おじさんと共に建物の中に入ると、武装をした冒険者グループがいたり、酒盛りをしている集団やカウンターに受付をしているお姉さんがいた。
「よお、アビルダ。こいつが冒険者として登録がしたいんだとよ。」
そういうと、受付のお姉さんが僕を見たあと微笑んだ。
「私はアビルダって言います。冒険者登録ですね。こちらに必要事項を記入いたしますのでお名前と戦闘スタイルを教えてください。」
どのような武器を使うべきだろう。あっちの世界では、武道の経験もないし特に運動をしていたわけでない。だとするとレンジの長い槍か、弓だろう。しかし弓だと矢を買うなど必要な出費がかさむであろうから、槍一択だな。
「僕はそうっていいます。使用武器は槍を考えています。」
そうすると受付嬢はその情報を紙に記入を始めた。しかし、この世界の言葉は聞こえるし、話すことはできるのだが文字を読むことができなかった。文字が読めないことのディスアドバンテージは計り知れないものだ。
「冒険者は駆け出しのカッパーから始まりアイアン、シルバーと昇格していきます。そうして冒険者として一握りしかなれないアダマンタイト冒険者が冒険者としての最高位になります。」
その後、冒険者についての規約や注意事項などを受け無事に登録することができた。冒険者ギルドに出た際に黒いフルプレートの鎧を着た戦士系の冒険者と軽装の絶世の美女とすれ違った。これが僕と冒険者モモンとナーベの邂逅であった。
ええええちょっと待って、さっきの二人見たことがあるぞ。まてまて一回落ち着こう。あれらがいるってことは、ここはオーバーロードの世界であり、今いる場所は城塞都市エ・ランテルということか。現在の時系列で言えば、モモンが自分と同じカッパーのタグをつけていないていうことは今から冒険者として登録するってことかな。つまり、カルネ村を救ったあとって推察できる。
「おいどうしたそう。また悩み事か?」
「気遣ってくれてありがとうございます。ダルクさん。報酬としては早いですけど溶けてしまうのでこれを今食べてください。」
そう言って、溶けかけのアイスをスプーンを手渡した。最初はスプーンに少しつけて毒見をするように食べていたが、ハゲラッツのおいしさに気付いたのかすごい勢いで食べ始めた。
「なんだこの、冷たくて頬が溶けるように甘くねっとりと濃厚な牛の乳は。こんなの貴族でも食べれるかわからないレベルの代物だぞ。てめぇは身なりが良くて、敬語も使えて、傷一つもねぇ綺麗な手だから、村から来たって割にはおかしいし、貴族だっていうならあそこで突っ立てる意味が分からねえ。深くは詮索しないけどよお。たまには人助けするもんだな。」
この男の観察眼が凄すぎて、冷や汗だらだらになりながら、自分の立ち回りの甘さに気付いた。この世界は、日本とは違い犯罪も横行しているし、命は軽いものだ。だから発言や自分がどうみられるのか細心の注意を払う必要があると実感した。ダルクっていう男はこの都市で長く冒険者をやっているようでいろいろな伝手があるようだった。今着ている服を売り払ったら、結構高値でうれたので、その費用で最低限の衣服をそろえた。その次に行った鍛冶屋や雑貨屋などでもお世話になり、1週間は暮らしていけるぐらいの費用が手元に残ることになった。
「ダルクさん、本日は案内ありがとうございました。いろいろなお店と顔見知りになれましたし、必要最低限の常識や心構えなど勉強になりました。」
「いいってことよ、明日から怪物狩りか?気張りすぎて早死にするなよ。そうが死んだら目覚めが悪いしな。」
「それではまたお元気で」
そうしてダルクさんと別れ、宿に着き筋トレを始めた。初めはゴブリン辺りと戦うのがテンプレだろうけど、戦闘経験がないうちは基礎を磨くべきだ。薬草採取の依頼と並行しつつ槍の取り扱いになれなくては。オーバーロードのストーリーの流れとしては、この後の出来事として、モモン達一行がカルネ村に行ったり、クレマンティーヌが漆黒の刃のパーティーメンバーを殺して、モモンと墓地での戦いだよな。大丈夫、命にかかわるようなイベントはないはずだ。死ななければ負けではないこれを胸に刻んで精進しようと誓うそうであった。