ハーベストハーベスター~踏み台型ラスボス少女と呼ばれた推しを、今世では幸せにしたい!~ 作:夏目八尋
応援、感想、いつもいつも元気をいただいています。
どうぞ最後までご声援頂けましたら嬉しいです!
とうとう終夜が、その事実に気づく……!
第201話 RRの正体
神子島の夜空を、黄金色の月が照らしている。
長い長い戦いの日々と、つい先日の激闘と、そして今日乗り越えた絶望とが作り出した、市街地にぽっかりと開いた広々とした更地の上。
「約束通り、話を聞いてもらいます。……いえ、どうか聞いてください」
赤いコートに赤い刀。
赤い瞳に赤い短髪。
俺の最愛最上最推しの、黒川めばえちゃんを殺すとその口でのたまった憎いあん畜生。
「………」
九洲援軍行脚を終えた先に待たせていたビッグゲスト。
すっかりとしおらしくなった、呼朝のモニター越しに向き合う女――
月下に晒す彼女の顔は――。
(……そっくりすぎだろ。姫様と)
――世界を救うメインヒロインこと姫様、建岩命と瓜二つだった。
「……っていうか」
『? どうかしましたか、終夜?』
俺は、気づいた。
気づいてしまった。
『終夜? 顔が変ですよ?』
『だいじょうぶ?』
頭を抱えた俺を心配してくれるヨシノとユメをよそに、俺はひとりごちる。
「俺、あの人のこと……めっちゃ知ってる気がするぅ~~~~!!」
前世の記憶。
この世界を創作物として楽しんでいた俺の知識の中、確かにあの顔が存在していた。
そう。
今この瞬間を生きた先、いつか世界を救ったその後、世界を飛び出した未来の姿として。
(……“虹の姫君”)
それが、記憶の中で彼女を指し示す、特別な呼び名だった。
(……いやいやいやいやいや!! そんなはずはない!)
さすがに信じられなくて首を横に振る。
(RRが虹の姫君? だとしたら真白君の傍にいたのは……っていうかじゃあこの世界の姫様は……?!)
頭が混乱する。
突きつけられた現実を受け止めきれない。
だが、世界はそんな俺を待ってはくれない。
「黒木終夜。私の顔に見覚えがありますね?」
「!?」
「先ほどの態度からしてきっともう、
聞いてません。知りません。と言う間もなく。
呼朝のアイカメラに向かって、真っ直ぐな視線を向けてRRが言う。
「……私は、この世界の今に照らして、未来からやってきた建岩命。かつてこの世界を救い、今は、六色世界で虹の姫君と呼ばれている存在です」
既知で、未知の、その名前を。
※ ※ ※
「………」
衝撃の事実を前に思考停止して、果たして何秒くらい経っただろうか。
モニター越し、こちらを見上げるRR……もとい、虹の姫君の顔に困惑が生まれる。
「……このまま、話せばよいのでしょうか?」
「あ……っと」
言われて、話を聞く態度ではなかったと気づき、慌ててハッチを開放する。
「ちょ、ちょっと待っててください!」
思わず敬語になりつつ返事して、一応自衛のためのDO-TANUKIを腰に佩びてから、呼朝を降りる。
彼女が本当に虹の姫君ならそんなことをする必要はないのだが、いかんせん情報不足なうえに確証もないから、念のため。
「降りてきてくださりありがとうございます。黒木終夜」
「いえ……」
地上に降り、改めて間近で見る虹の姫君の顔は、確かになじみの姫様にそっくりで。
けれどよく見ればどこか大人びた、それこそ未来の姫様って感じの僅かな違いが見て取れる。
(めばえちゃんから聞いた話でRRが赤の一族側じゃない可能性は考えてた。考えてたが……)
予想外の正体?
いやいや、何がどうしてこうなったのかさっぱりすぎて何もわからん!
(今の俺、間違いなくハトが豆鉄砲食らったみたいな顔してんだろうな)
目まぐるしく空回りし続ける思考を、俺は自覚する。
圧倒的情報不足!
少なくとも今はもう、RR殺すべし、なんては言えなくなった。
「………」
「……なる、ほど」
しばらくのあいだ無言で相対していると、虹の姫君が静かに頷き口を開く。
「私の正体を聞いて、動揺しながらも敬意を示すのですね」
「!?」
ドキリとした。
この瞬間的な理解力は、間違いなく姫様と同等か、それ以上で。
「私の言葉の意味を……貴方は正確に理解している。新姫様と、あちらの私から知らされてはいましたが…………貴方は、本当に
確信に満ちた言葉に、思わず息を吞んだ。
彼女もまた、天才だった。
空回りしていた思考が、少しずつ落ち着いていく。
「……私たちの歩んだ道を、こんなにも変えてしまったあなた。それでもきっと、私たちの敵ではないあなたなら、私の話を理解してくれると確信しています」
居住まいを正し、胸に手を当てる日ノ本軍式の礼を取り、虹の姫様が告げる。
今ならちゃんと理解できると身構え、聞く姿勢を向けた俺に。
「黒木終夜。結論から言います。……このままでは私たちの、そしておそらくは、
「!? ……は?」
彼女らしく端的に伝えられた事実は。
「……何が消えるって?」
俺の頭の中を再び真っ白に染めて、呆けさせた。
零れ話:純粋なスペック的には、この世界の姫様の方がもう上だったりする。
応援、高評価してもらえると更新にますます力が入ります!
ぜひぜひよろしくお願いします!!