけ?

 

 ともあれ俺のサポーターは必要との事で一時的に俺の部下として配属。

 近寄る巨人を討伐もしくは誘導等で俺を守ることが命令された。

 

 こいつらを死なせない為にも俺が手早く済ませないとな。

 

 

 作戦開始5分前、目的地付近まで隠密行動で移動を終えた。

 

 俺はアルミンの有用性をピクシス司令に見せるため、彼に「何かいい方法はないか」と相談をもちかけた所、原作で使われた作戦提案をしてくれた。

 そのおかげで、壁際に巨人の大半が引き寄せられているおかげでだいぶ楽だった。

 

 

 さぁ間もなく作戦開始だ……と言った所で高速で気が近づいてくるのを察知した。

 見上げるとそこにあったのは舞空術でまっすぐこちらに突っ込んでくるリヴァイ兵長の姿だった。

 

 彼はある程度の距離に到着するとアンカーを飛ばし、俺の元へと急降下を始めた。

 そして着地の直前に再び舞空術で急停止し、足を付ける。

 

「よぉ」

 

 兵長は僅かに汗をかいた状態で俺を見ると少しだけ目付きを鋭くさせた。

 

 

「随分とおもしれぇことになってるな。大体の流れは作戦に動いていた奴らから聞いた。勝手な真似しやがって……」

「す、すみません……ですがこれが最善で」

「わかってる。お前以外にこれを丸く収める方法がないってことや、何かを隠してるってこともな。後で洗いざらい全て話してもらうぞ」

「はい、こちらも相談すべき案件が出来たので」

「チッ……また面倒事か。とりあえず俺もお前の護衛に加わる。兵団もあと少しで到着すると思うが期待するな。伝令には穴の空いた所を通るなと伝えてある」

「ありがとうございます」

 

 

 そうだった。一歩間違えたら門をくぐった瞬間の調査兵団を岩で潰しかねなかったのか!

 

 危ねぇ!

 

 

 

「じゃあ、やりますんで離れてて下さい」

 

「ああ、てめえがどんなにおもしれぇ姿になるか見といてやるよ」

 リヴァイ兵長の皮肉。

 

「バルト、ぶちかましたれー!」

「バルトくん、頑張って!」

 少し離れた所でサシャの鼓舞とミーナの声援。

 

「班長、終わったら飲みにいきましょう!」

「打ち上げ楽しみにしてますよ!」

 護衛として警戒中のゲルガーとナナバによる未来への期待。

 

 

 それらを背に、手のひらに力を込める。

 

 

 生み出された白く、高密度のエネルギー体。

 やっぱりこれはキツイ……作り出すだけで気の大半を持っていかれた。

 

 

「ハァッ……ハァッ……!」

 

 急激に疲労した様子の俺に兵長は僅かに眉を動かすが、何も言わず俺の隣に立っている。

 

 

「行っけぇぇぇえ!!!」

 

 空へと高く投げ放った。

 弧を描いて空へと打ち上がるそれを全員が目で追う。

 

 

 掌を掲げ、小さくなったパワーボールに重ねる。

 

「弾けて……」

 力強く握りつぶすように閉じる。

 

「混ざれぇー!!!」

 

 直後、トロスト区上空に人工の月が生まれた。

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。