便利屋の部長   作:ピカ丸

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偶然

 

ブラックマーケット

 

ブラックマーケットへたどり着いた俺は、カイザーローンの闇銀行近くのビルで双眼鏡を手にし、奴らの動向を注意深く確認する。

あいつらは金を現金輸送車を使って回収する。

まだそれっぽいものは見えていない。

 

 

ナツム「…」

 

 

ここブラックマーケットは連邦生徒会でも制御をすることができない地域だ。

はっきり言おう、ゲヘナよりも治安が悪い。

ゲヘナは風紀委員がいるからまだ治安は保たれている。

…お世辞にも良いとは言えないけどな。

 

ぎゅうぅぅぅ…

 

ナツム「…腹が減ったな。」

 

 

時刻は正午近く。

いつもより早めに朝食を食べたからか、腹が減るのが早かった。

 

 

ナツム「…ん?」

 

 

ビルの下を見ると、そこにはたい焼きの店がある。

 

 

ナツム「小腹程度にはちょうどいいか。」

 

 

まだ現金輸送車が来る気配もなく、ずっと同じ体制で体にも疲労が溜まっていたので、気分変換がてら、たい焼きを買いに行こう。

 

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

 

セリカ「はぁ…しんど。」

 

 

ノノミ「もう数時間は歩きましたよね…」

 

 

ホシノ「これはさすがに、おじさんも参ったなー。腰も膝も悲鳴を上げているよー」

 

 

みんなとの話し合いの結果、この前戦ったヘルメット団の戦車の破片を手掛かりににブラックマーケットへと歩いてきていた。

歩きだけでの移動はつらく、キヴォトス人のみんなも疲れているのに、普通の人の私からすれば拷問や地獄と変わりなかった。

 

 

ヒフミ「えっ…ホシノさんはおいくつなのですか…?」

 

 

セリカ「ほぼ同年代っ!」

 

 

先ほどチンピラから助けたヒフミがホシノがおじさんだと自称していることに戸惑っている。

私も最初はどうしてそうしているのか戸惑った。

 

 

ノノミ「あら!あそこにたい焼き屋さんが!」

 

 

ホシノ「あれ、ほんとだー。こんなところに屋台があるなんてね。」

 

 

ノノミが指さした先にはこの場には少し似合わないたい焼き屋があった。

そして、その近くに見覚えがある子がいた。

 

 

ノノミ「あそこでひと休みしましょうか?たい焼き、私がご馳走します!」

 

 

セリカ「えっ!?ノノミ先輩、またカード使うの!?」

 

 

ホシノ「先生の大人のカードもあるよ~」

 

 

ノノミ「ううん、私が食べたいからいいんですよ☆みんなで食べましょう、ねっ?」

 

 

“それよりもさ、あそこにいるのって…”

 

 

私がたい焼き屋の近くの子を指さすと、シロコがその子の存在に気付いたのか目にも止まらぬ速さで‟彼”に飛びついた。

 

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

 

ビルから出て、たい焼きを二つ買い、近くのベンチに腰掛ける。

ここはあまり治安が良くないからあまり外に長居したくはないが、体の疲れのせいで中々立ち上がれずにいた。

 

 

ナツム「さすがにそろそろ戻らないとな。」

 

 

決意を決め、やっと重い腰を上げようとした時…

 

 

 

俺はなぜかシロコに馬乗りされていた。?????

いったい何が起きたのでしょうね。

 

 

シロコ「やっと見つけた。」ハイライトオフ

 

 

ナツム「えっと…どちら様?」

 

 

シロコ「とぼけても無駄、匂いでナツムだってわかる。」

 

 

H・E・N・T・A・Iかよこいつ。

…いや普通に変態だこいつ。

 

 

ナツム「…何をしたらどいてくれる?」

 

 

シロコ「ん、私のモノになったらどく。」

 

 

ナツム「それ以外は?」

 

 

シロコ「ない。」

 

 

詰んだわ。

こいつ執着心が強すぎて一度アビドスを訪問した時も引き離すのが大変だった記憶がある。

あの時はホシノとかにも助けてもらえたから何とかなったけど…近くにいねぇかな?

 

 

ノノミ「も~、いきなり飛びついちゃナツムも困るでしょシロコちゃん。」

 

 

ナツム「ノノミか、すまないがシロコをどかしてくれないか?」

 

 

ノノミ「は~い☆」

 

 

シロコ「ん、ノノミ、ここでナツムを逃がしちゃうと、次いつ会えるかわからない。」

 

 

ホシノ「まぁまぁ、シロコちゃん落ち着いて。」

 

 

続々とアビドスの面々が集まってくる。

中には見知った顔もいる。

 

 

ナツム「なんでお前らがここに…」

 

 

ホシノ「まぁ~、ちょっと用事があってね~」

 

 

ナツム「どういう用事だ?」

 

 

ホシノ「それはナツムが先に言わないと、ね?」

 

 

ナツム「…お見通しってわけか。」

 

 

大方こいつらも回収された金がどこに使われているのかを確認しに来たんだろうな。

ここでばったり出会うとは思わなかったがな。

 

 

セリカ「ホシノ先輩、この人って…」

 

 

ホシノ「うん、昨日襲撃してきた便利屋の一人だよ。」

 

 

セリカ「お前が…」

 

 

“落ち着いて、セリカ。”

 

 

セリカ「落ち着いていられるわけないでしょ!敵が目の前にいるっていうのに!」

 

 

ホシノ「まぁまぁ、ここはおじさんにまかせてよセリカちゃん。」

 

 

ホシノが一歩前へ出て、俺と対峙する。

 

 

ナツム「…昨日のことで怒っているのかい?」

 

 

ホシノ「いやいや、違うよ~。むしろナツムが今何をやっているのかを知れてうれしいくらいだよ~」

 

 

ナツム「じゃあなんだよ。」

 

 

ホシノ「う~ん、そうだね~…」

 

 

ホシノが何かを考えているとき…

 

 

アヤネ『お取込み中失礼します!そちらに武装した集団が接近中!』

 

 

シロコ「!!」

 

 

アヤネ『気づかれた様子はありませんが…、まずは身を潜めた方が良いと思います。」

 

 

ヒフミ「う、うわあっ!あれはマーケットガードです!」

 

 

マーケットガードか、厄介だな。

ホシノたちのオペレターの言う通りに隠れた方が良さそうだな。

見た感じあいつらはパトロールというよりかは何かを護衛しているような陣形だ。

ビルの中に隠れれば何とか気づかれないでやり過ごせそうだな

 

 

ナツム「全員こっちに来い。」

 

 

「「「…え?」」」

 

 

ナツム「あのビルの中だったらやり過ごせる。」

 

 

俺が先ほどまでいたビルを指さし、走り出す。

 

 

ナツム「ついてくる来ねぇは勝手だ。」

 

 

ホシノ「いやぁ~、やっぱ優しいね。」

 

 

ナツム「うるせぇ。」

 

 

―――――――――――――――――――――――――――

 

 

その後、全員ビルに入ってマーケットガードが通り過ぎていくのを見届ける。

その後ろからはお目当ての現金輸送車が通っていくのを確認した。

 

 

シロコ「トラックを護送している…現金輸送車だね。」

 

 

ノノミ「あれ?あっちは…」

 

 

現金輸送車はそのまま闇銀行の方へと向かっていった。

 

入口では運転手と警備員らしき人が書類にサインをして通してもらっている。

 

 

ノノミ「見てください…あの人…」

 

 

セリカ「あれ…?な、何で!?あいつは毎月うちに来て利息を受け取っているあの銀行員…?」

 

 

ホシノ「あれ、ホントだ。」

 

 

ヒフミ「えっ!?ええっ…?」

 

 

シロコ「…どういうこと?」

 

 

アヤネ『ほ、本当ですね!車もカイザーローンのものです!』

 

 

アヤネ『今日の午前中に、利息を支払った時のあの車と同じようですが…なぜそれがブラックマーケットに…!?』

 

 

周りの反応を見るに、俺が探していた現金輸送車はあれで確定みたいだ。

 

 

ヒフミ「か、カイザーローンですか!?」

 

 

ホシノ「ヒフミちゃん、知っているの?」

 

 

ナツム「逆にお前知らないの?」

 

 

ホシノ「うん。」

 

 

うっそだろお前。

借りてる側だろ?

 

 

ノノミ「借りたのは私たちじゃないんですねどね…」

 

 

…借りていたのは前の世代の先輩たちだし、知らないのも無理ないか。

 

 

ノノミ「そういえば、いつも返金は現金だけでしたよね。それはつまり…」

 

 

シロコ「私たちが支払った現金が、ブラックマーケットの闇銀行に流れていた…?」

 

 

セリカ「じゃあ何?私たちはブラックマーケットに、犯罪資金を提供してたってこと!?」

 

 

アヤネ『…ま、まだそうハッキリとは…証拠も足りませんし。あの輸送車の動線を把握するまでは…』

 

 

ナツム「そこまでわかっているなら証拠とかいらないだろ。」

 

 

アヤネ『ですが…』

 

 

ナツム「確定要素が欲しいならさっきサインしてた集金の書類を見りゃいい。」

 

 

シロコ「さすが。」

 

 

ヒフミ「でも考えてみたら、書類はもう銀行の中ですし…無理なのでは…」

 

 

じゃあどうしろってんだ。

あの銀行異様なほどセキュリティー強いぞ。

キヴォトスで一番強いやつでも……多分突破できるけど。

 

 

シロコ「ホシノ先輩。ここは例の方法しか。」

 

 

ホシノ「なるほど、あれかー。あれなのかぁー」

 

 

?何をする気だこいつら?

 

 

ノノミ「あ…!そうですね、あの方法なら!」

 

 

セリカ「何?どういうこと?…まさか、あれ?私が思っている方法じゃないよね?」

 

 

ナツム「なんだ“あれ”って?」

 

 

シロコ「…」 

 

 

セリカ「う、嘘っ!?本気で!?」

 

 

ほんとに何をするつもりだ?

なんか悪寒がただならないんだが…

 

 

シロコ「その方法は一つ…

 

 

 

 

銀行を襲う。」

 

 

ナツム・ヒフミ「「はいっ!?」」

 

 

 

 

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