オアフ島でのバカンスを終え、日本に帰国したイーグルジャンプの面々。PECOの発売日を迎えた一同はそれぞれの思いを胸に今は完成披露会見の真っ最中だった。
青葉「皆さん、初めまして。アートディレクターを務めた涼風青葉です」
多くの関係者の前で一礼すると青葉は語り始める。
青葉「このゲームの制作過程には私がこれまで学んだ事。大事にして来たもの。自分が理想としたものが全てあります」
コウ(立派になったな……)
横で青葉を見つめながら感心する。
そして語り始めると同時に名倉が青葉の脳裏に浮かぶ。
青葉「まず最初に学んだのは肯定できる自分を持つ事でした。肯定できる自分は常にやりたい事を自分で決めて、それでいて曲げない信念を持つカッコいい人。そしてそんな中で自分が肯定したのは前に進む力でした。この一年間で私は前に進むことを続けてその果てにこのアートディレクターとしての自分に辿り着きました」
青葉は言葉を重ねる時に、その脳裏にはコウが浮かぶ。
青葉「そして次に私が話すのは大事にしてきた物です。それは憧れでした。私はイーグルジャンプに入る前にFSを通じてその人の絵と世界観に心を奪われました。キャラデザイナーの道には沢山の苦労がありましたが、その人の絵を信じてこうして今があります。その人が好きだからこそ、私はその憧れを胸にこれからの未来を夢見る事が出来ます」
青葉は手を胸に当て、脳裏に七海を思い浮かべる。
青葉「そして最後、自分が理想としたもの。それは近くで支えてくれる信じられる誰かと仕事をする事です。ずっと居てそれでも遠くて会う事も無いと思っていた人が私と一緒の仕事をしてくれる。その人は誰よりも自分が幸せで誰かの幸せを与えられる幸福な人。そんな人が私と仕事をしてくれた。それが一番嬉しかった」
会場の面々は共感し、中には顔を赤くする人もいた。
青葉「そんな私の全てが詰まった素敵なゲーム。それがこのPECOです。これから遊ぶ人たちがどんな冒険をするのか。その先にある私の想いを知っていただければ幸いです。
そして私にはまだ届かない目標の人たちがいます。今は無理でもきっとその人たちに認めてもらえるように私はこれからもゲーム開発を続けます。
私の話は以上です。ありがとうございました!!」
パチパチパチパチパチパチパチパチ!!
関係者の拍手と共に祝福される青葉、近くに居たコウも青葉に伝える。
青葉「おめでとう!!青葉!!」
声援を受け、青葉は一番の笑顔を見せるのだった。
その後
名倉「会見お疲れ、大分思い切った公言してたな」
青葉「ストレートに気持ちを伝えられて良かったです」
お互いスマホで話しながら発売したゲームを互いに遊んでいた。
名倉「青葉の作ったPECOは大分シンプルだが着ぐるみ収集が捗るぐらい良デザインだな。全くこのセンスは誰に似たんだか」
青葉「アメリカの風にでも聞いてみたらどうですか?」
名倉「フッ、言うようになったな。あいつが聞いたらどんな反応するか」
そう言いながら名倉はPECOを進めていく。
名倉「おっと、またこいつは意表を突くな。ウサギに誘導されたか」
青葉「気付きました。それを作ったのは藤原先輩ですよ」
名倉「へえ、あいつもやるじゃんか?プレイヤースキルに腕が鳴るぜ」
すると名倉は青葉に聞く。
名倉「青葉、そっちの出来はどうだ?俺渾身のザ・ダーク・ジョーの洗礼はカオスだろ?」
青葉「正直言うともう4回プレイしてかなり理不尽な目に遭った。FPSとは聞いていたけど……
とにかく出てくる敵エネミー見た目がグロすぎ!!撃つ場所によっては全然ダメージ入らないし弾薬制限シビアだしバイオハザード以上にホラーFPSだよこれ!!ていうかこんなバケモノまみれの森に居たら精神狂うよこれ!!」
最もな意見を聞いて名倉はニヤニヤしている。
名倉「むしろそう言う意見が聞きたいが為に作ったんだ。生憎ホラーFPSはバイオハザードが強すぎてそっち方面しか取り上げられないからハードコアな内容作ればきっと面白いと思ったんだよ。お陰で名倉エンタープライズの売り上げもうなぎ上りだ」
青葉「名倉さんにはまだまだ届きそうにないな」
作れるジャンルが限られるイーグルジャンプで青葉が自問自答しながら生み出されたPECOはその後初週売り上げで300万本を超えるヒットを記録した、だが、これで終わらずその後大手電機企業のからのバックアップによりPS5版の発売が決定された。青葉はこの先年末までPS5版の為のアップデートの仕事に追われていく事なる。
そして……
12月、クリスマスイヴを翌日に控えた日の事。
カタカタカタカタカタカタカタ
七海「……」
一人PCに向かってゲームプロデューサーの申請をする七海。
すると後ろから。
青葉「藤原先輩」
七海「青葉ちゃんか、どうした?」
青葉「明日のクリスマスイヴ、予定空いてますか?」
七海「大丈夫だけど……」
青葉「それじゃあ、
私と二人で出かけませんか?」