虎杖と宿儺による■開対決の開始。
開は原作とは使用がかなり異なります。
それと宿儺長文。宿儺の人格がある程度、分かってたらギャグとして笑えたと思ったので取り入れました。
「その呪術廻戦とやらでオレを祓うだと?」
宿儺は鼻を鳴らす。
「嗤わせるな小僧」
油断なく意識を研ぎ澄ませ、宿儺は分析する。
(呪術廻戦が赤血操術を中心とした術式である事は間違い無い。九相図を喰らい取り込んだかーー)
閃血。超新星。それらを使用できると仮定した上で、虎杖は反転術式を身に付けては“いない”。
経験から宿儺は断言する。
(反転による再生では無く、細胞を活性化させ即座に肉体を“治癒”しているようだな。ならば失血死のリスクを負ってまで、赤血操術の技は使わぬか……)
虎杖が構えると同時に、宿儺も構える。
(七三術師の呪布は黒閃の威力を底上げする為の物だろうが)
確かに十劃呪法が生み出す弱点に黒閃を撃ち込まれれば、その威力指数関数的に激増する。
しかしこれもまた宿儺自身の動きでカバーできる武器でしか無い。
(わざわざ巻く姿を見せたのはオレの動きを制限する狙い。随分と甘く見積もられたものだな)
宿儺の苛立ちに間髪入れず虎杖は動き出す。
左の掌を五条に破壊された事により領域と“世界を断つ斬撃”を今の宿儺は発動できない。
宿儺が虎杖の拳をいなすように受け止めた瞬間。黒閃が発動する。
攻防走。全てを黒閃の乗数で補った虎杖の呪力出力は、宿儺のソレを凌駕する。
体制を崩しながら、宿儺は虎杖を睨む。
体重移動で七三のミートをずらす僅かな隙に、虎杖の肘打ちが宿儺の胴を捉える。
黒閃の重い一撃に、宿儺は苛立ちを募らせる。
『龍鱗、反発』
「番の流星ッ!!」
呪詩を伴った斬撃を、虎杖は正面から黒閃でガードし、突っ切る。
(何故俺は苛立っている……?)
宿儺は虎杖の追撃を受け、鈍い痛みの最中に思考する。
(他者に満たしてもらおうなどと考えたこともない。そう……食らいたい時に食う。目障りならば殺す。面白ければ遊んでやるだけだ……それが俺だ。変わりはない)
死ぬまでの暇つぶしとしては丁度いい。
(そうだ、死ぬまでの暇つぶし。それが俺にとっての他者だ。俺は俺の身の丈で生きているに過ぎない)
虎杖は手でビルに触れる。
無数の切り取り線が一瞬にしてビルを粉微塵に変え、虎杖はその煙幕の中に隠れる。
呪力が付与された煙に宿儺は虎杖の姿を見失う。
(それを測れないのは俺以外の連中の問題だ。宿儺(おれ)を殺すそれが今の小僧の理想なわけだ。理想に殉ずる者を見てなぜ俺は苛立っている)
背後からの殺気に応対した宿儺に、虎杖の蹴りによる黒閃が炸裂する。
(同じようなやつは千年前にもいた。千年前と変わったのは俺の方……?)
下らない思索が、宿儺の反撃を鈍らせる。
その隙は僅かであっても、虎杖は見逃すこと無く拳を叩き込んで来る。
めり込む拳を腕に掴み、宿儺は虎杖を睨みつけた。
(小僧……そうだお前だ千年前戦う相手は他人だった他者(そいつら)の理由も、理想も、全て俺にとっては真偽の分からない後付けの遺言だ。虚勢もあったろう自己陶酔していた者もいただろう。だが今回は違う)
虎杖の切り取り線が宿儺の掌を賽の目に切り裂く。
反転の暇も、虎杖は逃さない。
その瞳に宿る光。
「いい加減にしろーー」
殺意を以て放った拳を正面から額に受け止め、虎杖の拳に黒い呪力が宿る。
(同じ肉体に魂を同居させていたんだ。俺はコイツがコイツの魂が……何度折っても息を吹き返す百折不撓の理想を持っていると知っている!)
「小僧ぉおオッ!!!」
口をついて出た怒りを、虎杖の拳が殴り伏せる。
呪力総量は数十分の一以下に満たない虎杖悠仁という存在が、自らに痛みを与える。その不愉快さ。
(俺よりも遥か格下の弱者が、理想を貫く意思の強さでのみ並ぶことを知ってしまった)
宿儺は思考を終える。
(俺はそれがどうしようもなく不愉快なのだ)
反撃に転じた宿儺が、何時までも晴れない土煙の正体に勘づいた刹那。
血のドームが虎杖と宿儺を包んだ。
虎杖悠仁は反転術式を使用できない。その宿儺の読みは当たっていた。
しかし蝕爛腐術の“術式反転”による再構築は、宿儺の反転術式をも上回る速度で血液の生成を行うことが出来る。
それを宿儺は見誤った。
「竈(カミノ)」
虎杖は引き金を引くように、腕を構える。
捌でビルを解体すると同時に、血液を使いチリに付着させた油脂。
「開(フーガ)」
そして人体が持つ電気信号を増幅させた静電気が、可燃性のチリに引火した。
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出来る。虎杖がそう確信したのは、黒閃の連打による極限の集中力があったからだ。
呪術廻戦で宿儺との自力の差を埋められるのは、短期間だけであると虎杖は知っていた。
呪力総量の違いから、長期戦になれば虎杖は確実に負ける。
(領域勝負は練度の差が埋められない)
1ヶ月の特訓の早い段階で、五条は虎杖に領域という選択肢を捨てさせ、別の奥義を編み出すように促した。
その答えとして、呪術廻戦を分析した東堂・家入監修の元、燃料気化爆弾の原理を応用し編み出したのが竈開(カミノフーガ)。
『宿儺も生物である以上、熱風と圧力は致命傷を避けられない』
虎杖自身が燃焼から身を守る方法は、死滅回遊の折、加茂典紀が命を賭けて魅せてくれていた。
虎杖は血液のバリアが崩し、焦土と化し焼けた空間で呼吸を止めた。
宿儺を即座に祓い、確実に息の根を止める為に……何よりも重要なのは大気中の酸素を全て燃焼させ尽くすこと。
虎杖は血を操り、二酸化炭素から炭素を取り除き再び酸素として血液に廻す事ができる。
(宿儺を確実に窒息死させるには、最低でも10分はこの密室を維持する必要がある)
頭に叩き込んだ東堂の計算を虎杖は反芻し、血のドームの密閉性に意識を集中した時ーー。
「柩開(アークフーガ)」
宿儺の声と共に、ドームが突風に崩された。
「なっーー」
焼けた肉体を再生させながら、宿儺は虎杖に特級呪具“飛天”を向ける。
「認めてやる虎杖悠仁……貴様が俺の不幸だと」
呪いの王から笑みが消えた。
竃開……伏せ字にしてまで隠してたのに、本当に燃やすだけ?って筆者の中でなってしまったので……。
原作とは大幅に変更して、ラスボスらしくなるように思い切った能力に。
名前も■の部分は黒塗りだったので、某覇道の九十のオマージュで棺にしてみました……。
某嘘バレのフーガも取り入れます。