if呪術 ネット意見取り入れ小説バージョン   作:パワーボム

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タイトルがややこしい気もしつつ。

バトルパートその②です。


【オリ主注意】釘崎After⑪ボルフ・ボールヌイ②

釘崎が動くのとほぼ同時に、ボルフも動き出す。

 

(コイツーー早い)

 

輝沙を救う為だけでは無く、初撃の簪は地面にも打ち込んである。釘に込めた呪力と、刻み込んだ呪印を起点とすることで、釘崎は領域展開を含む結界術を素早く発動させる事ができる。

 

 

(保険のつもりだったがーー無理かッ)

 

「領域展延っ!」

 

「チェルノボーグッ!!」

 

『Я』

 

ボルフの隣に現れた黒い式神は短く発し、シャッター音が僅かに聞こえた。

 

展延は賭けであり、領域展開の先を上回られた釘崎の取れる唯一の選択肢だった。

 

(コイツの術式が、自然界に存在する放射性物質から、放射線を精製する物であった場合……展延では防げない)

 

呪力を放射線に変えている場合のみ、展延による術式の中和は可能となる。

ピチピチと泡の弾けるような音がする。

 

(後者。だが……)

 

「マジか、コイツーー」

 

釘崎は展延により強化された身体能力で地面を蹴り上げて、即座に予測される照射範囲から離脱した。

 

放射線である以上、内包されるエネルギーが高いものであることはある程度まで想像できていた。

 

展延が押し切られる可能性が頭の片隅にあったからこそ、咄嗟に動けたが、無ければ棒立ちのまま殺されていた。

 

1秒。釘崎の展延を押し切り、チェルノボーグに被爆させられる時間は、僅か1秒。

 

被曝した部位によっては“共鳴り”で毒素を代謝させる事もそれ程難しくはない。

 

(身体に重篤な被曝症状が出た時点で、術式の使用は困難になる)

 

そして何よりも……。

 

ボルフは式神を消し、釘崎の仕込みを破壊する。

 

釘崎の結界術の素の速度では、ボルフの術式の方がより素早い。

 

(今の一瞬の攻防で見切られた!)

 

肌がくりたつ。展延を解くと云う選択肢を釘崎から奪うことを優先した立ち回り。

 

「領域展延」

 

ボルフの呪力が身体を包み、釘崎との距離を一瞬にして詰めた。

 

(性差を言うつもりはねぇが……体格から来る純粋なフィジカルの差は如何ともし難い)

 

ご丁寧にも呪力を纏ったナイフが横に振られる。

釘崎がそれを躱した刹那、感じた気配に金槌を手放した。

 

絡め取る様にボルフの腕に組みとられた脚に、釘崎はバランスを崩されながら、フリーにした手で地面を掴む。

 

全身の筋肉を使い、ボルフの腕を足で払い除ける。

だがそれもフェイント。

 

宙に投げ出たナイフをボルフは再び手に握ると、素早く刃を振る。

釘崎は転がりなら拾った金槌を思い切り投げ出る。

ボルフは油断なく、釘崎から距離を取る。

 

「良い反応だ」

 

ボルフは前屈みに構える。

 

「軍隊式近接格闘術……って訳ね。体術まで私より上となると、いよいよ覚悟する必要が有りそうね」

 

上がった息を整えながら、釘崎は苦笑いを浮かべた。

 

(格闘戦はアッチが上。術式の格もアッチが上)

 

総合的な呪力の運用レベルも間違いなく負けている。おまけに展延を使える以上は、領域展開も可能と判断して間違い無い。

 

術式から極ノ番は大方予想つく。核融合……つまりは熱核兵器。使われたらこの辺り一帯は“文字通り”消し飛ばされる。

 

領域勝負に持ち込めば或いは勝機が有るかもしれないが、領域に付与される術式の性質が無下限の様に今の運用と異なっている場合……拮抗した瞬間、自然界の放射線によって被爆させられる事も十分に考えられる。

 

(冥さんの話から残留する放射線も使用できるのは間違い無い)

 

「降参したら見逃してもらえるのかしら」

 

「縛りを結んだ上であればな」

 

「じゃあ無理ねッ!」

 

釘崎はアスファルトを蹴り上げた。

目潰しの意味は無い。だが行動の予測は取らせてもらう。

ボルフの気配は左右には移動していない。

 

(真っ直ぐ来る!)

 

『Здравствуйте!』

 

だが釘崎の予想に反し、アスファルトを透過した黒い式神が可愛い声で挨拶をする。

 

(ざっけんな!! 実体ねぇのかよ!? この式神ーー)

 

カシャ。

 

展延は解けない。左右に逃げるしか無いがーー。

式神が消え、代わりに展延をしたボルフの拳が釘先を捉えた。

「ッ゙ーー!!」

 

(腹にイイのを寄越しやがるッ)

 

そのまま服を掴み組まれ、地面に落とされる。

ナイフの光が反射する。

 

「済まない」

 

「今よーーテッサ!!」

 

「!?」

 

その声にボルフの手が僅かに緩む。

釘崎は呪力を腕に集め、ボルフの左腕を捻り折り、緩んだ拘束から抜け出した。

 

「嘘も方便。コッチは伊達に呪術師やってないわよ」

 

ボルフの腕が元に戻る。

 

「いい教訓になった。感謝する」

 

(あっそ。反転術式も使えんのね……はぁ)

 

参った。勝てる要素が微塵も無い。

 

腕を折られて眉も歪めない。痛みを感じて居ないはずは無いのに止まらない。

馬鹿みたいな耐久性と強靭な意志。

 

「さっきテッサとの話が少し聞こえたけど、あんた戦争を止めるために箭島勝が必要なんだってね? デケェ大人がガキ一人に恥ずかしいと思わないわけ?」

 

「思わない。“俺”の目的のために必要であれば全てを使う」

 

「目的? そんな大義があんたにあるわけ?」

 

「大義とは方便だ。それを口にする者がどういう結果を齎すか……少なくとも私自身の経験から、その無意味さも理解している。だからこそ行動によって、それは示されるべきだ。私は呪霊操術を戦争に利用させるつもりは無い」

 

「自分がそうだから、他人もしない筈だ……子どもの論理ね」

 

「ならばそれは、お前達にも当て嵌まるだろう」

 

「……たしかに。痛いところ突くわね」

 

「縛りによる拘束も独裁政権下では、1度の選挙内で掲げられた公約程度の効果しか保たない。だが時間を稼ぐことは可能だ。停戦合意が為されれば、両国の疲弊から数年単位での再侵攻は不可能になるだろう」

 

「その時間で何をする気? 国家転覆でも考えてるわけ?」

 

「マサル・ヤジマを自由にする」

 

「……は?」

 

予想外の答えに、釘崎は思わず聞き返した。

 




次回はロシア側の背景に触れるので、少しセンシティブな内容になるかと思います。
筆者としてはどちらに肩入れするつとり無いですが、気になる方は注意してもらえたら助かりますm(_ _;)m
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