灼き焦がす日輪の炎刀   作:軋島枷臣

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至高の一太刀

「なんなんだ...これは」

 

屋敷に入って目に飛び込んできた光景を見て、その感想しか湧いてこない。

引きちぎられた四肢。二つに裂かれた頭部。あらぬ方向へと折れ曲がった腕。死屍累々という言葉はこの時のためにあったかのような場に、言葉が出ない。

 

「ぎゃあぁぁぁ!」

 

「!?」

 

そうして絶句していた時、近くから人の絶叫が響いた。

 

「どうし...っ!」

 

(ふすま)を乱暴に開け部屋に飛び込んだ先には、首を掴まれ今にも殺されそうになっている隊士がいた。

 

―炎の呼吸 壱ノ型 不知火―

 

素早く踏み込み、掴んでいた腕を切り落とす。

 

「けひゃひゃひゃっ。これはこれは。のこのこ餌がまた一人」

 

そう言いながらゆったりと振り向く痩躯の鬼の目には、下壱(・・)の文字。

 

(チッ、よりによって十二鬼月かよ)

 

ここら付近で隊士が失踪しているという報告が相次ぎ、甲の俺達が派遣されたが、他の甲がこれ程圧倒されるとは。

 

「そろそろ鬱陶しくなってきたねぇ。一度掃除のお時間だ」

 

メキッ、と音を立て腕を瞬時に再生させる鬼。そう言葉を発するや否や、向かいの隊士の元へ瞬く間に踏み込んだ。

 

「なっ、ぐぁっ!」

 

踏み込んだ勢いそのままに腹を拳で貫いた後、返す手で後ろから飛びかかってきた隊士の頭を砕く。この一瞬でこの場に9人いた隊士が既に7人に減ってしまっていた。

 

「クソ!」

 

俺も炎の呼吸で切りかかるが首にはあと一歩届かない。

 

「がはっ!」

 

一人は壁に叩きつけられ絶命し

 

「うぁっ!」

 

一人は鬼の体から飛び出した骨で脳天を貫かれ

そうしていつしか、この場には自分しか立っていなかった。

 

「けひゃひゃひゃっ。どうだい?力及ばず同胞が散っていく様を見るのは」

 

向こうの受けた傷は全快しており、ピンピンしている。それに比べ自分は、脇腹を浅く切り付けられ、所々の骨にヒビが入っている。

 

「お前だけは少し骨があったよ。誇りなね。まあ誇ったところで、死んだら自慢できないけどねぇ!」

 

そう言って、尖った骨が突出した掌を前にして鬼がゆったりとこちらへ歩いてくる。俺はそれを目の前にして、静かに目を閉じた。

 

 

 

◆ ◇ ◆ ◇

 

 

 

私の血鬼術は骨を自在に操る。鋭利な形状にした骨を切りかかってきた来たやつに突き出すだけであら不思議。そいつはどこかしらに傷を負う。今回もそうやって鬼殺隊の奴らを(なぶ)り殺していたら、案外骨のあるやつがいるじゃないか。まあそいつも今私の前でフラフラ突っ立ってるんだがね。

ゆっくり、ゆっくりとその隊士へと歩を進めていく。理由は単純明快、これが一番絶望を突き付けられるからさ。何もできない自分の無力さを存分に悔いて死ぬといいさ。あらあら目を閉じちまった。こりゃもう諦めちまったねぇ。その潔さに免じて、時間をかけずに殺してやろう。まあかけないって言ったって、突き刺して引き裂いて、意識がある状態で体を貪り食ってやるがねぇ。けひゃひゃひゃひゃっ!

おや、刀に手を置いたのかい?可哀そうに、抵抗しなかったら痛み少なめで死ねたのにねぇ。あら、体を捻って下を向いちまったよ。よっぽど痛いのかねぇ。かわいそうにかわいそうに。

 

あれ、視界が突然変わった?上に向かって飛びあがって、ぐるぐるまわって、...

 

ドチャッ

 

 

 

◆ ◇ ◆ ◇

 

 

 

俺の動きには無駄が多い。それはこの戦い以前にも、そしてこの戦いで痛いほど再確認した。

 

無駄なことを考えるな。痛みを忘れろ。不純物があれば固い鋼にはならない。

 

切ることだけを考えろ。それ以外は要らない。

 

頭が白くなる。極限の集中に、脳は思考することも忘れ、瞼が開く。

 

次第に世界が透けてくる。皮膚を透過し、鬼の筋繊維が収縮する様が目に映る。

 

叩き上げ、収斂し、無我となり―――頭には斬の一文字が残る。

 

夜の屋敷の中に、黒曜の刀が閃く。

 

 

―炎の呼吸 奥義 玖ノ型

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

煉獄





〜明治コソコソ噂話〜
縁優が派遣される前に数十名の隊士が派遣され、その内には甲の者も数名含まれていた。しかし今回の戦いで全員死亡し、鬼殺隊は人員不足の悪化に頭を悩ませることになる。
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