ハーベストハーベスター~踏み台型ラスボス少女と呼ばれた推しを、今世では幸せにしたい!~   作:夏目八尋

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楽しんでもらえてるんだなと実感が沸きます。
誤字報告も助かっています。本当にありがとうございます。

彼と彼女の結末。


第118話 仲良しの結末

 

 離島に突然ハーベストが出現した。

 その異常事態に天2は即座に本格的な調査団を結成し調べた。

 

 だが、そこでわかったのはただ一つだけ。

 

「……マーキングが一つも見つからなかった?」

 

 報告を受けた六牧司令の驚愕顔には、超共感できた。

 

 浸食領域を広げるためにこそこそ潜り込んでくるフェアリーならまだしも、今回遭遇したのはゴーレム。明確にマーキングがなきゃ出てこれないはずの敵がご登場したのだ。

 

「建岩の研究機関においても、マーキングなしでのハーベストの出現は記録にありません」

 

 姫様伝手の話でもこれなのだから、本当に前代未聞である。

 っていうか、俺の前世知識にもそんなモノは存在しない。

 

 つまり……。

 

 まったくの未知な何かが起こった。おそらくは……六色(ロクシキ)絡みで。

 世界の真実を知らない六牧司令からしてみれば、お手上げすぎる状況だろう。

 

(やっぱり、白の一族の技術を持った赤……居やがるな?)

 

 俺の中の疑念がまたひとつ、確信へと変わる。

 

(だが読めない。いったい何のためにこんな真似をする……?)

 

 今回一番予想できる筋として、ネームドキャラの排除が浮かぶ、が。

 

(いまさら原作メンバーを一人二人仕留めたとして、なんの益があるんだ? わからん……)

 

 相手の意図を理解するには、まだまだ情報が足りなそうだった。

 

 

「……ま。考えても仕方ないことは、ひとまず放って違うことを考えよう」

 

 思考の海からあがり、俺は自分の位置を確かめる。

 

 春の香りがする新施設。

 天2の隊員たちが全員入居した、隊員寮の……その屋上。

 

 出入口の壁に背を預け、“隠れ身”しながら窺い覗くその先にいるのは――。

 

 

「はい、桂馬クン!」

「お、おう……」

 

 

 ――今回のメイン。

 鹿苑寺桂馬と竜胆摩耶の二人だった。

 

 

      ※      ※      ※

 

 

 調査任務以降。

 鹿苑寺君と竜胆さんの関係は、大きく変化した。

 

「桂馬クン! 何してるのー?」

「桂馬クン! 一緒におしゃべりしよ☆」

「桂馬クン! お弁当、作ってみたの……一緒に食べてくれる?」

 

 竜胆さん、ロックオン。

 

「桂馬クン! 桂馬くぅ~ん☆」

 

 あまりにも分かりやすい変化! あまりにもストレートなアタック!

 彼女の豹変ぶりとその意志は、瞬く間に天2へと広まり周知されることとなった。

 

 そして。

 

 

「桂馬クン。はい、あーん☆」

「そ、そこまでしなくていいっての!」

 

 今まさに、差し出されたミートボールを前に硬派を気取っている鹿苑寺君。

 

「……桂馬クンは、まぁやのこと、嫌い?」

「はぁっ!? いやっ、その、えっと……」

「ん~?」

「……ねぇ」

「うん?」

「嫌いじゃ、ねぇよ……」

「~~~~っ!!」

「バッ! 抱きつくんじゃねぇ! うわっ、こらやめろ!」

「………」

 

 ご覧の通り、陥落寸前である。

 

 

(いやぁ、ここまで上手いこと話が進んでくれると、なんというか動いた甲斐もあったってもんだなぁ)

 

 オリーなんかはこの結果に、ぴょんぴょん跳ねて喜んでた。

 俺のことを魔法使いだなんだって言いながら、キラキラした目で見つめてた。

 

 オリー、なんか天2の人間関係が変化するのを見るのがめっちゃ好きみたいで。

 いわゆる関係性フェチって奴なのかもしれない。

 

(ただ今回は、そんなオリーの働きかけのおかげもあって、もう一歩踏み込めたんだよな)

 

 実を言うと、俺はオリーと悪巧みするときこうも言われていたんだ。

 曰く「人の心って、移ろいやすいように見えて、根っこはみんな頑固だよ」と。

 

 俺たちがわちゃわちゃ何かやったところで、結局は当人たちの心の深いところでの触れ合いこそが一番影響する。

 外野からの干渉なんてそれに比べたらほんの一部、人の心舐めんな、って。

 

 そう言われたんだと俺は思った。

 

 

「……人の心、か」

 

 FESなんてモノはない。

 あるのはただ、それぞれの人の中にある、色んな感情を詰めた器だけ。

 

「めばえちゃんの心の深いところには、今。何が詰まってるんだろうなぁ?」

 

 今も保健衛生管理室でお仕事している我が推しについて思う。

 俺からの誘いを頑として拒否しまくる割に、周りとの付き合いに俺が混じってるパターンだと許容してくれるっていう、不思議な距離感。

 

 彼女の中にある未知を思うと、俺は不思議と胸が熱くなるのを感じた。

 

(俺の知らない推しがいる。まだまだ俺は、彼女について知っていくことができる……!)

 

 知りたい。もっと知りたい。

 だから……。

 

 

「……よし、めばえちゃんに会いに行くか!」

 

 ジーッとしてるだけじゃ、始まらない。

 ここはもう大丈夫。少なくとも、ナイフちゃんに問題はない。

 

 だって。

 

 

「これ、本当に返さなくていいのか?」

「うん。いいよぉ。それは桂馬クンが持ってて、使って。ねっ☆」

 

 彼女の(ナイフ)はもう、彼が持っているのだから。

 

 

「黒木終夜はクールに去るぜ……めっばえちゃ~~~~ん!」

 

 人生で言いたいセリフTOP10に入る奴をこれ幸いと言いながら。

 お邪魔虫になる前に、俺は屋上を立ち去るのだった。

 

 ちなみに。

 これは完全な余談となるのだが。

 

「天2の服飾規定に関しましては、現在制服の着用義務はございませんよ。“天2の”服飾規定に関しましては、ね」

 

 と、どこかの日常的に巫装束着てる姫様が微笑んでいたとかいないとか。

 

   ・

 

   ・

 

   ・

 

「本当にいいんだな? なら、ありがたく使わせてもらうぜ」

「うん☆ だって、まぁやはもう……()()()()()()()()から☆ きゃはっ☆」

 

 鹿苑寺桂馬と竜胆摩耶が正式にお付き合いを始めた。

 そんなニュースが天2を駆け抜けたのは、この数日後のことだった。




何気に天2で初成立のカップルなのであった。

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