if呪術 ネット意見取り入れ小説バージョン   作:パワーボム

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原作未読の方には意味不明だと思いますので注意です。

ネット上で概ね好評な展開だったので、恐らく27巻に載る内容を概ねそのまま利用。

因縁のないキャラとのバトルと不評な部分は羂索の内面描写の不足によるものと著者は判断。

+羂索の内面の追加、

その他、烏鷺、石流の描写追加をしています。




【ネタバレ原作未読注意】羂索VS石流〜乙骨アンブッシュ

死滅回遊の終りが近づいている。

 

「なんなんですの! これはーー」

 

金髪縦ロールのお嬢様の両腕に百足の呪霊が巻き付いて捉え、その腹を別の呪霊が食い破った。

羂索にさらに5点が追加される。

 

「2級相当の呪霊も使い方では、相応の実力者でも殺しうる。呪霊操術の利点だね」

 

呟きながら羂索は、倒木に腰を落ち着けた。

 

(不味いね。この感覚は)

 

これまで想定していなかった程の倦怠感が羂索の心に伸し掛かっていた。

 

(あの呪骸。あれ……たぶん、同化呪霊もあんな感じになるよね……)

 

「……はぁ」

 

なんだろう。必死に楽しみながら考えていたクイズを、答えそのものでは無いにせよ、解き方だけ他人に突然教えられた、という感覚だろうか。

 

(いらないんだよなぁ……そんなアドバイスは。こっちはライブ感でやってんだからさぁ……)

 

一億人の呪力が同化した呪霊、このまま羂索自身の推察通りなら、天元の顔をしている可能性が高い。

 

めちゃくちゃ不細工なら笑えるが、知り合いの、しかも袂を分かった関係の人間の顔をしていたら、最悪としか言いようがない。

 

「……面白くないかもね」

 

口にしてはならない言葉をつい羂索は口にしてしまった。

 

(これは人を駄目にするよくない言葉だ。諦めは可能性を縮めるだけで、何の実入りも無い。よくない。本当によくないよ)

 

天元のような屍同然の生への入口。諦観や絶望に繋がるソレは、羂索が今まで口にすることを憚ってきた言葉だった。

 

「はぁ…木霊」

 

俯いた羂索に向けて放たれた呪力を、特級呪霊が術式によって反射させる。

 

ポリポリと頭を掻いて立ち上がった羂索と、リーゼントから煙を上げた石流が対峙する。

 

「久しぶりだな、羂索」

 

「キミの呪力出力は認めるけど、そんなダダ漏れじゃ、丸わかりだよ? 気づいて欲しかったんなら別だけどーー」

 

羂索が言い終わる前に、石流は拳を突き出した。

間に立つ達磨のような呪霊。石流の出力で呪力を込めた一撃は、特級呪霊でさえ一撃で祓うことができる。が、その呪霊はまるで意に介すこと無く、続けざまの蹴りにも動かない。

そもそもダメージそのものが入っていないといった感覚を石流は覚えた。

 

「用事は何? 今私は悩んでいるんだよ……できれば独りになりたい位にね」

 

「そうかよーー」

 

距離を取り、石流はグラニテブラストを再び放つ。

それは初撃と同様に、案山子の様な呪霊に阻まれ、石流自身に跳ね返された。

 

「乙骨憂太と戦って満足したんじゃないの? キミはデザートが食べたかったんでしょ? もうよくない……生き残りたいなら点もあげるし。200もあれば十分でしょ……?」

 

「そういう問題じゃねぇんだよ羂索ッ」

 

接近戦は、やはり達磨呪霊に防がれる。あべこべ術式と反射術式を持つ、石流にとって天敵とも呼べる2体の呪霊。

 

「ナプキンたたむまでがディナーなんだよォ! それがクソ見てぇなナプキンでもなッーー」

 

「それが私だって言いたいわけ? ヒマなんだね、キミ」

 

心底呆れたように、羂索は呟いた。

2体の呪霊を祓わなければ、羂索に攻撃は届かない。ならば、と石流は指を絡め、掌印を結んだ。

 

「無意味だから止めてくれないかな」

 

「領ォ域展開ィ!」

 

石流の心象風景が森を包む。燃え盛る焔に彩られ、逃げ場のない監獄の檻が閉す。

 

「雀激絶監獄林」

 

石流の領域に慌てること無く、羂索は案山子の中に引き籠もる。

 

反射で耐える腹づもりだと見抜きつつも、石流は必中必殺の領域を放つ。

 

全方向からのグラニテブラスト。

己の最大呪力を浴びせ続ける中で、それでも尚反射された呪力に石流の身体が焦げていく。

 

(満腹にしてくれた礼だ! 乙骨ーー)

「死ねよッ! ヤぁーッ!!」

 

限界を超えて放った砲撃に、案山子が消し飛ぶのと同時に、石流の領域は崩壊した。

 

「はぁ…はぁ……まだ、終わってねぇだろうが……」

 

焦げた体で、石流はなお立っていた。

 

「貴重な特級呪霊だったんだ。もう満足してくれないかな?」

 

「するわけ…ねぇだろ……」

 

(乙骨は必ず羂索を殺しに来る。その時に1枚でも多く手札を切らせてりゃ、殺りやすくなるだろうが)

 

石流の弱まった呪力砲が、達磨の呪霊を消し飛ばした。

 

「来いよッ! 羂じゃーー」

 

反重力機構。羂索が発生させた重力場が、石流を圧し潰した。

 

「まったく。無意味な戦いだったよ」

 

血と臓物の雑じった不快な臭いに、羂索は言い捨てた。

 

「……つまらないね。本当にーー」

 

羂索は見間違えかと思った。が、振り返れば確かにそこには一人の男がいた。

半分に分けたスーツ。いや、センターマンそのままの、いわばバッタもんが立っていた。

 

「ここは……」

 

 

「函館ーーーっ!!!!!」

 

「岩手ね。キミ誰?」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

東京第一結界。

虎杖と華が呪霊を祓う中、高羽は独り慚愧に堪えない思いをしていた。

 

(くそ、俺このままじゃ独りだけ置いてけ堀だぞ!)

 

「高羽さんっ! 後ろだッ!」

 

「うぉ!」

 

背後から襲ってきた呪霊を、虎杖が祓った。

 

「大丈夫ですか!」

 

「お、おう……」

 

(なんか考えろっ! 俺にできることを……お笑いを……なんか、なんか……)

 

そうだ。例えば、もし例えば……この混乱を俺が収めたら……めっちゃウケるくね?

 

そう思った瞬間。高羽は羂索の前に移動していた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

(瞬間移動……神隠しのような術式か?)

 

センターマンのバッタもんの変なおっさんに、羂索は思考する。

 

(まあ…珍しいは珍しいけど)

 

千年もの時間の中でも希少な術式ではあるが、ただそれだけだ。

便利ではあるが取り立てた魅力のない、汎用な術式、それが羂索の見解だ。

 

(もういいよ。こういうの……)

 

羂索はおもむろに、呪霊による攻撃を高羽に放った。

 

 

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↓↓↓↓↓↓↓↓↓

 

【ネタバレありだよ】

 

 

 

 

 

 

 

【戻りたい者は上へスクロールよろ】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

↑↑↑↑↑↑↑↑↑

 

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羂索「はい! とーいうわけで、はいね。ピンチャンの活躍が描かれた呪術廻戦27巻ですけど、私達の壮絶な戦いが描かれたわけですよぉ……ね。高さん」

 

高羽「いや、まだ出てねーから! まだ26巻だから!気が早すぎるよーもう羂ちゃんはぁ!」

 

羂索「さて今夜はトゥナイト。実はね、最近SNSで誤った使い方をしてしまいましてねぇ……」

 

高羽「ほーん。どんななん?」

 

羂索「ま、喧嘩というか……あるじゃん? やり合う瞬間。ね。あのこっちもさぁ……ひどいこと言われたからカッとなってね。私のアカウント、Xアカウントですね。こちらに、もうひどい罵詈雑言、悪態が届いてまして……」

 

高羽「いや、それはヤバいなぁ、羂さんのピンチは……俺のピンチだしねぇ」

 

羂索「そうなんだよ。たとえばですよ『死滅回遊サ終はよ』『羂索とか云うP首にしろ』とかねぇ…もうヒドイものになると人格攻撃ですよ、これ見て。『ク◯ナプキン乙』『◯ね◯ね◯ね羂索とかいうクソコテ◯ねお前みたいなやつがいるんだから世の中ううまくいかねえんだよ◯ね自分で雑巾食って◯ね◯してくれたら先着で10名様限定にアップルカード10000円とPs五が当たるよ↓↓↓』」

 

高羽「いや!YouTubeか!あの…アプリのやつじゃん!なんか中国?か?どっかのやつじゃん! つかサ終はするべきだよ羂ちゃん?」

 

羂索「えー。どうしよっかなぁ〜。いやね。実績あるじゃん。一期一会の出会いとか、ね。高さんともそうでしょう? あるじゃんやっぱ……」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

黄金の時間はあっという間に過ぎていく。

 

(高羽史彦の呪力は、一般人のそれと大差ない)

 

羂索は笑っていた。

 

(これまで呪術において当たり前だった残穢も無ければ、果たしてコレを術式と当てはめて良いものなのかも私には判らない)

 

羂索は笑っていた。

 

思い出す千年の記憶。あ、ちなみに遊☆戯☆王じゃないよ?

 

人の可能性を信じ、生きること。それが羂索が自身に架した使命だった。

あらゆるものを見て、聞いて、感じてきた。

アメリカ大陸に渡った、コロンブスは偉大だ。その後のインカ帝国の虐殺は悲劇だ。あれが無ければ、どれ程多くの可能性が今花開いていたか想像もつかない。

 

人の営みは時に愚かで、想像力を欠き、実りを摘み取ることを厭わなかった。

 

しかし、私は覚えている。

 

アポロが月に着陸した時の興奮を。あるいは遡れば、黒船が来訪した時の衝撃を。

日韓ワールドカップの試合も、野茂のメジャーでの活躍を。

トーマス・エジソンの発明に、そう、初めてモナリザを見た時は……実はあまり感動しなかったことも。

 

私は知っている。能楽の幽幻な響きを。戦争の愚かさを。そして、人の営む生の美しさを、私は知っている。

 

その中で呪術のみが千年前と変わらない。

 

最強の呪術師たる両面宿儺。現代最強の呪術師、五条悟。

 

彼らが如何に凄まじい才覚を持っていようとも、それはライト兄弟が飛行機を空に飛ばしたことよりも偉大な事であると云えるだろうか?答えはNOである。

 

呪術は千年前から何一つ変わらない。

呪力を発し、天元の干渉を受けながら、無為に時間を費やし、何一つ進歩すること無く今日まで至る。

 

……営みと云うにはあまりに狭く、虚しい、それが呪術の世界であり、私自身の限界でもあったのだろうと今なら思う。

 

しかし、それは間違っていたのだ。

 

舞台の上でライトを浴び、羂索は涙ぐむ相方を見た。

 

(共鳴した魂が導いた夢の舞台。涙を堪えているのは、キミだけではないよ)

 

万感の想いを込めて、羂索は高羽の背を叩いた。

 

「もうええわ」

 

舞台が終わる。

死装束の高羽が羂索の前に寝ていた。

 

「高羽“さん”! キミ……めちゃくちゃ面白かったよ」

 

(私は忘れない。この黄金のひと時をーーそして私はもう諦めない!)

 

千年かけた結果がどうであれ、受け入れ次の千年へ進む。その千年がやはり無為だったとしたなら、次の千年に進む。

 

(諦めない。私はもう絶対にーー)

 

夢を取り戻させてくれた相方への手向けを、羂索は掲げた。

 

「呪霊操術極ノ番……うずまき」

 

本来であれば、自身の心象風景たる領域を見せるべきなのだろう。しかし、死滅回遊はまだ終わってはいない。

最後の瞬間まで油断はできない。呪力の消費は最小限に抑えなければならない。

 

次の千年を迎えるために、涙をこらえて、今の自身にできる最大の力を高羽に構える。

 

 

 

 

 

 

ーーーーぬるり。

 

背後に迫った呪力の気配を、羂索は見るまでもなく察した。

 

この身体が覚えている。自らの理想を打ち砕いた者として、乙骨憂太という呪術師をーー。

 

とっさに羂索は、うずまきを乙骨に向けて放った。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

仙台結界11月13日15:35

 

「はぁ…はぁ……」

 

全身から汗を流し、乙骨は烏鷺に触れる

 

「……ッ! ふざけるな乙骨ッ! 貴様っ」

 

反転術式のアウトプット。他者の傷を治癒させる為の手のひらを、烏鷺は焦げた腕で払い除けた。

 

「治し…ます……」

 

「馬鹿な事を抜かすなッ! 私に反転を使えば、私は貴様を殺すッ!」

 

「…いいですよ……それでも……」

 

「なん、だと……」

 

烏鷺は虚ろになった乙骨の瞳を真っ直ぐに見た。

 

「生き方を…選んだ……亨子さんが、選択したのなら……僕も……ただ殺される、つもりは無いですけどね」

 

乙骨は烏鷺に笑いかけた。

それは烏鷺も同じだった。

この少年の勝ちだ。心の底から烏鷺は思い、そして笑った。

二度目の人生の意味は、もはや存在しない。

 

烏鷺であったここに、選ぶ権利を与えられたのなら、最早未練は存在して居なかった。

 

「これは縛りだ。私は死ぬ」

 

「なっーー」

 

「だが私の呪力を、お前の式神に縛れ。そうすれば模倣した私の術式位は、貴様の自由に使える様になるだろう。どちらでもいい。私は自由に死ぬ。後はお前が選べ……乙骨憂太」

 

最後の言葉と共に縛りによって烏鷺は息絶えた。

 

その亡骸のまぶたを、安らかに眠らせるように、乙骨は閉じさせた。

 

最愛の人を縛ることでのみ無尽蔵の呪力と、無制限での模倣をリカは可能にする。

 

(僕の最愛の人は、里香ちゃんだけだ。きっとこれからも……)

 

「おいで。リカ……」

 

(そんな生き方はいつか限界が来る。そう言いましたよね)

 

それでもいい。いつか里香ちゃんに胸を張って誇れる自分で居るために……。

 

(最後の力を借ります。亨子さん)

 

烏鷺との縛りを、乙骨は結んだ。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

空間が歪む。

顔だけを顕現させたリカの口から、烏鷺亨子の手が覗き出る。

 

(なぜ気が付かなかった……乙骨憂太の呪力だぞーー)

 

最期の瞬間に、羂索は高羽を横目で見た。

 

(そうか……私もキミも……邪魔されたく無かったのか)

 

「クソ…女っ垂らしがーー」

 

跳ね返されたうずまきが、羂索の、夏油傑の身体を消し飛ばした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 





どうしても羂索の最期は「女っ垂らしが」で終わらせたかったので、このような結末になりました。
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