大学に入学した「私」は、そこで黒河光莉という少女と出会う。
共に過ごしていくうちに恋愛関係に発展していく二人。しかし、その先はハッピーエンドとは言えないようなもので……

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はじめまして、初投稿になります。
主は豆腐メンタルなため、温かい目d読んでくださると幸いです。


Insanity Affection

 薬の瓶を片手に持って、彼女を抱きしめた。

 それはある冷たい冬の夜、私たちの関係が暗闇に包まれた瞬間だった。

 彼女は美しくも謎めいた存在であり、私の全てだった。彼女の名前は黒河光莉。その名前のように、彼女は私の暗闇の中に降り注ぐ唯一の光だった。

 光莉は私が初めて彼女に出会ったときから、ずっと私を見つめていた。その瞳は私を貫き、私の心に深く刻み込まれた。しかし、彼女がそうしたのは、私が彼女に近づくことを許してくれたからだ。私は光莉の存在に引き寄せられ、その引力に逆らえなかった。

 光莉の家は静かな町の外れにあった。家は古びた洋館で、高い塀に囲まれていた。

 その日、私は光莉から「ウチに遊びに来ない?」と誘われ、彼女の家に行くことになった。光莉は私を歓迎し、私たちは秘密の関係を築いた。彼女の家は私たちの唯一の聖域であり、私たちはそこで愛を育んだ。

 光莉は謎めいた存在だった。彼女の家には、薬の瓶がたくさんあった。私はその薬の正体を知らなかったが、光莉はそれを欠かすことができないものだと言っていた。確かに、光莉の体は儚く、力強く抱きしめると砂粒となって私の躰から零れ落ちてしまいそうな感じがした。そのため、私は光莉を守ることが私の義務だと感じていた。

 しかし、光莉は時折異常なほどの嫉妬を見せることがあった。

 私が他の女性と話すだけでも、彼女は激しい怒りに包まれた。彼女は私を自分のものとし、私を独占しようとした。無知な私はその嫉妬深さを愛情表現の一種だと思い込んでいた。

 ある日、私は光莉が病気で苦しんでいることに気付いた。彼女は薬の瓶を片手に持って、ベッドで苦しんでいた。私は心から心配し彼女を抱きしめた。彼女の壊れそうなほど脆い躰は人間の体温を軽く超えるほどの熱を帯び、汗が額から滴っていた。

 「大好きだよ」と私は囁いた。

 光莉は微笑み、そのまま薬を服用した。しかしその瞬間から、光莉の様子が変わり始めた。彼女の瞳はさらに異常な光を放ち、嫉妬心が増しているように見えたからだ。

 それからというもの、光莉は私を監視し私の行動を制限し始めた。私は彼女のために尽くし、愛情を示すことが私の唯一の目的となったのだ。しかし、それは次第に窒息感を生み出すものとなり、私は自分自身を見失いつつあった。

 光莉の病状は悪化し、彼女の挙動もますます異常になっていった。そして遂には、彼女は私を監禁し、私を離れないようにした。じっくり、ゆっくりと調教された私はそのまま彼女の虜になり、彼女の病的な愛情に抗う力を失っていた。このときから、私は光莉の愛情無しには満足に生きられないと思うようになっていった。

 そんな生活がしばらく続いていたある日のこと。多分、私はその日のことを一生忘れないだろう。彼女は私を拘束し、近くの棚から薬の瓶を持ち出して私に服用させた。私は薬の効果で意識が朦朧とし、身動きが取れなくなった。彼女は笑いながら私を見つめ、その異常なまでの愛情に満ちた言葉を囁いた。

「これからも、あなたはずっと私のものよ。」

 私はその言葉の意味を理解すると同時に、そこはかとない恐怖と絶望に突き落とされた。それはある種の死刑宣告のようなもので、私が彼女の病的なまでの愛情から逃れられないことを示していた。光莉が投与した薬の力によって、私の思考はぼやけ、もはや抗うことすら叶わなかった。

 あれから何日が過ぎただろうか。私は今でも薬の影響から解放されることなく、光莉の支配下に置かれていた。彼女は私を部屋の中で監禁し、私の行動を完全にコントロールしていた。私は孤独と絶望に包まれ、この異常な関係から脱出する術を見いだせないでいた。

 光莉の愛情はますます深くなり、私に対する彼女の異常な執着心は次第に狂気へと変わっていった。私は彼女の言いなりになり、彼女が求めることを全うすることが私の唯一の目的となった。朝起きてから夜眠りにつくまで、彼女は私を自分の物とし私の自由を奪っていった。

 もはや私は、彼女の「お人形さん」になっていた。

 お人形さんになってから、私は常に光莉の側にいなければならないと感じ、彼女の欲求を満たすために尽力した。それでも、頭の片隅で密かに彼女から逃れる方法はないのか探し続けた。

 人形になったから半年ほど経った頃、ふと「あの薬の瓶が私たちの関係を支配しているのでは?」という考えが浮かんだ。夜、光莉が寝静まった頃を見計らい、薬の瓶を見つけようとした。幸い手錠などはかけられていなかったので、比較的自由に動くことができた。目的の物はすぐに見つかった。表面のラベルの文字を見ると、「Insanity Affection」と書かれていた。どうやらその薬は光莉の病気を治療するものではなく、彼女の異常な愛情と嫉妬を増幅させるものだった。薬が私たちの関係を破壊し、彼女を狂気に駆り立てていたことを知って、私は行動を起こす覚悟を決めた。

 そして私は光莉の監視をかいくぐり、外の世界に助けを求めた。数日後、警察がやって来て、私を光莉の支配から解放してくれた。彼女は拘束され、精神的な治療を受けることになった。

 私は久しぶりに自由を取り戻し、光莉の病的な愛情から解放されたが、その経験は私の心に深い傷を残した。光莉の存在は永遠に私の中に刻まれ、彼女の異常な愛情とそこに見える闇は決して忘れることがないだろう。それは私の人生においてアンタッチャブルなモノとなり、永遠に私を追いかけ続けることだろう。

 事件の後、私は心の傷を癒すために専門のカウンセリングを受けた。このカウンセリングには自分自身を取り戻すことと、少しでも心の傷を癒す目的があった。

 光莉が病的な愛情に取りつかれてしまったのは彼女自身の心の葛藤から生まれたものであり、私もその一部分であった。彼女が支配し、縛り付けたかったのは、自分自身を失いかけたからだった。私は彼女を助けようとしたが、それが逆効果となった。彼女を愛したが、愛情には適切な境界が必要だと痛感した。

 あれから数か月が経ち、私は新たな人生を始めた。光莉との間の忌々しい出来事は過去のものとなり、新たな愛情と関係を築いた。私はその経験から学び、自己防衛と健全な愛情を重要視するようになった。

 光莉も治療を受けているが、彼女がその闇から抜け出すことは難しいかもしれないと担当の先生に聞いたことがある。それほどまでに壊れていたのだと改めて思った。でも、だからといって私は彼女に対して憎むことはできない。私たちはお互いに傷つけ合い、依存し合っていた存在だったからだ。彼女の病的な愛情は私たちの関係を完膚なきまでに破壊したが、それは彼女自身も犠牲にしたものであることを理解していた。

 年月はかかったが、私は再びありふれた日常に戻って来れた。ずっと心配してくれた友人や家族には今までのことを詳細に語った。光莉と出会ったこと。互いに依存しあっていたこと。彼女が本当は優しい心の持ち主であることなどを全てさらけ出した。軽蔑されるかもしれない。見放されるかもしれない。そう思った。でも、全てを知っても見放すどころか励まし寄り添ってくれた周囲の協力もあり、私は再び前を向いて歩きだすことができた。

 光莉の治療はまだ続いており、彼女はその闇から抜け出すために日々努力している。私は光莉を許し、彼女が新たな人生を築けるように願っている。その過去の出来事は私たち双方にとって苦痛なものであったが、それが私たちの成長に必要不可欠なモノだと知っているから……。

 新しい愛情は、適切な境界と相互の尊重を基盤に築かれていた。私たちはお互いの過去を尊重し、新たな未来を築く努力を重ねた。光莉との出来事は私たちにとって一つの試練であったが、それを乗り越えられたときは、本当に変われたのだと思わず涙を流していた。

時折、過去の出来事が私の夢に現れることがある。光莉の愛情に取り込まれた日々の記憶が、私の心に深く刻まれているからだ。しかし、それらの夢は私の過去ではなく、未来に向かう過程の一部であると考えると、いつしかその悪夢も見なくなった。

新しい人生は、私に多くの素晴らしい機会と冒険をもたらしてくれた。愛情と幸福が私の心を満たし、新たな友人や新しい趣味に囲まれて、私の日常は鮮やかで充実していた。

光莉との過去の出来事は、私が他の人々との関係を大切にするようになるきっかけともなった。私は愛情に対して感謝し、それを慎重に扱うようになった。適切な境界と相互の尊重が、健全な愛情を築く鍵であることを学んだ。心に深い傷を残したが、それは私が私でいるための重要な一部分となった。

新たな愛情と新たな未来に向かって、私は過去を受け入れつつ、新しい道を歩み続けるのである。前を向いて進むことが私の使命であり、私はその使命に忠実である。未来は明るく、私はその光に向かって進むのみである。未来が明るく広がっている中で、私は新たな挑戦に立ち向かう決意を固めていた。それは、相手との関係を健全に維持することだ。

過去の反省から学んだことを、この先も続いていくであろう現在に生かし、もう二度と私自身を見失わないようにしたい。

 こう決意する一方で、私は光莉への思いも忘れることはできなかった。彼女の狂気的な愛情と嫉妬は、私の心に深く刻まれており、そう簡単に全てをなかったことにはできなかった。

 光莉への思いは永遠に私の心に残るであろうが、彼女が新たな人生を築くための一歩を踏み出すことは、私にとっても救いと希望であった。彼女が過去の自分から抜け出し、本当の自分を見つけ出すことは容易ではないだろうが、今の彼女ならそう遠くないうちに見つけられるだろう。私はそう願っている。

 いつか私が光莉と再開したとき、お互いが「本当の自分を見つけられたよ」と胸を張って言えるように、今の幸せをかみ締めつつ、前を向いて進んでいく。時には立ち止まることもあるかもしれない。そんなときは、新たに掴んだ幸せを力に変えて進んでいく。もう恐れたりしない。

 


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