進撃のサイヤ人   作:ただのトーリ

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ようやく裏話的な会話になった。
とはいえ主人公は知ってることなので、あくまで「これでみんなに話せる」くらいなレベル。
毎回、未来視で「こんなん見ました」やってたら怪しいもんね。
本格的にヤバそうな時くらいしかあの言い訳は使わない予定です。


取引

 

 助けるにあたって、アニとは簡単な取り決めを作った。

 

 アニからの条件

 ・パラディ島にてマーレ国(やっと名前が出た)にいる父の身の安全。次点でアニ本人の身の保証。

 

 俺からの条件

 ・アニの持つ情報を調査兵団への開示。

 ・いずれは俺の直属の部下として配置換えを受けること。

 ・裏切りが判明した時点で、アニの条件は棄却されること。

 

 本当は三つ目の条件はやりたくなかったんだけど、ほかの兵団仲間を黙らせる為には相応の理由が必要だと思ったからだ。

 裏切りの可能性を考える奴にとって、なんの首輪もなくアニを受け入れるのは難しいと思っての措置だ。

 まぁ、そんなことさせるつもりは毛頭もないけど。

 

 

 彼女も文句は無く、即座に受け入れてくれた。

 

 

 そこから他のマーレの戦士であるベルトルトやライナーについても聞き出しに成功。

 そこから派生して獣・車力・戦鎚などの特殊な個体、つまり九つの巨人についても教えてもらった。

 また現在顎・進撃の巨人が行方不明だと言う。

 

 まあ、顎と進撃の巨人の在りかは俺が知ってるのでそれは問題ない。

 

 

 さらに本国マーレのことや、世界情勢などについても概ね理解を深めることが出来た。

 意外にも本国でのアニは勤勉だったようで、マーレが他国に比べて軍事力などが数段劣る状態にあることを理解しており、仮にパラディ島にて勝利を収めても遠くない未来に滅びるのではないかと懸念を抱いていたそうだ。

 

 まあ、エルディア人を奴隷戦士みたいに使ったり巨人アタックしてるだけのマーレじゃ、兵器を進化させようとする意欲は他国に比べて低いはずだ。

 ローコストかつ強力な武器があるのに、わざわざ金かけて大砲などを作る意味が無いもんな。

 

 ただその強力な武器とされるエルディア人達にも限界はあるし、巨人だって強いが基本的に人間がでかくなった様なもの。

 拳ほどの投石で人は死ぬのだから、それを巨人サイズでやれば結果は見える。

 むしろ爆薬で吹き飛ばせばそれでおしまいな点は、どの兵器でも同じことを言える。

 

 違いは増産可能な近代兵器と、死んだらおしまいなエルディア人という点だけだ。

 

 

 もちろん一方的かつ優勢では無いからこそ、今のギリギリなバランスの上で国が成り立っているのだろう。

 

 武器は組み立てが終わればすぐ戦地に行けるが、エルディア人は生まれてから戦えるようになるまでに最低でも数年必要だ。少年兵ばかりを使えばそのうち大人が居なくなり、人口そのものが減る。

 その結果、いつかジリ貧になって負けが見えるのはマーレだ。

 

 

 

 そんな中、アニは巨人を片手間で討伐する俺の存在や気という技術を知り、本格的にマーレの敗北を感じ取っていた。

 

 

「少なくとも、あんたを敵に回したくないと思ったね」

 そう言うアニの顔は吹っ切れた様子で、腹の底に溜めていた不安や恐怖について語ってくれた。

 

 

 決め手はデモンストレーションに放った俺のかめはめ波だったらしく、アレを見て「こりゃあかん、勝てんわ」と諦めたそうだ。

 

 ライナーの鎧の巨人ならまだしも、耐久的に普通の巨人と基本変わらない女型の巨人では耐えられないと察した。

 

 

 

 そんな時に俺からの接触を受けてついに年貢の納め時かと諦めていたところでマル()達との会話。

 ワンチャンあるんじゃね? と一縷の望みをかけて俺に救いを求めたという訳だ。

 

 ちなみに写真のくだりについては「やらかしたって死ぬほどパニックになった。ヒッチが来なかったらヤケクソで巨人化して逃げようかと思ってた」だって。ヒッチ、お前マジでファインプレーだぞ! 今度肉をプレゼントしてやる!!!

 

 

「しかしまぁ……ユミルの民に悪魔の末裔ねぇ……聞けば聞くほどにマーレってのはかつてのエルディア帝国みたいな真似してるな」

 

 俺の言葉に目を見開くアニ。

 

「だってそうだろ? 確かにエルディア帝国みたいに他人種を侵略して民族浄化なんて真似はしてないけど、エルディア人を道具のように扱って自分たちはその利益を貪ってるんだから、やってることは同じだろ?」

「そ、それは……元はと言えばあたしらの祖先がやったことで」

「そうだけどそれ俺らに関係なくない?」

「……」

「さっきもマルロたちと話しただろ? 身に覚えもない罪で他人から糾弾される理不尽さは誰から見ても納得できないものなんだよ。

 そりゃマーレや他の国のヤツらからしたらご先祖さまが酷い目にあった元凶かもしれんが、じゃあお前らの親や祖先は誰も殺さなかったのか、何一つ罪を犯さなかったのかって話だよ」

 

 その言葉にアニは言葉を失い黙る。

 

「この手の議論は総じて『誰も罪はなく、誰もが罪を背負ってる』っていう灰色な答えにしか行き着かないんだよ。

 ここで明確な答えを無理やり出そうとするなら、それこそどちらかが滅ぶまでの殲滅戦しかありえない。わかるだろ? これが今まさに、マーレがやろうとしてる事なんだよ」

 

「もし、戦争になったら、あんたはどうするの?」

「んー……昔だったら両親とサシャ家族を連れてどっか誰もいない場所に避難してひっそり暮らして終わりだったんだけどな、流石に俺にも大切な仲間ってのが増えすぎた。

 今更俺だけ逃げておしまいとはならない。俺の力の向く先が巨人から人間に変わるだけだと思う」

 

 だけど、と一区切りしてから続ける。

 

「俺の力を見ただろ? 多分、俺の力は個人で国をひっくり返すことも可能な力だ。

 これまでまともに話を聞いてくれなかった反エルディアの皆を、無理やりにでも交渉のテーブルに着かせるくらいは出来ると思うぞ」

 

「本当に可能なの? 裏切られたり、受け入れたフリして不意打ちしてくるかもしれないよ?」

「それなら相応の仕返しをするだけだよ。

 それにこれまで虐げられてきた奴らだってすぐに信用しないはずだ。

 しばらくは互いに警戒して付かず離れずの関係を維持すると思う。その間に少しずつでも関係を取り戻すしかないだろ。少なくともそうすりゃ殲滅戦なんて地獄に行き着かないで済む」

「……それしか、ないか」

 

 疲れた様子で俯くアニに仲間を裏切ることについて何も無いのかと聞いてみたら「あいつらは同じマーレの戦士ってだけで仲間じゃない」と一蹴。

 

 

 まあ、ベルトルトは行動力がなくて頼りないって感じだもんな。元々のスペックはいいんだが、生来の優しすぎるところが戦士としての素質を打ち消してる。

 

 ライナーはライナーで精神病んでてそれどころじゃない。背中を預けるのも怖いだろう。

 そこに仲間意識ないアニというのは相当チームワークとしては怪しいところだ。

 恐らく戦士として鍛えられた義務感だけが何とか彼らを繋いでいるんだろう。

 

 そう思うと、マーレの戦士かなりガタガタだな。

 

 

「こちらからも情報を一つ」

「何?」

「実はエレンも巨人化出来る」

 

「はぁ!?」

 

 おお、ここにきて一際大きな声だ。

 

「エレンってあのエレン・イェーガー!? どういうこと!? エレンが巨人!? あいつはうちの戦士じゃないよ!?」

 

「まてまて、落ち着けって! 俺達も理由はわかってないんだ」

 本当は知ってるんだけど、今の俺がそれを語るのは色々矛盾がやばいからこう言うしかない。

 

 落ち着けと宥めると、アニは肩で息をしながらも少しずつ冷静さを取り戻していく。

 

「……そういえばトロスト区の巨人を殺す奇行種が居たって……そういうことだったのか……くそ、盲点だった」

 

 と呟く。たぶん、エレン巨人のことを思い出してるんだろうね。

 

「んなわけで、既に調査兵団は巨人の正体が人間であることを概ね理解してる。また巨人化したとき、その外観が大なり小なり反映されることも」

「……ってことは、研究所の件は」

「残念ながら、内部に敵が紛れ込んでいることを裏付ける証拠になっただけ」

「くそ!! だからやめとけと言ったんだあの筋肉バカが!」

 

 多分ライナーのことだろうな。研究所に捕らえられていた巨人を殺すよう提案したのも戦士モードのライナーだったみたいだし。

 

「……あいつらはどうなるの?」

「まあ、こちらに寝返ってくれるなら便宜を図るくらいするよ。あの二人だってある意味被害者みたいなものだ。ただ、問題はアニと違って直接手を下した人間が多すぎる。その中にはエレンの家族もいる……。

 結構辛い目に遭うかもしれないが、可能な限り守るよ」

「それが一番いいのかもしれないね」

 

 

 それからしばらく俺とアニは、コツコツとオレが備蓄で保管していた干し肉や酒を飲みながら休んだ後、俺はおもむろに立ち上がる。

 

 

「体力も回復しただろうし、そろそろいくか?」

「いくってどこに……まさか」

「親父さんのゆ・う・か・い」

 

 

 ニッコリ。

 

 




さぁーて、次回からオリ主特有の俺TUEEEEが少しかけるぞぉ!
賛否両論になりそうでオラ、ガクブルすっぞ!
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