えっ!?トリニティで血の教えを!?   作:ふぃーあ

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いっそ哀れな女、サクラコの話。を、後世から笑うひとりの女教授といくつかの生徒のお話。

仕事がヤバすぎてこんなんしか書けないのでとりあえずしばらくは閑話です。よろしくお願いします。

あとこの書き口は初めてやるので感想で実際どうだったか、みたいなのがあればお願いします。多分今後このやり口が続くことは少ないとは思いますが……

後書きを追記。


閑話:後世から見る巻き込まれたサクラコ様

 諸氏は歌住サクラコという存在について、ここまででどう感じたろうか? 

 

 非道な宗教者。ふむ、なるほど。心優しき正義。間違ってはいまい。

 

 む、教授はどう思うのか、だって? 

 

 決まってるさ。このキヴォトスにおいて、世紀一と言うべき不運体質……そうに決まっている。

 

 さて、では本日は後世から歌住サクラコ、という一人の人物にスポットライトを当てて『アリウス桐藤ナギサ襲撃』について見ていこうと思う。

 

 まず、桐藤ナギサの襲撃は深夜に行われた。戒厳令が事前に正義実現委員会に出され、正義実現委員会は動くことが出来なかった。この戒厳令は黒幕たる聖園ミカの発布したものだ。極めて効率的と言わざるを得ないな。

 

 そのまま聖園ミカは軽やかに進軍。補習授業部に既に桐藤ナギサの身柄を担保されていることを知る余地のないミカはもぬけの殻という報告を受け愕然とした。

 

 その後、補習授業部を発見し、アリウスの生徒たちに命じさせて攻撃を開始するも、先生の介入によるものか、これを撃退されたことで本人が出陣し、補習授業部と交戦した。

 

 そして君たちもよく知るように、ここで介入に現れたのが『血の教祖』……朝君アミだ。彼女は見計らったかのように現れ、血の祈祷を振るい、多くの者たちを傷つけ、ミカさえも退ける。

 

 その暴威が振るわれた後、姿を見せたのが歌住サクラコだった。

 

 このタイミングにまずひとつ妙があってね。ほんの少し前までは、『歌住サクラコは血の教祖と聖園ミカが噛み合ったあとの漁夫の利を狙っていた』とする学説が主流だったのだが、今の主流となっている学説は『歌住サクラコは可能な限り素早くシスターフッドの人員を招聘し、事前ブリーフィングなども行い、全てを可能な範囲で素早く行った結果として、到着のタイミングがたまたま戦闘後だった』というものだ。

 

 これは半ば確からしくてね。当時を生きた生徒、伊落マリーという生徒の日記にそのようなことが記されていたことが発覚してこの学説が出来たんだ。

 

 しかし表側は完全に漁夫の利狙いのソレだな、このムーブ。

 

 ん? じゃあ襲撃後の噂の流布はなぜ行ったのか、だって? アレはそうせざるを得なかったのだよ君。そもそも、あの噂の出処はサクラコではない。

 

 朝君アミ、本人が流したものだ。

 

 意味がわからない、という顔をしているな。朝君アミは聖園ミカを守るため、噂をねじ曲げた……自分を悪人として、アリウスという存在を伏せつつ、兵力をもって朝君アミを排除しようと試みたのだとね。

 

 なぜ聖園ミカを守ろうとしたのか、それについては定かでは無い。定かでは無いが、私個人の主観を述べるのであれば、やはり百合園セイアが関連していると考えるのが妥当だ。

 

 この頃の百合園セイアは表舞台にはいない。だが、この期間同時期に失踪していた救護騎士団の蒼森ミネとトリニティの各所に潜伏して回っていた、というのがどうも真相のようでね。

 

 そして、百合園セイアは『未来を見る』……どうもこれは確実に存在した異能らしい。これにより、ある程度の未来予想図をアミに手渡していた可能性も否定できないのだ。あるいは、セイア本人の動き次第でアミの動きを左右する目的があったのやもしれん。

 

 蝶の羽ばたきひとつが竜巻を起こし得るのなら、狐の囁きが世界を変えるのは容易いとは思わんかね? 

 

 っと、話がズレた。とかく、そんな噂が流れればシスターフッドにもミカを擁護するような思想が出るのも早かった。歌住サクラコはこれを大変危険視していたようだ。

 

 流された噂をやや内容を変えて流布し、過剰に聖園ミカを庇うようなものにして、過激思想の者たちの頂点に立たなければ、信仰を重視するシスターフッドの長として違和感が生じる。サクラコは、その位置から過激派が暴徒にならないようコントロールすることに決めた。

 

 彼女からすればアミという存在は極めて面倒だったはずだ。

 

 だがそこで、エデン条約が成立するその時まで、シスターフッド内の過激派を抑え込んだその手腕こそが、歌住サクラコの聖人性の象徴と言えような。

 

 あえて血の教団に対して敵対位置の頂点に立ったことで、彼女の元には多くの不穏分子が集うことになった。彼女はその情報を密かに様々なルートを用いていたのかは知らないが、アミに知らせていたようでね。

 

 反抗勢力がサクラコとミカを担ぎ反乱軍となる前に、密かにアミやナギサが処理する形が調印式までは続くことになる。

 

 このエデン条約という条約に関して、特筆すべきことに朝君アミの献身が挙げられることが多いが、私としては歌住サクラコの暗躍……いや、偶然を聖人的に利用した能力に重きを置きたい。

 

 ん? 質問か。受け付けよう……なぜ朝君アミの献身を外すのか、だって? 

 

 強いていうなれば、アレは献身、という言葉で表すには不適格だからだ。今の教科書の朝君アミの記述を見たかね君! 

 

『英雄』『血の君主』『誇り高き者』『青春の守り手』……くく、ふふふ……当人から見て……じゃない。当人が見たら恐らくは大爆笑ものじゃないか、なあ君! 

 

 んー? あぁ、気にするな、面白すぎて言葉が乱れただけだ。まさか百何十年経って当人が生きているわけないだろ? それに生きていれば今も布教に熱心でここにはいられないさ。そのことはこれらの資料が示している……明らかにサクラコのより多い、だって? 仕方ないだろ、後世から見たアミと真実のアミの像の乖離があまりにも面白いんだから! 

 

 っと……授業終了だね。次授業するならその時は朝君アミの話をしよう……それでは、解散。聞きたいことがあるならゼミに参加するように。以上だ!




・『禁則事項』

それは、廻り、巡り、受け継がれる。呪われた血が絶えるものか。精神が老成し、身体が例え蝕まれても、幾度とて廻るからこそ、呪いは呪い足り得る。

「先生、ありがとう。私の道は定まった。幾度も輪廻は巡る。私は人を導くことにしました……色んな道で、人を導いて。いつかあなたの背を追うことも、あるのでしょうね」

彼女の呪い、血の輪廻はその言葉通りに巡って。

『教授の授業記録を再度再生できます』



UA山ほどです。嬉しい。ありがとうございます。今後ともよろしくお願いします。
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