104期・期待の転生者   作:疾風“はやて”

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シガンシナ区陥落

イェーガー先生が見えなくなって、カルラさんが話し始める。

 

カルラ「ダメだからね、調査兵団なんてバカな真似……」

 

エレン「どうしてだよ!俺には家畜のままでも平気な人間の方が、よっぽど間抜けに見えるね!」

 

そう言ってエレンは走り去っていく。

 

カルラ「エレン!」

 

エレンの背中を見つめるカルラさん。

 

カルラ「ミカサ、それにキリル。あの子はだいぶ危なっかしいから、困った時はみんなで助け合うんだよ」

 

俺たちは頷き、エレンをまた追いかける。

 

ミカサ「キリルは、エレンと同じ調査兵団に行くの……?」

 

突然の質問に少し驚くも、俺は答える。

 

キリル「そうだね、壁の外への興味はやっぱりあるよ。ずっとここにいても退屈だし、壁の外を見たり、人類の役にたってから死んだ方が俺はいい人生って言える気がするから。」

 

ミカサ「そう…」

 

ミカサは少し眉を下げながら、エレンを追いかけていく。

 

キリル「エレンなら大丈夫だよ。俺やミカサ達で守ってやればいいんだ」

 

そんなことよりミカサの足の速さが異常だ。

 

俺足の速さには自信あったんだけど今八割くらいで走ってますよ?

そこらの女の子なんて早くても五割くらいで置いて行けるのに……。自信なくしちゃうよ……。

 

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エレンを追いかけていくと、その奥に綺麗な金髪の少年をいじめている三人組が見えてきた。

 

「まずい!あれはミカサとキリルだ!」

 

「なんであの二人が一緒に居やがるんだ!!」

 

「ここは一旦引くぞ!」

 

そう言って三人は逃げて言った。

 

エレン「あいつら、俺をみて逃げやがったぞ!」

 

アルミン「いや、ミカサとキリルを見て逃げたんだよ…いてて」

 

エレン「おいっ、大丈夫かよアルミン!」

 

金髪の少年はアルミン・アルレルト。

頭の回転が早く、柔軟な考えができる賢い人だ。

 

アルミン「一人で、立てるよ…」

 

その場を後にし、俺たち4人は川を眺める。

 

アルミン「人類はいずれ外の世界に行くべきだって言ったら、殴られた。異端だって…」

 

エレン「ちっ…、何で外の世界に行きたいってだけで、白い目で見られるんだ!」

 

アルミン「王政府の方針で壁の外に興味を持つこと自体をタブーにしたんだ」

 

キリル「何で壁の外にいくのはダメなんだろう。明確な理由もなしにタブーにはしないと思うけど」

 

王政府は何で外の世界に行くことをタブーとしたんだろう。

 

なぜ禁止としたのか…。

 

門を開けた時に巨人が入ってくるかもしれないからか。

いや、だとしたら調査兵団は外に出ていけない。

 

壁の中の人類を減らし、壁の中の生活を安定させるためか?

そうしても、壁の中で人類が増えていく方が早いはず。

 

他に何か理由が………。

 

ミカサ「絶対にダメ!ダメ…」

 

ミカサの声で現実に戻る。

 

エレン「そういえばよくも親にバラしたな!」

 

あぁ、調査兵団に行きたいって話か……。

俺も調査兵団志望なんだけどね。

 

ミカサ「協力した覚えはない」

 

アルミン「それで、どうだったの?」

 

エレン「そりゃ、喜ばれはしなかったけど…」

 

アルミン「だろうね。壁の中が未来永劫平和だって信じきっている人はどうかと思うよ。100年壁が壊されなかったからって、今日壊されないなんて保証はどこにもないのに……」

 

その時、俺は何かが来るような予感がして妙な寒気がした。

 

ドゴーンっ!!!

 

すると突然、雷がすぐそこに落ちたかのような雷鳴が響き、地面が揺れる。

 

音が鳴った方にみんなが走っていく。

 

俺はそれについていく。

 

すると壁の外に煙が見えた。

そして俺は目を疑った…。

50メートルもある壁を掴む、手が見えたのだった……!

 

アルミン「あの壁は、50メートルだぞ!?」

 

エレン「やつだ……、巨人だ!」

 

もう一度地響きがしてあたり一面に大きな岩が降ってくる。

壁の門が蹴り破られたのだった。

 

キリル「みんな、早く逃げるぞ!」

 

はっ…!

その時俺の頭の中に浮かぶ。

家にいかなきゃ…。家族のみんなは……!?

 

幸い、穴が空いた壁とは反対側に家がある…!

 

でもエレンたちは…?

 

エレンたちはエレンの家のある方角に走って行くのが見えた。

 

 

俺も自分の家に行こう。

誰も居なかったらみんな逃げたって信じて避難するしかない…!

 

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はっ…!はあっ…!

 

突然の出来事に動悸で呼吸が乱れる…。

でも家はもうすぐ…!?

 

家が…!押しつぶされてる!?

 

一人、片腕を庇いながら男の子が立っているのが見える。

 

キリル「兄さんっ!?」

 

アイル「キリル!?何でここにきた!」

 

キリル「みんなを迎えに…!」

 

アイル「父さんは、出かけてたからわからない、けど、母さんは…、、」

 

そういい家があった方を見る。

 

キリル「嘘、でしょ…?」

 

アイル「早く、逃げるぞ…」

 

キリル「何で…父さんは…?」

 

アイル「そんなこと言ってる場合か!?父さんはもう避難してるって信じて逃げるしかない!頭のいいお前ならわかるだろうそんな事!」

 

片手だけで俺の肩を掴み、必死な様子で言う。

 

キリル「…そう、か」

 

俺は足を動かす。

 

キリル「避難用の船があるはず、そこにいけばうちの門へと逃げられる…」

 

アイル「ああ、そこまで行くぞ!」

 

俺たち二人はそこに急ぐ。

地響きも聞こえるし、早く逃げなければ…!

 

 

 

ん…?地響き?

 

もう巨人がすぐそこまできてるのか、、!?

 

 

アイル「お前もっと全力で走れ!俺は置いて行ってもいいんだ!!お前の足の速さなら何とかなる!!」

 

キリル「む、無理だよ…。これ以上家族を失うのは…」

 

アイル「早く行くんだ!急げっ!!」

 

体が兄の方を向いて足が思うように進まない…、、。

 

アイル「振り向かないで…、前だけ向いて走…!!」

 

ドゴーンッ!!

 

温厚な兄から聞いたことのないほど大きな声でそう言われ、その声に背中を押されるかのように俺は走り始めようと前を向いた時…、、

 

兄の声は途切れた。

激しい爆音と共に、、。

 

俺は、振り向いてしまった……。

 

そこに見えたのは…、、。

兄のものであろう下半身と、口元を血に濡らした巨人…。

 

ああ、俺はまた失ってしまった……、、。

 

 

逃げるに逃げられなかった原因として引っかかっていた兄を失い、俺はその巨人がこちらを向くよりも先に路地へと入り、これ以上ないほど早く走った…、、。

 

涙を堪え、唇を噛み締めその場から離れた…。

 

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気がついたときには船に乗っていた。

口の中は微かに血のあじがした…。

 

唇を舐めると口の中に血の味が広がる…。

 

そうか、唇を噛んで全ての感情を抑えながら走っているときに力み過ぎたのか…。

 

船に父さんは見えなかった。

全部の船を隅々まで見た。

でも父さんはいなかった。

 

俺は家族全員を失った。

 

俺がすぐに兄と逃げるという判断をくだせなかったがために兄は巨人に食い殺されてしまった。

 

俺がまだ未熟だった……、子供だったがために兄さんは……。

 

幸いエレン、アルミン、ミカサの姿はあった。

 

家族を失った今、優先順位はこの三人が一番高い。

俺が冷酷だからか、それとも転生者だからか…。

 

次のことに頭が向かっているのは、、。

 

それから、避難してきた俺ら避難民は、荒れ地の開拓をして、避難してきた日からその数日後に、ウォールマリア奪還を名目に、政府は大量の避難民がウォールマリアに送られた。

 

俺たち子供などは免れたが、アルミンのおじいちゃんもその作戦で帰らぬ人となってしまった。

 

作戦で送られた25万人ほぼ全員が亡くなったのだ。

 

俺たち全員は家族を失ってしまった。

 

そして俺たちは心に決めたのだった。

 

訓練兵に志願し、巨人に対抗する術を手に入れる。

 

そしてシガンシナ区を奪還し、巨人への復讐を果たしたのちに自分たちの夢を……。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

俺らは12歳となり。避難してきてから2年後……。

訓練兵の入団式に来ていた。

 

教官「貴様は何者だ!!」

 

辺りには教官の声と訓練兵の声が響く。

通過儀礼というもので教官の一方的な罵倒。

 

早く終わってくれねーかな。

退屈すぎるんだが。

 

俺やエレン、ミカサは通過儀礼は終わっているから何も言われないって言われたし。

 

隠れて寝てようかな…、立ったまま。

 

 

 

 

コニー「あいつ、まだ走らされてんのか」

 

教官に頭をぐりぐり鷲掴みにされてた坊主頭がそう言う。

 

エレン「すごいな〜、5時間ぶっ通しか」

 

キリル「まあ、しょうがないだろ。通過儀礼中に芋食い出すん方がどうかしてる」

 

マルコ「そういえば君たちは出身とか聞かれなかったけど…」

 

エレン「俺もキリルもこいつと同じシガンシナ区だ」

 

そう入ってアルミンの肩に手を置くエレン。

 

その後食堂にて質問攻めに合うエレン…。

気の毒にな。

 

 

あそこで飯を食うのも嫌だしどっかに逃げよ。

 

そう思い俺は空いている席を探すのだった。




アンケートへの回答おねがいします。

もし恋愛要素を入れるとしたら誰にする?ほんの少し参考にするかもです。

  • クリスタ
  • アニ
  • ミカサ
  • サシャ
  • ユミル
  • 我慢強いライナー・ブラウン
  • その他は感想にて

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