ハーベストハーベスター~踏み台型ラスボス少女と呼ばれた推しを、今世では幸せにしたい!~   作:夏目八尋

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日ノ本最終決戦編、クライマックス!


第200話 日ノ本最終決戦~託された者たちの英雄譚~

 

 永崎。

 

「こ、のぉぉぉーーーー!!」

 

 無頼の手に握られた大太刀が横薙ぎに振るわれる。

 パイロットの怒りを込めて放たれた一撃は、眼前のゴーレムを一文字に断ち切る。

 

「GAOOOOON?!」

「邪、魔、だぁぁーーーー!!」

 

 命脈を絶たれたそれが粒子になる間も惜しいと、先行入力のキックが巨体を蹴り倒す。

 最前線を駆ける機体の眼前には聳え立つ柱。

 

 あと10歩。

 だというのに……!

 

 

「グルギャオオオオーーーー!!」

「ぐっ! くぉぉぉ!!」

 

 その柱からタイミングよく現れる新たなる巨敵が、その前進を阻む。

 

「ブレス来る! 盾、構えぇぇぇ!!」

「グルオオオオオオ!!」

 

 押し返しの圧を伴った火炎の息。

 無頼にシステムとして組み込まれた、天2由来の緊急回避プログラムで対応し難を逃れる。

 

 

「くそっ、まただ! また攻めきれなかった!」

 

 決して、後れを取っているわけではない。

 だが、天常の歌声を受け英雄となった兵たちの進軍を、ハーベストたちは凌ぎ続ける。

 

「間違いない……俺たちの攻め方を理解した上で、呼び出す駒を選んでやがる!」

「亜神級が指揮を執ってるのと変わらないってか!? チクショウが!」

 

 あと少し、もう少しで柱を崩せるところまで来てからの、この状況。

 それはまさしく、死に物狂いの最後の抵抗で。

 

 窮地に陥ってなお強くなる侵略者たちを前に、永崎防衛隊はあと一手のところで足踏みを余儀なくさせられていた。

 

 

「せっかくここまで切り拓いてもらったってのに! こんだけ背中を押してくれてるってのに!」

「何だ、何が足りない!?」

「あと一歩、もう一歩が……!」

 

 踏み出している。挑んでいる。

 戦っている。命を張っている。

 

 なのに、真の英雄になりきれない。

 

 

「俺たちにはいったい、何が足りないっていうんだ!?」

 

 そんな、魂の慟哭に。

 

「いやいやいやいや、ならんでいいです。真の英雄(ばけもの)なんかの領域にゃ」

「!?」

 

 応える声があった。

 

 

「……っていうか、死傷者ゼロで戦線維持し続けてる時点ですごいし、柱が戦術使うのが予想外過ぎて、大人しくこの人たちに倒されとけよハーベストって気持ちのが強いです。マジで」

 

 撃ち放つ弾丸が、溢れ出る巨敵を出がしらに打ち滅ぼしていく。

 

「精霊級を相手に一歩も引かず、どころか幾度もそれらを打ち倒し、誰も犠牲に捧げずに、最後の最後まで追い込んだ。ほんの数年前と比べても、それがどれだけとんでもないか、俺は知ってるつもりです」

 

 戦い抜いた英雄たちの前に、勝利への道が拓かれる。

 

 

「……だからこれは、ただの戦の早送り。勝利が決まってる戦場を、俺の都合でスキップさせてもらうだけ」

 

 掛かる時間を惜しんだだけだと、そう告げて。

 

 

「ってことで、俺は次の戦場へ行きます。トドメは、()()()()()()()()()()!」

「「………!」」

 

 

 ただそれだけを言い残し。

 その機体は、パイロットは。緑の風の輝きの残滓を散らしながら……消えた。

 

 まるでこの先この戦場がどうなるかなど、考えなくてもわかるとばかりに迷いなく。

 

 

「……お」

 

 託された。

 誰もがそれを理解した。

 

 だからその声は、誰が最初にあげたかもわからない。

 

「「「おおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」」」

 

 衝動に突き動かされるまま、誰もが己が武器を構え、トドメを放つ。

 

 そうして撃ち出された何百を超える銃弾は。

 

 ズ、ズズ……ドォォォ………!!

 

 遂に永崎の地を踏み荒らす、侵略の御旗を打ち砕いた。

 

 

「「わあああああああああああ!!」」

 

 沸き上がる歓声は、彼ら自身が勝ち取った、確かな勝利の鬨の声だった。

 

 

 

      ※      ※      ※

 

 

 永崎の柱、撃破。

 その吉報をモニターの端に確かめて、少女たちは笑う。

 

「すごいすごい! みんなすごい!」

「当然の結果です。驚くべきはむしろ……すべての戦場が想定よりも早く、すでに柱を撃破している事実についてかと」

「それは……終夜君が暴れてるからだねぇ」

「はい。残すはここと神子島のみとなりました」

 

 人類が、未曽有の危機を相手に勝ち進めている。

 迫り来る絶望を、自ら鍛え上げた心と体、技を尽くして跳ね除けている。

 

 であれば。

 

 

「命ちゃん命ちゃん! 私たちも頑張らないと、だね!」

「はい。そうですね、帆乃花」

 

 その勢いに、少女たちも負けてはいられない。

 手元のボードを手早く打ち鳴らし、複雑な文字列を重ねて束ねて紡いでいく。

 

「来るよ!」

 

 入力されたコマンドを、彼女たちの愛機が実行に移す。

 

 

「ヴォオオオオオオオーーーーーー…………!!」

 

 響く重低音は彼女たちの敵――亜神級ハーベスト“空泳ぐクジラ”の咆哮。

 

 高度130m。

 海上に大きな影を落としながら、それは大きく身を捩り、その巨大な尾を振るう。

 

 ブォォォォォ……ンッ!!

 

 空気が破裂する。

 大きな波のうねりの如く、厚さを伴った風が吹く。

 

 

「サザンカちゃん! お願い!」

『あいあいまむっ!』

 

 当たれば一瞬でバラバラになるであろう一撃を前に、しかし対応するのはただ一人。

 すっかり少女めいた話しぶりが根付く精霊殻の精霊が、操作するのは彼女たちの……足元。

 

『飛燕2号機、風に乗りまーすっ!』

 

 少女たち――清白帆乃花と建岩命の愛機“豪風”を乗せ、サーフボードめいた飛行兵器が宙を舞う。

 緑の燐光を放ち風を切り、ただでさえ高い高度をさらに上げながら、クジラの真上へ飛び上がる。

 

 

「命ちゃん!」

「入力済みです!」

「いっけぇぇーーーーー!!」

 

 豪風の両肩に取り付けられた、大量のミサイルが発射される。

 それらは各々多様な軌道を描きながら、直径2kmの動く的へと殺到する!

 

 ドドドドッ!!

 

「ヴォルオオオオオオオーーーーーーーーー…………!!」

 

 炸裂音と咆哮。

 ぐらりと巨体が傾き、横へ流れていく。

 

 延べ60発のミサイルが衝突、ひとつ残らず巨体を揺らし、確かなダメージを与える。

 亜神級“偽りの妖精王”を打ち滅ぼした大火力が、空泳ぐクジラを追い詰める。

 

「俺たち……何を見せられてるんですか? 隊長……」

「わからん。だが、私たちでは参加すらできないとてつもない戦いが行われている。それだけしか言えん……」

「隊長……」

「今は、信じるしかあるまい。天2を、あの二人を!」

 

 天久佐本島。司令部の要請を受け精霊殻のみで構成された、天久佐の壁防衛ライン。

 守りの要を背にしての、亜神級対豪風の、一匹対一機の大立ち回り。

 

 こここそ正しく、頂上決戦。

 希望と絶望、その衝突点だった。

 

 

      ※      ※      ※

 

 

「……何か、変だよね?」

「はい。事前に鏑木様から伺っていた手応えとは、明らかに違います」

 

 間違いなく優勢。

 けれど、二人はその中に潜む違和感を見逃さない。

 

『黒木様から聞いていた情報通りなら、対象はすでに撃破できているはずです!』

「なるほど」

「タフさ」

 

 即座に提示される回答に、複座の二人は頷いて。

 

「ギミックかな?」

「改造かもしれませんね」

 

 短く意見を交わしつつ、そうしている間も手指を動かし。

 

「ヴォオオオオオオオーーーーーー…………!!」

「ふぅぅぅんっ!!」

 

 敵の巨体に纏わりついて、わざと攻撃を引き出しながら、情報を蓄積していく。

 

 

「サザンカ。対象の傷の付き具合はどうですか?」

『サーチしている範囲では、怪我を負った様子はありません!』

「火傷とかもしてないの?」

『肯定! 代わりに攻撃の命中時、何か光のようなものが剥がれ落ちているのを確認しています!』

「光のようなもの……」

『多分、超過駆動の燐光と類似した何かかと……』

 

 契約精霊も交えてのディスカッション。

 その間も巨体の一撃を捌き、空中で見事に姿勢制御しながら、牽制するノリでミサイルを叩き込む。

 豪風必殺のミサイルが通じない可能性を前にしながらも、彼女たちは冷静だった。

 

 

「命ちゃん、わかる?」

「確信、は……できませんが。仮説でしたら今」

「ほんと!? 教えて教えてっ!」

「はい。おそらくは……アレの内側に()()、多くの命を使っているのかと」

 

 天2の誇る天才が、眼前の謎を(ほぐ)していく。

 直観と、経験と、その両方を用いて答えを引き寄せていく。

 

「理屈は私たちと同じです。契約し、繋いで、足しているのだと思います」

「繋いで、足して……あっ!」

 

 説明を受け、帆乃花も同じ答えに辿り着く。

 此度の戦闘において、アレが未だに使用してない特徴的な動きがあったと。

 

 

「……あいつ、敵の召喚してないっ!」

「はい」

 

 空泳ぐクジラ。それが巨大なマーキングとも呼ばれる所以となる力。

 

「アレは妖精級のハーベストを呼ぶ力がありますが、おそらくはそれを体内で行ないそれらを吸収、体力・気力を己の物として使っているのだと思います」

「そ、そんなのってありー?!?!」

 

 その無尽蔵な召喚能力を使った、無尽蔵な耐久力の実現。

 導き出した答えは、理不尽な絶望感に満ちたモノであった。

 

 

「実質体力無限ってことだよね!?」

「仮説が正しければ、おそらくは……」

『私たちの攻撃、ただ相手を押し返してるだけだった的な感じですねそれ』

 

 決して無駄とは言わないが、抵抗がほぼほぼ徒労に終わっていたという事実。

 相手は端から消耗戦で、こちらは知らず知らずにジリ貧な状況を押し付けられていた。

 

「……ほんっと、亜神級って一筋縄じゃいかないね」

「まったくです。猪口才ですね」

 

 いつか相対した亜神級との戦いが、否応なく思い出される。

 だが、あの時と違って二人には――。

 

「でも……」

「はい……」

 

「「だからどうした!」」

 

 ――余裕があった。

 

 

「実質無限って言ってもダメージを受けた端から回復してるだけだよね?」

『肯定! 先程のミサイル攻撃を集中させた点は、他の場所より回復し切るのにタイムラグがあったと確認されました』

「であれば有効なのは一点集中による部位破壊、および対象の……おそらくは召喚を行なう際のマーキングに相当する核となる部分を叩き砕き、力を封じればよいかと」

『肯定! 最も有効な作戦は、空泳ぐクジラの内部からの破壊だと思われます!』

 

 道が見えれば即断即決。

 流れるように作戦を立て、そのわずかな時間に帆乃花がコマンドを入力する。

 

 同時に命が端末を操作して、背後の守り手へ連絡する。

 

 

「……天久佐の壁特務防衛隊隊長へ。こちら豪風、建岩命です」

「!? どうした!?」

「これより豪風は、空泳ぐクジラの内部に潜入しこれを撃破します」

「なに?」

「つきましてはそのあいだ、大暴れするだろう対象の無理な進軍に備えてください」

「なに!?」

「以上です。ご武運を」

「なにぃぃーーーーっっ!?!?」

「あ、戦闘前に渡したアレ、いざという時に破いてください。では」

「なぁにぃぃぃ~~~~~~~~~っっっ!?!?!?」

 

 手短にやることを伝え、即座に意識を空泳ぐクジラへと戻す。

 

「空泳ぐクジラは、あれで生物なのだ。と、終夜様は仰っていました」

「だったら狙いは……あそこだね!」

『ルート構築、終わってまーす!』

 

 言葉にせずとも己が領分、己が役割を理解している3人は。

 それぞれができる120%を実践し、その結果、誰よりも多く行動する。

 

 

「それじゃあ行くよ! 限界突破駆動(システムオーバード)、起動!」

『飛燕2号機、自動操縦。目標、空泳ぐクジラ……口腔!』

「精霊纏い、ミサイル再装備! ……帆乃花!」

「いっけぇぇぇーーーーーー!!」

 

 それは、一見して自爆特攻としか思えない蛮勇行為。

 緑の燐光を放ちながら加速する飛燕を乗りこなし、豪風が大怪獣の口を目指す。

 

「ヴォオオオオオオオーーーーーー…………!!」

 

 響く咆哮。

 震える空気の中を豪風は行く。

 

 叫びの周期すら計算ずくの計画通り。

 開かれた口の中へ、彼女たちは一切の迷いなく飛び込んでいく。

 

「グルォオオオオオオオオーーーーーー…………!!!」

 

 彼女たちを飲み込んだ、空泳ぐクジラが暴れだす。

 2kmの体が曲がりくねり、時折地上を……海面を叩けばそれが大波となって、天久佐の壁へと打ち寄せてくる。

 

 

「うおおおおおお!! アンカー接続! 無頼隊、押し返せーーーーーー!!」

 

 打ち寄せる波に大壁が耐える中、隊長の号令を受けた無頼たちが一斉射。

 その質量がすでに兵器相当である空泳ぐクジラへ、数に任せた大量のロケット弾を撃ち込み、その巨体が陸へ近づくのを全力で妨害する。

 

「隊長ーーー!!」

「信じろ! 私たちの英雄を!! 耐えれば私たちの勝利だ!」

 

 絶望に叫ぶ部下たちを、必死になって鼓舞をして。

 

 しかし。

 

 

「グルォオゴガアアアアアアーーーーーー…………!!!」

「なっ!?」

 

 それが。

 その巨体が海へと飛び込む。

 

 遠目にもわかる巨体が沈み込むのに比例して、その海面は急上昇。

 もはや大波を超えた大波となったそれが、天久佐の壁ごと飲み込もうと迫り来る!

 

 その、次の瞬間。

 

 

 ――――~~~~ッッ!!!

 

 

「?!?!?!」

 

 

 海が、砕けた。

 爆ぜて、無音の時間があって。

 

 猶予1秒。

 

 

「うおおおおおお!!」

 

 それは隊長のとっさの判断にして英断だった。

 彼女の手にあった命からの託され物、護符を無我夢中で引き千切る。

 

 瞬間、それは青く輝く障壁を生み出し、防衛隊と天久佐の壁を覆う守りとなった。

 

 

「うおあああああああああーーーーーー!!!!」

 

 それでも強烈すぎる突風が結界を抜け、豪雨のような大粒の海水と共に防衛隊を、天久佐の壁を襲い、傷つけ、一部を派手に吹き飛ばす。

 

 だが、発生した被害はそこまで。

 大波は砕け散り、その衝撃の多くは謎の障壁に阻まれ、見れば実質的なダメージはごく僅か。

 

 

「……こ、れは」

 

 なんだ。

 という疑問すら、口にすることを憚られる。

 

「これこそが、神秘の建岩の……力?」

 

 超常の奇跡を目の当たりにして、ただ呆然と立ち尽くすことしかできなかった。

 

 

「た、隊長! あれを!」

「あれ? ……あ、ああ、あああ!!」

 

 そして、彼らは見た。

 

「……豪風!!」

 

 海の上、十数mの上空。

 飛燕に腹這いになって取りついている、人類最強の矛の姿を。

 

 

「豪風! 応答しろ豪風! 無事なのか!?」

 

 隊長からの霊子通信に、数秒を置いて返事が届く。

 

「……こちら豪風。対象の……亜神級ハーベスト“空泳ぐクジラ”の討伐、完了しました」

「~~~~~~っ!!」

 

 吉報。

 この上ない吉報に。

 

「……聞いたか! 私たちの勝利! 勝利だ!!」

「「おおおおお~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!」」

 

 快哉の声が上がった。

 

   ・

 

   ・

 

   ・

 

「はひっはひっ。し、死ぬかと思ったぁ~~~~!」

『機体損傷、小破相当。帆乃花ちゃん、受け止めすぎです。爆発ダメージの80%は無茶が過ぎるって!』

「えへ、えへへっ。ごめーん。でもでも、できそうだなって思っちゃったら体が勝手に……」

「すぐに手当てをしましょう。……ですが、おかげで豪風はまだ、動かせそうですね」

 

 豪風の中。

 大きく精根を消費した帆乃花がヘタレる横で、各部チェックを行なう命が静かに頷く。

 

 空泳ぐクジラに真っ向から突入した豪風は、見事相手の腹の中へと潜り込み、そこで思う存分に暴れ回った。一寸法師さながらの大立ち回りで内部からの破壊を実行し、帆乃花の幸運技能があっさりと目的の核を発見させる。

 

 そして――。

 

『――命ちゃん! 決めるよ!』

『参ります!』

 

 豪風から放たれる、必殺の多段ミサイル攻撃により核を破壊。

 

『帆乃花!?』

『できる! できるよ! やらなきゃ! 私たちが、守るんだから!!』

 

 さらには外の惨状に気づいた帆乃花のSOML(ミサイル)の最大多重発動により、大質量を爆発霧散!

 命の用意した守りの切り札と共に、天久佐の壁とその防衛隊を守り抜く。

 

 “空泳ぐクジラ”

 契約兵装、地球防衛連合、契約鎧、精霊楽士、人型契約機。

 人類が反撃の手を得る度に、幾度も現れ数多の国をその手で葬り去った最大最悪の亜神級は、ここでとうとう、討ち果たされたのである。

 

 

「……まぁ、戦果としては上々でしょう。敵にイレギュラーこそありましたが、こうして無事に成し遂げられました」

「ふへへぇ」

 

 遠くこちらを讃える歓声を聞きながら、しかし、彼女たちは違うことを考えていた。

 

 

「……あの方の手を、最後まで借りずに果たせました」

「……だね!」

 

 終ぞ天久佐に、黒木終夜は現れなかった。

 その意味を、彼女たちは違わず理解している。

 

「私たちは終夜くんと同じ、人類の希望(ヒーロー)だから! このくらいはできるって、証明しなきゃだよね!」

「はい。私たちならばできるはずだと、これからもそう信じて託していただくためにも……積み重ねましょう。私たちの戦いを」

 

 一度たりとも彼がその姿を見せなかった。

 それこそが、今の彼女たちにとって何よりの勲章だった。

 

 

      ※      ※      ※

 

 

 亜神級“空泳ぐクジラ”――討伐。

 その報告を見た瞬間、自然と口元に笑みが浮かんだ。

 

「さっすが、帆乃花と姫様だ。信じてたぜ!」

 

 思ってたより時間がかかったみたいだが、それでも俺が加速させた戦局に追いついて決着つけてるあたり、とんでもない。

 あの二人ならもう、出来ないことなんてないんじゃなかろうか。

 

 

「ともあれこれで、九洲各地の柱や亜神級は……討伐完了だな?」

「はい。こちらも今、終わりましたので」

 

 通信越しに会話する。

 呼朝のモニターが映すのは、ちょうど納刀している対話主――RRの姿だ。

 

 ズズンッ!!

 

 彼女の背後で神子島の柱が倒壊し、幻に還っていく。

 

 

「約束通り、被害を出さず、世界(ここ)を守り切りましたよ。黒木終夜」

「そうみたいだな」

 

 すでにこの場に雑魚はいない。

 桜花島の方で新姫ちゃん様がへたり込んでるが、どうせこっちにやって来るだろうし気にしなくてもいいだろう。

 

 今、俺が向き合うべきなのは。

 

「約束通り、話を聞いてもらいます。……いえ、どうか聞いてください」

「? 随分と殊勝な態度だな?」

「……はい。すでに私は、敗残兵のようなものですから」

 

 光なき神子島の地に輝く、満天の星空の下。

 この世すべてに絶望しているかのような態度のRR、もとい――。

 

「……!?」

 

 ――うちの姫様そっくりな、この謎オブ謎の存在Xなのだから。




一般戦士M「ひぇ、マジでソロで亜神級倒してる……」
一般戦士N「あれがヒーロー。天2のプリ〇ュア」

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