if呪術 ネット意見取り入れ小説バージョン   作:パワーボム

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呪詛師らしい呪詛師を殴り飛ばす回です。



【オリ主注意】釘崎After⑧贄の共鳴

特級呪霊と同じ術式であるからといって、それと同じだけの力量を持つとは限らない。

 

手札の切り方や、術式の理解と解釈で、札は如何様にも変化する。

 

拡張術式や、縛りによる仕様変更は、ポーカーで例えるのであれば、ツーペアやスリーカードといった役の強さを変化させることがそれに当たる。

取捨選択を誤れば手役は弱まることも有れば、強くなることもある。

 

(だとしても。変えられねぇ事もある)

 

基本となる火炎と溶岩の操作と応用の火礫蟲。基本的な動作は、漏瑚のそれに準ずる物と予想できる。

 

(それに……術者は呪霊でなく人間。ならーー)

 

釘崎は簪を打つ。

 

「んおっと!」

 

大蛇は簪を火炎で焼き払うと同時に、両足の裏からの爆炎で釘崎から距離を取る。

 

「芻霊呪法ってな! ご存知だよ…ネェチャンよぉ!!」

 

アスファルトが盛り上がり、小型の火山が噴火する。釘崎は簪を足場にして、大蛇を追いかけるように飛び上がる。

 

「火礫蟲ぅ!!」

 

5体の火蝿が釘崎を包囲する。

 

(同時は5体。多く出せても倍か?)

 

釘崎は足場にした簪を解き、落下しながら新たな釘で蠅を撃ち落とす。

火礫蟲の爆発に巻き込まれた釘を起点とし、

 

「シン・影流簡易領域」

 

釘崎は素早く虚空に円を広げる。

 

(虫は囮。本命の焔はーー着地点だろ)

 

身体を簡易領域で誘引し、釘崎は巨大な火柱を回避する。

 

「炎熱刀、プロミネンスぅ!!!」

 

大蛇の手にした焔が、森を一刀に焼き払う。

 

「チッーー」

 

釘崎の逃げ道を塞ぎ、かつ距離を取る動きは、明らかに共鳴りと領域展開を警戒しての行動だ。

 

(当然っちゃ当然か。ならコイツ領域は使えねぇな)

 

髪をかき上げて、釘崎は汗を拭う。

 

「イキリ散らかした服着てる割に対人恐怖症か? ED野郎」

 

「おったたねぇのは俺の好みの女じゃねぇからだよ。お前が」

 

大蛇は焼けた森を背にして、大蛇は指を飛ばす。

 

「それとも俺が立派な女にしてやろうか?」

 

「……下らねぇんだよ。テメェ等は」

 

「あ?」

 

「女だの。金だの。力だの。弱い者イジメだの……呪詛師は害虫の真似がそんなに好きか?」

 

「なになに?! ネェーチャンそー云う系?」

 

大蛇は腹を抱えて釘崎を笑う。

 

「セーギの味方とかヴァッカじゃねぇの? 腹いてー。マジで呪術師は馬鹿ばっかだな!」

 

「馬鹿はテメェだろ。社会を呪うしか脳ミソ使えねぇんだからよ……正義だの大義だのの為に私が動くと思うか? 無い頭なら使わない方が幾分かマシだぞ?」

 

釘崎はコンコンと金槌で軽く頭を小突く。

 

「持って生まれた欲求なんざ後付のクセに、さも『自分で考えましたー』みたいに話しすんなよ。聞いてるコッチが恥ずかしいわ」

 

呪いと関わり生きることを決めたのは他でもない自分自身。

身の振り方も自分で決めた。都会に出ることを決めたのも、田舎から離れることを決めたのも釘崎野薔薇の選択だ。

 

離れて、知って、無駄ではないとも理解ができた。その上で自分が関わった人間の在り方を“無駄だった”なんて想わせたくない。

 

「人助けのつもりは無い。ただ呪いなんて下らないことの為に命使うのは、私自身が気に入らない」

 

言い訳の理由づくりに必死こく人生なんてドブと同じ。なら、ドブをさらう。そんな人生のほうがしっくりくる。

 

その対価が何も無かったとしても構わない。

 

「私は呪術が不要になるために働いてんだよ。楽して生きるのはその後で十分だ」

 

「あー。白けたわ。マジで」

 

大蛇が火炎で跳び上がる。

 

焼けた木々に、大地とアスファルトが、呪力によって引き寄せられ、巨大な火球を作り出す。

 

「相手が悪かったなぁ! オレはマジで最強だからさぁ!!」

 

極ノ番“隕”。

 

「灼けて死ね」

 

釘崎は鼻で笑った。

本当の最強はこんなものでは無い。

五条悟の無下限の輝き。

乙骨憂太の底無き深淵。

 

彼等の魅せる術には決して及ばない井の中の蛙。

 

「この程度の最強……私でも祓ってやれるわ。ゴミ野郎」

 

金槌を握りしめる。

芻霊呪法は古来から存在する術式であるが故に、その研究も広く行われてきた。

その距離を無視した呪は、術式に必要な対象部位の呪術的な重要度、効果の程を他者に依存することから、芻霊呪法を刻まれた術士が奥義である領域展開に至ることはあっても、もう1つの奥義である極ノ番に至ることはこれまでなかった。

 

(私には見える。魂の痕跡が。その形が)

 

辿り。探り。そして知る。

 

生きる限り人体は絶えず代謝し、呼気、汗……それら呪術的な重要性は低くとも生の痕跡は必ず残す事を。

 

そうして生まれた細胞の1片をすべからく束ね合わせれば、呪いを放つのに十分な形を作り出すことができる。

 

見えざる贄へと打ち込む呪い。

 

「芻霊呪法極ノ番“贄の共鳴”」

 

「ガぁーー!!」

 

共鳴りの激痛に、精度を欠いた隕は釘崎を僅かに逸れる。

焼け付く焔の熱を、領域展延が中和する。

 

「芻霊呪法」

 

距離を詰めるには余りに容易く、自称最強はそれを許した。

 

「待っへーー!!」

 

「共鳴り」

 

偶然に。その現象は起きた。

 

(要らなかったんだけど……いいか。別に)

 

金槌の纏う呪力が黒く光る。

空間を歪めた呪力が爆ぜ、漆黒に瞬く。

 

黒閃ーー。

 

その威力を受けた大蛇の身体は、血煙となって消し飛んだ。

 

 

 

 

 

 




芻霊呪法には極ノ番が有るのか無いのか……有ったとしたらという事で筆者なりに考えてみました。

呪詛師らしい呪詛師は殴ったので、次回は呪術師らしい呪術師との決戦かな?
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