ラルゥの領域名は術式名からのイメージです。
菅田の術式も、特に設定として無さそうなので、それっぽいやつにしています。
日車はパソコンから一旦離れ、コーヒーを煎れる。
飛騨から東京へ戻った日車は、弁護士時代に分割していた海外資産を報酬を対価に冥冥から部屋を借りていた。
尋ね人は、虎杖悠仁、乙骨憂太、五条悟。
コーヒーカップを棚から出し、人数分のコーヒーを注ぐ。
ドアホンが鳴る。
「開いている」
「お邪魔しますっ!」
「なんか冥さんボッタクってない?」
「……失礼ですよ。先生。お邪魔します」
入ってきた三人をテーブルに迎え入れ、日車はコーヒーを出した。
「ボク嫌いなんだよね。珈琲ってさ。苦くない?」
「この人は無視してください」
「安心していい。はじめから用意していない」
五条のコーヒーは無い。日車が出したのは3人分だった。
「それで、話は例の天元…一億呪霊について…だろう」
「はい。その件ですが……」
「優太の領域。せっかく血を提供して貰ったけど、真贋相愛にコピーした術式を付与すること自体が“攻撃判定”もらっちゃってね。上手くいかなかったんだよ」
五条は虎杖のコーヒーを奪って飲んだ。
「ごめん…日車。せっかく協力して貰ったのに……」
日車は虎杖に自分のコーヒーを渡す。
「いや。本題に入ろう。オレが直接、天元から術式を剥奪し、処刑する必要がある。そういうことだろう?」
「ええ。もちろん相応の条件を……」
「相応の条件はコッチも用意できると思うよ。もちろん日車さんか良いならだけど」
乙骨の話を五条が横から掠め盗る。
「民間人を前線に立たせる事には、ボクも抵抗があるんだよ。流石にね」
「いや。問題はない。元々、コチラから提案するつもりだったからな」
「日車?」
虎杖は眉をひそめた。
「心配するな虎杖。術式の都合上、法律に関する知識が無ければ世界の命運をかけた最後の機会を無駄にする事になる。なら、最初からオレが自分でやる方が納得できる。君たちの方こそ、オレに全てを委ねる覚悟をしてもらうことになるが」
「問題ない。日車なら」
虎杖は真っすぐ目を見て答えた。
五条も乙骨も無言で肯定する。
「ありがとう。君には救われてばかりだな……なら決まりだ。当日の裁判はオレが行う。ただ、ひとつ……先ほど条件と言ったが、もし叶えてくれるのなら、頼みたいことがある」
「えぇ? そっちからの提案でしょ? こっちが叶えるーー」
虎杖と乙骨が流石にバカ目隠しをしばく。
「スミマセン」
日車はふっと笑った。
「頼みって何?」
「……やりなおして欲しい裁判がある。その再審請求を願いたい。弁護士もオレではなく、信用できる先生を……そのあたりは冥冥さんなら知っているだろう?」
「あのさ、日車。それって……」
「言わなくていい。それよりもコーヒを飲め。冷めたら不味いぞ」
日車が言うと、虎杖はパンと両手を合わせて。
「いただきます!」
学生らしく、陽気にコーヒーをイッキ飲みした。
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日本に居る全ての人間が同じ夢を見ていた。
何も無い白昼夢。
一色の風景と、ゆく宛のない。
そんな夢を。
一億の魂と呪力を内包したソレは、ゆっくりと歩き始める。
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岩手上空。
箒に乗った西宮は、呪霊の大きさを測定する。
親指で基準となる鉄塔と比較した呪霊のサイズは……。
「…ウソでしょ……1km以上あるわよ」
全長約1200m。
全体像としては黒く、巨大なムカデと言って良いだろう。顔も無い。大きさを除けば、呪霊としてはオーソドックスな姿と言ってもいい。
『サイズがわかれば上等だ。コチラから誘導する位置まで移動を頼む』
メカ丸が遺した通信機から、東堂の声。
「わかった」
西宮は意を決し、箒で飛ぶ。
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脹相は赤い血の糸で、東堂、日車、そして真奈美とラルゥを繋ぐ。
「作戦の最終確認だ」
日下部は五人に言う。
「デカいってのは予想した通りだ…だがこれだけデケェとは想定外だったが……作戦に変更は無い」
冷静を装い、日下部は続ける。
「領域で無理やり天元様の肉体まで辿り着く。コッチで領域展開できるラルゥ、ミゲル、乙骨の3人がへたばる前に処刑人の剣を刺せればこっちの勝ちだ……菅田、であってたよな?」
「ええ。そうよ。ご明察」
真奈美は冷たく。
「安心してアツヤちゃん。真奈美の術式…占星呪術なら、天元ちゃんの本体まで問題なく案内できるわ」
ラルゥは上腕二頭筋をぐっとして応えた。
「脹相。お前はオフェンスだ。日車が倒れればこっちの負けは確定したようなもんだ……頼むぞ」
「弟たちと…悠仁に誓って。長男としての役割を果たす」
脹相は胸に掌をあてる。
「東堂。入れ替えのタイミングは全てお前の判断に委ねる……万が一の時は、オレが……ぜ、全責任をとる! 安心してやれっ!」
「解っている」
大胸筋を揺らし、東堂は日下部に答えた。
『こっち……すごい数の呪霊が来てる! やっぱりコイツに寄せられてるみたい!』
西宮の通信に、日下部は顔を青くする。
「こっちは理事長と歌姫を死ぬ気で守る。あの2人のうちどちらかが欠けても呪力が低下しちまうからな……この距離の入れ替えも出来なくなる。つーわけで、情ねぇが援護はできねぇ……」
「情け無いな。日下部よ」
東堂は腕を組む。
「お前が任せると言ったんだ。胸を張って安心して任せてみろ!」
『位置につけた! 入れ替え何時でもどうぞ』
パンと東堂が拍手する。
「ああ。わかったよ! 頼んだ! 任せたッ!」
日下部は頭を下げる
「…何してるんですか?」
西宮は日下部に?を浮かべて、スタスタと戦闘位置に歩いていった。
「ふぅ……死にてぇ」
百鬼夜行の時を超えた数の呪霊が、大空と大地に。
日下部はタバコを吹かし覚悟を決めた。
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上空!
黒い呪霊の巨躯!
東堂は認識すると同時に、魂で伝える。
脹相は血の膜を薄く貼り、落下の位置を調整する。
「……ッ! 流されてるっ! 予想よりもずっと深くにーー」
「安心なさい! 真奈美ちゃんっ♡」
ラルゥはウインクし、掌印を結ぶ。
合掌。それがラルゥの領域の掌印。なぜならばそれは感謝の形。即ち日々の心がけだからだ。
「領域展開……月変罰仕(ムーン・オブ・セーラ)」
無数の手のひらが仕置きのために、一億の呪力へ道を開く。
「来るぞーー」
東堂は一喝で、全員への黒い呪力への衝突を覚悟させた。
キューティーハニーより上は…セーラームーンかな、と勝手な想像です。
次回は再生怪人(特級呪霊)VS高専生の予定です。