if呪術 ネット意見取り入れ小説バージョン   作:パワーボム

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前回の後書きで、今回で終わる予定と書いていましたが、もう1話は分けたほうが楽しんで頂けると思いましたので、乙骨の領域で区切らせて頂きます。




一億呪霊VS高専、ミゲル領域展開〜乙骨領域展開

ミゲルの領域、無尽刻音(ピゴ・ラ・ウハリビフ)。

 

 

生得術式である祈祷の歌(ハクナ・ラーナ)を最大活用する為の運用は、他の領域と趣を異なる。

 

通常、領域は内側に術式を付与することで、呪術戦における奥義として必殺必中の効果を持つ。

 

しかしミゲルの祈祷の歌は、自身の鼓動のリズムに合わせ身体能力を向上させ、呪いを打ち払う術式。

 

必殺能力を持たないミゲルは領域展開の際に2種類の領域を任意で切り替え使用する。

 

1つは内側に術式を貼り付ける通常の領域展開。

 

そして、もう1つは『結界の外には呪いを打ち払う効果を付与し、内側にはバフ効果を付与する』領域展開。

 

かつて夏油傑が特級過呪怨霊・祈本里香を手に入れる事で五条悟との戦いを勝利できると確信できたのは、このミゲルの領域が有ればこそだった。

 

無尽蔵と無限。それだけでは泥沼で決着はつかないが、包み込めば相手の呪いを削ぎ、有利に戦いを進める事ができる。

 

一方、領域合戦となったとしても、外側に貼り付けた術式効果により、場の支配権を譲らず領域同士の拮抗状態を作り出す。

 

『領域対策に特化した領域』それが無尽刻音の真価。

 

だが…夏油が里香を手に入れ無ければ五条との対決を避けたように、圧倒的な呪力出力の前では、拮抗状態を維持し続けることが困難になる。

 

一億呪霊の呪力の流れに、無尽刻音がヒビ割れていく。

 

「オレひとりでは支えきれないッ!」

 

ミゲルの踊りに瞬間的に東堂はリンクする。

 

「奏でろ! ビートを!」

 

東堂のブギウギのリズム……それがミゲルの足さばきに合わさり、領域の呪力強化が行われる。

 

「なるほどな…!」

 

脹相もそこに加わり、ジャンベを踏みながら、新たなリズムとして鼓動が重なる。

 

ドクン!ドクン!ドクン!ドックン!!

 

 

「お立ち台っていうものは経験がないが」

 

スーツのネクタイを投げ捨て、日車もステップを踏む。

 

「なかなか、いいフットワークだ」

 

「ジムには通っていたからなーー」

 

ミゲルを先頭に、呪術師達は鼓動を打ち鳴らす。

 

華麗な足さばきで、手でリズムを取って。

 

「カモンっ! マナミッ!」

 

情熱のまま、ミゲルは真奈美をダンスに誘う。

 

「ええぃ! わかったわよっ……きゃあ!」

 

唯一の女性である真奈美は、足さばきが疎かになりながらも、日車のエスコートで少しずつリズムをとっていく。

 

「ヒア・ウィー・ゴー!!」

 

タッタタ♪タッタタタタ♪タンタンタタタッ♬

 

古より人は天に願い祈祷する際に詠い、踊り、リズムを奏でた。

 

呪術の起源。自分自身にとって根源的な音。母の胎内で、生まれい出てからも刻み続ける鼓動の心音。

 

「ふっ」

 

思わず、真奈美は笑った。

 

ミゲルも、東堂も、脹相も、日車も。

 

陰惨な呪いの世界から暫し解き放たれ、リズムの世界を満喫する。

 

呪いを祓うのは呪いだけでは無い。

 

位置は確実に天元へと向かっている。

 

「マナミ……後は任せるぞ」

 

「ええ。ありがとう。楽しかったわ」

 

ミゲルは指をピッとして真奈美に応えた。

 

鼓動奏でる黄金の時間が終わりを告げる。

 

無尽刻音は、外側からの攻撃に対し内から拮抗出来る特性を持つ反面、ソレが偏ればいっきに崩壊する。

 

最後のステップを踏み終え、ジャンベの音の反響が止むと同時に、東堂は手を叩いた。

 

ミゲルは浮遊感に包まれ、地面に落ちる。

 

いまさら滝のような汗が伝い落ち、火照った体に落ち葉が涼しい。

 

「ぶちかませ……乙骨っ」

 

ミゲルは王に迎えるはずだった男を討ち取った……いや、家族の尊厳を取り戻してくれた術師の名を呟いた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

ミゲルの領域が作った空間に転移した乙骨は、左手の薬指にはめた指輪を、闇に輝かせる。

 

「領域展開……」

 

荼枳尼天掌印と共に発動した領域が、静寂をもたらし……。

 

『領域展開』

 

乙骨の背後に完全顕現したリカが両手をクロスさせ、軍荼利明王の掌印を結ぶ。

 

水引を中心とした乙骨の領域が開き、朽ちた瓦礫は虚空に消えた。

 

真贋相愛……乙骨はこれまで自身の領域に任意の模倣術式を貼付け使用してきた。

 

だが命と共に乙骨に託された烏鷺享子の術式は“空を掴む”。

 

烏鷺は望んでいた。選ぶことを……黒でも白でもなく、血を吐いてでも自由に空を飛ぶことを。

 

空にキャンバスを用いず絵を描く。土も無く芽を生やす。ハードを用いずソフトを使う。

 

言い方は無数に有れども、ただひとつ神業と称されるその域に辿り着いたのは……。

 

呪いの王、両面宿儺。

 

千年を生きた魔人、羂索。

 

そしてーー現代の異能、乙骨優太。

 

「真贋相愛・子規即是空」

 

乙骨の声と共に、一億呪霊の呪力が空に潰れる。

 

リカと共に掌印を結び、貼り付ける術式を烏鷺の物に限定すること。

 

その2つの条件をクリアすることで、

乙骨は史上最年少で“閉じない領域”を身に着けていた。

 

「手をつなげーー」

 

領域の維持をリカに任せ、乙骨は東堂の手を掴む。

東堂の手を脹相が。脹相の手を日車が。日車の手を真奈美が。真奈美の手を……乙骨が。

 

閉じない以上、下に向かう感覚は全員に共有される。

 

「生きてるんだ。みんな……だからーー」

 

脹相の血が周囲を警戒するように輪を作る。

全員が見れるように、真奈美の占星術が天元の位置をプラネタリウムの様に闇に星を輝かせた。

 

「ああ! その通りだ」

 

東堂は頷き、全員が力強く頷いて、握る手のひらに力を込める。

 

「……終わらせる。ここでボクが…ボクたちが」

 

天の星の一等星。天元に向かって呪術師達は暗い闇の底に落ちて行った。

 

 

 

 

 

 





原作と違う部分で乙骨の強化と、修行の成果を表すために“閉じない領域”を身に着けてもらいました。

烏鷺の術式はズバリそのまま活かせば、空にキャンバスを無理やり作れるんじゃないか?というアイデアです。

ミゲルも呪術の根源的な部分である、踊とリズムを取り入れられたので、例の嘘バレはきっとこういう能力だったんだなぁ……と勝手に納得しています!(笑)
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