if呪術 ネット意見取り入れ小説バージョン   作:パワーボム

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軍師アツヤを活躍させる無理難題への挑戦その2。

軍師部分をまともにする。

原作に準じた日下部上げ禁断の二度打ちを利用。


軍師アツヤを活躍させる無理難題の縛り…アツヤイヤー

「“優しさ”という言葉の意味を、虎杖くんたちはどう考えますか?」

 

七海の問に、虎杖は悩んだ。

 

「難しいでしょう。指針がない問です。ですが先程も言ったように呪術師として必要な優しさは“易しさ”と言い換えてもよいでしょうーー」

 

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冥冥『もし私が一級呪霊と100回戦ったとしよう。その時私は99回は勝てる自信があるが……1度は負けてしまうかもしれないねぇ。その点、日下部は100回全てに負けないことができる。勝てなくともね』

 

五条『僕としてはみんなにはホームラン打てるバッターに成って欲しいけど、それって実質不可能じゃん? 全員が全員才能持ってる理由じゃないし。限られた札の切り方も呪術師には必要だってことだよ。それに関しても日下部さんは弱いけど、ドライでも割り切って進める人だからね。まあ、優しさの形でしょ? そーいうのも』

 

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東京第二結界上空11月14日15:56

 

スマホのGPS機能を利用した西宮は、黒い結界の上空を飛んでいた。

 

「こっちは到着っ! そっちは位置合ってる?」

 

落とさないように首に下げた、ポーチに向かって話しかける。その中には2台のスマホ。

そして箒の両端には、紐でくくった槍の呪具が1本。数珠のような呪具を1つ。

 

『ああ。こっちも準備完了だ。いつでも頼む』

 

日下部の声と、

 

『済まない西宮。本来であればオレが超兄弟の元に駆けつけるべきなのだが…『しゃけ』』

 

重なった2つの声。

 

「“アンタ”はまだ絶対安静なんだから! 術式は戻っても、まだ戦うとか出来ないし! ぜ〜ったい! 行かないでよね!」

 

声の主に西宮は釘を差してから、2つの呪具を結界に向けて落とした。

2つとも禪院家に秘蔵されていた呪具で……真希が殺戮を行った後、西宮たちが死滅回遊への備えとして、回収を行った品の中に含まれていた。

呪具に刻まれた術式も、目録を通して西宮の頭には入っている。

 

1つは特級呪具、蛭卜槍。

術師の呪力を吸収し、威力を高める。シンプルな術式だが、それ故にある程度呪力が無ければ扱いきれない品だ。

当然だが、今の真希が振るってもただの槍と代わらない。

 

(だけど、そこに居るんでしょ…真衣も)

 

今考えても仕方ないと西宮にも分かっている。分かっていても、何も答えなかった真希と、そんな姉のために命を投げ出した友達への感情が追いかけてくる。

 

(……それだけの価値があった事を、証明しないままなんて許さないんだからっ!)

 

2つ目の呪具は特に名前もなく、ごくありふれた曰く付の品というやつだ。

しかしそこに“一定の呪力”は宿っている。

 

パンっ。

 

手を叩く音がスマホから聞こえてきた。

 

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落下してくる光が1つ。

そしてもう一人は呪術師だ。

狗巻棘。呪骸技術を応用した義手の動きは、伏魔御厨子によって崩壊させられる前の腕と、何らの支障もなく使用できる。

 

楽巌寺に夜蛾が託した“呪い”。それは 上層部へ報告されることなく、五条悟の意思を継ぐ者たちへ繋がれていたのだ。

 

「おかかっ!」

 

狗巻は蛭卜槍を中空で掴むと、若干位置のズレを修正するため、ビルの屋上に待つ秤の下へと投げ渡す。

 

「いい感じだ! 狗巻っーー」

 

槍を掴んだ秤は坐殺博徒によって“既に引き当てていた大当たり”を再開する。

 

秤はV入賞の縛りを、坐殺博徒に新たに加えて待機していた。玉……即ち呪力をアタッカー上部(術式回復後が条件)のスルーに通すことで、CR私鉄純愛列車1/239ver.の大当たりのラウンド開始する。

V入賞方式の確変機へと設定を変更してみせたのだ。

 

「来るぜーー熱がッ!」

 

トブと表現される圧倒的な呪力の迸り。

それはより多くの呪力を求め、結界内を徘徊する大熊猫の誘引剤となる。

 

「グォ大大オオオ!!!!!」

 

巨大な獣呪霊は、無限の呪力に惹かれるように、街を廃墟へと変えながら向かってくる。

さながら怪獣映画のように。

 

「梅干しっ!」

 

秤の元に降下した狗巻は、口元の呪印を晒す。

 

『いいか…ここからは狗巻、お前が指揮を取れ。俯瞰し最適解の動きを俺達が取れるように……お前の呪言が頼りだ』

 

声の主、日下部は耳にイヤホンとインカムを付ける。

狗巻の呪禁は筋肉に直接働きかけられる。

大熊猫の巨体は常に流動し、形が一定ではない。相手取るうち自らが意図しない内に八方塞がりになる可能性は十分ある。

 

狗巻の呪禁はそのための安全装置だ。

俯瞰することのできる高所から、秤を守りつつ、足止め係の真希と日下部に対して適切な行動を強制させる。

 

今一度、日下部はインカムに話しかける。

 

『大熊猫は巨大な領域見てぇなもんだ。アレ自身に制御できてるわけじゃねえが。作戦の最終確認だ。狗巻…お前は点で動く俺達が不定形の呪力で積まねぇ為の最後の安全装置だ。もし俺達が包囲されそうになったら無理やり動かしてくれーー』

 

『こんぶ』

 

『次に禪ぃーー真希っ! お前は俺と同じディフェンスだ。大熊猫の足止めをすると同時に、最終的にはお前の刀でパンダの核だけを呪力から切り取れ……できるな』

 

『やってやるよ』

 

『秤ッ! お前は蛭卜槍に限界まで呪力を流し込んでから大熊猫に投擲しろ! 大熊猫は呪力を無尽蔵に取り込んでいるようだが、一度にぶちこみゃ、流石に崩れる』

 

『おう。任せろや』

 

『……仮に羂索が一億呪霊を生み出せば、恐らくは大熊猫と同じようなもんになる。最悪の場合の前哨戦と思え』

 

日下部は震えながら刀を握り直した。

 

「やるぞ……」

 

呟くと同時に、日下部はシン・影流簡易領域を展開する。

 

(簡易領域に術式を中和する能力はない。だが領域は領域だ。俺の呪力出力は多少上がるし、今の大熊猫は全身領域みたいなもんだ。領域同士の綱引きが起こればーー)

 

簡易領域に脚を取られた大熊猫の、悍ましい呪力が汎用な1級術師へと向けられる。

 

(来るッーー)

 

振り下ろされた腕は不定形の呪力の塊。

 

日下部は術式を持たない。だが簡易領域内に、オリジナルの自動迎撃プログラムを組み込んでいる。

 

日下部の領域に入った瞬間に大熊猫の腕がバラバラに斬り刻まれていく。

 

だが刀を通じて日下部に伝わるのは、水を斬るのと同じ感触。途切れれば繫がり、また形を持つ。

圧倒的な水圧に潰されるように、日下部の簡易領域はゴリゴリと削られていく。

 

(迎撃が追いつかねぇ! やべぇ……これはーー死ぬッ)

 

『吹っ飛べ!』

 

狗巻の呪言に、日下部は思い切り後ろに吹っ飛んで、ショーウインドウのガラスを割る。

 

(ナイスだ狗巻っ。危うくお陀仏だった。だが今ので感覚は掴めた)

 

斬るより受け流す。そういう感覚で無ければ、足止め役を果たせない。

 

素早く体勢を立て直すと、日下部はもう一度大熊猫に立ちふさがるために弱者の領域を展開させる。

 

シン・影流簡易領域。

 

円が大熊猫の足を取る。

 

同じ展開だが、先程とは違い日下部は学習していた。

 

大熊猫の白い呪力と黒い呪力には、それぞれの硬度と粘度に差がある。

黒い部分は若干硬く、白い部分は若干粘る。

 

(受け流すのは白い呪力。斬るのは黒い呪力だーー)

 

虫を潰すのと同じ動作で、大熊猫が腕を振り下ろす。

 

全力で、日下部はそれを迎撃する。

 

らしくないとは自分でも思っている。

 

(常に勝算の高い方を優先さた。無理をすれば通りが邪魔をする)

 

渋谷では特級を相手取るリスクを回避した。だがあの時、自分とパンダが地下に行っていれば、五条悟の封印は無かったかもしれない。

 

(今の事態は俺の判断ミスが起こしたものだ。その落とし前に足るかは判らねえーー)

 

最強の特級術師が何とか出来なかった問題を、日下部個人の実力でどうにか出来たはずが無い。

しかしどうしても考えてしまう。そして足がすくむ。

 

(俺の人生はそんなんばっかだ。理屈こねて、だらけきってよ……)

 

刀は独りで振れるから良かった。自己鍛錬の成果だけを自身の支えに出来れば良かった。

 

(死人に口なしとはよく言ったもんで。生きてる俺自身が考えるしか無い)

 

夜蛾が生きていても、日下部を責めることは無かっただろう。

逃げ出しても同じように何一つ責任を追求することもしなかっただろう。

 

死者を言い訳にするつもりは、日下部にはない。

 

(だが、ガキ共かダチを助ける為に命張って戦ってんだ! 大人の俺が恩人の息子を助けねぇでどうするよッーー)

 

これまでの人生で最も圧縮された時間に、日下部の腕が限界を迎える。

 

領域が崩れ、斬り裂いていた大熊猫の腕は完全に再生されていく。

 

(終わったな……)

 

『待たせたなッーー』

 

飛来した蛭卜槍が、大熊猫の半身を吹きとばす。

日下部が体勢を崩させていたこともあって、予想以上の範囲に呪力が飛散する。

 

「行け! 真希ッ」

 

日下部の声と共に、機会を伺っていた真希が、空を足がかりに飛び上がった。

 

魂の輪郭を捉える視力が、パンダの核の位置を正確に判別させる。

しかし散りすぎた呪力は、逆に再生の為により大きな塊に引き寄せられていく。

 

「狗巻ッ!」

 

『飛べっーー』

 

発した呪言が、日下部のなけなしの呪力を利用し、中空へと浮かべ上げる。

 

「シン・影流簡易領域!」

 

日下部は最後の簡易領域で、真希の斬るべき呪力塊を包んだ。

一瞬、結合にラグが生まれる。

だが呪力を捨て去った鬼人にとっては、それだけで十分だった。

 

「時間かけちまったな、パンダーー」

 

真希の釈魂刀がパンダの核だけを呪力から切り離す。

核を入れる新たな器は、上野動物園のパンダぬいぐるみだった。

 

東京第二結界に散らばった呪力が晴れていく。

 

(あ…やべ……俺これ死ぬーー)

 

近づいていく地面に、日下部は目をつぶったが、激突の衝撃は来なかった。

 

「……なにやってんだ?」

 

真希が手を離すと、少しだけ地面に日下部は落ちた。

 

「パンダは…どうなった」

 

「分からねぇ。だが魂はここに残っている」

 

真希はさらに小さくなったパンダを日下部に見せた。

 

 

「そうか……よかった…本当に……よかったぁ」

 

後悔することに、自分でも気が付かない内に慣れていた。

 

(だが、やっと…ひとつでも、後悔しない道を俺は選べた……)

 

誰一人かけることなく生き残った生徒たちが駆け付けてくる。

日下部はこの年になっても、みっともなく涙を流した。

 

 

 





これが限界だと筆者は判断しました。
日下部に関しては、どう取り繕おうとしても渋谷がノイズになり過ぎる……。

しかし死滅回遊時点では、まだ一般人の犠牲者を出して居ないため、活躍を盛るとしたら宿儺戦よりもマシだと書いていて思いました。
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