if呪術 ネット意見取り入れ小説バージョン   作:パワーボム

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原作ではあまり活躍が無かった鹿紫雲の活躍を盛るだけ盛る鹿紫雲イヤーに。

秤と裏梅の戦いも原作ではほぼ描写されないままなので、補完の意味も込めて。


鹿紫雲イヤー〜秤VS裏梅

鹿紫雲の呪力が宿儺の腕に帯電し炸裂する。

防御力を無視した稲妻の如き威力は、通常の呪術師であれば致命傷となる。だがーー。

 

(やっぱ効かねぇかーー)

 

一瞬の攻防で理解した、神業とも呼べる呪力操作。

宿儺は帯電した鹿紫雲の呪力を、己の呪力で無理やり地面へと被雷させてみせた。

 

(とはいえ六眼に比べれば劣り、皮膚を焼く程度のダメージは与えられる)

 

「解」

 

宿儺の反撃の斬撃を、鹿紫雲は自身をビル内の鉄筋へと引き寄せることで回避する。

既に皮膚も反転によって再生され、治癒している。

 

「ケヒ。犬かと思ったが、猿回しの猿か」

 

対峙した瞬間に理解した宿儺の呪力総量。それはまさに海の如き深く禍々しい。

 

「喧しい呪力ではあるが……貴様の様な奴は浴びるほど喰ってきた。詰まらぬ手遊びの類だな」

 

「そうかもな……否定はしねぇよ」

 

鹿紫雲は足場に呪力を流し込む。

構造物を含め、現代の製品の汎ゆる物に金属と電気は利用されている。

 

「だが、そん中に俺は居たつもりはねぇなぁ!!!」

 

鹿紫雲の電力にビルの鉄筋がネジ曲がり、宿儺の足場が崩壊する。

 

「鵺」

 

巨鳥が羽撃き、宿儺を背に受け止める。

 

「猿にしてはよく叫ぶ」

 

放電能力を持つ鵺は、性質上電気に対する耐性がある。

 

宿儺にとって、鹿紫雲の存在など意識するものでさえない。

意識が向くのは、遠く離れた五条悟の呪力。

 

鹿紫雲もソレを承知している。

 

両面宿儺、羂索の言葉通り、間違いなく最強の呪術師がここに在る。

 

「他所に意識向けんじゃねぇよ!」

 

「ではやってみろ亡霊」

 

鹿紫雲は降り注ぐ斬撃を掻い潜り、宿儺に接近する。

 

鹿紫雲の呪力は、鵺によって逃げ道を作られている。

雷撃は最早封じられたに等しい。

 

(先ずはこの式神から葬る)

 

呪力特性という自らの武器と弱点。矛と盾。

鹿紫雲はソレを見つめ、理解し続けてきた。

 

その研鑽の全てはこの闘争の為にあったのだ。

 

満ちた呪力が拳に宿り、黒い火花が空間に散る。

 

ーー黒閃ーー。

 

鹿紫雲の黒閃を受けた鵺は、絶縁破壊を起こし砕け散った。

 

「次だ。貫牛」

 

牛の式神が新たに召喚される。

 

黒閃により最高の命を鹿紫雲は生きる。

 

崩れるビルから無数の鉄心を誘引させ、貫牛を文字通り貫き破壊する。

 

不可視の斬撃。だがその性質を鹿紫雲は既に見切っていた。

 

術式の拡張…本来の御厨子の原理は、刃を振り下ろすモーションを必要とした斬撃であり、調理の一貫。

 

通常では知覚できない程、極薄にした刃を実体化させ切断する。

何のことはない、宿儺の斬撃は鹿紫雲と同じ曲芸の類ーー。

 

鹿紫雲は細く薄く。確かに存在する刃の輪郭を手の甲でいなす。

 

「ほう…」

 

宿儺は地についた瞬間、鹿紫雲に向け無数の斬撃を飛ばし、鹿紫雲は攻防で舞い上がった砂鉄を刃と変え、御厨子の刃を受け流す。

 

「五条悟なら俺が負けるまで手は出さねぇよ。抱え落ちしたくねぇなら全力で来い」

 

「フッ。少々見くびっていたようだな」

 

宿儺は両の手を構える。

 

「来てみろ。遊んでやる」

 

宿儺の呪力が洗練される。

抜き身の刃に、鹿紫雲の肌は泡立った。

 

死の緊張。同時に闘争の歓び。

 

「術式開放…幻獣琥珀ッ!!」

 

鹿紫雲の身が術式により作り変えられる。

雷獣。

 

生得術式“幻獣琥珀”は鹿紫雲の呪力をエネルギーと変え、汎ゆる電気現象を引き起こす。

 

大気に散った砂鉄。それレールとし、鹿紫雲は自身を打ち出した。

 

「早さは認めてやる。珍獣」

 

宿儺は加速した鹿紫雲を受け止めると、御厨子の斬撃を振り下ろす。だが、鹿紫雲は御厨子の刃に固有振動数を合わせ、分解する。

 

「返してやるよッ!」

 

宿儺の腕が斬り落とされる。

高速振動による単分子カッター。鹿紫雲の掌は触れた全てを切り刻む。

 

「ハッ! 猿真似を!」

 

宿儺は腕を反転で治しながら、鹿紫雲を蹴り飛ばす…が、衝撃を真正面から受け止め、鹿紫雲の刃が宿儺に食らいつく。

 

電磁石と化した身体は、宿儺の膂力をもってして引き離すことは出来ない。

 

「逃さねぇよッ!」

 

鹿紫雲は宿儺の肉体に合わせた振動を撃ち込む。

 

しかし自身に流される鹿紫雲の電力を、宿儺は呪力で地面へと被雷させる。

 

「ネタは尽きたか? どうする珍獣」

 

「しゃあねぇなッ!」

 

鹿紫雲は宿儺を蹴り、距離を取った。

 

(帯電では致命傷は取れない。固有振動による破壊も、呪力の膨大差からまず不可能……ならば一瞬でケリを着けるだけだ)

 

鹿紫雲は毘沙門天の印を結ぶ。

 

「領域展開…」

 

幻獣琥珀により変身した鹿紫雲の肉体が元の姿に戻っていく。

 

「七征崩玉」

 

「!」

 

宿儺は僅かばかり驚きを持ってソレを見た。

 

領域とは場を支配する結界術。

鹿紫雲の領域は周囲数ミリに展開され、他者を包まず、必中、必殺の効果を持たない。

 

「領域展開では無い……なるほどな。貴様の術式による崩壊の延長と、その効力の増大のみを取り入れたか」

 

ひと目で宿儺は鹿紫雲の領域の本質を見抜く。

幻獣琥珀は己の肉体を作り替える術式故に、発動後は変化に耐えられない身体は自壊する。

 

鹿紫雲は、呪術戦の奥義たる領域をどのように付与するか、それを考え続けてきた。

 

蘆屋貞綱との対決。そして無下限の特性をこの1ヶ月間近に感じ、鹿紫雲は400年前には成し遂げられなかった領域を完成させたのだ。

 

「あとテンカウントで終わりだ」

 

圧縮する。自らの全てをこの一瞬にーー。

 

宿儺は鹿紫雲の圧を感じだった瞬間に、

 

「玉けッーー」

 

宿儺は盾とするべく掌印を結ぶ。

だが間に合わない。呪いの王を遥かに超えた高速軌道。描く軌跡は煌きに白む。

 

「ケヒッ! この威力ッ! あの芥(武神解)に見せてやりたいなぁ!!」

 

宿儺をして、鹿紫雲の一撃は骨に響き、肉体の深部にダメージを負わせ、鉾はその鋭さを増していく。

 

「領域展延ッ!!」

 

鹿紫雲の領域の性質を合わせ、宿儺はこの闘いを五条悟との決戦の模擬戦と意識する。

 

「オレの展延でも中和しきれぬかッ! いいぞッ! 雷獣ッ! もっと魅せてみろッ!!」

 

「当然だッーー!! 魅せてやるよ最強ッ!!!」

 

鹿紫雲は宿儺に応じ、コレを最後の一撃と決める。

生涯をかけて積み上げ、重ね、それでも満たされなかったもの。

 

完全燃焼。

 

ただ其れだけを求め、鹿紫雲は閃光に溶けていく。

眼の前の最強の呪術師に対して、全身全霊をぶつる。

勝敗などどうでもいい。その上で尚求めるのは勝利。

 

(悪いが俺は贅沢者だーー最後まで付き合ってもらうぞ)

 

「これを耐えれば貴様の勝ちだ! 最強ッッ!!!!」

 

鹿紫雲の蹴りが宿儺に当たる。

 

展延による術式の中和、軽減。

 

……古来。人々の畏れた天の震え。神の怒り。故に神成。

 

鹿紫雲の電力に誘引され、新宿という空間に宿る電子が1つに束ねられていく。

大気を切り裂き、劈き、嘶くは雷鳴。

 

幻獣琥珀極ノ番“霹靂神”。

 

地より天へと登った雷撃は、1つの区画を吹き飛ばし、蒸発した大気が曇り空を創り出して雨粒を落とす。

 

全て出した。自らの命と技の全てを、そして届かなかった。

 

「クソ…俺の負けか……」

 

「良い技であった……が、少々当てが悪かったな」

 

宿儺は鹿紫雲が焦がした身体を再生させながら言った。

 

「展延による中和では間に合わぬ。故に円鹿と、オレ自身の反転による治癒を最大で回す事に切り替えさせてもらった」

 

雷撃を受けた円鹿が崩れる。

 

「撃ち抜く位置を吟味すれば……或いはオレを殺せたかも知れぬが、これは少々世辞が過ぎるか?」

 

「ふぅ…まあ楽しめたよ。付き合わせて悪かった」

 

鹿紫雲は大気に溶けていく。

 

全て出し、それを受け止められた。これ以上無い完敗だ。

鹿紫雲は高専の者たちを思い浮かべる。

この1ヶ月が決して満たされぬ物であったとは言わない。

 

(けどま、悪いな。俺は別にお前等の味方でも何でもねぇ。付き合う義理もねぇが……敗者の義理は通させてもらう)

 

「後ろ、気をつけろよーー」

 

敗北を認めた鹿紫雲が消えると同時。

 

「ッーー」

 

振り向いた宿儺に向け放たれたのは虚式。

無下限が生み出した仮想の質量ーー。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

(いい熱だったぜ! 鹿紫雲っーー)

 

鹿紫雲の敗北を感じ取った秤は、裏梅を殴り落とす。

 

「憂憂ッーー」

 

「童ッ?!」

 

落下地点。布を広げた憂憂が2人と共に瞬間移動する。

 

 

天地が変わる感覚に瞬時に体制を整えた裏梅は、氷の礫を憂憂に放った。

 

「おっと! させねぇよ!」

 

庇った秤の腕が凍る。秤は即座に腕を砕き再生させる。

 

その隙に憂憂は瞬間移動で消えていた。

 

「罠でも張っているのか? 下らぬ事を」

 

裏梅は構えながら、気配を探る。

 

移動したのは旧禪院家。

 

「ハッ! 悪いが邪魔はさせられねぇんでね! こうさせてもらったんだよッ!」

 

裏梅は秤の蹴りを受け止め、それを瞬時に凍結させる。だが、秤は脚を砕き、裏梅に拳を撃ち込んだ。

 

「理解した。現代を生きる呪術師は人であろうと努めるものだが……貴様にその理性は存ぜぬ様だな」

 

「ああ? 小難しいこと言ってんじゃねぇよ」

 

「獣と思って殺してやる。そう言っているのだ」

 

「いいぜ! やってみな! コッチはもうギンギンなんだよッ!」

 

秤は掌印を結ぶ。

 

「領域展開っ! 坐殺博徒ォ!!」

 

その展開速度から、必中必殺の領域ではないと判断した裏梅は、坐殺博徒を受け止め、その開示された情報に眉をひそめる。

 

CR私鉄純愛列車1/239ver.

 

屠殺場に送られる豚の方が余程同情できる。裏梅は獣から畜生以下の存在と秤のランクを更に下げる。

 

「下らぬ遊びに突き合わせるな」

 

裏梅は冷気に秤を包み込むが、保留の回転がそれを邪魔し、取り逃がした獣が裏梅を殴りつける。

 

無駄に長く、しょうもない演出が繰り広げられーー。

 

「来たぜッーー」

 

大当たりを射止めた秤から音量が上がり、無敵の時間が幕を開ける。

 

(まあいい。どちらにせよ次のインターバルで確実に殺してやる)

 

裏梅は秤と距離を取るように、氷を滑る。

 

範囲外に出て時間を稼ぐ。この領域はそれで終わる程度の代物に過ぎない。

 

「おっと! 逃げんじゃねぇよ! 待てこら! 卑怯だぞ!」

 

(煩い畜生だ。早く死ね)

 

追いかける秤の脚を凍らせ、裏梅は時間を稼ぐ事に集中する。

 

「ーーなんてな、っう戦略とるはな普通はよ」

 

秤は漲る呪力を迸らせ、

 

「領域展延」

 

身に纏う呪力が冷気を遠ざけ、強化された身体能力が、裏梅との間合いを即座に詰ませる。

 

(理解した。コレがこの男の基本戦術)

 

領域展開による大当たりの獲得後は、領域展延による身体強化で戦闘を行う。

理にはかなっているが、

 

「随分と甘く見積もられた物だな……」

 

この程度の呪術師は千年前に居なかった訳では無い。

宿儺に挑む者の内、裏梅が相手取った者も数しれず、秤の実力もその者たちと比較しても大差は無かった。

 

「貴様如きが私に届くと思うのか下郎」

 

「!」

裏梅は冷気の羽を広げる。蝶の様な羽から鱗粉の様な冷気が振りまかれる。

 

臓腑ともども凍りつけばソレで終わる。

 

「身の丈を知ることだな」

 

「身の丈ね。オモロイこと言うじゃねぇかよ」

 

しかし裏梅は知らない。秤金次という男を。

 

「俺もな、忘れちまってたぜ。つい最近まで熱をよぉ」

 

冷気から距離を取り、秤は呟いた。

 

「この冷気の中を貴様は通れぬ。このまま安心して嬲り殺されるがよい」

 

「熱を愛する男……だがテメェでも気が付かねぇ内に、何時からか熱が“熱さ”に変わっちまってたんだ。馬鹿な話だよな」

 

裏梅の放つ礫を前に、秤は掌印を結ぶ。

 

「ウォーミングアップはここまでだ……見せてやるよ。本当の俺の熱をーー」

 

「!」

 

裏梅は知らない。秤金次は六眼によって見出された“五条悟と並ぶ”呪術師であることをーー。

 

「領域展開…坐殺博徒ーー」

 

冷気を中和すること無く裏梅を包んだ新たな領域。そのルールが脳内に開示された。

 

 

 

 





ある程度の善戦をして何が悪いのか、これが解らない。

宿儺に負けるにしても極ノ番と領域を見せてくれたら、鹿紫雲の印象も違っていたと思います……。

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