if呪術 ネット意見取り入れ小説バージョン   作:パワーボム

38 / 66

パンダの活躍、パワーアップ回。


黒沐死VSパンダ〜一億呪霊VS高専、ミゲル領域展開

■11月24日

 

厳重な封印が施された一室にパンダは呼び出された。

 

「パンダよ。お前の秘匿死刑が決定した」

 

「……そうか。覚悟はしてたから…恨まねぇよ」

 

「やれやれ。親子揃ってワシを呪うつもりか」

 

楽巖寺は刀を手にし、それをパンダに振り下ろす。

パンダは目を閉じ受け入れた。

 

何時まで経っても感じない痛みに、そっとパンダは目を開ける。

 

「いい友を持ったな」

 

「はえ?」

 

秘匿死刑が実行される一室。上層部の人間が覗いているハズの札の裏から現れたのは、乙骨を始めとした、パンダの学友たちだった。

 

「乙骨が理事長に嘆願したんだよ。パンダの秘匿死刑に条件を付けてくれってな」

 

「真希さん! 僕だけじゃ無いじゃないですか。真希さんも、狗巻くんも……それに秤先輩も、虎杖くんも」

 

「たまご!」

 

狗巻はパンダを抱きかかえて、頭の上に乗せた。

 

「相互の縛りを結んだ以上ワシはパンダの件には関与せぬ」

 

「分かっています。もし……パンダくんの正体と、夜蛾学長が発明した呪骸の秘密が他者に漏れ、悪用された時は……僕たちの手でパンダくんを処刑し、全ての口を封じます」

 

「みんな……俺の為に……くぅ!」

 

パンダは涙を拭って、3人の友にハイタッチをし、

 

「待ってくれ!」

 

楽巖寺を呼び止めた。

 

「なんじゃ。ワシは忙しい」

 

「ありがとうございました! って…柄じゃねぇんだけどな。パンダだけに」

 

「言い忘れておった。ひとつ付け加えよう」

 

「?」

 

首を傾げたパンダに視線を合わせるように楽巖寺はしゃがんだ。

 

「お主の等級じゃ。その危険性を考慮し……“夜蛾”パンダを特級術師とする。以上じゃ」

 

パンダは自らの頬をつねった。

 

「ゆ、夢じゃねぇのか……憂太と同じってことだろ、特級って」

 

「いいことじゃねぇだろ」

 

パシッと真希がパンダの頭にチョップを決めた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

狗巻が異変に気がついた時には、その呪力は中心部の結界に迫ってきていた。

 

(音を使った索敵は続けていたけど。地面を通って通り抜けられたかーー)

 

険しくなった狗巻の表情を察し、冥冥は烏を向かわせる。

 

「これまた厄介な呪霊が潜り込んだものだね」

 

冥冥は烏からの映像に呟いた。特級呪霊、黒沐死はその畏れの源泉と同様に、カサカサと素早く動き回る。

 

「戻って護衛をする方が懸命かな?」

 

狗巻は冥冥の手を掴んで止める。

 

(持ち場を離れれば他の場所に負担がかかる)

 

それぞれの地点で戦闘が激しさを増している。

 

任せられる部分は其々の分担に任せなければならない。

狗巻は深く頷いた。

 

「ふっ。なら任せようか」

 

友を信じる若い瞳に、冥冥は斧を振り上げて応えた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

黒沐死の気配を察知しながら、乙骨は集中を切らさない。

東堂の入れ替えのタイミングは、いつ訪れるか分からない。

それまで研ぎ澄ませ、研ぎ澄ませ…ただ時を待つ。

 

(任せてある。狗巻くんに、そしてーーパンダくんにも)

 

乙骨は目を閉じた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

飢えから呪力を求める黒沐死だが、一億呪霊には向かわない。

 

本能が察知している“アレ”は喰えない。

故に標的に定めたのは2番目に巨大な呪力。乙骨憂太の居る結界を目指して突撃する。

 

「私ハ! 血ガ好キダァァ」

 

「うわっ! キモいのが来たもんだな」

 

「肉モ好キダ」

 

小さな呪力の塊を喰らうべく、黒沐死はパンダの身体を掴み上げる。

 

「知ってるか? パンダも肉食べるんだぜーー領域展開」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

今のぬいぐるみの体では出来る掌印は限られる。

パンダは下ろした手を置くように反背互相著合掌による掌印を結んだ。

 

「汳林太竹桃源郷」

 

パンダの心象風景が黒沐死を包み込む。

 

喰らうとしたぬいぐるみから呪力が消え、興味を無くした黒沐死はソレを投げ捨てた。

 

「イメージ通りだろ? パンダは竹が好きって」

 

竹林の中心で座禅を組んだパンダがゆっくりと立ち上がる。

 

「でも! 俺は竹が大っきらいなんだなぁコレが!!」

 

「私ハ! 喰ウノガ好ダァ!!」

 

「ハタァ!!」

 

パンダの右フックが、黒沐死を迎撃する。

 

「領域っていってもよぉ。色々あんだろ? ここは俺の簡易領域なんだよなぁ。俺は術式持ってねえし」

 

「グハァ!」

 

「うらっしゅあ!!」

 

話を聞かない黒沐死に、パンダの膝蹴りが炸裂する。

 

「けどよ。勘違いすんなよ? 生得領域は全部まるごと領域だからな? みんな持ってる心の世界なんだぜ!」

 

汳林太竹桃源郷……その領域は他者も物の出入りも自由。

術式の中和等の効果も無く、簡易領域としての必中無効だけは持っている。

押し引きも簡易領域と同じ。領域展開の対策としては最低限の弱者の武器。

 

だがその中であるからこそ、パンダはぬいぐるみという楔から解き放たれる。

 

パンダ核が簡易領域に投影した存在。死滅回遊の際、蘆屋貞綱の簡易領域により崩れた自我境界をはっきりと認識し、会得した新たな魂の在り方。

 

渋谷事変の際、特級呪霊、真人が見せた『遍殺即霊体』と同様に、剥き出しの魂の形を呪力がラーニングし顕現した姿。

 

ネオ・パンダ。超パンダ。

 

呪骸であった頃のサイズに戻ったパンダの黒が赤く光る。

 

「ふぅ……」

 

ひと呼吸のち。

パンダの蹴りが、ゴキブリの頭を直撃する。

 

「ギギィ!!」

 

「ファッたー!」

 

掌底が黒沐死に突き刺さる。

 

「何ダ…力ガ、抜ケル……」

 

「魂に響くぜ! ネオ・パンダだからな!」

 

パンダの拳は魂そのもの。故にダメージを与えるのは肉体に非ず、相手の魂の骨針に直接撃ち込まれる。

 

姉兄が自分を見てくれていた様に、パンダも魂の世界から“見ていた”。

 

虎杖悠仁と同様に、呪霊真人と同様に、パンダの拳は魂の輪郭を捉える事で肉体にダメージをフィードバックする!!

 

黒沐死は手に爛生刀を握る。

 

「私ノ口ニ入レッ!!」

 

パンダは卵鞘が無数に備わった刃を手で受け止める。

 

しかし、パンダには肉体はない。

即座に打ち込まれるハズの卵は孵ることも、産み付けることも出来ず。

 

「熊震(パンドラム)!!」

 

パンダの反撃が黒沐死に波動となって芯を砕く。

 

「グフッ」

 

膝を付いた黒沐死に、パンダは竹を使って空へ登る。

 

両手を合わせ、ハンマーを作る。

 

「撃熊震(グランパンドラム)!!」

 

圧したパワーが、黒沐死を押し込める。

 

パンダが形を歪ませた魂の形に引っ張られ、黒沐死の腕がもげ落ちた。

 

追撃を緩めないパンダは、黒沐死の残った腕を掴み、脳天に更に拳をぶつける。

 

「弱マルッ…力ガ……」

 

「魂を狙わなきゃ、今の俺にダメージは通らねぇぜ!」

 

脚をクロスさせ、パンダは黒沐死に関節技を極める。

 

パンダの攻撃は相手の魂を衰弱させていく。

しかしパンダの魂を捉えなければ、パンダはダメージを負わない。

 

(俺自身の魂の輪郭を見失えば…また呪霊になっちまうーー)

 

だがその欠点は、今のパンダには無い。

見守ってくれている友と恩師。そして家族が居るから。

 

「右フック! 右フック! 左、左ッ! 右ッ!!」

 

パンダのラッシュに、黒沐死の肉体が砕けていく。

 

「大極熊震(メルトパンドラム)!!」

 

魂を破壊され、引きずられる形で黒沐死は四肢を破裂させた。

それでもゴキブリ並の生命力で、頭部だけで黒沐死は這い回る。

 

「ん……」

 

家入がパンダの領域に入り込む。

 

「バカっ!」

 

「喰セロロォォ!!」

 

飛びかかった黒沐死の口を家入は奪い、反転した正の呪力を流し込んだ。

 

肉塊となり、黒沐死は息絶えた。

 

「この間、乙骨に聞いてな。弱ってるのが見えたし、試してみた」

 

「あ…そっかぁ……」

 

パンダはぬいぐるみに戻り、領域が解ける。

 

「俺、領域は1日1回しか使えねぇからなぁ…後は何もできねぇ……」

 

「私なんてそもそも反転位しか出来ないんだ。頭上げろよパンダ」

 

家入は口直しにタバコを咥えると、パンダを撫でた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

領域展開から99秒。ラルゥの限界は訪れた。

崩れる結界は、呪力に押し流されて行く。

 

「東どーー」

 

パン。と東堂が手を叩いた。

 

直後、ラルゥは枯れ葉の床に落ちた。

 

「ぐぅふ……久々に絞り尽くしたわね……」

 

息も絶え絶えのラルゥは、腕で顔を隠した。

 

「後は頼んだわよ…ミゲルちゃんーー」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ラルゥと入れ替わると同時に、ミゲルは自身の胸を叩く。

鼓動が速まり、その音に結界が重なり合い共鳴する。

 

「天元よ、俺と踊れーー領域展開」

 

ミゲルの心象風景である祖国の打楽器が一面に広がっていった。

 

 

 

 





パンダも設定的には、真人の天敵になり得たのかな?という事で、そこから活躍をさせてみました。

ストロングなパンダになったかな?

次回はミゲル〜乙骨の領域展開。一億呪霊戦の最後までの予定です。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。