進撃のサイヤ人   作:ただのトーリ

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正直、ナイル・ドーク師団長は最初好きではなかったんですけど物語が進むと「この人も色々あったんだな」って分かって好きになったんですよねぇ。
進撃の巨人って、モブがモブして無さすぎなんですよ。歴史を感じる描写とか多くてみんな好きになる。まぁ、死にまくる漫画なんだけどさ!


兵法会議

 トロスト区防衛戦から翌3日後、俺は生存者と死者を確認すべく104期生の皆を探していた。

 

 すると少し離れたところに仲間たちに囲まれるエレンの姿を見つけた。

 アルミンやミカサは勿論の事、ジャンの横にはマルコの姿もあった。

 これには俺も本気で嬉しかった。

 

 聞けば俺が出した指示を固く守り、ジャンとペア行動を取っていたらしくそのおかげであの悲劇は起きなかったそうだ。

 

 しかし喜ばしいことだけでは無かった。

 

 ダズが死んでいた。

 ここでは彼は死ぬ運命になかったはずなのに、ダズは戦いの最中で敵前逃亡を図ったらしいが巨人に捕まり、下半身を食われ死亡したそうだ。

 

 一瞬、ライナーたちが? と疑ったがこれに関しては複数の人が見てる前での出来事だったので、恐らく偶然の悲劇なのだと思う。

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーー

 

 そんな喜び半分悲しみ半分という心境の中、俺は特別兵法会議に掛けられていた。

 

 

 

 事後処理に追われて忙しい俺の元に突然中央の憲兵団がゾロゾロとやってきては「バルト・ロメオ調査兵、貴様を危険因子の可能性があるとして拘束する」等と言って俺を拘束したのだ。

 

 バカバカしい……というより馬鹿そのものだ。

 

 疑問を持つだけなら子供にでもできる。俺が人類の敵だという証拠を1つでも持って来てから捕まえやがれ。

 

 

 大猿になった→身体が大きいから巨人かも→捕まえなきゃ!

 

 なんて馬鹿のすることだぞ。

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーー

 それから調査兵団からの抗議もあまり意味を成さず、兵法会議へとかけられることになった。

 

 中央にて俺は鋼鉄の柱に鎖で繋がれ、無理やり跪かされた状態だ。

 

 左手には調査兵団と駐屯兵団のメンバーが勢揃い。

 その中には何故かサシャとミーナだけでなく、エレン、ミカサ、アルミンまでいた。

 対する右手には憲兵団師団長ナイル・ドーク、ウォール教司祭であるニック司祭、また名前は知らないが内地でそこそこの発言力を持つらしい貴族や商会の会長がそこにいた。

 

 

 そして正面、そこには数名の審議官がいるが実質的なまとめ役は中央の眼鏡をかけた男。

 

 ダリス・ザックレー総統。

 憲兵・駐屯・調査の三つの兵団をとりまとめる実質的権力者。

 彼は資料を片手に俺をじっくりと見つめた。

 

「さて、兵士バルト・ロメオ。君は現在1つの議題において疑いをかけられている。それについては理解しているかな?」

「はい、問題ありません」

「よろしい、話が早くて助かるよ。そこでだ、君について資料で目を通させてもらったが今一度、君の口から聞かせて貰えないだろうか」

 

 

「了解しました、ザックレー総統。前もって申し上げておきますが、かなり荒唐無稽なお話となりますので、それについて何者かが嘘だ妄想だと口を挟むかもしれません。

 逐一横槍を入れられては会議が無駄に伸びますので、それを一切許さず最後まで話すまで誰も発言をさせないとお願い出来ないでしょうか」

 

 俺の提案に少し考えたあと「許可しよう」と告げると憲兵団から声が上がる。

 

「ザックレー総統! 彼は何らかの手段でこの場の人間を洗脳ないし、話術的術中にはめて場を仕切ろうとしています!」

 

 その言葉に対して、俺は直接返答をせずザックレー総統に発言の許可を求める。

 OKサインが出たので、改めて憲兵団側を見て口火を開く。

 

 

「そう思うのでしたらそう思っていただいて構いませんよ、ドーク師団長。ですがその場合この兵法会議は議事録として『査問対象に一切の発言を許さず一方的に罰を与えた。それを推し進めたのはナイル・ドーク師団長である』と歴史に刻まれますが」

「なんだと……?」

 

 俺を睨むように見つめる師団長に俺は冷静に言葉を紡ぐ。

 

 

「そもそもここは会議の場、さらに言えば一部を除けば調査兵団団長・駐屯兵団司令であり南方領土最高責任者・憲兵団師団長……さらにはそれらをまとめるダリス・ザックレー総統が居ます。

 この錚々たる顔ぶれを前に、一兵士が吐き出す程度の言葉で場を操れるのであれば、それは別の意味で問題なのではないでしょうか?

 そしてそれを懸念するドーク師団長の発言は、各部門の責任者方の危険意識レベルを著しく貶める発言であることをご理解ください」

 

 

 

 遠回しに「お前、ほかの偉い人達の危機管理レベルをめっちゃバカにしてるけど平気?」と言ってやるとすげえキレた目で睨んできた。おっかない。

 

「兵士バルト・ロメオ、少々言葉を選びたまえ。……とはいえ、師団長も少々過敏すぎる。会議である以上双方の意見を聞くのは必要事項、後に君らの主張も同じように口を挟ませずに行わせるのでこれでどうだろうか」

「……了解しました」

 

 くくく、悔しかろうて……。そもそも憲兵団は後ろ盾をたくさん連れてきたから、いざって時はそれで俺らの言葉を封殺するつもりだったんだろう?

 

 でなきゃ法律や兵士に疎い貴族や商人を連れてくる必要はねぇもんな?

 

 つまりこの交換条件は彼らにとってなんの意味もない無意味なもの。

 

 だがそれを口にすると後ろの豚共を「ただのこけおどしとして連れて来ました」と告げるようなもの。憲兵団としちゃそれは出来ねぇよなぁあああああ!?

 

 ちらりと見るとリヴァイ兵長がニヤッと笑った。多分俺の考えが読めて愉快なんだろうな。

 

「では改めて兵士バルト・ロメオ。自身について全てを話しなさい」

 

「分かりました」

 

 

 そこから俺は出生地から始まり、現在に至るまでの経歴を簡潔に口にした。

 エルヴィン団長と前もって話して決めていたが、俺は全てを話すことを決めていた。

 

「俺はこの星の人間じゃあありません。生まれは惑星ベジータ、宇宙最強の戦闘民族、サイヤ人の生き残り。本来はこの星の人類を皆殺しにして植民地にするべく送り込まれた先兵です」

 

 俺の言葉にその場が騒然とする。

 悪魔だバケモノだと喚く商人らはザックレー総統の指示で追い出された。もちろん、会議が終わるまでの軟禁付きだ。

 

 ちらりと見るとサシャたちも目を見開いている。これは彼らも知らされてないからな。

 

 だがエルヴィン団長はまっすぐ俺を見つめ「やれ」と言っているので、俺は構わず続ける。

 

「俺が人類の敵かどうか、これについては正直分からないというのが本音です」

「ほう? それは我々に仇なすものだと?」

「いいえ、正しくは俺の親しいものを害する者の敵、と言うだけです」

 

 ひと区切りつけ、さらに続ける。

 

「俺を拾ってくれたのは山奥に住む二人の夫婦です。その2人は血だらけで倒れる俺を助け介抱し、愛情を持って育ててくれました。当時の俺は頭を強くうち、記憶を失っていたこともありただの子供としてその愛情を一身に受け育ちました。そこにいるサシャ・ブラウスとはその時に知り合った幼なじみです。

 ですが9歳になった頃、記憶を取り戻しました。元々課せられた使命を果たすか、愛情を持って接して育ててくれた両親、そして幼なじみを取るか……この2つの間で酷く揺れました。

 私は苦悩の末、愛情を持って育ててくれた家族を取る道を選びました。その時から私はサイヤ人である道を捨て、一人のバルト・ロメオとして生きる道を選びました」

 

 そう言い切ると、サシャが両目に涙を浮かべてこちらを見つめている。

 あかん、あの子感情移入強すぎて脳が破壊されかけてる。

 隣のミーナも似た感じだ。エレンやミカサ達も驚きながらも「自分のルーツより愛情を取った男」としてすげぇ感心されてる気がする。いたたまれない。

 

 

 

「ですが、あの日が訪れたことで世界は一変しました。ウォールマリア陥落により多くの人が死に、避難民がウォールローゼ内になだれ込んできました。

 それによりローゼ内の治安の低下、さらに食糧不足や土地を奪われるなどのトラブルが発生しました。このままでは守ると決めた家族や友に危害が加えられる……そう思い、私は今一度サイヤ人としての自らに立ち戻り、戦闘民族としての本懐を果たすことに決めました。

 ただし抹殺するのは人類から巨人へとターゲットを変えて……ここまでが訓練兵へと志願した経緯と動機です」

 

 

 

 ザックレーは少し考えた後、資料に目を落とす。

 

「今の言葉とエルヴィン団長より事前に渡されていた資料との矛盾点はなかった。自らの出自の特異性も隠さずに暴露したその誠実さは評価に値するな。しかしいくつか質問をしていいかね?」

「はい」

「君はその、さいやじん、とかいう種族らしいが私の目からは普通の人間と変わらない。なにかそれを証明する方法はあるかな?」

「ではこれでどうでしょう」

 

 俺は腰にベルトのように巻き付けていたシッポを解いて見せた。

 

「なんだあれは」

「ベルトがひとりでに……」

「いやあれはベルトじゃないぞ!?」

 

 驚きの声が上がると、ザックレー総統はテーブルを叩いて「静粛に」と諌める。

 

「それは、どうやって動かしているのかな?」

「すみません、感覚としては手足に近いので説明が難しいです。これは俺の腰辺りから生えていて、サイヤ人の証として生まれた時からずっとあります。痛覚や触覚もありますので普段は腰に巻いて踏まれたり引っ張られるのを避けてます」

「……失礼、触ってもいいかな?」

「強くしなければ」

 

 そういうとザックレー総統は近寄ってきてシッポをそっと触れて温度や毛並みを確かめる。時折「素晴らしい毛並みだな」なんて褒められた。ありがとうとでも言えばいいのかな?

 ザックレー総統は納得するとすぐに戻った。

 

「間違いなく本物だな」

 彼の言葉に全体に動揺が走る。

 

「さて、続きをお願いしようか」

 

 ーーーーーーーーーーーー

 

 

 そこから訓練兵になり、調査兵団へとなった説明を行った。

 また気のコントロールについて話したところ、調査兵団からリヴァイ兵長・ミケ分隊長・ハンジ分隊長を証拠としてその力は伝授可能だと証明。

 

 

 証明としてリヴァイ兵長がその場で舞空術で2m程の高さまで浮かび上がる。

 

 人間が立体機動無しに空を飛ぶ姿に、ニック司祭は目玉がこぼれ落ちるんじゃないかってくらいに動揺していた。ちょっとエネル顔で笑いそうになった。

 

 

 まあ、宗教家にとって空を飛ぶ存在は鳥か神くらいだもんな。

 だから事ある毎に鳥って生き物は神の使いのモチーフにされたりするのだ。

 

 だというのに人が当たり前のように空を飛ぶのだから、きっとニック司祭の衝撃は計り知れないだろう。

 

 

 一通り話を終えたタイミングでザックレー総統は小さく唸った。

 

「……本当に彼は人類の敵なのか怪しく感じるな。情報も技術も秘匿せず我々に提供しているし、常に前線で巨人を討伐し既にその数はリヴァイ兵長に追いつく勢いだと聞く。さらに調べでは彼が参加する小規模壁外調査では少なくない食料を確保して大いに貢献していることも分かっている。……もし彼を処罰したとあれば民衆が暴動を起こすのではないか?

 師団長、正直私は彼を人類の守護者として称えた方がいいのでは無いかとすら思うのだが、君はどう思う」

 

 

「……あまりにも異端すぎる力は壁内に混乱を招きます。彼には力と技術の提供をしてもらったのち、その身体の調査研究を行い英霊となってもらうのが一番だと愚考します」

 

 その言葉に今度はリヴァイ兵長が口を開く。

 

「おいおい、正しく愚考だな? つまりはアレか? こいつが現れなかったら、いずれは俺が兵法会議に掛けられてその力の解明とやらの名目で解剖もどきをされてたって訳か?」

「い、いやそういうわけでは……」

 

 慌てて否定するがリヴァイ兵長から送られる殺気混じりの視線に師団長は目をそらす。

 

 

「発言、いいですか?」

 俺が口を開くとザックレー総統は許可してくれた。

 

 

 

 ちょっくら脅しをかけようかな。

 

「そもそも論なのですが、恐らくこの場にいる全員が本気で俺を殺しにかかっても無理です。大猿に変身できるやつをどうやって無抵抗のまま殺すというのですか?」

 

 原作ではリヴァイ兵長がエレンをボコって「俺なら教育できるアピ」をして何とかまとめてたけど、俺の場合それすら無理。

 

 だったら「お前らが吊し上げようとしてる奴、巨人以上に危険人物だけど分かってる?」って教えてやった方が早い。

 

 

 

 俺の言葉にみんな黙る。

 するとずっと黙っていたピクシス司令が声を上げて笑い出した。

 

 憲兵団や貴族連中がギョッとする中、ひとしきり笑ったあと司令はコホンと咳払いした。

 

「失礼、しかしあまりにも原点を突いた言葉だったものでつい堪えきれませんでしたな」

 その言葉にエルヴィン団長も「ええ、全くです」と頷いて続ける。

 

 

「リヴァイが本気で殺しにかかったら、それを止めるには最低でもここにいる人間の数倍は必要です。そして彼の戦闘能力はすでにリヴァイを超えている……さて、憲兵団はどのように彼を周囲に被害も出さずに止めるというのでしょう? 先に言っておきますが我々調査兵団は彼との敵対を徹底的に拒否します」

「おお、それならわしも言っておこう。駐屯兵団もこやつが暴れた時は真っ先に調査兵団と歩調を合わせるとしようかのう。彼にはトロスト区で死の危機に瀕していた部下を助けてくれた恩義もある訳だしのう」

 

 兵力の3分の2が既に否と答えた中、憲兵団が強硬に意見を推し進める手段はなかった。

 

 そこに、更なる爆弾が落とされる。

 

「ここで調査兵団から報告があります」

「聞こう」

 ザックレー総統はエルヴィン団長に続きを促す。

 

「実は、先日バルトの実家に謎の押し入り強盗が現れました」

 

 ……は?

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