要望があった釘崎のアフターエピソードがある程度プロットが出来たのでアップしていきます。
完全に筆者の二次になりますので、その点は要注意でお願いします。
タイトル通り【オリ主】のボーイズ&ガールズに、五条先生ポジで大人になった釘崎が活躍する短編エピソードになるかと思います。
■2023年3月8日 午前08:12
頻発する呪霊、呪詛師によるテロを未然に防ぐべく新設された内閣呪術調査部……晴れて国家公務員となった釘崎野薔薇に与えられた指令を、伊地知“室長”が読み上げる。
釘崎は黙ってそれを聞いて、ため息をついた。
朝日が目にしみる。
自分のディスクに報告書を投げ置く。
連日の任務で遊ぶ暇も無いまま、学生の頃より伸びた髪を釘崎は弄る。
「ったく。就活もしなくてラッキーかと思ったら……今度はソレって……マジで言ってるわけ、伊地知さん」
シワまみれのスーツを肩にかけて、釘崎は言った、
「ええ。既に各国政府が極秘裏に動き出したとの情報も入っています」
伊地知は総理からの書簡を釘崎に見せた。
【特例秘匿術式第三項保持者トシテ以下ノ者ヲ秘匿死刑トスル。
ヤジママサル
内閣総理大臣印】
「仕方ないっスよ。野薔薇さん。こればっかりは、国家の存亡にかかわるわけっスから……」
新田明は、釘崎の報告書をまとめながら言った。
「別に嫌って言ってるわけじゃねいわよ。新田ちゃん。仕事だし、嫌でもやらないとしゃーないしね」
釘崎は肩に欠けていたスーツに腕を回すと、同僚にはにかむ。
内心の怒りを飲み込んだとて、腹に据えかねる訳では無い。
「釘崎さん。分かっているとは思いますが……今回の任務くれぐれも私情で動かないで下さい。ひとつ間違えば、文字通り世界が終わりかねないのですから」
「……もう学生じゃねえ。給料分の仕事はするわよ。それとテッサは使わせて貰うから」
「構いません。高専生の派遣要請も、国家が認めた釘崎さんの権利なのですから……」
釘崎は伊地知を一瞥して、室を後にする。
「……大丈夫っスかね。釘崎さんに今回の任務」
ドアが閉じるのを見送って新田は言った。
冷静で居るはずが無いことは、彼女と付きあっていれば嫌でもわかる。
「釘崎さんも言っていましたが、もう学生ではありません。社会に出た立派な大人であれば例え……虎杖くんの事があったとしても彼女には彼女の役割が割り振られる……それが仕事というものです」
「仕方ない……ですよね。“もう”……」
伊地知は言って、その学生の蚊顔写真を見た。
箭島勝。15歳。何も無ければ、今年の4月には富山県立呉羽高等学校の1年生として、新たな生活を迎えていたであろうその少年は写真の中で楽しげな笑顔をうかべていた。
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(クソが……ざっけんなよ本気で)
釘崎は車に乗り込むと、ドアを思い切りしめた。
「公用車に白のプリウスなんて選んてんじゃねぇよゴミがーー」
モーターの音が煩わしい。腹立たしい。
車を国道に飛ばし、釘崎はスマホを出し番号を打つ。
繁縷輝沙(はこべてるさ)。今年から呪術高専に入学予定のその少女は、2年前から庵歌姫が後見人となり、釘崎が直弟子として度々任務に同行し指導を行っている。
「もしもし、テッサ?」
『は、はいっ! 釘崎さんっ』
「新田ちゃんに聞いてると思うけど、私は一旦、病院に箭島勝の血を取りに行くから。盛岡行きはそっちのが早いと思うし、後は合流してからね。どうせこれ盗聴されてるし」
『了解しました。はい』
メモを取る音がスピーカーから聞こえてくる。
「私が行くまで接触は控えて、あー…いや、いいわ。顔だけ見といて。もし近くに呪術師が居ても無視して。兎に角自分の身を守ることだけ考えてたらいいから」
『分かりました。了解ですっ』
スマホを切って、釘崎はアクセルを踏む。
電子タバコを口に含み、冷静に考える。
伊地知が外国政府が動いていると言っている以上、各国の諜報員は既に箭島勝の情報を掴んでいるだろう。
(死滅回遊のドサクサに紛れた以前とは違い、露骨な派兵は事実上不可能……聴かれているなら、これでとりま私が囮にはなるか?)
特例秘匿術式……壊滅した御三家や呪霊の術式を含め、判明時点で単独で国家転覆の可能性を秘めた五つの術式を、現行法はそう呼称し、対応策は定められている。
第一項、星の怒り(ボンバイエ)
第二項、無為転変
そして第三項……呪霊操術。
残るは特殊な事例である六眼無下限と、天与呪縛込の傀儡操術。
テロの危険性が高い特A級の危険術式。
(ファンパレ以降に覚醒した術式に関しては、調査が遅れてたからな……)
政府や、楽巖寺の失策では無いが、後手に回った感は否めない。
流石は我らが万年人手不足の呪術界だ。
卒業しても期待を裏切らない。
そこに来てまた呪霊操術だ。頭が痛いのは学長も同じだろう。
夏油傑の百鬼夜行、そしてその肉体を利用した呪詛師、羂索の起こした死滅回遊。
世界を巻き込む2度の呪術テロの引き金となった以上、呪霊操術の存在そのもの危険性は周知の通り。
その上、羂索は外国にデモンストレーションまで披露している。
呪力・呪霊の軍事利用、自国のエネルギー問題の解決。
活用法も悪用方も考えればきりがない。
レモンミントの煙を、釘崎は味わった。
(箭島が国外に連れ出されたらアウト。乙骨さんか、秤さんか……真希さんか。誰かなりが国外まで殺しに行くのは非効率的だ。なら殺害も已む無しか)
釘崎は赤信号で止まると資料を手早く見る。
死滅回遊の際、箭島は二親と祖父を亡くしている。
当時は10歳……人生の3分の1をこの少年がどう過ごしてきたか、釘崎は考える。
(……写真じゃ笑えてるんだから、心の傷は直った。あーよかったヨカッタ。じゃあ死んで?)
ある日突然、身も知らぬ誰かに言われて殺される。
死体は即日灰に。
あれよあれよと骨壺に。
それが人生か? 正しい生き方か?
『何でオレなんだって考えてたけど……今なら分かる』
釘崎は虎杖との最期の会話を思い出す。分かれば満足するのだろうか。少なくとも自分の時間を生きることでなく、死ぬことに変えられて。
死に方が生き方を決める。虎杖はそういうタイプだった。
だから別に何か言うつもりは無い。責めることも無いし、恨むことも呪うことも無い。
大人になって、理解出来る様になった。理解できるようになったが……。
「納得するわけねぇだろうがーー」
眼帯を外す。
東京から盛岡まで、ぶっ通して6時間。
釘崎は電子タバコをスーツに仕舞った。
呪霊操術を巡り、呪霊や外国呪術師と高専の戦いになる予定です。
釘崎は師匠ポジション。
原作キャラは絞る予定で、恐らく特級ポケモン御三家を入手して終わかな……と考えています。
呪術というよりHUNTERのヨークシン編の様な雰囲気で進むと思いますので、そういった内容でも『いいよ!』という方はぜひ読んでみてください。