夏油君と話した翌日。
今日は卒業式だ。
私は先生をカバンに押し込んで登校した。
教室に入ると夏油君はすでに来ていた。
「おはよう、夏油君」
「ああ、おはよう夏目さん。今日の放課後なんだけど、呪術高専の職員と話し合う事になったから」
「呪術高専?」
「呪術師を育てる学校と言ったところかな」
「なるほど」
そんな学校があるんだなぁ。
「それじゃ放課後に校門で」
「わかりました」
私はそう言って自分の席につく。
すると、このクラスの上位スカートの女子グループが私のもとにやってきた。
「ちょっとあんた!」
「はい?」
「なに夏油君と気安く話してんの?」
クラスメイトと話すことはいけないのだろうか?
「私の許可なく話してんじゃないわよ!!」
あなたは夏油君のなんなんだろうか?
「陰キャラのくせに生意気なのよ!!」
陰キャラで何か問題でも?
面倒くさいことになっった。
私は挨拶しただけで話しかけてきたのは夏油君なのに。
夏油君は我感せずといった感じに本を読んでるし!
この人たちどうしたら良いのよ!!
「申し訳ありません」
とりあえず謝っておく。
そうすればなんとかなるもんだと思う。
「ふんっ!今度からは気をつけなさいよね!!」
「わかりました」
私がそう言うと女子グループはさっていった。
夏油君はそれを見て顔を本で隠しながらクスクスと笑っていた。
貴方絡みで絡まれたのにその反応はないと思う。
卒業式を終えて放課後、私は帰り支度をしていた。
夏油君は朝絡んできた女子グループに絡まれていた。
「夏油君、この後一緒にカラオケいかない?」
「そうそう!中学生最後の日なんだから思い出作りしようよ!」
必死に夏油君を誘っている。
そんなに夏油君と遊びたいのだろうか?
夏油君はというと私を一瞬見てニヤリと笑った。
なんか嫌な予感がする。
「申し訳ないね。私はこれから夏目さんと大事な用事があるから断らせてもらうよ」
夏油君はそう言って私の手を取って教室を出る。
なんてことをしてくれたんだ!!
女子グループたちは私を親の仇を見るような目で見てきていた。
「夏油君のせいで中学最後の日が大変なことになりました」
「私は嘘はついてないよ?」
「確かにそうですが」
夏油君は悪戯が成功した子供のような顔をしていた。
「夏油君って性格悪いって言われません?」
「そんなこと言われたことないよ?」
きっと皆あのイケメンフェイスに騙されてしまってるんだろうなぁ。
夏油君に連れられて校門にいくと1台の黒い車が止まっていてその横にスーツを着た男性が立っていた。
えっ?私ヤクザに売られるの?
「お待ちしておりました夏油さん。それとそちらの女性が例の?」
「はい。連絡した呪力もちの子です」
「どっどうも、夏目と申します」
とりあえず挨拶はしておく。
「私は【窓】の高野と申します。これからよろしくお願いいたします」
「こっこちらこそ。あの、窓ってなんですか?」
「窓とは呪術師をサポートする人たちのことです。詳しい話は移動中にでもしましょう。」
私は夏油君と共に車に乗る。
「それでは出発いたします」
高野さんの運転で出発した車内で呪術師についての軽い説明をしてもらった。
先生が言っていたとおり呪霊を祓えばお金がもらえるらしい。
「夏目、君の術式はどんなものなんだい?」
きた!
呪術師の説明を聞いていて絶対に聞かれるであろう質問。
どうしよう。友人帳のことは言わないほうが良いって先生が言ってたし。
ここは誤魔化しておこう。
「よくわかんないんです」
「わからない?」
「今まで私は呪霊を見ても見えないふりをして逃げていたし、先生と出会ったのも2日前のことですから」
「そうか、それなら知らなくても無理はない」
「夏油君はどんな術式なんですか?」
「私のは呪霊操術と言って呪霊を使役して操るものさ」
「そうなんですねぇ」
なんか私の友人帳と似てる気がする。
夏油君になら教えてもいいかな?
そう思ってると車が止まった。
「つきました」
車を降りて周りを見ると森であった。
「どっどうしよう先生!!私ここで埋められちゃうのかな!?」
「アホが!そんなことするより呪霊に食わせた方が楽だろう」
「じゃあ私ここで呪霊のご飯になるの!?それも嫌だよぉ!!」
「ふふっアハハハハッ」
夏油君が笑い始めた。
今までの会話で笑うとこあった?
「すまない、君たちのコントが余りにも面白くてね」
「いや、私は真剣に話してるんですが?」
「大丈夫だよ。ここは朝話した呪術師を育成する場所、東京都立呪術高等専門学校。通称呪術高専さ」
「ここが?」
確かに朝そんなこと言ってたけど、こんな森の中にあるなんて思わないし、ここホントに東京?。
「夜蛾さんがお待ちなので急ぎましょう」
高野さんに連れられて建物に入っていくとそこには、ヤクザにしか見えない男性が可愛いに囲まれながら可愛いを作っていた。
見た瞬間もうどう反応していいかわからなかった。
「夜蛾さん、お2人をお連れしました」
「ありがとう高野。ッ!?」
夜蛾さんと呼ばれたヤクザみたいな人は作っていた可愛いから目を離してこちらを見たら驚いていた。
何かあったのだろうか?
「レイコ!?」
「えっ?」
この人は今なんて言った?
どうして私の母親の名前を知っているの?
「母を知っているのですか?」
「母?君はレイコの娘か!?レイコは今何処にいる!!」
「亡くなりました。私を産んですぐに」
「そうか。すまない」
「いえ、私は何も覚えてないので」
なんかしんみりとした空気になってしまった。
「さて、自己紹介がまだだったな。私は呪術高等の教師である夜蛾正道だ」
「私は夏油傑です」
「私は夏目星羅です」
「夏油、夏目、君たちはここに何をしに来た?その力で何を成す?」
えぇ、私説明聞きに来ただけなんだけどぉ!!
「私はこの力で弱きを助けます。弱者生存、それが私が掲げているものです!」
「夏油の答えはわかった。夏目はどうだ?」
「私は」
私は
「この世界に入ればいつ死んでもおかしくない。覚悟がないなら帰ることをお勧めする」
そうだよ。別にやりたいことなんてないんだから帰ればいいんだよ。
そう思ってるのに体が動かない。帰りますって言葉がでない。どうして?
私にはお母さんみたいに友人帳を使いこなせないかもしれない。
友人帳を狙ってくる者たちに殺されるかもしれないし、先生だって祓われてしまうかもしれない。
そんな怖い思いなんてしたくないからさっさと帰るって言いたい。
でも
今まで生きてきてそんなこと思ったことないのに。
「答えがでないか?なら現実を見せてやる」
夜蛾さんがそう言うと、夜蛾さんの周りにあった可愛いたちが動き出し私に襲い掛かってきた。
私は何もできずに殴り飛ばされ壁に体を強く打ち付ける
「かはっ!?」
肺にあった空気を全部吐き出し苦しくなる。
そんなのお構いなしに私は可愛いにタコ殴りにされる。
「もう一度言う。覚悟がないならさっさと帰れ!!」
「くっ!うっ!!」
可愛いにされるがままの私。
夏油君は助けてくれないみたいだ。
それもそうだ、昨日まではなしたことすらないのだから。
どうしよう。私はどうしたいの?
「まったくお前という奴は世話が焼ける」
カバンの中から先生が出てくる。
「せっせんっせい」
「こんなおもちゃ私が壊してくれる!」
ボン!と煙が立ちその中から出てきたのは白い毛並みの大きな犬のようなもの。
えっ!?先生って猫じゃないの!!?
「なっ!?なんだこの呪力は!!一級、いや!特級クラスだぞ!!」
夜蛾さいいが何を言ってるのかわからないが先生が凄いのはわかった。
先生が放った光によって可愛いたちは一瞬で壊されていった。
「先生」
「夏目、これが呪術師の世界だ。お前のようなあまちゃんに務まる世界ではない。とっとと帰るぞ」
「うん、そうだね。私なんかがいて良い世界じゃないよね?でもね先生、私呪術師になろうと思うの」
「正気か夏目!!」
「うん。私、呪術師になってお母さんの事が知りたい!友人帳のことも!」
「呪術師にならなくても方法はあるだろう?」
「そうかも知れないけど呪術師になれば確実な気がするの」
「危険だぞ?」
「大丈夫、私には先生がいるから」
「よかろう。」
「ありがとう先生」
「ふん、私はお前を守らねばならんからな!」
そう言って先生は元の猫の姿に戻った。
私は先生を抱きかかえながら夜蛾さんと向き合う。
「夜蛾さん、私はお母さんの事が知りたいので呪術師になります」
「呪術師に悔いのない死はない。それでもか?」
「はい。私が自分で選んだ道なので死んだら死んだでいいです。まぁ簡単には死にませんけど」
「わかった。呪術高専は君たちを歓迎しよう。ついてきたまえ、校内を案内しよう」
私と夏油君は夜蛾さんの後をついていき校内の説明を受けたのだった。
「ああ、良い忘れていたが明日からここの寮にはいってもらうからな」
えっ!?なにそれ聞いてない!!