えっ!?トリニティで血の教えを!?   作:ふぃーあ

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前回の《Side》形式続行中です。

複数場所で複数の戦闘が起こる際の描写法について模索していますので、思う所があればお気軽に感想へお願いします。


ここは任せて先に行け!が死亡フラグとして機能しないタイプのバケモンに天才系後進を任せるとこうなるんですよ、怖くないですか??

 Side:《黒曜の刃》

 

 連絡。キョウからだった。逆に、待っていたはずのこちらから送った定期送信の状態確認の知らせはイナバから帰ってこない。

 

『想定外の強敵がノラの方に湧いたから援護する。私の方面はある程度潰してるけど、まだいるかも? あとはよろしく』

「……まあ、事前の作戦通りには行かないものだよな」

「どうしたのですか、ラミナ?」

 

 敬愛する主君へ、残念な報告をお耳に入れるのは無様もいいところ。しかしながら、ご報告はしなければなるまい。

 

「このままで失礼いたします。キョウ、ノラ両名が正体不明の強敵と接敵。また、先程からイナバの定期報告の通信が途絶えています」

 

 そう報告申し上げると、アミ様は左目を覆うように手をやって、目を閉じた。

 

「……イナバはまだ戦闘中。キョウたちは……なんですかこれは! 狂い火の王……!?」

「なんだって!?」

 

 途端、騒めく面々でしたが、外見的な特徴を述べて欲しいと冷静に告げるメリナ殿によって、人体部分の特徴が述べられると、メリナ殿がその場を抑えることとなりました。

 

「うん……間違いない。ミドラーだ……以前褪せ人の追憶にその姿を見たことがある。旧い狂い火の王で、本来の狂い火の王になるには弱すぎた存在……きっと彼女らにも倒せる」

「ならば……良いのですが」

「不安ならさっさと私たちが奥に進んでケリをつけて戻ってくればいい……その時まで彼女らが耐えられないわけもないのでしょう?」

「そう、ですね。取り乱しました」

 

 アミ様がそう仰った途端、戦列中央……すなわち、アミ様と先生に向けた弾丸が複数飛来。

 

「よっ!」

「誰かしら、ね!」

 

 そして、マシンガンを横に差し込んだゲヘナの風紀委員長と盾をブン投げた小鳥遊殿によって防がれました。恐らくは、キョウの方面にいたか、新しく現れた敵手。

 

「見つけたぞ……ここでお前たちを討つ……!」

 

 その敵手は、白いコートをはためかせ、なにか投擲物を放り投げ……今だな! 

 

「無理な相談をしてくれるッ!」

 

 私の鎌が、榴弾をひっかけて一回転。関係の無い方向に飛んだ手榴弾は煙幕だったようで、足元にうっすらと煙が流れてくる。

 

「アミ様!」

「近辺の敵、反応で大きなものは彼女らともうひとつです。任せますが良いですか?」

「もちろんです。お行き下さい!」

「行かせるかっ!」

「こちらのセリフだ……!」

 

 さあ、私も私で勝負の時間らしい。そう気合を入れ、口上を準備して、刃を構える。

 

「仕方ない。私達もかけていられる時間は少ない……すぐ片付けてやる」

「冥土の土産に覚えていけ。私は純血騎士、ラミナ。今一度、刃を掲げ、血に狂わんとする者……何人居ようが同じこと。居るのだろう? あと三人もな」

 

 そういうと、隠れている意味もないと思ったのか三人の少女がそれぞれの位置から姿を軽く見せる。

 

「……バレてた。ちょっとだけ、残念」

「姫……声が出せるようになったと言っても、あまり喋るなとは言われていなかった?」

「終わりですね……あの頭が火の玉の人にぶちこまれて燃やされちゃうんですね……」

 

 随分と愉快な面々だ。自分たち……教団のことをまるごと棚に上げて、率直にそう思った。みな等しく、黄色の目を輝かせている……ひとりは、マスクが邪魔で見えないが。

 

 それらのうちひとりは、機械的なマスクを装備していた。ひとりは、大荷物を背負ってこちらを見ていた。ひとりは、ロケットランチャーを構え、ちらりと見える肌に包帯を巻いていた。

 

 姫。……姫、か。事前資料にあった、アリウスの特記秘匿戦力のうちの最大のもの。過去アリウス自治区を支配していた者たちの血統、『ロイヤルブラッド』を保有する少女のことを『姫』と呼ぶならば。

 

「お前たち……隠れていれば少しは戦術的に意義があったろう」

「ふふ……隠れていたら、死んでたよ私たち。多分」

「リーダー。たぶんアレ、火の玉野郎と同じだよ……『祈祷』だっけ? 使ってくると思う」

「分かった。ありがとう、ミサキ」

「……始めよう、リーダー」

 

 こちらに銃を向ける大荷物の少女がいなければ、もう少し愉快に思えたのかもしれないが、それもまた無理な話かとラミナは一息ついた。

 

 そうだな。彼女たちこそが、恐らくは《アリウススクワッド》だろう。そう、私は結論付けた。

 

「話は終わりか? なら、行くぞ」

「意外。待っててくれたの?」

「本質的には時間稼ぎだろ、私。むしろいいのか、私とこんなくだらん話をしていて」

「良くないと言ってるだろうッ!」

 

 その一言と同時に、リーダーと呼ばれた女が発砲し……回避したところに、鋭い狙撃。鎌を盾とし、両断して私はアリウススクワッドへと踊りかかった。

 

「こんな時代に鎌とはっ……!」

「アミ様から下賜されたモノだ、甘く見るなよッ!」

「チッ……!」

 

 近距離戦狙いの突進。鎌とは超接近戦ができる代物では無い……よく分かっているではないか! それを援護するように飛ぶ弾丸とロケットランチャーが、私に当たらずとも私を動かさない役目を果たし、リーダーと呼ばれた女……長い。以後『リーダー』とする……が突っ込んでくる。

 

「っ! はっ! せいっ!!」

「だっ! はあっ! ぬぅ……!」

 

 互いに咄嗟に引き抜いた拳銃。一丁の拳銃と一丁の拳銃、咄嗟の判断で血に戻した大鎌は既にこの場になく、私と『リーダー』の一騎討ちの様相を呈しながらも、私は狙撃の射線を切り、『リーダー』は狙撃の射線を通さんとする。

 

「ッ!」

「舐めるなッ!!」

 

 互いの顔のすぐ横で発砲がなされている。お互いの射線を手で、足で、時に銃を銃で払い除けながら交わし合いつつ、狙撃手の射線の主導権を取り合う。

 

「《血の蝿》」

 

 僅かに流れ落ちる頬の傷。それをコストに、祈祷をとっさに発動し蝿たちを召喚、『リーダー』へ向ける。

 

「ミサキッ!!」

「巻き込むよリーダー! 《狂い火》……ぃぁあああっ!!」

 

『狂い火』、そう唱えた奥にいる女……ミサキと呼ばれていた。ミサキと呼ぶ……の目が一層強く光る。悶え苦しむように目を抑え、左目の抑えに使っていた、右手の中指と薬指を開いた。

 

 次の瞬間、黄色の炎が迸る。

 

「あ゛あぁあッ!!?」

「ぐっ!!」

「うぁっ!?」

 

 ミサキの絶叫と共に、それは蝿を焼き溶かし、私たち二人に襲いかかる。『リーダー』は覚悟していたのだろうか、この……激烈な痛みを。

 

 焼ける、溶ける。触れた部分から……違う、これは精神的に狂うモノだ。そう戒められるにすぎないものなのだと言い聞かせ、瞬間的に復帰する。

 

 真っ先に膝をついている女が……ミサキが見える。私もまた、高さの同じ視線だからだ。痛みと混乱のあまり、膝をついてしまったらしい。

 

 咄嗟に立ち上がろうと地に手をつけ、力を込めて跳ね起きようとする。

 

 だが、その時にはすでに、『リーダー』はこちらを殺すべく動いていた。

 

「時間をかけている暇はないと言ったッ!!」

「いいや時間は貰っていくぞ!」

 

 いつの間にか拾い上げていたのか、アサルトライフルをこちらに向けた『リーダー』が引き金を引き、膝を着いたこちらが地から上に向けて爪を振り上げる。

 

「ぐぅっ!」

「がぁ……!?」

 

 今度の攻防は、こちらが勝った。こちらの痛みは覚悟した痛みで、向こうに与えたのは予定外の出血だった。ぶっつけ本番、一発成功するかは賭けだったのだが、まさか出来るとは。神は見ておられる……帰れるなら、次の教団の集会には必ず出席する。いや、いつもしているのだが。

 

 私のやった事はシンプルに言えば、アミ様のお使いになられている《爪痕》のコピーだ。以前から修練はしていたが、失敗続きだったそれが、今ここで実ることになるとは想定外だったが……しかしそれだからこそ、面白い。

 

 予定外の成功が、私にブーストをかける。アミ様との隔たりがひとつ無くなったのを感じて、私は心底嬉しく思う……あぁ、これはもうたまらない。

 

「やらせませんっ……!」

「見事な腕だが……!」

「ヒヨリは、やらせない」

 

 また血から取り出した鎌で飛び出すと、次は大荷物の狙撃手を守ろうとする『姫』と呼ばれていた少女との1VS1となる。先程の『リーダー』と比べると戦闘技術は劣るが、しかし。

 

「ふふ。私……ううん、私たちは打たれ強さには自信がある。負けないよ」

「……これは……!」

 

 斬られた傷が、塞がっていく。後ろからの気配、瞬発的に刃を振るい、大きく気配が飛び退く。瞬間、刃を振ったことにより目の前の『姫』が飛び込んでくる……!

 

「離さないよ……!」

「しまっ……」

「姫……! すまない!」

「ぐぉあぁぁぁぁっ!!」

 

 ズダダダダダッ!! という音と共に身体に撃ち込まれる銃弾。『姫』にまとわりつかれたことでガラ空きになった防御に撃ち込まれるのは堪えるが、しかし私は頑健だ。まだ、倒れない!

 

「ぬぅぁぁぁぁぁっ!!」

「な……!」

「離れろっ!!」

「うっ……!」

 

 光が、私の振りほどいた『姫』の手から漏れる。恐らくは、回復系の『祈祷』。それが、ロイヤルブラッドに与えられた奇跡を呼び起こす天賦の才なのであろうか。

 

「今ここに、祈ります」

 

『姫』は朗々、その詩を謳う。

 

「何にも代えられない、優しさを。律の加護たる豊穣を」

 

『姫』の、その祈りはきっと、敵手たる私から見てもなによりも真摯な祈り。それ故に、神がお与えになったのだろうと確信した、その天賦の才。

 

「ここに、祈りを捧げます。『黄金樹の恵み』よ、ここにあれ!」

 

 光が彼女らを照らし、傷を癒す。それはここまでの攻防を無為にするようでいて、そうではない。

 

「なるほど……分からん。なーたん、見てた?」

「はいっお姉様!多分だいじょぶですっ!《回復》!」

「はは、一発でコツを掴むのか……」

「……貴様。いつから、そこにいた」

「ずっと前から。最初から、居ましたよ。静かにしてただけです」

 

 私の信じる天賦の才は、ここにある。最上位の、系統が異なる回復の祈祷を一目見た、それだけで、私に治療を施す祈祷を『覚えて使った』真の天才。

 

 何もない白紙は、けれどなんでも書き込めるノートだった。書いたことはひとつたりとて忘れなかった。何も無い白紙であることこそが、朱貴ナタの才能であったのだと、今私は断言する。

 

 さあて。先輩としていいカッコつけないといけないな。

 

 後輩の祈祷で完全回復した体に、再び火が入る。黄色などではない……朱く燃える炎が。

 

「さあ行こうか、なーたん。我らが主のために」

「すべてはお姉様のために……朱貴ナタ、状況に入ります!」

「……っ! ひとりがふたりになったところで、変わるものか! 交戦、状況開始!」

 

 刃を三度、踊らせる。おどろおどろしい短刀を銃剣に据えた二丁拳銃をなーたんが握り締める。私たちは同時に地を蹴り、アリウススクワッドを対象に本交戦を開始した。




・『黄金樹』系統祈祷

ユスティナ聖徒会を前身に持つ、シスターフッドの長がだいたい受け継ぐ祈祷。……と、されているが、ロイヤルブラッドはすなわち『ユスティナ聖徒会の会長に近い血族』である。

それ故に、より古く、より原型に近い『原点の祈祷』を、より多くの種の祈祷で発動することが出来る。

現在この世に生を受けているロイヤルブラッドである『姫』は回復系祈祷の面において間違いなく最上位の天才である。

《王》もまた、それを知るが故に駒としての希少さを鑑み、《王》は意志を伝達するための直衛を使ってベアトリーチェに伝えた。

『それを贄にするなど、貴様には過ぎた贅沢だろう。駒として使うにも、贅の極みというべきだ』と。

感想、評価お待ちしてます。よろしくお願いします。

イカれた女たち、どの子好き?

  • 深谷レイ
  • 明日葉ラミナ
  • 喰獅ノラ
  • 熾名イナバ
  • 朱貴ナタ
  • 割とみんな好き
  • アミ様
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