えっ!?トリニティで血の教えを!?   作:ふぃーあ

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ちょろっと出てきていた「血炎教団」の面々の顔見せ会となります。その性質上、半オリジナルキャラクター及びキャラクター性のほぼ存在しなかったキャラへのキャラクター性付与があります。


映画〇〇えもん!狂信者たちと「秘蔵の隠し玉」!って?冗談ですよ、冗談……

 熱意に燃える女がいる。それを冷ややかに眺める女がいる。呆れたように肩をすくめる女もいる。地下特有の冷気が満ちていたはずの部屋は、女の気炎と中央の文明感溢れる光で明るく熱くなっていた。

 

 そこは、血炎教団……今はモーグウィン派を名乗る組織の秘密の集会場。かつては教団の聖槍が安置され、教祖と共に祈りを捧げる儀式の祭壇であったそこは、モーグウィン派になると共に聖槍は円卓へ、跪いた信者は円卓を囲み座す者たちへと変わっていた。

 

「改めて、ごきげんよう諸君」

「ごきげんよう」

「…………(小さく頭を下げる)」

「どーも、教祖代理。お疲れのところにどうしたのかしら」

 

 各々方に反応を返す面々に軽く頷いて、女……現教団教祖代理、明日葉ラミナは口を開いた。

 

「アミ様よりお言葉を受け、アリウス自治区へと進撃することとなった。アミ様の用意したルートを用いて、少数精鋭でだ。我々の役目は露払い。アミ様の覇道を塞ぐ物、その一切を撃滅せよ」

 

 その場の全員が、その言葉に一二を問わず、疑義を呈さず。

 

「ならば、明日葉よ。我らにそれを命じたまえ。一切の撃滅となれば、我ら『血の指』の右に出るものなし」

 

 そう代表して述べた、アミから下賜された老翁の面を被った女は、ラミナへそう訴え出た。

 

「無論、君らの力も借りることになる。だが熾名(おきな)、そう焦るな……山鴉(さんあ)もな」

 

 ラミナはそう言って、場に会した教団最高戦力……アミ手づから育て上げた者たち、『血の指』を見回した。

 

 人を斬ることに喜びを覚える異常性癖をアミの手によって矯正された者、名を熾名イナバ。翁面の女である。

 

 声を出すことが出来ず、意志を読み取ることができるアミとだけ苦労せず意思疎通が行える性質によりアミに心酔する者、名を山鴉キョウ。禍々しい黒衣の女である。

 

 最後に、「餐」の追求を行い続けた果てに美食研究会と対立したところをアミに助けられた者、喰獅(くいし)ノラ。その身は高貴さを感じさせるアレンジ制服でまとめられている。

 

 以上3名とその配下でもって、血の指は成る。

 

 ラミナが彼女らを呼び集めたのはもちろん、アミに希い手に入れたチャンスをモノにするためである。そして、アミに己の忠誠を証明するための戦いを、全員が望んでいると確信しているためである。

 

「命じよう。汝ら血の指、明後日の朝までに支度を整えよ。無様は許されないと思え……異議や質問は?」

「「ない」」

「山鴉、あなたは?」

「……(静かに首を振る)」

 

 では、とラミナは作戦の具体的な部分へと踏み込む。

 

「本作戦はアミ様の突入までの時間稼ぎ、及び突破口作りだ。アビドス高等学校、ゲヘナ学園、トリニティ総合学園の三校から、至上の戦力を整え行われる一大作戦となる。その性質上、最小人数で手早く突破する必要がある」

「無論だの。連れの者を連れるとしても余程のものでなくてはなるまいよ」

「えぇ……私はレイを連れていくわ。アレを連れていかないと後が怖いし。二人は?」

 

 ノラが深谷レイを連れていく旨を述べると、それぞれ反応があった。

 

「ふむ……キョウは恐らく連れていかないのであろう?」

「(こくん、と頷く)」

「なら私も不要だな。屍山血河の邪魔となろうし……我が仲間内にはレイより上の練度を持つものはおるまいしな」

「なら、メンバーはここの3人にラミナ、レイね」

 

 そうノラがまとめようとして、ラミナが遮る。

 

「まあ、待て。今回はナタを加えるつもりだ……自分の秘蔵でね」

「あぁ、あの一緒にスイーツ食べてる子? 可愛いわよねぇ、部下に欲しくなっちゃう」

「喰うにしても同級生を喰うのはやめておいてほしいのだがな……正義実現委員会のあの女と違って根も葉もない噂というには色々とありすぎる」

「仕方ないじゃない、可愛いのだもの……で、ナタちゃんは戦えるわけ?」

 

 ラミナは肝心要の質問に、口角を上げて答える。

 

「無論。私の全てを叩き込んだ後輩だ……このくらいはやってもらわねばな」

「重い信頼よの。しかし……そこまで言うのなら、期待させてもらうぞ? ラミナ」

「ふふ……まだ気付かないのか。ここの所戦いも減ったからというが衰えたか? それとも、お前がやるようになったのかな……なあ、なーたん?」

 

 そうにこやかにラミナが言うと、ふわりと香る血の香り。弾かれたように匂いの方向を向くノラとイナバの前に、一人の少女が立っていた。

 

「あ、あの……朱貴(しゅき)ナタです。ご一緒させて、いただきます。よ、よろしくお願いします……」

 

 小さな少女。目元は髪で隠れ、口元は赤の首周りに金の肩飾りのついた独特なローブで覆われている。纏っているローブは、「血の司祭(貴族)のローブ」と呼ばれる、血炎教団の司祭役職にアミから下賜される司祭服であった。

 

 ちなみに深谷レイが愛用しているのはこのローブではなく救護騎士団にいた時の制服であるが、これは「全てをアミ様に捧げては自我を失うから、せめてなにかひとつだけは己を保つことで捧げる自我を残すため」であるとか。上司であるノラはそれを聞いてドン引きした。

 

「……はぁー。私ももう引退かしら? いつから居たのとは聞かないわ、最初からでしょ? レイを鍛えないとねぇ……」

「まだ引退を考えるのはちと早いが……確か一年生であろう? よくそこまでの練度を身につけたの……」

「まあ、私の教えもあるが……はっきり言えば、ソイツは才能の怪物だよ。これからは君らからも是非何か教えてやってくれ、私だけじゃもう手に余る才能なんだ」

 

 お手上げ、と言わんばかりに愚痴るノラに、ひとしきり感心と頷くイナバ。キョウは最初からその存在を看破していたようだが、言葉を発することがないゆえに黙していたらしかった。その証拠に、キョウは無言で立ち上がる。

 

「……」

「あ、ふぇ? えっと、キョ、キョウさん?」

「っ!!」

 

 力強く抱き締め、ナタの頭を撫でるキョウ。そのままポケットから流れるようにスマートフォンを取り出し、凄まじいスピードで文字を打ち込んだ。それは音声出力アプリ。普段使わないそれを、キョウは躊躇いなく使っていた。

 

『よくここまで鍛えたね! 隠密関連はおねーちゃんが色々教えてあげるから任せて!!』

「え? そ、その……いいんですか? 私なんかに……」

『いいの! い──の!! 遠慮しない! 私を誰だと思ってるの? 血の指随一の潜入工作特化、裏工作のキョウさんだぞっ!』

 

 本性を初めて皆の前でさらけ出したキョウは、躊躇いなくナデナデと頬をモチモチでナタを堪能しながら、ナタを抱え上げてすとん、と自分の膝の上に置き、後ろから抱き留める。声が出るなら間違いなく歌でも歌いそうなほど上機嫌なキョウに全員が言葉を失っていた。

 

「……お前、そんなキャラだったのか……」

「さすがに予想外ね……」

「年寄り口調、お嬢様口調、自分で言うのもなんだがダウナークールと来て、声なしのガチ姉か……なんというか、『濃い』な。我々」

「言うのは悪いけど一番上がアミ様なら仕方ないんじゃないかしら? 普通じゃないからここにいるみたいなところはあるのでしょ?」

 

 互いの顔を見て、静かに頷く。

 

「「確かにな……」」

「その、私は皆さん素敵だと思います……!」

『あーもうおねーさんはなーたんが愛おしいよ! 私含めこんなバカどもに付き合うことないのにね!!』

「……まあ、自分も対象内なのは褒められるべき点か……」

 

 納得してしまった自分が悔しいと三人それぞれ思いながら、更なる確実性のある作戦を組むべくラミナらは尽力し……

 

 作戦開始の時は、すぐそこに迫っていた。

 

 




・熾名イナバ

血の指の中では主に「人」に対する任務を担当する、血の指内対人最強を誇る「人斬りの熾名」。刀で人を斬ることに喜びを感じる異常性癖を必死に抑えながら生きてきたところで、アミによって存分にその性癖を満たす機会を得た後はアミの教育によって性癖と自我を切り離す方法を会得。

その結果喋り方が愉快なことになったが、その喋り方由来でアミから翁面を下賜されることになっている。拳銃と刀を使い分ける近接戦の高機動型で、愛刀の名は「屍山血河」。

・山鴉キョウ

先天的に喋れない性質からいじめを受けていたところをアミに救われ、一生の忠誠を誓った。血の指では隠密と工作を担当しており、同じ密偵同士ならどのような隠密であろうと看破できる経験からの力や、気付かないうちに致命傷を受けかねない不意打ちの可能な練度をアミに称えられ、『凶手の山鴉』の2つ名と現在身に纏う黒い羽を纏うようなローブを与えられる。

携行武器は多岐に渡るが、本気の際に用いるのはアサルトライフルの「ラプタータロン」である。

・喰獅ノラ

美食研究会と「食とは即ち美たりえずとも餐たればよい」、つまり食えることにこそ意義があるとして対立したところをたまたまアミがフウカ救出のために活動していたついでに救出され、以降一人で美食研究会四名と真っ当に渡り合っていた事実をベースにアミから直接勧誘を受け教団へ加入、隠れ蓑とする。

唯一幹部たちの中ではアミとビジネスベースで協力をしている状態にあり、アミはノラに誰に邪魔されることもなく食を楽しむ場を与え、ノラはアミに戦力を提供するウィンウィンの関係である。

教団内では対外交渉などを担当している他、レイを始めとした司祭らに常識的な範囲の勧誘を教えるなど教団内で大きな影響力を持つが、食へのこだわりが故に良心判定されることはない。

愛銃は魔改造スナイパーライフルの「ブラッドダンサー」。対物ライフルを至近距離まで近付いてブッパなす狂気の戦闘スタイルは一撃必殺のそれとして知られる。

・朱貴ナタ

アミの勧誘ではなく、ラミナの勧誘で加入した一年生。憧れの先輩にお昼食べませんか!って誘ったらやべー宗教に居たけどそんな先輩も素敵!って言いながら一緒の宗教に入ったすげーヤツ。

アミガチ勢な教団の面々と異なり、ラミナガチ強火勢なので趣が異なるが、ラミナのためなら本当になんでも出来てしまった女の子であり、ラミナの戦闘スタイルの基礎から、教団の戦術までラミナが教えられることは全て覚えてしまった。

隠密とはいうものの場のメンツが濃すぎて影が薄く、居ても居なくても分からないだけの状態でラミナに言われて静かにしていただけである。

何故か追える過去が一切存在せず、そしてそんな彼女が何故お嬢様学園であるトリニティへ入学できたのかもまたわからず、ナギサから最大級の警戒を受けていた。

武装は愛用していた二丁拳銃にラミナから譲り受けた銃剣を装備、改良した「ツインレドゥビア」。

イカれた女たち、どの子好き?

  • 深谷レイ
  • 明日葉ラミナ
  • 喰獅ノラ
  • 熾名イナバ
  • 朱貴ナタ
  • 割とみんな好き
  • アミ様
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