便利屋の部長   作:ピカ丸

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自暴自棄

 

何時間経っただろうか。

目が覚める。

起きた場所は最初に便利屋と会った公園。

 

 

ナツム「夢…だったのか?」

 

 

ムツキ「おっ!起きた?」

 

 

ナツム「…夢じゃないのか。」

 

 

途端にやる気を失い、もう一回寝ようとする。

夢じゃなかったのか…現実か…

 

 

ムツキ「ちょっと~、可愛い女の子が近くにいるのに二度寝するの~?」

 

 

ナツム「外見だけだろ。」

 

 

火炎放射器で暴れていたの忘れねぇからな。

そのおかげで少し助かったけど。

 

 

カヨコ「…寝るのはいいけど先に依頼料払ってくれない?」

 

 

ナツム「…いくらだ?」

 

 

気だるそうに起き上がり、財布を取り出す。

まぁ足りなかったら銀行から引き出せばいいか。

 

 

カヨコ「…円。

 

 

ナツム「なんて?」

 

 

カヨコ「(規制済み)円。」

 

 

……………。

…そんなに高いの?

え?俺の今の手持ちと銀行の貯金合わせても足りないんだけど!?

 

さっきまで無気力気味だったのに急に慌てだす。

 

 

ナツム「なにかの間違いだろ!?なんだよ(規制済み)円って!」

 

 

カヨコ「嘘はついていない。」

 

 

ムツキ「あれ~?もしかして払えないの?w」

 

 

もしかしてこいつら…ボッタクろうとしている?

だってそこまで重火器とか銃弾使ってねぇじゃん!

なんなら現地調達していた奴いたし!

 

 

カヨコ「まぁ、うちも風紀委員会に喧嘩売るようなことしてしまったから目をつけられてしまうからね。その分の補填とかも入っている。」

 

 

ナツム「それ俺に請求するなよ。」

 

 

ムツキ「私たちもゲヘナじゃあ活動しにくくなるからね~」

 

 

じゃあ最初からこの依頼拒否しろよ。

それなら俺だって…いや、今さらか。

 

 

アル「ようやく起きたのね。それで依頼料は…」

 

 

ナツム「なぁアル、(規制済み)円ってどういうことだ?」

 

 

今頃出てきたアルに問いかける。

もしかしてこいつらの独断じゃないよな?

 

 

アル「え?何よ(規制済み)円って…

 

カヨコ「社長ちょっとこっち来て。」

 

 

アル「ぐぇ!?」

 

 

出てきたアルをカヨコが勢いよくどこかに連れてった。

大丈夫かよ。

 

 

ナツム「おい、何をして…」

 

 

ムツキ「まぁちょっと待って♪」

 

 

ナツム「…なんだよ。」

 

 

ムツキ「払えないならいい仕事があるよ~」

 

 

胡散臭せぇ…

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

 

カヨコ「いい?うちにはもうお金がないの。あいつからボッタクらないともう今日食べる物も買えないの。」

 

 

アル「だからってあの依頼料は…」

 

 

事実、もう食事を買うお金もない。

これじゃあ事務所を構えるなんて夢のまた夢だ。

仕方がない、ここは…

 

 

カヨコ「本物のアウトローになるんじゃなかったの?」

 

 

アル「うっ…」

 

 

カヨコ「これもアウトローに向けての一歩だよ。」

 

 

アル「け、けど…うう…」

 

 

社長はまだ迷っている感じだ。

後もう一押し何かがあれば…

 

 

ハルカ「あ、アル様…」

 

 

アル「ハルカ!ってどうしたの!?」

 

 

帰ってきたハルカは目に涙を浮かべながら立っている。

廃棄する弁当をもらってくると言っていたけど…手には何も持っていない。

 

 

ハルカ「すみませんすみません…もらえなかったです…」

 

 

アル「だ、大丈夫よハルカ!よくあることじゃない!」

 

 

ハルカ「すみませんすみませんすみません…」

 

 

カヨコ「…お金があればこんなこともしないで済むのにね。」

 

 

アル「…」

 

 

カヨコ「どうする社長?あいつにいつもの依頼料を要求してもいいけど。」

 

 

アル「分かったわ…私はアウトロー。こんな小さな悪事なんて気にせずにやるわ。」

 

 

ハルカ「あ、アル様…!」

 

 

小さな悪事と言っても相場の10倍以上なんだけど…

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

 

ムツキ「こことかどう?」

 

 

ナツム「…」

 

 

ムツキ「ねぇねぇ。」

 

 

アルとカヨコがどこかに行ってから数分。

その数分間、俺はずっとこいつに絡まれている。

怪しそうな求人雑誌を広げて見せてくるし、絶対お前らの言う金額では払わないからな。

 

 

カヨコ「お待たせ。」

 

 

ようやく戻ってきたか。

 

 

ナツム「それで、最終的にどうなんだ?」

 

 

正直かなりイラついている。

1人でいたいのにここに長いこと拘束されているからな。

 

 

アル「今回の依頼料は(規制済み)で間違いわ!」

 

 

ナツム「…そうか。」

 

 

ゆっくりと立ち上がり、銃を引き抜く。

 

 

カヨコ「…っ!」

 

 

カヨコが先に反応してきたか。

だが関係ない。

 

バァン!

 

空に向けて威嚇射撃をし、もう一度聞き返す。

 

 

ナツム「それで、どうなんだ?」

 

 

もはやすべてがどうでもよくなった。

依頼料とか人間関係とかすべて。

 

 

アル(ど、どうしましょう!?あの風紀委員会の新星ヒナと渡り合うほどに強いのを敵にしえしまったわ!?)

 

 

カヨコ「今すぐ銃をおろして!」

 

 

ナツム「なんだ?正義気取りか?俺もお前も救いようのない悪だというのに。」

 

 

カヨコ「…」

 

 

銃をアルの方に向ける。

 

 

ナツム「もう…どうだっていいんだよ。」

 

 

アル「…そう」(やばいわ!どうしましょう!?)

 

 

引き金をゆっくりと引く。

 

バァン!

 

弾はアルの顔の横を通り過ぎ、後ろの木にあたった。

 

 

ナツム「…次は当てる。」

 

 

2発目を撃とうとまた引き金を引こうとする。

 

 

ハルカ「アル様を傷つける害虫は…許さない!」

 

バァァァン!

 

腹に当てられたか。

腹筋の辺りをさする。

一応、ヘイローはあるから軽い怪我で済むが、くすぐったい。

 

 

ハルカ「許さない許さない許さない…!」

 

バァァァン!バァァァン!

 

連続して撃たれる。

1発目は腕に、2発目は足に当たる。

これもくすぐったいだけで痛みはない。

 

 

ナツム「いい加減にしやがれ。」

 

 

ハルカのショットガンを掴み、銃口を俺から外させる。

それでもハルカは俺を睨み続ける。

 

 

 

イオリ『この…裏切りものが!』

 

 

 

…っ!

嫌な記憶が掘り返される。

 

 

ナツム「そんな目で…俺を見るなぁぁぁ!」

 

 

銃ごとハルカを地面に叩きつける。

 

 

ハルカ「…ぐっ!?」

 

 

もうずっと大人しくしてくれ。

そう願う。

 

 

ムツキ「いや~、まさか銃で踏み倒そうだなんてねw」

 

 

ナツム「…あんたらが先に吹っ掛けてきたことだ。」

 

 

ムツキ「ハルカちゃんは関係がないけどね。」

 

 

ナツム「…」

 

 

少し、下をうつむいてしまった。

その隙を見逃さなかったのだろう。

 

 

カヨコ「ムツキ!」

 

 

ムツキ「よっと。」

 

 

カヨコにタックルされ倒れ、ムツキに上から馬乗りにされマシンガンを頭に突きつけられる。

 

 

ムツキ「どうする?降参する?」

 

 

ナツム「…勝手にしてくれ。」

 

 

観念して拳銃を手放す。

金のことに執着していたのがアホみたいだ。

 

 

ムツキ「やったねカヨコちゃん♪」

 

 

カヨコ「油断しないでムツキ。」

 

 

ムツキは銃を離してくれたが代わりにカヨコが拳銃を突きつける。

もはや抵抗する気もない。

自由にしてくれ。

 

 

アル(し、〇ぬかと思ったわ…)

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

 

ナツム「それで、俺はどうなるんだい?」

 

 

銃を取らあげられ、木にも縛り付けられた。

元より何もする気がないのだが一種の保険だろう。

 

 

カヨコ「それね。依頼料に加えて攻撃もされたしで慰謝料も込みで2倍の値段になるわ。」

 

 

2倍か…

元の値段でも払えないほどだ。

これじゃあしばらくは支払えない。

 

 

ムツキ「いい金融業者紹介してあげるよ~w」

 

 

アル「大丈夫ハルカ?」

 

 

ハルカ「私は大丈夫ですけど…アル様は…」

 

 

アル「私は問題ないわ!これでもアウトローなんだから!」

 

 

ハルカ「さ、さすがですアル様!」✨

 

 

ケガしてないのにアウトロー関係ないだろ。

そうツッコみたくなるような気持ちを抑え、この後について考える。

ムツキの言う通りに金融業者から金を借りて払うか、紹介された仕事でもして稼ぐか。

このくらいしかないだろう。

このくらいの人数だったら戦っても勝てるだろうが、もうそんな気にならない。

なりたくもない。

 

 

ナツム「もう早く決めてくれ。」

 

 

自暴自棄になりかけ、選択をあちらの判断に委ねる。

どう転ぼうが、俺の人生は変わらないだろう。

 

 

カヨコ「どうする社長?」

 

 

ムツキ「アウトローなんだから想像もできないくらいすっごい答えが出るよね?」

 

 

ハルカ「私はアル様がどのようなことを言っても一生ついていきます!」

 

 

アル「そ、そうね…」

 

 

アル(どどど、どうしましょう!?こんなこんなことになるなんて…)

 

 

アル(借金させるのも可哀そうだし、だからってブラックマーケット絡みの仕事をさせるもの…)

 

 

アル(こ、ここはアウトローらしく…!)

 

 

悩んでいたように見えたが、ようやく決断したみたいだな。

さて、どんな結末が俺にはお似合いかな?

 

 

アル「ナツム、便利屋68に入りなさい!」ドンッ!

 

 

ナツム「…はぁ?」

 





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