進撃のサイヤ人   作:ただのトーリ

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ちょっと新しい試みとして、特殊タグを使ってみました。
まぁ、そんなに乱用するつもりは無いんで今回は特別ってことでよろしくお願いします。




思いつきと名(迷)案

 四方見ても海しか見えない海上、空を流れ星に見紛う光が駆け抜けていく。

 

 

「寒くないか?」

「大丈夫っていうか、なんで平気なのかわかんないんだけど」

「俺が気で保護してるからな」

「……気ってホント万能だよね」

 

 呆れるような声だ。

 

 現在、俺はアニを抱っこした状態で飛んでいる。

 最初アニは背中に乗ると言ったのだが、万が一速度に耐えきれず落ちたらマジでシャレにならんのでお姫様抱っこを我慢してもらってる。

 

 最初のミスを反省して俺の前方に薄い気の膜を張って風を防いでいる。

 おかげでアニは風の影響を受けないで済んでる。

 

 

「で、どうやって父さんを連れ出す気なの?」

「特には作戦は考えてない」

「はぁ?」

「親父さんの家に向かってアニと会わせて説得、あとは俺が2人を引っ張って逃げるとか?」

 

 その言葉にアニはため息を吐く。

 

「あんた、頭いい癖に変なところ出たとこ勝負するよね」

「俺の人生大抵そんな感じだぞ? これまでは色々余裕がなくて取り繕ってたけど、最近調査兵団も強くなってきたから自重を止めようかなって思ってるだけだ」

「いっその事、そのすごい力を思いっきりみせて神様のフリでもして脅したら?」

 

 呆れた様子で呟いた言葉、それを聞いた途端、衝撃を受けたような気持ちになった。

 

 

 

「……どうしたの? 急に黙ったりして」

「それ採用」

「は?」 

「俺、神様になるわ」

「はぁ?」

 

 

 

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーー

 

 

 第三者視点

 

 

 マーレ国にあるレベリオ収容区。

 かつて世界の覇権を握っていたエルディア人達は、現在この収容区と呼ばれる巨大な壁に囲まれた区域内でしか生きる事を許されていなかった。

 

 厳密にはマーレ国以外の各地にもエルディア人は散らばりつつも点在しているが、そのどれもがこの収容区より扱いは酷い。

 

 

 マーレ国に関しては最低限の教育は許され、生活環境も発展したマーレの基準によってしっかりと守られている。

 

 そのせいもあって、国内に生きるエルディア人の大半は「マーレによって守られている。それ以外では生きていけない」という事実に基づいた洗脳とも言える教育が行われている。

 

 更にはエルディア人の中から、マーレの戦士と呼ばれる特殊戦闘員が現れるとその人物は名誉マーレ人という称号を与えられる。

 

 名誉マーレ人は文字通り、国内においてエルディア人としての扱いが無くなり、より良い環境での教育やその家族への手厚い待遇を得られるようになる。

 

 しかし、その実情は名誉マーレ人とは九つの巨人の力を継承した使い捨てに近い扱いだ。

 

 九つの巨人の力を継承するということは、必然的にその生活の全てを軍部により管理される不自由さ。

 さらに継承したものはその時点から13年しか生きられない寿命(タイムリミット)付き。

 

 だと言うのにこぞってマーレの戦士、名誉マーレ人になろうとするのには「過酷な環境からの脱却・洗脳と贖罪」が根底にある。

 

 

「いいですか、我々の祖先はエルディア人の王に見捨てられたのです。祖先が犯した重い罪から逃げた王たちはパラディ島に壁を築いて引きこもり、取り残された私達は王の犯した罪により多くの人から責められ、その罰として今まさに命を奪われようとしていました。

 そんな時、我が尊敬すべきマーレの王は我に手を差し伸べて下さっただけでなく、手厚く保護して下さり、マーレのために戦士として働く栄誉を与えてくださったのです」

 

 

 この教育が長年繰り返されてきた。

 

 

 マーレに住むエルディア人は愛国心と忠誠心をもって生活し、パラディ島に生きるエルディア人のことを彼らはこう呼ぶ。

 

 ーー悪魔の末裔、と。

 

 

 

 

 ーーーーーーーーーーーー

 

 

 ~とあるマーレに住むエルディア人~

 

 

 

 

 俺はトーマス、両親ともにエルディア人でレベリオ収容区で暮らしている。

 主な仕事はマーレ人から下ろされる武器製造のライン作業だ。

 朝から晩まで働いて、ようやく一ヶ月を生きることが出来る給金を貰っている。

 

 もちろん不満はあるが、そんなことを口に出そうものならマーレの監視体制を敷いている当局に睨まれ楽園送りにされちまう。

 それに、俺は生まれながらにして足が悪いこともあって兵士にならずにこうやって安全な作業で済ませてもらっている。

 

 先月なんか、俺の幼馴染だったベンが南部の紛争で両目を失って帰ってきた。

 同情する気持ちもあるが、同時に「俺じゃなくて良かった」と思っちまったくらいだ。

 

 しかしそれでも思わずにはいられない。

 パラディ島に俺たちを捨てて生きている悪魔共は、いったいどんな気持ちでこの空の下を生きているんだろうか。

 俺達のことなんてとっくに忘れて、呑気にうまい飯でも食ってるんだろうか。

 

 

 ちょうど俺は休憩時間に入っていたこともあって、狭い中庭でぼんやりとしていた。

 

 ため息混じりに空を見上げると、何か妙なものが見えた。

 

 

「なんだ、あれ」

 

 俺の行動に周りの皆も気になって空を見上げ始める。

 

「空に、妙なものが浮いてる? あれは……人?」

 

 

 誰かの言葉が伝播し始め「人だ、人が飛んでいる!」と騒ぎ出す声が聞こえた。

 

 すると事務所で休んでいたらしい監督官や巡回の兵が飛び出してきた。

 

「何事だ! 騒ぐようなら減給するぞ!」

 

 怒鳴り散らす監督官だが、俺たちが空を見上げて固まっていることに気がついたのか、同じように空を見上げた。

 

「……な、なんだあれは」

 

 やはり同じものが見えているらしい。俺だけ幻覚を見てるのかと思ったが、そうでは無いらしい。

 

 俺は昔から目が良くて、目をこらせばあの距離くらいの人相ならば見分けられる。

 

 必死に目を細め、その姿を凝視する。

 

 

 髪と同じ黒い服を身に纏い、両耳には丸い玉の付いたイヤリング。

 習った教育でどこかの武道着があんな感じだった気がするが、色々混ざっていて元がどれなのか分からない。

 

 さらには顔は不思議な形状をした仮面で表情が伺えない。

 

 しかし、その男? の背後には神々しい光の輪が煌めいており……習った天使のようでは無いか。

 

 

 

 監督官と巡回兵は慌てた様子で銃を構えると、空に浮いている何者かに突きつけて叫んだ。

 

「貴様は何者だ! 何をしている! 降りてこい!」

 

 その言葉に気がついたのか、その空を飛ぶその男が喋った。

 

 

『……神を前に不敬であるぞ、人間』

 

 

 まるで空から降るような声が俺たちに向けられた。

 空の人物はゆっくりと俺以外にもその姿が見える距離まで降りてきた。

 その身体からは赤い炎が燃え上がるように立ち上がっているのに、どこも焼けているような印象は無い。

 その炎はまるで怒りを表しているかのような、荒々しい物だ。

 

 

 神を名乗るその男の声はゾッとするほど冷たく、不愉快さを滲ませており敵対するのはマズイと思わされるには十分だった。

 

 

「な、な……」

 

 

 言葉を失う監督官を見下すように見つめ、苛立ちを込めたような声音で空のそれは続けた。

 

 

 

 

『久方振りに降臨した神にそのような不細工な鉄を向けるとは……万死に値する』

 

 直後、空に浮かぶ男が手を軽く振るうと激しい光の弾丸のようなものが打ち出され、それをまともに受けた警備兵や監督官たちは吹き飛ばされてしまった。

 

 余波で俺の周りも酷いことになっているが、何故か俺は無事だった。

 いや、よく見れば他にも転んではいるが直撃を免れた奴もいる。

 

「ひぃぃぃ!?」

 

 恐ろしさから膝を着いて頭を下げる。

 

 収容区で暮らしているとたまに乱暴なマーレ人に理不尽にも土下座させられる為、癖のように出てしまった。

 しかしこれが功を奏したらしい。

 

 

『ーーほう、身の程を弁えた人間もいるようだな……。くっくっく……それでいい、神を前にする時は良いと言うまでそのように這い蹲るのが貴様らの正しいあり方だ』

 

 少しだけ機嫌を良くしたようにそう言うもんだから、他のエルディアのみんなもこぞって真似て跪く。

 

 遅れてやってきたマーレの軍人がその場にやってきて、あろう事か神様に再び銃を向けてしまった。

 

「い、いけません! あの方に銃を向けては!」

「なんだと貴様、まさかあの男と仲間なのか!」

「ちがうんです! ただ、あの方は神様なんです! 怒らせてはダメなんです!」

 

 慌てて何とか止めようとしたけど、聞く耳を持って貰えなかった。

 

「ええい、何が神だ! 貴様早く降りてこい!」

 

 そう怒鳴ると俺の顔を殴り飛ばし、威嚇のつもりか神様に向かって発砲してしまったのだ。

 

 連射された弾丸は神様に向かうが信じられないものを見た。

 

 なんと片手で全ての弾丸を掴み取ってしまったのだ。

 手を広げると歪んだ弾丸がこぼれ落ちて、俺たちのいる地上に降り注いだ。

 

 銃がまるで玩具だ。あの神様の前では武器なんてなんの意味も成さないんだ。

 

『どうやら我ら神に従順な賢い者と、そうでは無い愚か者がいるようだ。……なるほど、よく見れば姿形は似ているが……お前たちは別の一族か。道理でこれほどまでに性質が違うわけだ。人間というのは少し目を離した隙に増えるから始末に負えん』

 

 なんと、一目見ただけでエルディア人とマーレ人を見分けたというのか!?

 

 最近ようやく血液から判別できるようになったというのに、神はやはりそのような手間すら無用なのか。

 

 

 それに少し目を離した隙に、と言った。つまりこの神様は長い時を過ごされた方というわけだ!

 さすがは神様だ、やはり逆らっちゃ駄目なお方なんだ!

 

 

 俺は思わず手を組んで膝をつき、ひたすら祈りの姿勢をとった。

 宗教なんて今まで信じてなかったが、目の前に神様が現れたのだ。信じざるを得ない。

 

『それで、愚かな一族よ。いつまで神の前でそうしているのだ』

 

 直後、俺たちの横を何かが通り過ぎた。

 

 恐る恐る見れば、壁にたたきつけられたように気絶するマーレの軍人達。

 

 まだ意識のあるやつもいるみたいだが、神はそんなことお構い無しに続けた。

 

『神に逆らう愚か者共には、罰を与えねばならんな』

 

 

 そう言って、片手を天に向かって掲げた。

 

 直後、無数の光が放たれた。

 

 それらはまるで意思のある生き物のように空へ飛び出したかと思うと、収容区の外へ飛んでしまった。

 そして少し遅れて爆音と悲鳴が無数に上がった。

 

 

 一体何がおきたのかこの時の俺には理解できなかったが、後々聞いたら謎の光が収容区外の街に降り注ぎ、建造物や道を尽く破壊したそうだ。

 

『此度は無知故の罪として人の命は奪わないでやろう。しかし、罰として贄を1人連れていこう。そうだな、賢き一族からにしよう』

 贄、贄だって!?

 そんな、俺たちは何もしていないのになぜ生贄にされなくちゃいけないんだ!

 

 

 混乱する中、神は指先から光の輪を生み出したかと思うとそれを人の群れの中に放り投げた。

 皆逃げ惑うが、哀れな男が捕まってしまったようだ。 

 あまりの出来事にその男は青ざめて固まっている。抵抗する気力もないみたいだ。

 

 ーーっ! 

 あれはレオンハートの旦那じゃないか! 娘がマーレの戦士になったってのになんて不運なんだ!

 

『ふむ……まぁいいだろう。良いか人間ども、貴様らは我ら神の慈悲によってこの世に生きることを許されているのだ。生殺与奪も、大地の権利も、あらゆる自然の恵みも我ら神が気まぐれに与えてるだけに過ぎん。もし万が一、己を神か何かと勘違いしようものなら……その時はこの程度では済まさんぞ。よく覚えておくのだな!ーーーー波ァ!

 最後に手を突き出したかと思えば、これまででいちばん大きな光の柱が打ち出され……再びどこかを破壊した。

 遠くで爆音が響きわたり、その威力を容易に想像させた。

 

 

 

 

 恐ろしかった。

 あれが神というものなのか。

 

 皆震えて寄り添う中、心のどこかでマーレのヤツらに対してざまぁみろという気持ちがあった。

 

 

 ちなみに最後の光の柱はマーレ軍の主要施設を撃ち抜いていたらしく、これまた死者は出なかったが着弾時に大きな破壊をしたようで、しばらく運用が難しいレベルにまで破壊されていた。

 

 

 この日から、マーレでは「神が降臨した」と噂が流れ始めた。

 それと同時に「神の怒りに触れ、エルディア人が1人生贄にされた」とも。

 後者の噂には箝口令が敷かれ、次第に聞かなくなった。

 

 

 だが、みんなどこかで話している。

 

 

 マーレは滅ぶかもしれない、と。 

 

 




第三者目線って、たまに書くと楽しくなるのよね。
俺TUEEEEというより、他人からのあいつSUGEEEEEの方がニッコリできるのよ。ワシ。
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