「ふぁ〜あ」
木の下で居眠りをする、銀色の髪をした少年。
目はつり目で悪人顔と言われるかもしれないが、そこまで鋭い訳では無い。
顔は整っていると言えるだろう。
俺は今日も空を見上げながら草むらの上に寝転がる。
この世界には、人を捕食する巨人が存在する。
そして、その巨人から人類を守るために築かれた三重の壁の中で人々は暮らしている。
そして俺はこの世界へ転生してきた転生者。
誰に言おうが、こいつは何を言ってるんだとなると思う。
うん、俺もなんでこんな世界に転生してしまったのだろう。
転生する前の記憶は無いし……。
でも転生したということだけは理解している。
俺は、なにか目的があってこの世界に送られたのかもしれないと思った時もあった。
見たものや聞いたことはすぐに覚えられる異常なまでの記憶力に、運動するにあたって頭で考えた動きは超人的な動き以外はほぼ再現可能である運動能力。
まぁ、今のところ使い道はないけど……。
だから今日もここで昼寝をしているのだが……。
まぁこんな世界と言っても、生まれてからずっと平和に暮らしてきているし、不自由は無い。
両親と兄がいてとても優しく、俺は周りに恵まれて、なんだかんだいい生活を送っている。
ここの木陰はとても心地がいい。
俺は昨日も今日も、そして明日もその次の日もきっとここに来て昼寝をするのだろう。
でも、ここで目を瞑ると自然と考え事をしてしまうことが多い。
俺は巨人というものを見た事はない。
確かに恐怖感はない訳では無い。
でっかい人型の人を食べる化け物とは聞いているのだが、それらを回避しつつ、壁外の調査をする調査兵団というものもあったりする。
調査兵団の人達は、いわば精鋭であり、訓練兵となって自分の実力を磨いた後に調査兵団に入団した人々で、巨人を討伐することも可能である。
でも、毎回かなりの死者と怪我人を出しているのだが……。
俺もいずれ訓練兵となるのだろう。
俺は知っている。
目的もなく入ったところで大した努力はせず、大した成績も出せずに時の流れに身をまかせ、なにも成すことが出来ないままこの人生も棒に振ってしまうだろう。
たとえ二度目の人生だとしても、そんなつまらない人生を送るのは嫌だ。
俺は……。
壁の外へ出てみたい……、巨人の謎を解き明かしてみたい……、この世の全てを、真相を……。この目で見てみたい……!
二度目の人生だからこそ、たくさん努力し、たくさん考え、自分を磨く事でなんでも出来るようになる。
力を手にすれば、この世の全てをこの目で見るまで生き残ることが出来る。
はぁ。今日もこんなことを考えているのか。
まるでどこかの誰かさんと同じだな……。
「あっ、見ろよミカサ!あいつまたあそこで寝てるぞ」
「ほんとだ。」
噂をすればってやつだな。
声のする方を見ると、一人の少年と少女が木の枝を集めて乗せる籠を持って歩いてきた。
そして一人の少年が話しかけてくる。
「よっ!またここで寝てたんだな、キリル」
キリル……。
キリル・シグナス。
これは俺の名前である。
そして俺の名を呼ぶ彼はエレン・イェーガー。
その横にいる顔立ちの整った少女は、ミカサ・アッカーマン。
彼らとは家が近所で、一緒にいることが多い俺の数少ない友人である。
キリル「ようエレン。ここは俺の一番落ち着ける場所だからな。俺はずーっとここにいると思うよ。」
ミカサ「寝てばっかりだと飽きると思う。エレンもよく昼寝をする木があるけど…」
俺の返答に、ミカサがそう返す。
ミカサ「今日はエレンもそこで昼寝をしていた。その時に……」
エレン「あっ!?それは言うなって言っただろミカサ!」
ミカサが何かを言いかけて、エレンがそれを慌てて遮る。
キリル「とりあえず家に戻るか。それ、重いだろうし」
エレン「そうだな。早く帰んないと母さんが心配する」
俺たちは門まで歩いて戻り、そこをくぐり抜ける。
ハンネス「よおエレン!またミカサに怒られたのかぁ?」
そこに駐屯兵団の服を着た金色の髪で短髪のおじさんが話しかけてくる。
エレン「はあ!?別に怒られてなんかないよ…!って酒くさっ…」
また昼から酒を飲んでいるのかこの人達は…。
もし何かあったときにそれで対処できるのかよ。
エレン「また飲んでる…。仕事は?」
ハンネス「今日は門兵だ。一日中ここにいるんだから腹も減るし喉も乾く。飲み物の中にたまたま酒が混じってたってだけだな。」
エレン「そんなんでいざっていう時に戦えんの?」
ハンネス「?いざっていう時って…?」
エレン「決まってんだろ!奴らが壁を壊して街に入ってきた時だよ!!」
俺が思っていたことをエレンが言ってくれた。
俺は少し歩き始め先に行く。
エレン「ちょ、ちょっと待てよキリル!」
キリル「酔っ払ってる人たちに何を言っても無駄だよ。俺は先に行く。」
ハンネス「キリル、相変わらず頭は固そうだなぁ」
俺は酔っ払ってる人、少し苦手なんだよな。
さっきも言ったように話が通じないし、何より冷静じゃない。
エレン「ハンネスさん、俺はずっと壁の中で一生を終えるのは嫌だ…。そんなの、まるで家畜じゃないか…」
エレンはそう言い残しその場をあとにする。
ハンエス「!?おい、エレン…」
ハンネスさんはいい人だし、俺たち子供の相手もしてくれる優しい人なのは知っている。
でも酒を飲んだらやはり、少し面倒くさいを感じてしまう。
相手にその感情をぶつけてしまえば、反感を買ってしまうし、もちろん仕事をちゃんとこなしているので巡り巡って助かっているのは俺たちだ。
ハンネスさんたちの気分を害するより、だったら何も言わずに帰った方がお互いのためだろう。
カーン!カーン!
外壁の方で鐘がなる音が響く。
その音を聞いたエレンは目を輝かせる。
エレン「調査兵団が帰ってきたんだ!!行くぞミカサ!キリル!」
俺とミカサは、そう言い走りはじめるエレンの後ろを追いかける。
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人だかりができているところを後ろの方から俺たちは、帰ってきた調査兵団を見る。
そこに広がっていたのは、決していい光景とは言えなかった。
怪我人、と言ってもかなりの大怪我を負っている人が多く、軽傷の人は少ない。
そして、今回も何の成果も得られなかったと息子を亡くした女性の前で声を上げる団長…。
決してあの人は悪くないのだと思う。
訓練兵の中で上位十人は憲兵となる権利をもらえ、ほとんど憲兵団に行ってしまう。
ということは、いずれと実力の優れていない人たちが調査兵団や駐屯兵団といった巨人に近い前線に駆り出されてしまうのだ。
そうなってしまえば死人が増えるのも仕方がないことなのだろう。
「これじゃあ、俺たちの税で奴らに餌をやって太らせてるようなもんじゃないか…」
それを聞いて怒りを露わにするエレンが持っていた枝を取り出す。
ごつん!
「いってえ!何すんだクソガキ!」
気づいたらエレンは手にした枝で調査兵団を貶した人を殴っていた。
ミカサはそんなエレンを引きずって行ってしまった。
ていうか、ミカサの力強すぎないか?
同年代の女子が男を引きずっていくってなかなかみない光景だぞ…。
そう思いながらもエレンたちの後ろを付いていく俺だった。
キリル「そろそろ離してあげなよミカサ」
ミカサが片手で引きずっていたエレンを放り投げる。
うん、ぶっ壊れてるわ。
エレン「いってぇな…。何すんだよミカサ!枝が散っちゃったじゃないか!」
ミカサ「エレン、調査兵団に入りたいっていう気持ちは変わった?」
その場に沈黙が流れる。
確かにあの光景を見て調査兵団に行きたくなる人はいないだろう。
強い意志を持っていない人以外…。
エレン「……手伝えよ、拾うの……。」
俺も拾うのを手伝ってあげて、一緒にエレンの家まで行った。
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エレン「ただいまー」
キリル「おじゃまします」
挨拶をして、エレンの家に俺も入る。
カルラ「おかえり…あらキリルくんいらっしゃい!」
キリル「お久しぶりです。カルラさんにイェーガー先生」
グリシャ「こんにちはキリル」
俺はエレンの家に何度か来たことがあるが最後に来たのは一ヶ月以上前のこと。
グリシャ「ご両親とお兄さんはお元気かい?」
キリル「はい、三人とも元気にしてます。」
グリシャ「そうかそれは良かった。今日はゆっくりしていきなさい」
そう言い、大事そうな書類や道具をまとめ鞄に入れていく、イェーガー先生。
カルラ「ちょうどご飯ができたとこのなの、キリルくんも一緒に食べていきなさい」
キリル「ではお言葉に甘えて…、ありがとうございます!」
そして俺たちは食事を始める。
うん、やっパリカルラさんのご飯は美味しいな。
ミカサ「…エレンが、調査兵団に入りたいって」
その言葉に、場の空気が凍りつく。
エレン「ミカサ!いうなって……!」
カルラ「エレン!一体何を考えているの…!?壁の外に出た人類がどれだけ死んだのか!」
エレン「分かってるよ!」
カルラ「だったら…!」
グリシャ「エレン」
カルラさんをエレンのやりとりを止めるようにイェーガー先生がエレンの名前を呼ぶ。
グリシャ「どうして壁の外に出たいんだ?」
エレン「知りたいんだ!壁の外がどうなっているのか、一生を壁の中で過ごすなんて嫌だ!それに、ここで誰も続く人が居なかったら…、今までに死んだ人たちの命が無駄になる!」
グリシャ「そうか…」
そういって立ち上がり外を出ていくイェーガー先生。
グリシャ「カルラ、人間の探究心とは、誰かに止められて抑えられるものではないよ…」
まだ納得ができないという表情をするカルラさんを横に、また話し始めるイェーガー先生。
グリシャ「帰ったら、ずっと秘密にしていた地下室を見せてやろう。それとキリル…」
キリル「…はい?」
グリシャ「エレンたちを頼んだよ」
キリル「??」
よくグリシャさんは俺のことを見て不思議そうな顔をする。
今も同じ不思議そうな……、でも、希望を…期待の目をしているように見えた。
イェーガー先生は一体何を考えているのだろうか…。
エレン「本当に!?」
そう言い残し、イェーガー先生は出かけて行った。
その背中に向けエレンはいってらっしゃいと元気よく言うのであった。
ほんのわずかな表情の曇りを俺たち三人が気づくことはなかった。
ここまで見てくれた方、次回からのお話に関わってきますので、アンケートへの回答おねがいします!
もし恋愛要素を入れるとしたら誰にする?ほんの少し参考にするかもです。
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