進撃のサイヤ人   作:ただのトーリ

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お久しブリーフ博士(土下座)
忘れてたわけじゃないんですよ?




テコ入れと言う名の修行回

「いっその事、エレンの情報をアニの伝手で奴らに漏らしてみます?」

 

 もはや定例会となりつつある、調査兵団主要メンバーでの会議。

 

 

 あまりにも進展しなさすぎて、ついそんな言葉が口から漏れ出てしまった。

 

 だが意外にもそれに対して否定的だったのはモブリットさんくらいで、その場に居た団長やリヴァイ、ハンジやミケもそのメリットに考え込んでいた。

 

 

 しばらくの沈黙の後、最初に口を開いたのはリヴァイ兵長だった。

 

「……幸いにもバルトとアニは親しい間柄ってことになってる。作戦の立案などの関係で機密を知ったとすれば不思議な事じゃねぇな」

「たしかに、我々は相手に対してあまりにも無知すぎる。このままでは相手側が痺れを切らして何かしらアクションを起こしかねない。

 だったら敢えてこちらから動くきっかけを与えてしまえば、予測不可能な不意打ちより遥かに対応は容易になる」

 

 ハンジもその有用性を組み立てていく。

 

「アニ君、君はこの情報を伝えた場合どのような行動に出るか予測できるか?」

「……恐らくですが、マーレの中で所在不明な巨人は現在進撃と顎・そして始祖の巨人だけ。いずれにせよそれを確保して国へ帰ろうとすると思います」

「始祖の巨人は構わないのか? それが目的で潜入したのだろう?」

「正直言えば、もう彼がいる時点で作戦の続行は不可能と言えるレベルです。それでも手ぶらで帰れば私たちの家族は『作戦をまともに遂行できずに逃げ帰ってきた臆病者』として、マーレ・エルディアの両人種から差別を受けることになりかねません。

 最悪、継承という名の処刑になります。それだけは……避けたいと思うはずです」

 

 ちらりと俺を見るアニに納得した様子のエルヴィン団長は続ける。

 

「なるほど、そのために九つの巨人そのうちの一つを確保して凱旋したという大義名分が必要だと。さらに言えば、この島に居るバルト・ロメオという規格外の英雄ーーあちらにとっては悪魔そのものの情報を持ち帰れるメリットもあると」

 

 その言葉に頷くアニ。

 

 

 その後、いくつかの筋書きを作ることになった。

 

 まず前提として、前に起きた壁内にて発生した捕虜巨人殺害事件。

 実は色々立て込んでいて調査が未完了だったのを利用することにした。

 

 

 大まかな筋書きはこうだ。

 ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 ①「捕虜巨人殺害調査部隊」として、バルト・ゲルガー・ナナバ・アニ・エレン・ミカサ・アルミンを編成。

 エルヴィン団長は合計七名にて調査を行うことを命じる。

 また、壁外調査を行う際も同上の部隊が組み込まれることになると辞令を出す。

 

 しばらくこのメンツで行動を行い、アニが俺から情報を収集可能な期間を得たとライナー達に誤認させる。

 

 

 ②しばらくした後、壁外の大規模調査を行う事を発表。

 

 巨人の討伐をしつつ、野営地などの設営も行う。

 バルト班は独自裁量による行動権利を与えられ自由行動を許される。

 調査の過程で巨人と遭遇、戦闘になった際にエレンの巨人化を発覚させる。

 

 これにて複数の人間に知られることになるが、先日の俺の変身も相まって「エレンは俺の弟子であるため、その力を手に入れた」とする。

 

 ③同作戦に別班として参加しているであろうライナーとベルトルトもこれを知ることになる。万が一配置の関係で情報が伝わらなかった場合、アニ経由で伝える。

 

 あえて不特定多数の兵団の前で見せる理由は、今後エレンの力を振るう必要が発生した時の布石とする為だ。

 

 恐らく再び内地がやかましくなるだろうが「エレンが暴走したら責任をもって止めます」と俺が宣言して黙らせる。

 

 原作でのリヴァイの役目を俺がやるだけだ。

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 恐らく、この情報を得たからと言って直ぐに行動を起こすことは無いだろう。

 

 

 

 

「だが、問題はエレンの巨人化だ。奴はまだその力を完全に使いこなしちゃ居ないんだろう?」

 

「一応変身方法はアニから聞いていて判明しています。自傷行為と明確な目的意識、ですが変身した直後の意識は朦朧となり、半分寝ぼけてるみたいな感じになるそうです」

 

「ッチ……、寝ぼけて俺たちを殺しにくるような真似になりゃしねぇだろうなバルト」

「それに関しては問題ないですよ兵長。エレンの奥底にある巨人に対する怒りと使命感は筋金入りですから。……だからこそ、変身時の精神状態に大きく左右される巨人化能力は非常にデリケートなものです。

 極論を言えば、戦意喪失状態では間違いなく変身が出来なくなるでしょう。それ故に彼のサポートとしてミカサとアルミンにも我々が持ち得る情報を全て開示して補助してもらおうと思います」

 

 その言葉に納得したようで彼は黙って頷く。

 すると代わりに口を開いたのはエルヴィン団長だった。

 

「しかし、彼らの親や祖父の死の原因は、巨人化したライナーとベルトルトの攻撃によって引き起こされた。事実を知った彼らが暴走しないと言い切れるか?」

 

 エルヴィン団長の問いに全員の視線が集まる。

 

 

「まあ、多少は大あばれしたくなるでしょうからそこは俺が責任取って、ストレスの発散に付き合ってやりますよ。ついでに訓練代わりにキツイ格闘戦でもしておきます」

 

 そう言うと団長は「ではエレンたちの扱いはバルトに任せよう」と締めくくられた。

 

 

 

 

 とりあえず壁内巨人殺傷事件調査と共にエレン達との面談を行うことになった。

 

 

 ーーーーーーーーーーーー

 

 

 5日後、ウォールローゼ壁上に俺はいた。

 目の前には見慣れた顔ぶれが並び、俺は班長として意識を切りかえ声を張り上げる。

 

 

「エレン・イェーガー! ミカサ・アッカーマン! アルミン・アルレルト! アニ・レオンハート!」

『はっ!』

 

 みな一斉に姿勢をただし敬礼を取る。

「これより、お前たち4名は我がバルト班へと一時編成される! 理由は分かっているなエレン!」

「壁内巨人殺傷事件の調査のためです!」

 

 エレンが敬礼の姿勢のまま答える。

 

「そうだ! さらにその調査と同時並行し、お前たちの訓練をエルヴィン団長より任されている! かなり苦しい訓練となるが付いてこい! また移動は舞空術で行うが、エレンとアニは舞空術が出来ないためエレンはミカサ、アニはアルミンが運ぶように!」

 

 

 俺の言葉にアニとエレンがギョッとする。

 

「な、なぜ馬で行かないんですか?」

「理由は大きく分けて二つある。まず馬を連れていくとそいつらの管理に割かれる時間や労力が勿体ない。

 次に飛べない奴を運ぶことで負傷者を連れての撤退戦や避難の際に必要な持久力を鍛えるためだ。言っただろう、訓練も兼ねると。睡眠中以外は訓練だと思って全てに集中しろ。

 俺やゲルガー達は不測の事態に備えて自由に動ける必要がある。そうすると必然的にこの配置になる」

 

 今後、巨人化して疲弊した2人を運ぶことが増えるかもしれないから、早い段階で慣れて欲しいっていうのもある。

 

 慣れているアニはともかく、エレンは変身を繰り返す度に体力を大きく消耗するから運ぶ必要は必ず出る。

 その時に馬が都合よくあるとは限らない。

 

 ちなみにミカサとエレンをペアにしたのは、すこしでも二人で過ごす時間を増やして来る悲劇を避けるために繋がりを強めて欲しいからだ。

 

 ……べつにエレンを別のやつに背負わせたらあとが怖いとかそんな理由じゃない。

 

 

 

 

 俺の言葉に不満はありそうだが、意味あることだと分かったようでアニとエレンは反論を止めた。

 

「ナナバとゲルガーは接近する巨人の牽制及び討伐だ。離れすぎるなよ」

「「了解!!」」

 

 

 指示を出し終えた時、ミカサをちらっと見たら凄いキラキラした目で親指立ててきた。

 いや嬉しいのはわかるんだけど、一応訓練だから真面目にやってくれ。

 

 対してアルミンはアニを背負うことにかなり照れていて、アニの方は「こんな細いやつに背負えるの?」みたいな顔をしてる。

 

 

 

 

 

「では出発する! 目的地は巨大樹の森だ!」

 

 

 舞空術で浮かび上がる。

 

「わるいなミカサ」

「気にしないで、家族なんだから頼って」

「……おう」

 

 エレン&ミカサペアは微笑ましい会話をしている。

 

「わわ……っと、ふう」

「ちょっと間違っても落ちたりしないでよ?」

「うん、気をつけるよ。人を背負って飛ぶのって結構大変だから最初はちょっと揺れるかもだけど許してね」

「やれやれだわ」

 

 アルミン&アニのペアは予想通りというか、ちょっと硬いな。

 

 

 

 中心に彼らを置いて、前に俺、左右にゲルガーとナナバを配置。

 上から見ると凸の形になるように展開する。

 

「この形状を覚えておけよ。護衛や護送の時もこの形状にするからな」

『了解!』

 

 全員の声が響く。

 

「では、出陣!」

 

 一斉に飛行を開始する。

 ミカサはともかく、スタミナ面で不安のあるアルミンに合わせて飛ぶことにしている。

 

 舞空術の速度で言えば俺>ミカサ>ナナバ=ゲルガー>アルミンという順番だ。

 

 アルミンは舞空術を使える兵団の中では中の下と言ったところだが、そのセンスはかなり高い。

 一年間俺の元で訓練した他調査兵団と同じレベルで、それより高い水準にかなり早く到達している。そのおかげか飛行その物は非常に安定している。

 半年も鍛えれば舞空術だけでなく、気功波の類も覚えるだろう。

 

 ちなみにミカサは速度はあるが、背中に乗せたエレンが少々辛そう。

 気による保護を覚えないと、運ばれるエレンが大変そうだ。

 

 

 

 

 おそらくだが、アルミンはクリリンタイプだ。力と言うより技術などで足りない部分を補う。

 対してミカサはゴリゴリのパワー型な上に天才的なセンスを持ったベジータ型。

 リヴァイ兵長も似たタイプだが、さらに長年最前線で戦い続けた戦闘経験と勘が合わさって完全に上位互換だ。

 

 ちなみにナナバやゲルガーはヤムチャとか天津飯タイプ。

 突出した能力は無いがとにかく安定している。お調子者のゲルガーはヤムチャみたいにならないように気をつけないといけない。

 

 時間にして2時間弱飛行を続けると、アルミンの速度が落ち始める。

 

 一旦空中で停滞する。

 

 

「はぁ、はぁ……すみません……こんなに長く、しかも、全力で飛び続けるのは初めてで……」

「気にするな、呼吸を整えろ」

 

 俺の言葉に従って深呼吸を続けるアルミン。

 落ち着きを取り戻してきたところで、肩に手を置く。

 

「ーー!?」

「俺の気を分けてやった。体力もそこそこ回復したはずだからまだ飛べるな?」

「すごい……あっ、はい! 行けます!」

「アルミン、周りが凄いやつだから分かりにくいがお前も十分才能がある。兎に角体力をつけて気の総量とコントロールを伸ばすことだけを考えろ。そうすりゃお前もエレンやミカサと肩を並べられるようになるさ」

「はっ!!」

 

 ミカサにも気をやろうかなって思ったけど、全然余裕そうだ。

 元々体力おばけだから気の量に関しては気にしなくて良さそうだ。

 

「ミカサ、お前はちょっと背負ってるエレンを気にしてやれ。遠慮なしに飛んでるから風圧をもろに受けて弱ってるだろうが。

 エレンもミカサを気にして言わないのは優しさじゃねぇぞ?」

「え? あっ、エレン大丈夫!?」

「だ、大丈夫……ていうかなんでアニは平気なんだよ」

「……アルミンが気の膜を張って風から守ってくれてるからね」

 

 その言葉にミカサが驚いてアルミンを見る。

 

「アルミン、そんなことをしながら飛んでたの?」

「え、あ、うん。自分だけなら自前の気でなんとでもなるけどアニは気が操れないからきっと寒いだろうなって思ってさ。なれないことをしたせいですぐバテちゃうんだけど……」

「すげえなアルミン」

「うん、アルミンは凄い」

「そ、そうかな……?」

 

 照れるアルミン。

 

「これで分かったろう? お前の強みはその視野の広さだ。ミカサでもうっかり見落とす所をしっかり拾って実行する器用さもある。それをもっと伸ばせよ」

「……あんたもアタシを背負って飛んだ時同じミスをしたくせに」

 

 アニから恨めしげな視線を受け、手を合わせる。

 

 

「いやあ、あん時はマジで悪かった」

「アルミンも同じことできるか分からなくてちょっと不安だったんだけど、アンタほんとに器用だね」

「あ、ありがとう」

 

 

 

「さて、緊張もほぐれたし休憩もできた。そろそろ行くぞ」

『はっ!』

 

 再び巨大樹の森へと飛んでいくのだった。

 

 




やっぱね、修行はやらんと行かんでしょ。
後バルトが色々手を加えすぎてソロソロ原作の流れが崩れ始めてきました。

時系列的にはもっと巨人化の実験してるはずのエレンだけど、まだ周りにバレてないせいでその辺がやれてないんです。
その為の修行をバルトが請け負うことに。
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