カタカタカタカタカタカタカタカタカタ
青葉「このデザインのモデルもっと明るくできますか?」
ゆん「そこは任せて」
はじめ「キャラクターのここはこうして、出来た」
紅葉「これ、もう少し手を加えても良いと思うんですが……」
ひふみ「じゃあ、こっちの方が万人受けすると思うからその方向性で」
時刻は深夜3時、PECOの最終仕上げに突入したイーグルジャンプは泊まり込みでの残業が常態化していた。
ねね「デバック、まだまだいけるよね」
つばめ「当たり前です、私の組んだプログラムはきっと……」
ねね「そこは自信持とうよ……」
ブブ―――!!
つばめ「あ……」
ねね「やり直しだね、手伝うからちょっと見せてよ」
つばめ「私の努力がぁ……」
徹夜作業でやつれながらも皆仕事を遂行していく。
コウ「皆、キマッてるねぇ……あ、缶ドリンクもう一本」
りん「コウちゃん、もうドリンク6本目よ……」
コウ「兎に角ラストスパートだ、明日にはマスターアップが達成されるんだからここから先は地獄にとことん付き合ってもらうから、ふひひひ……」
りん「結局、コウちゃんは……」
そんな中、七海は……
七海「PECOの開発はいよいよ大詰め、明日のマスターアップが可能な所まで来ました。同時に研修生の桜ねねと鳴海つばめがⅩボックス向けのデバック作業に取り掛かっています。PS4とスイッチはいずれにしても完成済み。多くのデータは揃いました。
いずれ各ゲームでのメインプラットフォーム分が同日に渡せると思います。報告は以上です。では」
大手電機企業への報告を終えると七海はコーヒーを口にする。
そんな中、一つの怪しい影が……
コツーン コツーン
イーグルジャンプに近付いていた。
ガシュウウウウウ!!
青葉「え!?入口開いた!!」
はじめ「入って来る人なんていないはず!!」
その影の正体は……
名倉「よお、徹夜中に失礼するぜ」
青葉「な、名倉さん!!」
突如として入って来たのは名倉だった。それも巨大な包みを持った。
紅葉「この人が名倉マークさん?」
ひふみ「名倉君、アメリカでの仕事は?」
名倉「ああ、10分前にマスターアップが完了した」
ゆん「えええええ、嘘やろ!!」
はじめ「もう終わったんだ!!」
すると後ろから
コウ「おお、名倉か。そっちは大分楽しそうだな」
しずく「お帰り、とは言っても仕事を手伝う事はしないだろう?」
うみこ「本当に、アメリカと日本を行ったり来たりと何がしたいんですか?」
名倉「普通に仕事だけどな、まあ、青葉の作ったゲームに水を差すマネはしないさ。疲れてるだろうと思ってこいつを持ってきた、食堂来いよ」
青葉「何か差し入れ!!」
名倉「わざわざ俺の無茶振りに答えてくれたんだ。ありがたく思え」
そして食堂で目の前に置かれたのは……
デデーン!!
コウ「寿司!!!!」
うみこ「それも物凄い高価な!!」
青葉「名倉さん、このお寿司ってもしかして……」
名倉「以前、青葉を連れて行った築地の寿司屋。そこの対象に無理言って差し入れ用の寿司握ってもらってフェアレディZでかっ飛ばして持ってきた。腹減ってるだろ。見返りは要求しないから好きに食ってくれ」
コウ「いやったあああああああ!!いただきまああああす!!」
ガツガツ
目の前の寿司を口に頬張る青葉たち、全員涙を流しながら寿司を平らげていった。
その後
コウ「ありがとう、かなり活力になったよ」
ねね「築地のお寿司ってこんなにおいしかったんだね。ありがとう名倉さん」
名倉「気に入ってくれたのなら良かったよ、
なあ、青葉。これからちょっと時間あるか?」
青葉「え?私?」
名倉「俺の友人が俺のゲームのマスターアップを祝ってくれるそうでな。青葉にも来てほしいんだ。イーグルジャンプの代表としてな」
青葉「ええ……私、仕事中で……」
コウ「行って来なよ」
青葉「え?」
コウ「もう3日間根詰め過ぎてるだろ。息抜きのつもりで何か食ってきなよ。まあ、打ち上げの料理の余り物目当てだけど」
青葉「八神さん……」
名倉「じゃあ、青葉借りてくな。FF7、お前も来いよ」
七海「はい、ついていきます」
そうして青葉と七海は名倉に連れられ、バスに揺れる事6分。
名倉「これが友人の営んでるスタジオだ」
青葉「凄いビルですね」
だが……
七海「社長、ここって確か……」
名倉「どうせ青葉やイーグルジャンプの連中とは顔なじみだからな。すぐに慣れるさ」
青葉「え?顔なじみ?」
名倉「入るぞ」
ビル入口に入るな否やエレベーターで上階に向かう。
そしてその場所には……
名倉「おーっす、約束通り来たぜ」
ドド――――ーン!!
その場所には巨大な机、掛け軸。刀に骨董品の壺など物々しい空間。完全にアレな組織の場所だった。
青葉ガタガガガガガタ「なななな、名倉さん、まさかここで反社会的な取引を……」
そして背後に……
???「よお、相変わらず礼儀を知らんようだな。ウチの組のシマを荒そうってんならいつでもやるが、
生憎血生臭いのは嬢ちゃんには見せない主義でな」
青葉(あ、この人確か……)
青葉が見たのは白いスーツと黒のYシャツ、黄色いネクタイと耳のピアスの輝く如何にもそのテの人なのだが……。
???「FS3のパーティーの時以来だな、ようこそ。龍が如くスタジオへ」
青葉「あ……
あの時の!!龍が如くスタジオの花束の人!!」
???「おう、あん時はどうも。俺はここの組長のナゴシつうもんだ。久々だな」
青葉「ええええ!!あのナゴシさん!!って言うか組長って」
名倉「ゲームプロデューサーの事だ」
七海「お世話になってます」
ナゴシ「悪ィな、ウチの
青葉「組と任侠って……」
名倉「スタジオとゲームって事な」
すると名倉はアタッシュケースを開ける。
名倉「こいつで十分だろ?」
青葉「いいいいい一億って……え……」
渡された金と思しきものをナゴシは手に取る。
ナゴシバリッ「やっぱこいつだよなぁ」
札束を剥がすとそこから板チョコが出てきてそれを齧り始めた。
ナゴシ「わかってんなぁ、ウチに
名倉「100万円チョコ何枚も食って制作やってたからな。お前ら」
ナゴシ「組のモンに平気で
青葉「チャカ……白い粉……」
七海「コントローラーとDLCの事ね」
青葉「いちいち紛らわしい……」
すると……
サングラスの男「カシラ、宴の準備出来ました」
ナゴシ「おお、ようやっとか。
今宵の宴は激しいぞ、まあ、嬢ちゃんは普通に楽しんでくれていい、都合が悪ければそれに合わせるからな。まあ、野郎どもの娯楽の付き合ってくれ」
青葉「はい!!」
そうして宴が始まった。
一升瓶を飲み干し、三味線を弾きながら歌い踊るヤクザ、いやゲーム開発者たち。
そんな中、名倉とナゴシは酒を嗜みながら呟く。
ナゴシ「てめえと飲むのも後何回だろうな?」
名倉「そうだな、あんたが組長退くなんて話聞いたからどういうつもりだとは思ったよ」
ナゴシは盃を置くと答えた。
ナゴシ「潮時だよ、いずれは足洗うんだよ。男ってのはな」
名倉「あんたもそういう変化を認められる男だったんだな」
ナゴシ「良く言うぜ」
名倉「足洗っても酒ぐらいは飲める仲でいてほしいよ。俺も、あんたも」
ナゴシ「そうだな……」
青葉 モグモグ「この煮つけと刺身うまー。皆に持って帰ろう」