if呪術 ネット意見取り入れ小説バージョン   作:パワーボム

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色々な悪因の元凶とネット上で名高い日下部篤也

・一級最強
・にもかかわらず渋谷で戦わない
・優しい
・にもかかわらず軍師として生徒、“一般人”、同僚を次々と死地に追い込む

これらを内包させつつ再構築する無理難題の縛りに挑戦してみました。



軍師アツヤを活躍させる無理難題の縛り

10月某日。

 

1級術師に推薦されたことを、伊地知から聞かされた虎杖と釘崎は、2人である企画を練っていた。

 

1級術師は、呪術界における実質的な最上位階級であり、単独での国家転覆が可能な者に与えられる“特級術師”とは別の意味で重要度が異なる。

 

その為の心構え、という事もあったが、より明確なのはつまるところ好奇心の様なものだった。

 

題して『最強の1級術師は誰?』企画。

虎杖と釘崎がインタビューをしたのは4人。

五条悟。七海建人。冥冥。そして日下部篤也。

 

それぞれの回答はーー。

 

五条「さぁ、今はまだ冥さんか、御三家の誰かじゃない?」

 

七海「状況にもよりますが冥冥さんか、禪院直人さんでしょうね」

 

冥冥「強いてあげるなら、禪院直人だろうね」

 

日下部「オレか宇佐美以外の誰か」

 

答えを聞いた野薔薇は面白半分に続けて質問する。

『最弱の1級術師は誰なのか、と……』

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

「あまり感心しませんね。その様な質問は」

 

その質問に七海は呆れたように言った。

 

「1級術師は誰もが名乗れるものではありません。その心構えも、推薦の資格の一つですよ?」

 

釘崎を嗜めつつ、七海の声色は穏やかなものではなかった。

 

「す、すみません。ちょっと、調子に乗りました……ほら、アンタも頭下げるッ」

 

虎杖の頭を釘崎は抑えつけた。

 

「ごめん! ナナミンっ!」

 

虎杖と釘崎は、頭を下げて謝罪した。

 

「つか! 勝手に聞いたの釘崎じゃん!」

 

「はぁ。2人共、それぐらいにしておきなさい……先ほどと言いましたが“強さ”と云うものは場合により異なります。仮に呪術師としての戦闘力をそれと定義するのなら、最弱は日下部さんでしょうーー」

 

七海の答えに2人は顔を見合わせた。

 

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『一番弱いのは日下部だろうね』

 

七海の前にインタビューをした冥冥の答え。さらに遡れば、

 

『オレだろうな。術式ねぇし』

 

日下部自身がそう答え、

 

『日下部さんでしょ』

 

五条もまたそう答えていた。

 

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冥冥『最弱の1級術師は日下部だ。けれどもし誰かと任務に就かなければならないとするなら、私は日下部が一番いいね。簡易領域を使える術師は貴重だし……無理だと判断すれば、私と同じ様に逃げてくれるしね。後味が悪くない』

 

五条『僕が1級の誰かと任務に就くなら日下部さんを選ぶけどね。僕がしなくても、自分の身は自分で守ってくれるし。気を使う必要が無いっていうのは気が楽だ』

 

七海『もしも任務に連れていくのなら、日下部さんが最良です』

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

3人の強者の答えは、同じところに帰結したことに虎杖と釘崎は驚いていた。

 

「日下部さんは最も“優しい呪術師”です」

 

「それ、冥さんも五条先生も言ってたけど……」

 

「イマイチぴんと来ないのよねぇ」

 

虎杖と釘崎に、七海はコーヒーを入れながら話を続ける。

 

「例えば虎杖くんや、野薔薇さんは目の前で呪霊に襲われている人が居たとすれば何をしますか?」

 

「「助ける」」

 

「でしょうね。それはあなた達が“優しい人間”である証です。しかし、呪術師としては失格です」

 

2人の前に淹れたてのコーヒーを出し、七海は椅子に座る。

 

「呪霊の等級を考えましたか? その術式や戦闘能力を計算に入れて今の選択をしましたか?」

 

「そんなの……詭弁じゃん」

 

立ち上がろうとした釘崎の袖を、虎杖は掴み止めた。

納得しないまま、釘崎は座り直す。

 

「優しさとは時に悪意よりタチの悪い結果をもたらします。実力を過信すれば、より重篤な被害を与えることもある……己の身の丈を知るという事は、強さと何らの遜色のない1つの基準になることを覚えておきなさい」

 

七海は続ける。

 

「私が日下部さんを連れて行くと言ったのは、それが理由です。シン・影流を習得した実力、それに違わぬ努力と、経験に裏打ちされた彼の判断は、情に左右されません。恐れれば逃げ、勝てないと悟れば負けない戦い方ができる。呪いとの戦いに於いて必要なトリアージを行い、場合によっては一般の方を見捨てる選択も取ることが出来るでしょう」

 

「負け方を選んでるだけでしょう! そんなの納得できる人間の方が少ないに決まってる!」

 

「では野薔薇さんは、納得できませんか? 出来ないので有れば今すぐ今回の推薦は辞退しなさい」

 

七海はコーヒーを一口のんだ。釘崎は全部飲んだ。

 

「1級の任務はそれほど過酷なものです。必要に迫れれば、自身を捨て石とする必要がある。非情な訳ではありません。“必要だから”それを行う。己を知れば百戦危うからず。言うは簡単ですが、私自身、実現できる自信はありません」

「ナナミン……」

 

虎杖は七海と任務についた経験が有るからこそ、その言葉の意味を理解できた。

特級呪霊……真人。戦いの中で成長するのは人間ばかりではない。呪霊も時に急激な進化をし、戦況を一変させる事がある。

 

(オレが助かったのは、宿儺がいたからだ)

 

結果論だが、本来であれば七海と共に殺されていた確率の方が高かった。

 

「それが呪術師に問われる“優しさ”です。それとすみませんが、先程の質問を訂正させて下さい。最強の“1級術師”は日下部さんです。考えてみれば人手不足な呪術界として、理想は彼の様な人間でしょうから」

 

七海は五条と冥冥と同じ様にそう答えた。

 

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ここはどこ。ぼくはだれ。

 

生まれたての子どものような自我は雑音のような呪力に解けてリフレインする。

 

おとうさんはどこ。おにいちゃん。おねえちゃん。どこ。ドコ。どこ。

 

見えない魂の輪郭を求め、特級不定形呪霊、大熊猫は死滅回遊の結界を彷徨い始めた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

領域を展開させようとした秤を止めたのは、1級術師、日下部篤也だった。

 

「なにしやがるッ!」

 

「るっせぇ。また停学にするぞ」

 

大熊猫、パンダであった呪霊を見ながら、日下部は状況を整理した。

 

「アレはもう領域に入れても効果はねぇ。特にお前のはな」

 

必殺必中の領域であれば意味がある。しかしそうでなければ、無駄に術式を焼き切るだけだ。

 

(それにあれの呪力量……乙骨以上じゃねえか!)

 

単純な呪力総量だけで戦いは決する訳では無いが、アレは無理だ。

 

恩人である夜蛾。その子でもあるパンダ。可能であれば助け出したいのが日下部の本心だった。

 

(だが無理なものは無理だ!決定打がなさすぎる。クソ )

 

「死滅回遊の原則で、あの呪霊パンダは外に出られねぇ。取りあえず一旦引いて、1ヶ月の間に助ける方法は考えればいい」

「腰抜けがよぉ! またトンズラか?」

 

秤の安い挑発に乗るほど、日下部は冷静では居なかった。

 

「役割を果たせって言ってんだよ。お前の役割はここでパンダを助けることか? 違うだろうが。五条悟を開放する。羂索を殺す。死滅回遊を収束させる。この3つじゃ無かったのか?」

 

教え子を失ったことは一度や二度ではない。冷静でなければ無いほど、日下部は論理的に思考するクセがついていた。

 

「チッ」

 

秤は舌打ちをしながら、掌印を解いた。

 

「この結界を抜けるぞ。取りあえず禪院と合流してーー」

 

「誰と合流するって?」

 

憂憂に運ばれた真希が、カーテンの向こうから現れた。

 

「……あれはパンダか?」

 

徘徊する呪霊を真希は見上げる。

 

「分かるのか?」

 

「見えるっう方が正しいな」

 

真希の答えに、日下部は思考する。

 

「……パンダの核の位置も見えるか?」

 

「ああ。小せえな」

 

夜蛾から聞かされた呪骸の特性と合わせれば……あるいは日下部はさらに考えた。

 

「やれるかも……知れねえな」

 

「あ?」

 

「……お前らが死ぬ可能性があってもいいなら……やれる…かも?」

 

煮えきらない日下部に真希は鼻を吹かせた。

 





今回で
・優しさ
・一級最強
・戦わない
の致命的な三点に無理やり理由をつけて解消できたかと……。

無理難題の残る1つ軍師要素の回収は
次回のアツヤイヤーで行う予定です。
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