ハーベストハーベスター~踏み台型ラスボス少女と呼ばれた推しを、今世では幸せにしたい!~   作:夏目八尋

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第15話 そこに重要人物が一人いるなら、実際は二人以上いるもんだ

 

「きりーつ、れいっ!」

 

 当番の号令に従って、頭を下げる。

 顔を上げると、いつもの美人女教師揚津見(あがつみ)八重香(やえか)先生が、今日も美人顔で頷いていた。

 

「おーし、授業するぞー……って、なんだ、今日の佐々は朝からへばってるのか? 一昨日、昨日と遅刻してこれとは、たるんでいるぞ」

 

 俺の隣の席。

 朝礼直後にべたーっと机に突っ伏した佐々君を、八重香先生が叱責する。

 

「佐々! 近々Bクラスに移籍するとはいえ、Aクラスを舐めていいわけじゃないからな!」

「くっ、ぅ……重々、承知している……!」

 

 佐々君は死にそうな顔を浮かべているが、それでもなんとか起き上がり先生に向き合って。

 

 そんな彼の姿を、俺は温かな目で見守っていた。

 

 

(フフフ。今日はちゃんと間に合ったようで何より。あの運動の後でも朝食が食べられるようになったんだな!)

 

 昨日一昨日の遅刻は、回復が間に合わなかったせいだろう。

 こうしてこの場に来れていることこそが、朝活で佐々君の体力・気力が伸びている証だ。

 その努力、実に誉れ高い。

 

 整備士に転属したとしても、ステータスは高ければ高い方がいい。

 もともと知力の伸びがいい彼ならば、伸びた基礎ステを効率良く使ってさらに成長していくだろう。

 

 それがひいては仕事で無茶を求められた時の対応力や、いざという時の生存力に繋がる。

 

 天賦の才にステータスのごり押しを足す事で、彼は最強の整備士となるのだ。

 

 

(整備士養成Bクラスに移籍しても、達者で暮らすんだぞ?)

 

 これから巣立とうという雛を見送る心持ちで、俺は佐々君を見つめる。

 そんな彼を同じように見つめる他のクラスメイト達の視線は、実に様々だ。

 

 困惑、興味、心配、憐憫、不審……。

 

 それは数日前、彼が戦士養成Aクラスでパイロットから整備士に転職すると宣言した時と同じような、未だ真意を見いだせないでいる目だった。

 

 

「………」

 

 それらの中でもひときわ佐々君に重い感情を向けてそうなのが、彼の斜め後ろの席に座る金髪縦ロール美少女だ。存在感の塊。

 

 彼女の名前は天常(てんじょう)輝等羅(きらら)

 

 佐々君と同じ、隈本御三家の一角。

 なんと、設定資料集にもキッチリ名前が載っていた、天常家のご令嬢である!

 

 

「……じー、ですわ」

 

 お嬢様オブお嬢様な天常さんからの熱い視線は、俺にもしっかり向けられていて。

 っていうか、授業そっちのけで観察されてる気すらする。

 

(これは、来るか?)

 

 だから。

 これは予感というより、確信だった。

 

 

「オーーーーッホッホッホ!! 黒木さん、少々お時間、よろしくて?」

 

 昼休み。

 堂々たるお嬢様笑いと共に従者さんを連れてやってきた、天常さんからのお誘いに。

 

「あぁ。俺もそろそろだろうと、思ってたんだ」

 

 俺は内心の緊張を悟られぬようにしながら、不敵な笑みを浮かべて向き合った。

 

 

(舐められちゃいけない。かといって、警戒されすぎてもいけない)

 

 彼女との交流には、細心の注意が求められる。

 

 なぜならば。

 天常さんこそ俺の今後を大きく左右する重要な要素を埋める、要注意人物であるから。

 

(隈本御三家“繁栄”の天常家……)

 

 すべては、ラブラブハートめばえちゃん様との明るい未来のため!

 

 俺はここから彼女と。

 天常輝等羅と友好的な関係を、結ぶ!!

 

 

「では黒木さん、付いてきていただけます?」

「もちろんだ」

 

 俺と天常さんと、その従者さん。

 3人で連れ立って教室を出る。

 

「待ってくれ! このボクも一緒に!」

 

 と、付いてこようとした佐々君は、3人がかりで丁重にお断り願った。

 

「そんな……!」

 

 この世の終わりみたいな顔でくずおれる佐々君を、少しのあいだ天常さんは目を細めて見つめていた。

 

 

      ※      ※      ※

 

 

「――ん、こちらであれば問題ありませんわね」

 

 やって来たのは精霊殻やその他兵器の整備を行うドック裏。

 この時間なら仕事をするプロ整備士の方も休憩中で、密会するにはちょうどいい。

 

 念のため従者さんが諸々の手段で人払いを済ませ、いよいよ辺りに俺達3人だけとなったこの場所で。

 

「では、お尋ねしますわ。……貴方、私の幼馴染にいったいどんな洗脳を施しましたの!?」

 

 開口一番、天常さんはそう言った。

 

 

「元々、千代麿は貴方に興味関心を持っておりましたわ。ですが、貴方に敗北した日から何かが大きく変わってしまった。それもここ数日の変化はあまりにも急激で、およそ尋常だとは思えませんの!」

 

 パシンッ!

 

 手にした扇子を閉じて突き出し、俺を鋭くにらむ天常さん。

 

「間違いなく! 貴方が何かしらの小細工をしたに違いありませんわ! 正直に白状なさい!」

 

 その視線は明確な疑惑と不審、そして敵意を持って俺に向けられていた。

 

 

(ふむ。これは――)

 

 さすがにこれは、俺でもわかる。

 

(――バッチバチに警戒されてるじゃありませんことぉぉーーーー!?!?)

 

 どうしてこうなった案件だ、と!

 




天常さんは金髪縦ロールのムチムチお嬢様です。
そして隣の従者さんは細川さん。女の子です。

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