ハーベストハーベスター~踏み台型ラスボス少女と呼ばれた推しを、今世では幸せにしたい!~   作:夏目八尋

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とうとう終夜が、その事実に気づく……!


第30章 ラストバトル!
第201話 RRの正体


 

 神子島の夜空を、黄金色の月が照らしている。

 長い長い戦いの日々と、つい先日の激闘と、そして今日乗り越えた絶望とが作り出した、市街地にぽっかりと開いた広々とした更地の上。

 

「約束通り、話を聞いてもらいます。……いえ、どうか聞いてください」

 

 赤いコートに赤い刀。

 赤い瞳に赤い短髪。

 

 俺の最愛最上最推しの、黒川めばえちゃんを殺すとその口でのたまった憎いあん畜生。

 

 

「………」

 

 九洲援軍行脚を終えた先に待たせていたビッグゲスト。

 すっかりとしおらしくなった、呼朝のモニター越しに向き合う女――RR(アールツー)

 月下に晒す彼女の顔は――。

 

(……そっくりすぎだろ。姫様と)

 

 ――世界を救うメインヒロインこと姫様、建岩命と瓜二つだった。

 

 

「……っていうか」

『? どうかしましたか、終夜?』

 

 俺は、気づいた。

 気づいてしまった。

 

『終夜? 顔が変ですよ?』

『だいじょうぶ?』

 

 頭を抱えた俺を心配してくれるヨシノとユメをよそに、俺はひとりごちる。

 

「俺、あの人のこと……めっちゃ知ってる気がするぅ~~~~!!」

 

 前世の記憶。

 この世界を創作物として楽しんでいた俺の知識の中、確かにあの顔が存在していた。

 

 そう。

 今この瞬間を生きた先、いつか世界を救ったその後、世界を飛び出した未来の姿として。

 

 

(……“虹の姫君”)

 

 

 それが、記憶の中で彼女を指し示す、特別な呼び名だった。

 

 

(……いやいやいやいやいや!! そんなはずはない!)

 

 さすがに信じられなくて首を横に振る。

 

(RRが虹の姫君? だとしたら真白君の傍にいたのは……っていうかじゃあこの世界の姫様は……?!)

 

 頭が混乱する。

 突きつけられた現実を受け止めきれない。

 

 だが、世界はそんな俺を待ってはくれない。

 

 

「黒木終夜。私の顔に見覚えがありますね?」

「!?」

「先ほどの態度からしてきっともう、()()()()()伝いに聞いて、ご存じではあるのでしょうが……改めて」

 

 聞いてません。知りません。と言う間もなく。

 呼朝のアイカメラに向かって、真っ直ぐな視線を向けてRRが言う。

 

「……私は、この世界の今に照らして、未来からやってきた建岩命。かつてこの世界を救い、今は、六色世界で虹の姫君と呼ばれている存在です」

 

 既知で、未知の、その名前を。

 

 

      ※      ※      ※

 

 

「………」

 

 衝撃の事実を前に思考停止して、果たして何秒くらい経っただろうか。

 モニター越し、こちらを見上げるRR……もとい、虹の姫君の顔に困惑が生まれる。

 

「……このまま、話せばよいのでしょうか?」

「あ……っと」

 

 言われて、話を聞く態度ではなかったと気づき、慌ててハッチを開放する。

 

「ちょ、ちょっと待っててください!」

 

 思わず敬語になりつつ返事して、一応自衛のためのDO-TANUKIを腰に佩びてから、呼朝を降りる。

 彼女が本当に虹の姫君ならそんなことをする必要はないのだが、いかんせん情報不足なうえに確証もないから、念のため。

 

 

「降りてきてくださりありがとうございます。黒木終夜」

「いえ……」

 

 地上に降り、改めて間近で見る虹の姫君の顔は、確かになじみの姫様にそっくりで。

 けれどよく見ればどこか大人びた、それこそ未来の姫様って感じの僅かな違いが見て取れる。

 

(めばえちゃんから聞いた話でRRが赤の一族側じゃない可能性は考えてた。考えてたが……)

 

 予想外の正体?

 いやいや、何がどうしてこうなったのかさっぱりすぎて何もわからん!

 

(今の俺、間違いなくハトが豆鉄砲食らったみたいな顔してんだろうな)

 

 目まぐるしく空回りし続ける思考を、俺は自覚する。

 圧倒的情報不足!

 

 少なくとも今はもう、RR殺すべし、なんては言えなくなった。

 

 

「………」

「……なる、ほど」

 

 しばらくのあいだ無言で相対していると、虹の姫君が静かに頷き口を開く。

 

「私の正体を聞いて、動揺しながらも敬意を示すのですね」

「!?」

 

 ドキリとした。

 この瞬間的な理解力は、間違いなく姫様と同等か、それ以上で。

 

「私の言葉の意味を……貴方は正確に理解している。新姫様と、あちらの私から知らされてはいましたが…………貴方は、本当に()()()のことを知っているのですね」

 

 確信に満ちた言葉に、思わず息を吞んだ。

 彼女もまた、天才だった。

 

 空回りしていた思考が、少しずつ落ち着いていく。

 

 

「……私たちの歩んだ道を、こんなにも変えてしまったあなた。それでもきっと、私たちの敵ではないあなたなら、私の話を理解してくれると確信しています」

 

 居住まいを正し、胸に手を当てる日ノ本軍式の礼を取り、虹の姫様が告げる。

 今ならちゃんと理解できると身構え、聞く姿勢を向けた俺に。

 

「黒木終夜。結論から言います。……このままでは私たちの、そしておそらくは、()()()()()()()()()()()()()()()()、消えてなくなります」

「!? ……は?」

 

 彼女らしく端的に伝えられた事実は。

 

「……何が消えるって?」

 

 俺の頭の中を再び真っ白に染めて、呆けさせた。




零れ話:純粋なスペック的には、この世界の姫様の方がもう上だったりする。

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