犬の散歩をかなり遅くに、日が陰り始める頃にしていた時期があったんですよ。寒い時期ということもあるんですが、部活が忙しかったというのも原因の一つでした。
車が通りやすい道は危険なので、田畑と農道ばかりの方面に犬と行くというのがお決まりの散歩道だったんです。愛犬が柴犬だったのもあってか進む方向には煩くて、飼い主を引っ張って右往左往とするものですから帰る時間はよく遅くなりました。
すると時たまゆっくりと走る車が目に入るんです、歩いている自分達より少し早い程度の速度で農道を走り続けるんですから不思議なものを見る目を向けたのを覚えています。
畑の見回りかとも思いましたが周囲に住んでいる方の年齢層が高いということもあり、ご年配の方がハンドルを握ってらっしゃるのかなと思いあまり気に留めませんでした。
見る回数は週に一二回、自分の近くを通るということは無かったので段々と気にすることは減っていきました。学業が忙しくなるにつれて夜の散歩は親に任せるようになり、遅い時間帯に出かけるということが無くなったので低速で走る車は暫く見なくなります。
ですが時間が経ち、夜出歩くことが再度増えるようになっていきます。なぜかと言うと、GoだったりNowだったりする位置情報系ゲームが配信されたからです。夜に自転車に乗っている姿は不審者極まりないなと思いつつも欲しいアイテムのために近所を何度か走り回りました。
そうすると必然的にあの車と再会するわけで、昔使っていた田畑ばかりの散歩道でゆっくりと走る車が目に入りました。まだ居たんだという驚きを感じつつも何処か懐かしい気持ちになり、その日は愛犬との散歩を思い出しながら帰路につきました。
ですが少し引っかかるものがあり、何故か行ったこともないパチンコ店という単語が脳裏に浮かびました。どういった経路でかは分かりませんが、私の脳は記憶の中にあるらしい関連性を頼りに引っ張り出して来たようです。
少しのヒントがあれば早いもので、数週間前に見た怖い話をまとめた動画を思い出します。怖いものが苦手なので滅多に見ないジャンルということもあり、思い出すことは存外にも簡単でした。すぐさまスマホを取り出し、履歴に検索をかけます。
するとパチンコという単語が含まれたタイトルが見事にヒットし、シークバーを動かしながらお目当ての怪談を探します。
その内容とはパチンコ店で閉鎖した筈の駐車場で一台の車が走り続けており、その運転席は無人だったという話でした。
車内で自◯をするとこの手の幽霊が出る、というのは良くある話のようです。
特に襲われたことも、急に消えたこともないので穏やかな部類の幽霊なんだろうかと思いつつも少し背筋が冷えました。
かなり昔に大きな災害がこの地域を襲ったことがある他、周囲に聞けば車内での練炭◯殺というものが流行ったこともあるそうです。怪談と関連する事象があったことは奇遇だなと思いつつ、幽霊だったら嫌だなぁと思いながら怖くなったので近場の神社に寄って帰りました。
そして今日に至るまでゆっくりと走る車に遭遇するという日常は変わっていませんが、特に干渉することもなく日々を過ごしています。ですがどうにも恐怖は拭えず、未だ暗い車内を覗いたことは無いのです。
ホラーに挑戦してみたので投稿しておきます、自身の体験談が元なのでリアリティがあるといいなぁ。