if呪術 ネット意見取り入れ小説バージョン   作:パワーボム

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独自設定として、原作では宿儺の武器だった武神解をキャラとして登場させています(出し入れされるだけだったので)。

※筆者はジャンプ購読勢なので原作ネタバレがガッツリあります。

※単行本未収録の原作ネタバレがあるので注意してください。大切なことなので2度書いておきます。


【原作ネタバレあり注意】伏黒VS津美紀〜乙骨VS武神解

伏黒との攻防で津美紀は新たに32点を得ていた。

 

先ほど宮濔羅が断ち切ったビルの下敷きになった人々。

隠れていた一般人。生き残りの外国兵。そして呪術師。

 

死を敷き詰めた津美紀は問いかける。

 

「恵は死ぬのが怖い?」

 

津美紀の優しい声色に伏黒は答えなかった。

僅かでも隙を見せれば津美紀は容赦なく殺しに来る。

気付かないフリをし、目と口を塞いできた後悔を噛み締めながら……死を恐れている。

それでも尚、義姉を助けたい心に変わりが無いからこそ、伏黒は死んでも勝たなければならないのだ。

 

「……この世界は呪われているのよ」

 

津美紀は視線を下げる。憂いを宿した瞳と呟き。

 

「私を棄てた母も父も。きっと最初からどうでも良かったのよ。ただ……恵だけは大嫌いだった」

 

上げた顔は涙を堪える高校生の少女の顔があった。

そしてこれも……嘘なのだろう。

 

(円鹿の反転術式による回復は、オレの呪力ではあと2、3回が限界だ)

 

致命傷を避け続けなければ、一瞬で宮濔羅に殺される。

 

「泣き落としはできないのね。残念」

 

津美紀は一瞬にして表情を無に戻す。

 

隙を付いて瓦礫から飛び出した術者。黄櫨が津美紀に向かって自身の眼球を千切り投げた。

 

ゴッ!爆発に伏黒は津美紀から距離を取る。

 

「あなた誰?」

 

「ゴフッ」

爆風を払った宮濔羅が黄櫨の首を握り縊り殺す。

もげた頭と分かたれた胴体。

鮮血を踏みながら、津美紀は笑った。

 

こんなにも簡単に人は死ぬ。

 

なら恵はどうやって死ぬのだろうか。

苦しめて殺すつもりはない。ただただ死んで欲しいだけだから。

 

津美紀は呪力を巡らせる。

呪い、呪われた世界を津美紀は想像する。

 

全結界内の残り泳者の数は46人。その殆どは2つの東京結界内に集まっていた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

仙台結界11月13日15:25

 

乙骨憂太を取り囲むのは4体の特級呪霊と58体の一級呪霊。

 

露骨なまでの時間稼ぎだと乙骨は思った。

 

夏油傑が持つ点数は2764点。呪霊操術によって操られる呪霊の殺戮もカウントされ、羂索は既に単独トップに立っている。

後は死滅回遊の終了まで逃げ切るつもりなのだろう。

 

千年もの間、呪いを振りまき逃げ続け、この期に及びまだ恥も外聞も無く逃げ出せるその神経。

乙骨は腸が煮えくり返る程の怒りを覚えた。

 

「そんなに使って欲しいのなら……」

 

乙骨は指輪を左手の薬指にはめる。

 

「来いッ! リカぁあああっ!」

 

乙骨の絶叫に怒りを発露させる。

 

「ハァァァアイぃイイイっ!!」

 

完全顕現したリカの手が特級仮想怨霊、山姥を叩き潰す。

 

(ぜんぶ潰して……お前も殺してやるよ)

 

乙骨はリカから受け取った刀を構えた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

半分を刈り上げた髪。残りを三つ編みに結った大男。武神解は仙台の地を踏むとコガネを呼び出した。

 

(なるほど。羂索が警戒するだけの実力は有るようだな)

 

乙骨憂太と云う呪術師の呪力を肌で感じながら、結界内に残る千年ぶりの“名”を嗤う。藤氏直属征伐部隊「五虚将」の一人に名を連ねた武神解にとっては、いっそ憐れな女の名は滑稽に思えた。

 

「久しぶりだなぁ烏鷺ぉお!」

 

稲妻が虚空に走る。

その空間を捻じ曲げ、烏鷺は武神解へと跳ね返した。

 

「貴様も今度は羂索の狗に成ったようだな!武神解!」

 

雷を自在に操る武神解にとって、自身への避雷は恐れるに能わない。

更に電波による感知により、透過する烏鷺を捉えるように追いかける。

 

「ほざけ! 貴様ごとき下賤な女が私に話しかけるなッ」

 

空に向かって上る雷が烏鷺に直撃する。

感電に裂けた筋肉を反転で癒し、烏鷺は武神解に宇守羅彈を叩きつける。

 

空間が割れ、大男は瓦礫に吹き飛んだ。

 

千年前、烏鷺とは対局の道を武神解は歩んでいた。

藤原氏に才を見込まれ、取り入る事で地位も名誉も得た男に対する僻みを、烏鷺は今更持ち得ない。が、

 

「貴様の顔を見て愉快でいられる通り等あるものかッーー」

 

時を超えて尚、関わるとなれば話は別である。

何よりもこの男は両面宿儺の討伐失敗の責任を烏鷺に押し付けた本人であればこそ。

 

不愉快此処に極まる。

 

武神解は掌印を結ぶ。両手が塞がっても使用可能な術式であればこその利点ではあるが、烏鷺は怒りを禁じ得なかった。

 

「紫電の花、老熟なる双の竜、風技の麗ーー」

 

呪術における奥義は簡略化を目指し、掌印と呪詞による術式の強化はおざなりとなって久しい。

 

「半端な事をするーー宿儺に憧れたかッ」

 

戦闘において致命的な隙を見逃す烏鷺ではない。

 

だが……。

 

「しっても呪われるぅ!」

 

奇声を放つ呪霊が烏鷺の視界を遮った。

 

「矢斬り疾れーー雷鳴呪術極ノ番、絶華ッーーー」

 

120%まで威力を高めた稲妻が、烏鷺の肉を焼き切った。

 

己の生命を守る為、臓器への反転を優先させた烏鷺は、焦げた両腕を再生させる呪力を持ち得ない。

 

「手間を取らせるな。何者でもない女が」

 

「狗が……人語を介するなッ」

 

烏鷺を蹴り飛ばし、武神解はほくそ笑む。

 

「これは“縛り”だ。私に忠誠を誓うなら命助けてやる」

 

「喚くな、塵屑が」

 

「残念だーー」

 

武神解は雷を烏鷺に放った。

二度目の死さえ意味を持たない何者かをーー庇ったのは、乙骨憂太だった。

 

「大丈夫ですか……亨子さん」

 

呪霊の血肉を払い除け、乙骨は武神解と対峙する。

 

「有り得ぬ……」

 

あの数の呪霊を、この短期間で捌き切った実力に武神解は慄いた。

両面宿儺、呪の王と相対した恐怖が蘇る。圧倒的な暴力によってもたらされる死への恐れ。それが武神解が羂索に協力する理由であった。

 

しかし目を凝らせば、異能の少年の疲弊は明らかであった。

「くっ…くくっ。愚かな者だ」

 

武神解は自身の術式を拡張させる。

弱者を庇いながらの戦闘であれば、如何なる異能も意味をなさない。

 

「雷鳴呪術極ノ番、絶華ァア!!!」

 

周囲を取り囲んだ雷を、乙骨は己の呪力で受ける。

 

「ぐぁあっ……ぐぅっ…」

 

身体が焼かれる痛み。肉体が軋み、感覚が遠くなる。

 

「ふざけるな乙骨ッ」

 

足元で烏鷺が叫ぶ。

乙骨の絞り出した呪力は、雷の中から烏鷺を守り続けていた。

 

「言ったはずだ! 貴様のソレが無意味だとッ!」

 

「だから…どうしたんですかッ!」

 

痛みの中で乙骨は叫ぶ。稲光が瞬く。

 

「意味なんて自分で探しますッ…里香ちゃんが……僕を赦してくれた様にッ……」

 

目が霞む。それでも乙骨は呪力範囲を狭めるつもりは無かった。

 

「誰かになれないとか……貴方はそう言いながら…誰かを助けたハズですッーー」

 

烏鷺は死滅回遊の中で、一般人を殺害しなかった唯一の受肉泳者だった。それは自身のプライドのためかも知れない。だが乙骨は、その根底にあるものが善性だと信じたかった。

否定され、呪われるとしても。

最愛の人が、乙骨を護ってくれていた様に。

 

「だからッ……理由なんていらないッ……だから、生きてていいって、そう思って下さいッーー」

 

最後の力を振り絞り。乙骨は掌印を構える。

 

僕がそうだったように。心のなかで乙骨は里香を想った。

 

最愛の少女から受け取った形見の指輪の輝きが、武神解の雷鳴を引き裂く。

 

「領域っ……展開っーー!!!!」

 

雷鳴は闇に包まれ消え失せる。

廃墟と、そこに刺さる無数の刃。中空に水引が結ばれる。

 

真贋相愛。

 

乙骨の領域に合わせ、武神解は簡易領域を展開する。

打ち消される必中効果。乙骨は構わずに刀の一本を抜き取った。

 

「残念だったなーー」

 

武神解の余裕は、直ぐに剥がれた。

 

真贋相愛……模倣した術式の中から一つを結界に付与し、残る模倣術式を刀として展開する。それが乙骨の領域だった。

 

そして、既に領域に必中術式を貼り付ける余力は乙骨に残されいなかった。

 

ランダムに引き当てた術式に乙骨は目を閉じた。

 

(ありがとう。狗巻くんーー)

 

呪言。刀身に触れた武神解へと乙骨は言葉を紡ぐ。

 

「“死ね”」

 

何が起きたのか理解する間もなく、武神解は即死した。

 

 

 

 

 





筆者はジャンプ購読勢なので、原作ネタバレが今後もガッツリあります。
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