ハーベストハーベスター~踏み台型ラスボス少女と呼ばれた推しを、今世では幸せにしたい!~   作:夏目八尋

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いつも応援ありがとうございます。

感想・評価いただくたびに、やったぜと喜んでいます。
楽しんでもらえてるんだなと実感が沸きます。
誤字報告も助かっています。本当にありがとうございます。

頂いた感想がとうとう1000を越えました! 嬉しくて小躍りしました!
何度も感想を書いてくださる方、思い至ってポイッと投げてくださった方、皆々様の積み重ねてくださった結果です! 本当にありがとうございます!! 頑張ります!

ちなみに今回は考察回です(真顔)。


第150話 敵の狙い

 

 天2のエースオブエースが敵陣営をガン無視して空を飛び、敵ボス亜神級へと特攻を仕掛けている、その同時刻。

 神子島戦線最前部。

 

「第2大盾隊! 展開!」

「大盾、展開!!」

 

 高火力の攻勢を仕掛ける敵ハーベストの猛撃を、最新鋭の大盾装備の小隊が受け止める。

 弱い相手を狙い撃つという敵作戦の裏をかき、大盾隊は戦う武器を持たず、ヘイトを引き寄せダメージコントロールに徹する。

 

「第6銃撃隊! 一斉射!!」

「「うおおおお!!」」

 

 その後ろから別小隊が銃撃し、火力を担う。

 

「敵の火力と命中精度がなんだ! こっちには天上ならぬ天常様の歌声と、現人神様の加護がある!」

「守って、叩いて、それを繰り返していくだけだ! 準霊師殿に泥を塗るなよ!」

 

 強く守り、強く攻撃するための、小隊規模の連携。

 必要となる戦いの練度は、神子島戦線を戦い抜いたベテランたちが満たしている。

 

 

「命ちゃん! サザンカちゃん! 行くよっ!!」

「はい」

『了解デス』

 

 そんな彼らを鼓舞するように、より前線へと食い込んだところで戦う一機の精霊殻。

 

「マルチロック、最大捕捉、完了しました」

「位置取り、十分!」

『コマンド、タイミング調整、ぱーふぇくと、デス』

 

 乱れ飛ぶ豪風のミサイル。

 それら一発一発が的確に敵ハーベストを狙い撃ち、あるいはその爆風でもって消し飛ばす。

 

 陸戦、一対多において無双。

 それが天2が誇る後期精霊殻強襲型“豪風(たけかぜ)”の真骨頂であった。

 

 

「終夜様は、あぁ、空を飛んでおられますね」

「へぇ、空を……って、黒木くん飛んでるの!? なんで!?」

『ドウヤラ新兵器ガ届イタヨウデス。……飛ブンデスネ、精霊殻(ワタシタチ)

 

 周囲の敵は殲滅したとはいえ、未だ敵地のど真ん中。

 けれどもそこに居座る少女たちの心には、雑談するほどの余裕が確かに存在し。

 

「追いかけますか?」

「え、うーん。どうしよう?」

『前線ハ維持デキテイマス。こちらデ敵ヲ蹴散ラシテ行キナガラデアレバ、問題ナイカト』

 

 独立機動小隊の名の通り、この戦場において彼女たちの動きは自由だ。

 行きたければ行けるし、それをできるだけの実力が彼女たちには備わっている。

 

 が。

 

 

「……やめとこうかな」

 

 いつもなら、それこそワンコのように終夜の後を追っている少女が、珍しく身を引いた。

 かつての彼女であればそれは力不足からくる言葉であったが、今回は――。

 

「――なんだろう、嫌な予感がする」

 

 何か、大きな何かを察した、そんな険しさによって動かされていた。

 

「嫌な予感、ですか?」

「うん。黒木くんはきっと勝つ。けど……」

 

 彼が勝つだけではいけない。

 そう、彼女の中で確信めいた何かが渦巻いていて。

 

 

「私たちは、きっと。ここにいなきゃいけない」

「そう、ですか……」

 

 その言葉は、彼女とともに機体を操るもう一人の少女にも、納得を与える。

 彼女もまた、終夜にこそ己のすべてを賭けている人物であったが。

 

「……わかりました。合流せず、このままここで戦い続けましょう」

「うん!」

 

 これまた珍しく、ともにここに残ることを選択する。

 

 

(なんだろう、この変な感覚……)

(今、帆乃花様の判断が正しいと、贄は確信した? なぜ……?)

 

 ともに未知の何かを感じながら、それでも戦いに手を抜くことはなく。

 

「装備破棄、“精霊纏い”による再装填完了。併せてマルチロック、最大捕捉、完了しました」

「位置取り、十分!」

『コマンド、タイミング調整、ぱーふぇくと、デス』

 

 雑談とともに動かし続けた機体が、再びミサイルの雨を戦場に降らせるのだった。

 

 

      ※      ※      ※

 

 

 桜花島、山腹。

 文字通り、飛燕の力を借りて飛んでった先で。

 

「キキキキッ!」

「ケケケケッ!」

 

 俺は、亜神級“凶獣”トウテツ&ホウキョウと対峙した。

 

 

「うわ、リアルで見るとキモッ!」

 

 人の頭に羊の胴体。

 キマイラなんかも合体系だが、そこに人間の要素が含まれるとこうも嫌悪感が沸くのか。

 

(サイズ的にもキマイラ級……そんなに大きくはないんだな)

 

 ゲーム版HVVでも、小説版HVVでも、主人公が戦わなかった相手。

 前世じゃ設定の中だけに存在した、幻の亜神級。

 

 

(大軍団VS大軍団の形になった華国ならまだしも、こんな日ノ本の端っこで指揮を取らされて、片手落ちもいいところだよな?)

 

 赤の一族の賢者によって、最大最高に運用されていたこの敵は今、この場の戦いを盛り上げるためだけに消費されようとしている。

 

 おそらくそれは、白衣の男の意志によるもの。

 

(やっぱ、何度考えても……結論変わらねぇなぁ)

 

 白衣の男の、その目的。

 

(そこに……赤の一族(みかた)の勝利は含まれてない。あいつの望みは、恐らく……この戦い、そのもの)

 

 愉快犯的な行動、それ自体があいつの最終目標なら。

 

「だとしたら随分と、つまらない真似してくれやがるなぁ……!」

 

 あいつは今、()()()()()()()()()()()()()()動いている可能性が高い。

 

 

(俺がラスボス化するのが、一番世界が派手で大きな戦いに巻き込まれるからな。あいつはそれが見たくてあれやこれやと動いているって考えるのが一番納得できる、か。納得したくないが)

 

 考える俺に、白衣の男の言葉がフラッシュバックする。

 

 

『黒木終夜。キミは私の……推・し・DA・YO☆』

 

 

 今思い出してもはらわたが煮えくり返るような気持ち悪さを感じる言葉だ。

 だが同時に、それこそがあいつが本心から語った言葉だって確信できる理由になる気がした。

 

 白衣の男は黒木終夜という存在に……強く執着している。

 

 

(ここまでの戦いも、今こうして目の前にいる敵も、すべては俺をラスボスにするための布石。って、そうか。俺がラスボスになったら赤の一族的にはほぼ勝ち確定って筋書か? そう考えれば他の赤の一族が協力しているのもギリ頷け……いややっぱ頷けない)

 

 彼らが侵略という誇りある儀式を、こんな感じで引っ掻き回されて許すとは思えない。俺をラスボスにするにしても、その瞬間までは世界各地で堂々と侵略戦争やってるはず。

 なんなら赤の一族の身分格差的に、白衣の男は殺されててもおかしくない。

 

(それに是が非でも俺をラスボスにするって考えるなら、RRの存在がやっぱりさっぱり意味分からん。黒木終夜絶対殺すマンレディなあいつの存在がノイズ過ぎる。白衣の男的にはラスボスVSヒーローが盛り上がればいいってことなんだろうが……んん?)

 

 考えれば考えるほど、頭がこんがらがっていく。

 敵の狙いがわからない、本心がわからない、イレギュラーにイレギュラーが重なっていて、答えが濃い霧の中へと溶け消えてしまう。

 

 白衣の男とRR。

 こいつらが繋がってるかどうかだけでもわかれば、答えに辿り着けそうなんだが……。

 

 

「……んー、考えててもわからん!」

 

 思考の海からいったん、身を起こす。

 考えている間に動かしていた手で、追加のコマンドを即座に入れる。

 

 

「グゲッゲゲゲ!?」

「ひとまず一匹、F・O・B」

「グベッ!!」

 

 フィナーレ・オブ・バーン。

 突っ込んだ手を引き抜いて、内側から爆砕する。

 

「グビィィィィッ!!!」

「!?!?!?」

 

 爆発四散したのは凶獣の片割れ、ホウキョウだ。

 少し離れたところで、もう一体の亜神級トウテツが、ガクガクブルブル震えていた。

 

 

      ※      ※      ※

 

 

「まぁ、指揮特化ってこんなもんだよな」

 

 ギミック無視のボス直行。

 海を渡るのに霧を経由する必要があるこいつらにとって、ひとっ飛びの飛燕を使った奇襲はチートもチートだった。人脈は力。

 

 ちなみに慌ててこっちへ来ようとしたドラゴンやワイバーンもいたが、おしなべて天2最強スナイパーのおやつである。

 

 

「ってことで、これっくらいじゃもう……俺たちは止まらないぜ?」

「キキキキーーーーッッ!!!」

 

 苦悶の表情を浮かべるトウテツに、遠慮なく精霊拳をお見舞いして。

 

「爆ぜろ! フィナーレオブ……バーーーンッ!!」

「グボアアアアアアッ!!!」

 

 再びの爆発。

 四散する亜神級。

 

「コントロール・ガラカブへ。こちらアンチェイン。亜神級“凶獣”を撃破」

 

 勝利のポーズを決めながら、俺は六牧司令へと連絡を取った。

 ほぼほぼノータイムで、通信が繋がる。

 

 

「こちらコントロール・ガラカブ。キミの起こした派手な爆発はこちらでも確認している」

「なら話は早い。敵の指揮官は潰した。あとはそこにいる奴らを」

「しかし、依然として敵の攻撃力は通常観測している値よりも大きいままだ」

「……は?」

 

 その言葉の意味を理解するよりも早く。

 

「あっ」

 

 俺はその答えを、目で捉えた。

 

 

「~♪」

 

 それは、中世の貴族を思わせる華美な装飾を伴うローブをまとった、物語のエルフめいた白眉秀麗な男。

 男といってもそのサイズ感は人間のそれとは違い、身の丈8mから10mといった巨人。

 

「~♪ ~~♪」

 

 精霊殻と大きさを同じくするそれは、楽しげな歌を歌いながら、ゆっくりと幽世の門を超え、背中の虫羽根を震わせ舞い降りる。

 

 神子島解放軍最前線の、その直上に。

 

「ピギィィッ!」

「ピギャギャギャッ!」

「ピギィィィィィッ!!」

 

 その周り、百を超えるフェアリーを狂い踊らせて。

 

 

「……がっ!」

 

 次の瞬間。

 俺は喉の奥が切れるのも気にせず、全身全霊で声を張る。

 

 

「対爆全力防御ぉぉぉーーーーーーーーーーー!!!!」

 

 

 その叫びに、どれだけの意味があったか。

 

 桜花島から見つめる先。

 

 最も激しい戦場で、花咲くような大量の爆発が巻き起こった。

 

 

「だぁぁっ、くっそ!!」

 

 しくじったしくじったしくじったしくじった……!!

 今を疎かにしくさって、先のことばっか考えすぎてた……!!

 

()()()()()()()()! 天久佐の壁の時にやられただろうが……!)

 

 亜神級を囮に使っての、俺と主戦場との分断!

 その上で、さらに新たな亜神級を投入しての奇襲!

 

(なにがイレギュラーにイレギュラーだ。この戦場がそもそも正史に対してイレギュラーだろ!!)

 

 調子こいてた自分に腹が立つ!!

 今この戦いに勝利することだけを考えてたなら、コレは読めてただろ……俺!!

 

 

「こちらアンチェイン! コントロール・ガラカブ! 応答を――」

『――終夜!』

 

 ヨシノの叫びと強制操作、上体反らしが入力される。

 驚く間もなく超高機動で指示通りに動いた呼朝の胸部装甲を、刹那、鋭い刃が掠めていく。

 

「……今かよっ?!」

 

 刃先から、相手の“隠密”が解けていき。

 呼朝の正面モニターに、昼間の時刻にゃよく目立つ、黒い精霊殻の姿が映し出された。




トウテツ&ホウキョウ「わァ…ぁ……」

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