if呪術 ネット意見取り入れ小説バージョン   作:パワーボム

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今作では細かな矛盾点も可能な限り無くして行きたいと考えています。
そこでまず時系列ですが
11月12日 虎杖、伏黒、乙骨、秤、真希、死滅回遊へ参加

11月13日午前、羂索の天元襲撃、九十九死亡

11月13日深夜、米軍襲来

基本的にはこの様に考えて頂けたらと思います。

また西宮が連絡係として死滅回遊に参加していましたがそちらに付きましては

・回遊の原則として物資の搬入は出来ていたので上空から録音したテープを東京第二結界内へ投下し、秤に情報を伝えた。

という設定で行こうと思います。

またネット上の疑問点として、

・万の虫鎧がなぜ構築術式の消費を減らせるのか、という疑問が新たに生まれたので筆者的アンサーを考え追加しています。



津美紀≠万

連戦の疲労。乙骨は自身の言い訳を直ぐに振り払った。

結界内に新たに現れたその呪力が、一般人を避難させた地下駐車場を一直線に目指す。

 

烏鷺と石流。二人との戦闘に意識を割いた隙を、他のプレイヤーが狙う。

それは弱者へと。

 

(十分に予測できたハズじゃないか)

 

自らの油断と慢心を乙骨は噛み殺した。

最短距離を駆け向かう。

 

(間に合えーー)

 

が揺らぐ呪力がそれを否と乙骨に伝えた。

救護の為ではなく、臨戦態勢へと乙骨は意識を変える。

 

オレンジの灯。

 

夥しい死体。血と臓腑の臭い。残穢。

助けたはずの人々を肉塊とした術師の姿に、乙骨は僅かに戸惑った。

 

呪術高専京都校、三輪霞。

 

(いや違う)

 

「誰ですか…貴方は」

 

「乙骨優太……強者ではあるけれどーー」

 

三輪は、いやその遊泳者の周囲に呪力が凝固する。

 

(構築術式。真依さんと同じ)

 

刹那。生み出された液体金属が一閃する。

 

「随分と疲弊しているみたいねぇ!」

 

邪悪に顔を歪めるそこに三輪の面影はない。

 

羂索により死滅回遊が始まったハロウィンの段階で三輪が受肉されていたのだとすれば、周囲の生徒や教師が気づいたハズだ。

 

あの日、芽生えながら三輪に受肉せず機会を伺いながら、ポイントの獲得を優先させた。

事前に死滅回遊の原則を知り、それに準じた何らかの目的を持たなければこの立ち回りはあり得ない。

 

(だとするならば…この泳者は羂索と協力関係にある)

 

「何の目的で羂索に協力しているんですか!」

 

「あら、なかなか聡いのね。私は万、少しは有名だと思ったのだけれど?」

 

「知りませんよ。貴方のことは」

 

領域展開とリカの完全顕現。今日既に二つの切り札を切った乙骨にとって、万と名乗った泳者との連戦は不可能と言っても過言では無い。

交戦を避け、逃げる事を優先させるべきだ。可能な相手であれば。

 

「じゃあ今度は私から質問するけどぉ! 宿儺は何処に居るの? 教えてくれれば楽に殺してあげるわよ?」

 

「宿儺?」

 

「ええ。虎杖悠仁とか云う牢獄に繋がれた彼を私が助け出すの。そして伝えるのよ……彼の孤独を! 私の! 愛こそが! 満たすものだとォォオオオシャヤああぁァ!」

 

(何なんだこの人は)

 

「コガネっ! 原則追加“結界内に蓄積された呪力以外、泳者、及びあらゆる情報は結界を自由に出入りすることができる”ぅ!」

 

万に指さされたコガネは新たな原則を吟味し、

 

「了解した」

 

追加された原則が全結界の泳者へと伝えられる。

 

「貴方のおかげよ。私が宿儺に愛を伝えられるのは」

 

「……そんなことのために人を殺したんですか?」

 

乙骨の言葉に万は顔を歪める。

 

「は?」

 

「宿儺が貴方にとってどういう人なのかは知りません。でも愛を大切に想うなら……もっと別の方法を考えたらよかったでしょ?」

 

乙骨が指輪に手を触れたのは無意識だった。

 

「…ろす……殺すッ! 脳漿ぶちまけろやクソガキがぁああ!」

 

万の腕に甲虫の甲殻が構築される。

 

(必ず……敵は取りますーー)

 

乙骨は足元の死体を蹴り上げ、その血肉で万の目を隠す。

 

「小賢しいッ!」

 

万の一撃に駐車場に亀裂が走る。衝撃波が乙骨の体躯に痺れを齎す。

 

音が消え視界が揺れる。

 

ただの拳ではない。蝦蛄や鉄砲海老と仕組みを同じくする弾性エネルギーの開放。それが起こした衝撃波は、速やかに人体にダメージを与える。

 

通常の呪力操作による身体強化以上の攻撃力と、外骨格の持つ防御力。構築した筋繊維を利用すれば、呪力の消費を最小限に留めながら最大効率での運用が可能になる。

 

「っく!」

 

鋭く放たれた金属の矢を、乙骨は刀で捌き落す。

さらに構築後も消費による目減りの無い液体金属による、中、長距離への攻撃。

 

(流石にこのまま何の手立ても無く、相手取れる呪術師じゃない)

 

三人の術士と特級呪霊。その相手をした自身の限界が近い事を乙骨は自覚する。

 

万の唇が緩む。

 

積み上げられた死体が盛り上がる。下に隠されていた液体金属による不意打ち。

 

(しまっーー)

 

「グラニテブラスト」

 

銀の輝きが蒸発する。

「思ったより早い再会になったな。乙骨」

 

「石流さんっ」

 

乙骨は体勢を立て直し、万と対峙する。

 

「次から次ね。お仲間かしら」

 

「そんなつもりはねぇが……こっちも借りがあるもんでね」

乙骨を親指で指しながら、石流は言った。

「……いいわ。二人がかりは厄介そうだし。ここは私も下がらせてもらうとしましょう」

万の呪力が凪ぐ。

蜂の羽を構築し、乙骨と石流の間を分かつように万は飛び去った。

 

「助かりました」

 

「礼なんざ腹の足しにもなんねぇよ」

 

「それでも助けられた以上は、お礼をするべきです。この人たちにも……」

 

乙骨は片膝をついて血肉に手を合わせた。

 

「自己満足だな」

 

「ええ。否定はしません。ただ……ひとつ分かりました」

 

「?」

 

(何人か泳者の中に羂索の協力関係を結んだ人間がいる)

 

無論、多くは無いと乙骨にも想像が出来る。

各結界内に…多くても一人か二人。

 

(羂索は夏油傑の肉体を利用している。仮に五条先生の封印を解いたとしても、もう二度も親友を先生の手にかけさせない)

 

「羂索は必ず僕が殺します」

 

静かな殺意と決意。乙骨は呪力を鎮めた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

11月14日AM11:00東京第一結界。

 

『原則追加。泳者、及び情報は結界を自由に出入りすることができる』

 

2日前に追加された新たな原則に伏黒は焦りを浮かべた。

 

(クソっ…考えろ)

 

結界の出入りが自由になった以上、呪術師達の動きは活発になると予想出来る。

さらに情報という曖昧な表現をされていたが…電波による結界外との通信が可能になっていた。

これは既存の泳者だけではなく、昨晩のように介入してくる外国軍にも有益に働くだろう。

 

(間違いなく一般人の犠牲は増え続ける。その上で死滅回遊はどうすれば平定出来る……)

 

考えれば考える程に答えは遠ざかる。

 

「おい、伏黒。あんま考えても仕方ねぇよ」

 

「ッ! 何だとーー」

 

幼稚な反発から伏黒は虎杖に掴みかかった。

 

「確かに虎杖さんの言う通りです。このまま事態を収束させるには、ひとつづつ死滅回遊の原則に穴を開けていくしか方法は無いと私も思います」

 

「まぁそうだろうな」

 

華と高羽の言葉に、伏黒は虎杖から手を放した。

 

「気持ちは分かるけどよ。焦ったままじゃあなんも前に進まねぇって。こーゆー時は、最初の目的に立ち返らねぇと」

 

虎杖は伏黒にスマホを投げた。

 

「乙骨先輩から。伏黒に点渡すってさ」

 

受け取った電話口に伏黒は応える。

 

『話は虎杖くんに聞いたよ。今の状況なら先ずは離脱する原則を追加する事を優先させるべきだと僕は思う。その上で……津美紀さんを死滅回遊から離脱させよう』

 

「先輩…それは……」

 

『やっぱり自分からは言い出しにくいこともあるでしょ。身内のことは後回しにしがちになる。けど今はその為の原則は、他の人を助けることにもなる。そのことを見失ったらダメだ』

 

心の中で押し殺した本心。

急速に変化した状況の中で、津美紀を救う事を優先させる。それを口に出せなかったのは、ひとえに伏黒の弱さからだった。

 

「すみません。嫌な役割をやらせてしまいました」

 

『いいよ。伏黒くんは大事な後輩だし、それにさっきも言ったけど、離脱の原則を設けるのが死滅回遊を収束させる道なのは間違い無いから』

 

乙骨に再び礼を述べ、伏黒は電話を切った。

深く息を吐く。

 

「……離脱の原則を追加する。まずは津美紀を死滅回遊から遠ざける。平定は、その後だ」

 

伏黒の個人的な主張でしか無い言葉を、来栖も高羽も、虎杖も無言で肯定する。

 

「虎杖…悪かった」

 

「言いにくいことってあるからな。けど、普通に頼ってくれてもいいんだぜ」

 

(そうか…助けを求めたのはオレの方だったな)

 

伏黒は誰にも気づかれない様に、自らの頭を殴った。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

11月14日PM14:53

 

拠点としたホテルの上で初めて会う伏黒の姉、津美紀に対する虎杖の印象は“生け花の様な美人”だった。

 

「あなたが虎杖くんね。恵から話は聞いたわ。ありがとう」

 

「伏黒が居なきゃ、もうずっと前に死刑にされてたし。それに…今も立ってられるのも。な、伏黒」

 

パンと虎杖は伏黒の背を叩いた。

 

「おい、よせ」

 

津美紀は虎杖に微笑むと伏黒に向き直る。

 

「津美紀、今…死滅回遊は動き初めている。オレの言う通りに、早く離脱して欲しい」

 

「……ごめんなさい。虎杖くん。それと来栖さんと、高羽さん。恵と二人で話したいの。少しだけ……」

 

「分かりました。運命の人のお義姉さんがそう言うのなら」

 

華はペコリと頭を下げて、距離を取る。

高羽、そして虎杖も。

 

(あれ…なんか……変じゃねぇか?)

 

「なぁ。なんか違和感ね?」

 

「違和感ですか?」

 

虎杖の問に華は首を傾げる。

 

「俺が言うのも何だが、姉弟って距離感じゃねえからとかか」

高羽は言う。

 

「距離感…ですか」

 

「あるだろ。なんか他人行儀っていうか。実の姉ちゃん何だろ?」

 

「んや。義理だって聞いてるぜ。伏黒の親父と再婚して……」

 

屋上のドアの前で虎杖は立ち止まった。

 

(伏黒の姉ちゃんは…聞いてたんだよなーー)

 

死滅回遊の原則。

 

(いや、そうじゃない。オレが引っかかってるのは…)

 

「……なんで、ここに来たんだ」

 

「? それは…死滅回遊から離脱するためだろ?」

 

止まったままの虎杖の疑問に、高羽が応える。

 

(高羽さんは人を殺せるような人じゃない。そんな選択肢はそもそも頭に無いような人だし)

 

その上で死滅回遊に参加したのは……この盤面を笑いに変えるためだ。

 

なら伏黒津美紀は?

離脱する為に参加して……。

 

(いや、待てよ。なんで“参加”してんだ)

 

伏黒から聞いていた津美紀という人物。無意識のうちに虎杖が思い描いていた人格と実際の行動のズレ。引っかかっていたのは……これだ。

 

(……今オレは何を考えた?)

 

虎杖は自問する。

死滅回遊のスタート時には無かったもの。それがあるからこそ津美紀は今、参加した。初めの伏黒が持っていなかったもの。今の伏黒が持っているもの……それはーー。

 

虎杖の疑念が呼び出したコガネ。表示された点数は0。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「恵は人を殺したの?」

 

離れていく虎杖の背中から伏黒は目を離し津美紀と合わせた。

 

「……ああ」

 

「私の為に?」

 

「違う。オレはーー」

 

伏黒の頬を容赦なく津美紀は平手で打った。

 

「どうしてその点で私が生きたいと思ったの? 恵が傷つけたものに縋りついてまで」

 

「っーー」

 

「意地悪をしたつもりは無いの。ただ…恵が私の為に背負った罪なら……私にも背負わせて欲しい」

 

津美紀は真っ直ぐに伏黒の目を見た。

 

「原則の追加…それは私にさせてくれないかしら」

 

「分かった。コガネ……伏黒津美紀にオレの点から200点を譲渡する」

 

伏黒の言葉にコガネは津美紀へ点を移動させる。

 

「事前にコガネに交渉した。“泳者は100点と代替者を死滅回遊に参加させることで回遊から離脱できる”これがーー」

 

「待て! 伏黒ッ」

 

振り返った虎杖の叫びに伏黒は戸惑った。

 

「何だ、どうした…何を慌てて」

 

「コガネ、原則の追加を。“今より1か月後、死滅回遊の結界を開放し地球上に存在する全ての人類を泳者として登録する”。その縛りとしてもう一つ原則の追加“先の原則は現在登録された全結界の泳者が6名になった時点で開始し……」

 

「まて! 津美紀っ! 何を言ってーー」

 

津美紀の冷酷な横目が伏黒を見た。軽蔑。侮蔑。全ての悪感情か…あるいは無関心がそこにあった。

 

「結界開放まで如何なる戦闘行動から泳者を除外する”」

 

「了解した。原則を追加する」

 

津美紀のコガネが消える。

 

「オマエ…誰だ……」

 

伏黒の呟きに津美紀は貼り付けた様に微笑んだ。

 




恐らく情報を細かに精査してからの投稿となるので、二、三日に一度ほどの投稿頻度となるかと思います。
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