if呪術 ネット意見取り入れ小説バージョン   作:パワーボム

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死滅回遊収束原則の追加です。

死滅回遊自体が扱いが難しい複雑なルールだったので、終了は結界の開放による形骸化を目的として独自設定として追加しています。


死滅回遊、収束ルールの追加

岩手県御所湖結界。11月14日PM14:50

 

『結界内に蓄積された呪力以外、泳者、及びあらゆる情報は結界を自由に出入りすることができる』

 

追加された新たな原則は結界内に混乱をもたらしていた。

その原則が死滅回遊からの離脱と誤解する者。新たな事態に備えるように、泳者同士で殺し合う者。点の移動を行う者。

 

「いやー。結構結構。予定通り混沌としてきたね」

 

羂索がここを自身の参加地点として選んだ理由は二つ。

 

一つは他の結界と違い強者が配置されて居ないこと。

九十九との戦闘後、身体に残るダメージはまだ癒えてはいない。

 

呪いの王…両面宿儺、現代の異能…乙骨優太を筆頭に、覚醒型の泳者の中でも突出した才能を持つ日車寛見、受肉した呪術師鹿紫雲一それら各結界内の強者を呪霊で監視し、可能な限り戦闘を避けながらただ時が来るのを待つ。

 

(予定通りなら…そろそろだけど。噂をすれば)

 

羂索はかかってきた二台のスマホのスピーカーをそれぞれオンにする。

 

「どうやらそっちの点稼ぎは順調な様だね。武神解」

 

『貴様も天元の回収は出来たのだろうな?』

 

『天元との同化…それを成すための死滅回遊であろう』

 

「勿論だよ。貞綱」

 

武神解と蘆屋貞綱。

千年前。両面宿儺討伐の折、彼に敗北し羂索と契約した受肉泳者であり協力関係にある呪術師だった。

そもそも死滅回遊という儀式を成立させる前提条件となる縛り。結界の強度を底上げは羂索独りでは不可能だ。

 

(非現実的な無理難題を縛りとして利用する事はできない。故に私が縛りとしたのは、死滅回遊の“永続性の担保”だ)

 

この儀式には泳者の絶滅という明確な終わりがある。無論、全ての泳者が死滅するには1年はかかるだろう。

追加された原則、点の譲渡をコガネが受け入れたのは、それが死滅回遊の永続性に寄与するものであったからだ。

 

「が、同化の為には死滅回遊の結界を排除する必要がある」

 

羂索が死滅回遊に参加し、夏油傑として集めた点は81点。岩手結界は受肉泳者の少なさから積極的な交戦が行われなかったこと。

 

結界範囲内に限界集落が多く含まれ、高齢の為生まれ育った土地への愛着から離れず残った一般人の比率が多かったこと。羂索はそれらを殺害し点を稼いだのだが……。

 

(残念なことに……お年寄りの数ももう残って居ないんだよねぇ)

 

万が追加した原則が引き金となりその数もこの2日で大きく減っていた。

 

「こっちももう少しここで点を稼ぐつもりだけど。先ずはーー」

 

『新たな原則が追加されたゼ!“今より1か月後、死滅回遊の結界を開放し地球上に存在する全ての人類を泳者として登録する”“この原則は現在登録された全結界の泳者が6名になった時点で開始し、結界開放まで如何なる戦闘行動から泳者を除外する”』

 

コガネのアナウンスに、羂索は手を叩いた。

 

(伏黒津美紀、彼女のお陰だね。乙骨優太の点が移動しているから、伏黒恵を上手く言いくるめたのかな?)

 

「いやぁ! やったねぇ! これでノルマは3つ達成だ!」

 

『残る原則は2つだったな』

 

『我らの点を合わせれば追加できよう』

 

愛知結界に在する武神解は76点。

 

大阪結界に在する貞綱は84点を獲得していた。

 

2人の術士から羂索に点の譲渡が行われる。

 

武神解と貞綱はそれぞれ20点を残し。羂索の点は201となる。

 

「コガネ。原則の追加だ“現時刻を持って参加表明をしていない泳者から術式を剥奪する”」

 

「……イイだろう。原則追加“15:00を持って参加表明をしていない泳者から術式を剥奪する”」

 

コガネとの交渉。死滅回遊の永続性を損なう原則を排除するという縛りの元で行われる契約。

裏を返せば『永続性を担保する為の縛り』である限り、コガネが原則の追加を否定することはあり得ない。

 

1.結界内に蓄積された呪力以外、泳者、及びあらゆる情報は結界を自由に出入りすることができる。

 

この原則は各コロニーから結界としての機能を剥奪する為に追加する必要があった。

泳者とあらゆる情報……人間の出入りも自由に行うことができる結界は、既に結界としての機能を形骸化させていると言い換えることもできる。

 

2.今より1か月後、死滅回遊の結界を開放し地球上に存在する全ての人類を泳者として登録する。

 

死滅回遊収束の鍵であるこの原則と、

 

3.この原則は現在登録された全結界の泳者が6名になった時点で開始し、結界開放まで如何なる戦闘行動から泳者を除外する。

 

それを成すための縛り。

 

死滅回遊かの原則は、その全てが『結界内にのみ』適用される。

つまりこの原則を追加した時点で、死滅回遊という儀式は事実上終了し、式神コガネもまた形骸化した原則の元で役割を終える。

 

(しかしコガネはこの原則の追加を否定することはできない。なぜならこの原則は死滅回遊を真に永続化させるものだからだ)

 

人類が滅亡するまで、これから生まれる新たな命にも原則は適用され続ける。

 

(……フフフ。なら呪術もより一般的なものして受け入れられる未来になるのかもしれないね)

 

それは新しい可能性の芽。自身の手を離れた混沌。僅かばかり勿体無い事かもしれないと羂索は思った。

 

新たに追加された原則により今ごろ未参加の泳者は全て死んだ頃だろう。

 

「さて、最後だコガネ。もう一つ原則を追加したい」

 

「何ダ?」

 

「今より24時間が経過した時点で点数上位6名を勝者とし、他の泳者から死滅回遊における“全ての”権利を剥奪する」

 

「全て権利の没収は生存権の消失トシテ再現されるが?」

 

「構わないよ。君にとっても不利益は無いはずだ。1か月後に死滅回遊は永続性を得るのだからね」

 

「了解した! 原則追加だ“15:05から24時間が経過した時点で点数上位6名を死滅回遊の勝者とし、他の泳者から死滅回遊における生存権を剥奪する”!」

 

羂索のコガネが消える。

 

「聞いていた通りだ。2人共。あとは残敵の処理だね」

 

羂索は各結界に放っていた呪霊へ、泳者への攻撃命令を出した。

 

「雑魚は呪霊に処理させる。残りの強者は恐らく点を得るため、生き残りの多い2つの東京結界へ泳者が集結すると思うから……貞綱はそっちに向かってくれ」

 

『ふん。もう呪霊が来ているわ』

 

「よろしくね〜。武神解は仙台結界へ。逃げ遅れが居るみたいだから、そっちを処分して欲しい。私も岩手が終われば、東京へ向かいながら泳者を処分するから」

 

通話を切り、羂索は体をほぐした。

 

(岩手の呪術師はあと51…あ、48。減るの早いね)

 

他の停滞していた結界も動き始め、犠牲者は加速度的に増えている。

 

「これならあと1時間もすれば6人が決まっているかもね」

 

戦闘を避けるべき泳者は呪霊に見張らせている。

 

(のらりくらりと6人に残れば私の目的は完了だ)

 

千年の悲願を目前として、羂索ははやる足で強く踏み出した。

 

 

 

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