if呪術 ネット意見取り入れ小説バージョン   作:パワーボム

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冥冥の参戦の明確化。
また結界内で始まったデスゲームを羂索攻略の鍵としてみました。
独自解釈、オリジナル式神ありです。


桜島結界〜津美紀戦

桜島結界11月14日PM15:35

 

大道鋼と三代六十四の心臓が完全に停止する。

呪霊となった直哉の領域によって引き起こされた外傷性ショック死。

だが受け取るべき泳者の居ない点は誰にも加算されることは無かった。

 

「クソルールだな。穴が有り過ぎる」

 

死者の両手を合わせ、弔う憲紀に真希は言った。

 

「あえて……そうして居たのだろう。羂索は初めから今の原則を追加するつもりで、死滅回遊を始めたと考えれば矛盾はない」

 

「“物”扱いの私はいいが。憲紀、お前の点は稼ぐ必要がある。直ぐに移動する手段を探すぞ」

 

元々僻地であったこともあるだろう。が桜島結界の泳者は既に典紀を残し全滅していた。

 

「乙骨優太、秤金次……伏黒恵。未来の呪術界の為に生き残るべきは私ではない。彼らにーー」

 

ビシィッ! 平手打ちを受けた憲紀は赤く腫れた頬を撫でた。

 

「な、何をするっ」

 

「憲紀。だからテメェにはまだ家族が居るんだろうが」

 

真希の声に、憲紀は真依を重ねた。

京都校の学友として、禪院家で彼女がどれ程の苦痛を味わってきたか典紀は知っている。

御三家と云う柵に囚われ続ける自分自身を典紀は、真依の境遇と重ねなかったわけでは無い。

 

「そうだな」

 

憲紀が呟いた時、虚空を揺れるカーテンが突如として現れた。

 

「ここにはもう術師はいねぇハズだがーー」

真希と合わせ、憲紀も臨戦態勢を取る。

 

「ふふふ。構えなくてもいいよ」

 

「冥さんッ」

 

「姉様のご登場です。皆様拍手っ」

 

1級術師冥冥と、その弟憂憂。

彼らがこの場に現れる理由には、真希も憲紀も検討がつかなった。

 

「日下部に頼まれてね。まあ、その日下部に頼んだのは楽巌寺理事長なのだろうけれど……秘蔵の呪具と引き換えに君たち学生を援護しに日本に戻ったと言うわけさ」

 

冥冥は金の上では信用が置ける術師だ。

日本円の価値は既に紙切れ同然だが、呪具となれば価値は保証される。ということなのだろう。

 

「…うそは言ってねぇみたいだな」

 

「おや? 随分と変わったようだね。真希ちゃん。何があったかは聞かないけれど。本題に入ろう」

 

冥冥は咳払いをし、話を始める。

 

「先ほど追加された原則は、秤くんから聞いているよ。そしてこの僅かな時間だけで殆どの泳者は羂索の呪霊に処理され、生き残りの大多数は東京の2つの結界へなだれ込んでいるらしい」

 

「ここには呪霊が来ていないが……いや、既にわたし独りになった結界へわざわざ呪霊を寄こさずとも……という訳か」

 

「時間が来れば原則上、君はどのみち死ぬからね。彼も無駄な事はしないのだろう。ここからは憂憂、頼むよ」

 

「は、はぃい! 姉様っ!」

 

ハートを撃ち抜かれた憂憂が喜びに声を上ずらせる。

 

「術式で貴方達2人を東京へ移動させます。各コロニーで虎杖悠仁、伏黒恵、秤金次の援護をお願いします」

 

「分かった」

 

真希は憂憂に答えた。

 

「乙骨くんとは連絡が取れていないが。どちらにせよ、各結界に手持ちの呪霊を向かわせたこの数時間が、羂索を殺せる最初で最後の機会だろうね」

 

冥冥の言葉に憲紀は頷いた。

当然、羂索はそれを想定し、強力な呪霊を手元に残しては居るだろう。が、その質は兎も角として手数は減らしていることに違いは無いのだ。

 

現状を把握した真希と憲紀に、憂憂はカーテンを被せた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

伏黒と津美紀。

2つの十種影法術が激突する。

 

(冷静になれ)

 

伏黒は自ら言い聞かせる。津美紀の事を何一つとして理解して居なかった自分自身を呪う。

 

(考えるなーー)

 

拒絶しながらも本心では呪いを受け入れている自分自身に、伏黒は自己を嫌悪する。

 

津美紀が五条の庇護を受け入れながらも、あのアパートから離れようとしなかったのは何故か。

伏黒に向けた優しさ。それは本当に優しさだったのだろうか。

 

空白な津美紀の部屋を思い出す。そうだ。津美紀の部屋には何もなかった。

同年代の学生なら持って然るべき、私服も数えるほどしか持っていなかった。五条への配慮を理由にしていたが、今にして思えば津美紀は最初から“何も”求めて居なかったのではないか……。

 

唯一思い出せるのは、白い百合の花。

伏黒はその意味すら考えてこなかった。

全ての点と点が繋がるように、伏黒は思考を止められなかった。

 

死者に手向けるべき花を津美紀は常に飾っていたのだと。

 

式神、葬虎の牙が伏黒に迫る。

名を示す通りの虎の式神は膂力に優れる。

 

「不知井底っ」

 

伏黒の呼び出した4体の式神が、虎の四肢を拘束する。

 

「大蛇」

 

その隙に円鹿を影に溶かし、津美紀は巨蛇を呼び出した。

 

鵺、大蛇、何れの式神も伏黒の調伏したものとは違う姿形。

葬虎は獅子舞の面を、鵺はペストマスクを、大蛇もまた仮面を付けた姿をして。

あたかもそれは津美紀の心を映す鏡の様に、冷酷なまでに顔を持たない。

 

「鵺ッ!」

 

大蛇を躱し、ビルから飛び降りた伏黒は空飛ぶ羽を呼び出す。

 

「満象」

 

大蛇が蛙を薙ぎ払うのと同時に葬虎が消え、カーニバルのマスクに顔を隠した象が現出する。

 

その鼻から放たれる放水が屋上の柵を押し流し、伏黒に殺到する。

 

影絵を解き、自由落下に身を任せ、伏黒は水を交わし、再び鵺を呼び出すと、津美紀が居る屋上へ舞い戻った。

 

相伝の術式同士の対決であれば、マニュアルを知る伏黒にも理はあった。

 

(なんとか津美紀から戦闘能力を奪う。でなければ……)

 

死んでも勝つと、死んで勝つでは意味が違う。

これまで相手取った全ての呪霊、呪詛師。勝てば良かった相手との戦いはどれほど楽だっただろうか。

 

八十八橋での自戒が、伏黒自身を傷つける。

 

(結局オレは、あの人の言葉の意味さえ、理解できていなかったーー)

 

「はぁ。らちが明かないわね」

 

津美紀はため息をつくと、伏黒に両手の拳を握ってみせた。

 

「やめろ……津美紀ッ」

 

「布留部由良由良ーー」

 

唱えられる呪詞。それは諦観。それは弱さ。

拠り所としながら、心の何処かで姉を諦めていた自分への罰。

大切に思うなら、オレは何故。何時も諦め続けてきたんだ。後悔は伏黒恵の影法師を想起させた。

調伏不可能な最強の式神……魔虚羅。

 

「八束剣異界神将宮濔羅」

 

「は?」

 

津美紀の影から現れる法輪と泥眼の能面。

天女の如きその式神は、相伝された術式にさえ記載されぬ姿を伏黒の前に現した。





ラルゥとミゲルの術式が判ったので、後のストーリーでも原作の術式に変更いたします。
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