ハーベストハーベスター~踏み台型ラスボス少女と呼ばれた推しを、今世では幸せにしたい!~   作:夏目八尋

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いつも応援ありがとうございます。

感想・評価いただくたびに、やったぜと喜んでいます。
楽しんでもらえてるんだなと実感が沸きます。
誤字報告も助かっています。本当にありがとうございます。

今回は終夜視点に挟まって、鹿苑寺君視点、竜胆さん視点です。


第117話 劇薬、そして鹿苑寺桂馬と竜胆摩耶の見た覚悟

 

 これまでのあらすじ。

 鹿苑寺君と竜胆さんを仲良くさせよう大作戦もクライマックス!

 用意していたハリボテのはずのゴーレムが、本物の怪物でした。

 

 モチのロンで、想定外です。

 

「本物ってどういうことですのー!?」

 

 驚愕する天常さんに向かって、画面越しの細川さんがリモコンを見せる。

 確かに彼女が操作していないにもかかわらず、鹿苑寺君と竜胆さんを狙う巨漢の怪物は、悠然と拳を振り上げて――!

 

 

「――あぶねぇ!」

「きゃあ!!」

 

 振り下ろされた拳から、鹿苑寺君が竜胆さんを突き放し、しかし!

 

 ドゴォッ!!

 

「ぐぉぁぁぁっ!!」

 

 代わりに鹿苑寺君がその一撃の犠牲となる!

 

(ガードは……してるか! よし!)

 

 真正面からの一撃。

 しっかりと契約鎧の腕部装甲で受け止めている!

 

 振り抜かれる力に逆らわずに転がることで、さらに威力も殺せている。

 機動歩兵の防御術、格闘スキルが活きている! えらい、超えらい!

 

 

「黒木!」

「わかってる! すぐに向かう! 精霊纏い!」

 

 モニタリング映像を自分の霊子ネットリンカーに移して即行動!

 契約鎧を身に纏い、俺は全力で現場へと向かう!

 

(くっそ! こんなんなるなら俺も一度現場に行ってゲートドライブできるようにしておきゃよかった!!)

 

 どこでも何某ほど万能じゃない超常能力の不足に悪態をつきながら、俺は横目に戦局を確かめる。

 っていうか。

 

「なんだってこのタイミングで、しかもこんな場所で、本物のハーベストが出てくるんだよ!」

 

 沸き上がる怒りのまま、俺は海にダイブした。

 

 

      ※      ※      ※

 

 

「GAOOOOO!!」

「くっそ。マジかよ……」

 

 目の前にいる初めて見た本物の侵略者を前にして、このオレ、鹿苑寺桂馬の心は震え上がっていた。

 

 最初はふざけた任務だと思ってた。

 気に食わねぇ奴と組まされて、しかも近くの調べ尽くされてそうな島の調査だなんてよって。

 

 だが、現実はどうだ?

 

(気がつきゃ妙な発見が続いて、終いにゃいきなりこんな怪物とこんにちは、だ。決して舐めちゃならねぇ、ガチの任務だったってワケだ!)

 

 オレはバカだ!

 この状況になるまでに、どれだけの体力と気力をムダにした?

 

 天下の天2に曲がりなりにも所属してる戦士として、自分が情けねぇ!

 

 

(それもこれもコイツが……竜胆摩耶がいるせいだ!)

 

 今、オレの後ろで庇われているコイツ。

 ゴスロリなんて戦いに向かねぇ服着てるせいで、この戦場から逃げることすらできねぇ女。

 

 コイツが……!

 

(佐々さんたちと並ぶくらいの“覚悟”を、最初から持ってやがるから……!)

 

 目にツイた。意識した。噛みついた。

 コイツのせいで、オレのペースは乱れに乱されていた。

 

 

「……ダサダサリーゼント」

「あ゛ぁ!?」

 

 振り向いて、目が合って。

 

「まぁやのことは、いいから」

「!」

 

 見たくねぇ顔見せられて。

 

「まぁやはこうなることも、受け入れてるから……いいの。だから……!」

 

 ……だから!

 

 

「うるせぇゴスロリスキー!!」

「っ!」

「てめぇのそんな覚悟なんざ知ったこっちゃねぇ! ここは、オレの晴れ舞台だ!!」

 

 こいつは絶対に、死なせねぇ!!

 

「てめぇはせいぜい見てやがれ! オレが、佐々さんや天常さんに負けねぇくらい!」

 

 お前に負けないくらい――!

 

 

「――覚悟、決まってるところをな!」

「!?」

 

 オレは手に持つDO-TANUKIとハンドガンをそれぞれ構えて。

 

「くおらぁぁぁぁ!!」

「GAOOOOON!!」

 

 ゴーレムに向かって突撃した。

 

 

      ※      ※      ※

 

 

「じぇりゃああああクソがぁぁぁ!!」

「GAOOOOON!!」

 

 ダサダサリーゼントが、ゴーレムと戦っていた。

 

「あ、あ……」

 

 まぁやはそれを、ただ見てた。

 

(……違う)

 

 違う、違う。

 これは、違う。

 

(まぁやは、こんなことがされたくて、こんな覚悟をさせたくて、この服(ゴスロリ)を着てるんじゃ……ない!)

 

 まぁやは、こんなことを望んでない!

 

 

『どれだけ暗雲立ち込める時代であっても、(わたくし)たちには自由があるのだと、そう証明したいのですわ』

「~~~~っ!」

 

 あの日、画面越しに見た輝き。

 私は私の好きをする自由があるんだって、認めてもらえたあの奇跡。

 

 それを信じて、まぁやはまぁやを貫くって決めた。

 

(まぁやはゴスロリが好き。この好きだけは、絶対に貫いてみせる!)

 

 そのためだったら命も賭ける。そのためだったら迷わない。

 家でも、学校でも、内でも、外でも、仕事中でも、戦闘中でも、死ぬ時だって着ててやる!

 

 でも、それは……!

 

(……まぁや以外の誰かの命を賭けさせるために、してたワケじゃない!!)

 

 だってそれは……!

 

(……誰かの自由(すべて)を奪うのは、まぁやを否定してた人たちと、まぁやが一緒になっちゃうから!)

 

 ……だから!

 

 

「ぐぁっ! DO-TANUKIが!」

 

 強烈な一撃を受け流そうとして、アイツが手に持つ刀を弾かれる。

 そもそもアイツ、大振りの攻撃が自分に合ってないって気づいてない。

 

 突撃上手なアイツに合っているのは、もっと至近距離から攻撃する――。

 

「――ダサダサリーゼント!」

「あ゛ぁ!?」

「これ、使って!!」

 

 気づけばまぁや、ナイフを投げちゃってた。

 自分の心を守る、大事な大事な相棒を。

 

 でも、コレでいい。

 

 

「……こいつは!?」

「ダサダサリーゼント! もっと、()()()()()!!」

「!? っしゃあ!! 見てろよゴスロリスキー!!」

「GAAA!?」

 

 まぁやの言葉の意味を、アイツはすぐに理解して駆け出した。

 

 意外だった。

 あれだけ意地悪したまぁやの言葉を何一つ疑わないで、真っ直ぐ、真っ直ぐに。

 

 でも。

 なぜだかアイツは絶対そうしてくれるって、まぁやわかっちゃってて……。

 

「……ぁ」

 

 何か、胸の奥でトクンって鳴った気がした。

 

 

「GAOOOOOON!!」

 

 ゴーレムが両腕を振りかぶる。

 迫り来る脅威を真正面から叩き潰そうとする。

 

「舐めんな! うおおおおお!!」

 

 アイツが駆け抜ける。ゴーレムの股をくぐって後ろに回る。

 

「GAO!?」

「これで、終わりだぁぁぁ!!」

 

 そして敵の背後を……まぁやのナイフで切り裂いた。

 

 

「GYAOOOOOON!!」

「……っだぁっしゃあ!! だぁぁ!!?」

 

 消えていく怪物。上手に着地できなくて、地面を転がるアイツ。

 ダサくて、カッコ悪くて……でも。

 

 でも、まぁや……アイツのこと……!

 

 

「好」

「ロレロホゲェェェェェェ!!!!!」

「「!?」」

 

 バッシャァァァァァァ!!!

 

 強烈な水飛沫。

 圧倒的な、殺気。

 

 ほんの一瞬浴びただけで身の毛がよだち、死を意識する。

 

 

「ぁ、ぁ、けい……」

 

 まぁやが、()()クンが、絶望する。

 

 次の瞬間には、もう。

 

「……ぁっ」

 

 まぁやたちの意識は、黒く塗りつぶされていた。

 

 

      ※      ※      ※

 

 

「っしゃあ! ゴーレムどこだぁ! おらぁ!?」

 

 海に潜ってルートを探り、地底湖と繋がってるのを見つけて俺は全力泳ぎでやってきた。

 

「あっ、鹿苑寺君! 竜胆さん!」

 

 二人は地面に力なく倒れ伏し、意識を失っている。

 ミンチにされてるんじゃなく意識喪失ってことは、俺の知らない特殊個体でも出たのか!?

 

 

「敵は、敵はどこだ!?」

「黒木さん!」

「細川さん!」

 

 岩陰に隠れていた細川さんが顔を出し、俺の元へと駆けてくる。

 

「細川さん、ゴーレムは!?」

「あのっ! その……非常に言いにくいの、ですがっ!」

「なんだ!?」

「お二人が気絶したのは、殺気全開で水中から現れた……黒木さんのせいです!」

「え?」

 

 モニター越しに、佐々君たちが頷いていた。

 めばえちゃんも頷いていた。

 

「……Oh」

 

 俺は膝をつき、そのまま四つん這いに崩れ落ちた。




黒木の殺気 > ゴーレムの殺意

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