ハーベストハーベスター~踏み台型ラスボス少女と呼ばれた推しを、今世では幸せにしたい!~   作:夏目八尋

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本章の締めはこの方で。


第138話 揚津見八重香の見た青春

 

「ワウワウ!」

「うん? どうしてこんなまどろっこしいことをしたのか、だと?」

 

 日課である朝の散歩の時間。

 私――揚津見(あがつみ)八重香(やえか)は天2の守護者であり、かつ公的には私のペットということになっているクロ殿から尋ねられ、微笑を浮かべた。

 

「……黒木がクマモノくんコレクションをかなりの量溜め込むだけ溜め込んで死蔵させているという情報を、彼の母君から入手してな。同時に九條が妹へのプレゼントに特別なクマモノくんグッズを探しているという話も聞いて、上手くやれば面白くなるかも、と。そう思ったんだ」

「ワゥゥ?」

「誰にとって面白く、だと? ははは、さすがは守護者殿。痛いところを突いてくる」

 

 ランニングのペースを上げて、名探偵殿に白状する。

 

「もちろん私だとも。今回の騒動を起こすため、秘蔵のキング・クマモノくんを君へと託したこの私……クマモノくんハンター裏ボス担当の企みは、おかげで大成功したのだからな」

 

 今回私が狙ったのは、死蔵されていた黒木のコレクションだ。

 彼の母君と裏で取引して譲ってもらうという線も考えたが、相手はあの緑の風。収集したこと自体に何か意味があったのではないかと予想して、その手は選ばなかった。

 おかげで隊内での問題の種となりえる他のハンターの炙り出しに成功し、かつ彼のコレクションを彼の意志で解放させ市場に回帰せしめ、私もそのご相伴に預かることができた。

 

 

「ワウワウワウッ!」

「であれば、事態に絡めて直接交渉するなりしてもっと多く手に入れられたのではないか、か。確かにその通りだ」

「ワワウワウワウッ! アウワウ!」

「なになに、計画自体も稚拙で行き当たりばったり。裏ボスを名乗るには分不相応? はは!」

 

 クロ殿のいちいち真っ当な指摘に唸るしかない。

 だが、だからこそ私には答えるべき言葉が存在した。

 

「それがどれほど投げっぱなしなモノだとしても、彼らなら必ず派手な騒ぎにしてくれると信じていたからな。何しろその実績は、挙げ始めたら止まらないくらいなのだから。それに……いいんだ、これはこれで。このくらいの稚拙さと、杜撰さで」

 

 そう。

 ある意味これこそが、今の私が一番に執着しているもので。

 

 

「そのくらいの勢い任せこそが、青春というモノだろう?」

 

 

 ついぞ、ティーンを軍役の道に傾けた自分では、取りこぼしてしまった物。

 

 青春。

 

「……私だって、彼らと青春したかったのだよ」

「わう?」

「彼らの大騒ぎに、一枚噛むくらいはしたかった。ただ凡庸な大人の私でも、な?」

 

 

 あまりにもまぶしい彼らの生き様に。

 ずっと心を焼かれ続けていた私の、ほんの小さな出しゃばり。

 

 ずっと焦がれていた彼らの催しに、今回は少しだけ、内側に立って参加できた気がして。

 今、少々顔が面映ゆいのは、日の光のくすぐったさということにする。

 

 

「ワゥーン!」

「なるほど、理解してもらえたか。さすがはクロ殿だ」

 

 同意の言葉を得られて、私はさらに駆け足になる。

 これからの未来に向かう彼らとは、比べるべくもない鈍足であっても。

 

「今回は私“も”勝ちだ! 上天久佐第2独立機動小隊っ!」

 

 私の掲げた小さくありきたりな指人形(キャラグッズ)は、今日の勝利の勲章だった。




揚津見八重香。序盤からずっと天2に脳を焼かれ続けた女。

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