ハーベストハーベスター~踏み台型ラスボス少女と呼ばれた推しを、今世では幸せにしたい!~   作:夏目八尋

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まさしくのエピローグ回。


第224話 その後の天2小隊

 

 日ノ本軍の再編成によって、天2小隊は解散した。

 これはその後、天2の隊員たちがどうなったかについて語る話だ。

 

 俺たちの、最後のリザルト。

 よければのんびり付き合ってくれ。

 

 

      ※      ※      ※

 

 

 まず、軍を離れた人たちについて。

 

「さぁ! 世界のインフラというインフラを復活させ、掌握いたしますわよ!」

 

 最初に語らないといけないだろう人物は天常さんだ。

 彼女が軍を離れ実家の家業に専念することとなり、即座に傘下の企業を動かし復興事業に着手した。

 有り余る財力と体力、そして佐々家を介して人脈の力すら手にしたお嬢様は、日進月歩ならぬ日爆月走の勢いで世界を席巻していった。

 

「おーっほっほっほ! すべての道は天常家所有の土地へと繋がっておりますわー!」

 

 後の世に教科書に載るレベルで彼女は世界復興の礎となり、偉人として語られる。

 “繁栄の天常”ここにあり、と。

 

 

「流石ですお嬢様」

「お嬢がお金くれる限りは、しーっかり働くよ!」

「馬車馬のように働かされるのだけは勘弁して欲しいッスけどねぇ」

 

 そんな天常さんの傍らには、何人かの天2隊員が付き添っていた。

 彼女の従者の細川さんと、SPとして雇われた鏑木さんと瓶兆さんだ。

 

 

「私はどこまでも、お嬢様に付き従います」

 

 細川さんはいつもの従者根性で天常さんに従いながら、自らも新しい事業を手掛けだしたらしい。

 その内容はもちろん、からしレンコンの普及である。

 

 新味の開発や保存性の向上など、あれやこれやと彼女なりに頑張っているらしい。

 

「こちら試供品です。味の感想などをいただければと思います」

 

 たまに軍にも配りに来てくれて、あれこれ話をしてくれる。

 これは情報収集の一環でもあるようで、変わらず抜け目ないところを見せてくれた。

 

 

「アタシは普通だから、お金貯めて普通にいい人捕まえるんだー」

 

 鏑木さんはそう言って、天常さん個人に雇われているSPになった。

 将来のための貯金だと言っているが、結婚相手の斡旋についても天常家や佐々家に頼んでいるらしい。

 

「最終的には子育ても労働面は人任せにしつつ、左うちわで過ごしたいね!」

 

 あけすけで要領のいい彼女のことだから、なんだかんだ人が羨む悠々自適ライフを手に入れそうではある。

 だがこれだけは言いたい。その生き方は勝ち組も勝ち組、普通じゃないと。

 

 

「いやぁ、行くところなかったんでスカウトされたときサクッと受けちゃったんス」

 

 そう言って笑っていた兵器ちゃんこと瓶兆さん。

 今はそれを後悔していると風の噂に聞いた。

 

「ぎゃーッス! こんなに馬車馬みたいに働かされるなら、佐々君の方に雇われた方がよかったッス!!」

 

 世界に覇を唱える天常家側に行ったもんだから、行く先行く先トラブル連続。

 天常さんを傍で守る直接的な盾の役割を任されている彼女は、そりゃもう八面六臂の大活躍だ。ヤバいわよ!

 

「命が、命がいくつあっても足りない……ッス!!」

 

 守り、については恐らく天2で一番経験豊富な彼女。

 適材適所ではあるので、これから先もぜひとも頑張ってもらいたい。

 

 

「さぁ、次は孟国から印国までずびゃびゃーっと道路を引きますわよー!」

「はいお嬢様!」

「あいあいさー!」

「もう好きにしてくれッス……」

 

 愉快な愉快なお嬢様チームは、今日もどこかで世界を自分色に塗り替えている。

 

 

 続けて、市井に下った仲間たちだ。

 

「おう、ガキどもー。手伝え手伝えー」

「「はーい」」

 

 鹿苑寺君は軍に残るかと思えば、サクッと除隊して児童養護施設を運営する職員になった。

 彼自身も施設出身だったのもあり、実体験と本人の鍛えられたスペックによって、お仕事無双をしているそうだ。

 いずれは自分で施設を設立し、運営したいと言っていた。

 

 まぁ、どうしてそうなったかは、とても分かりやすい。

 

「ダーリン」

「おう」

 

 天2で彼と恋仲になった、竜胆さん。

 彼女と幸せな人生を歩むために、戦線を退いたのだ。

 

 隊にいた時点で婚約関係だった二人は、除隊後すぐに同棲を開始。

 冬頃には懐妊も判明し、まさに幸せな家庭まっしぐらだ。

 

 

「黒木センパイも覚悟決めようぜ?」

 

 なんて言われた日には、キラキラしすぎて直視できなかった。

 でも、隣に立つ竜胆さんの幸せそうな照れ笑いは、俺も隣に立つ人にしてもらいたいって素直に心に響いた。

 

 ある意味この二人は、俺の打算が引き寄せたカップルだった。

 けれど、この幸せっぷりならもう、俺がそれを考えるのも野暮だろう。

 

「お幸せにな」

 

 心からこの言葉を、二人には贈りたい。

 

 

 カップルといえば、軍を抜けた乃木坂くんも、他の小隊所属だった彼女さん……倉科さんと仲良しだ。

 戦場で助けた縁からゆっくりと遠距離恋愛を重ねてきた二人だったが、天2解散を機に行動を共にするようになったらしい。

 

「かーけーるちゃん」

「なーあーに?」

 

 こっちはもう、目に見えてわかりやすい……両者がデレデレのバカップルだ。

 今はフリーのジャーナリストとして、カップル楽しみながら世界中を巡っているらしい。

 

「鍛えた力は有効活用させてもらってるよ」

 

 隠密の者として飛び抜けた実力を手にした彼は、今も情報屋をしている。

 政府とのパイプもそのままなのか、たまに姫様からその名を聞いたりするので、彼も要領良く生きているようだ。

 

 恋も仕事も手抜かりなく。

 天2で一番器用な彼は、その生き方も卒なくスマートなようだった。

 

 

 ……あっ。

 そうそう、西野君も軍を辞めてたわ!

 

 彼、今は経歴を隠して地元の自動車屋さんで働いてるらしい。

 自分のことをガチのモブとか言ってたけど……整備士技能レベル3はもう、モブじゃねぇ。

 

「……えっ。社長、俺がチーフってマジ?」

「マジマジ」

 

 絶対どっかで頭角出してくるだろうから、また会える日が楽しみだ。

 

 

      ※      ※      ※

 

 

 続けて、軍に残った側だな。

 まずは本土の日ノ本軍総本部に行った連中から語ろう。

 

 千波県にある、日ノ本軍基地総本部。

 

「全体整列!」

「「ハッ!」」

 

 たけポンこと、木口猛上級万剣長。

 彼は天2小隊から本土教導隊へと配属され、後進の育成を任された。

 

「ぜんたーーーーい! 筋肉!!」

「「筋肉っ!!」」

 

 ムキムキッ!

 

「筋肉よし!」

「「筋肉よしっ!!」」

 

 佐々式トレーニングマニュアルをアレンジした、木口ブートキャンプを考案。

 体力・運動力重視の育成方針としては破格の成果を出し、軍のマッチョ化が進んでいるらしい。

 もともと隊長として素質があった人だったから、ある種、適材適所だったのかもな。

 

 

「……誰かー! 助けてー!!」

 

 続けて司令室。そこにいるのはもちろん六牧百乃介“霊師”。

 日ノ本全軍の指揮を任されてからの彼は、まさに忙殺という言葉がふさわしい環境にある。

 

「書類! 書類! 会議! 視察! 書類! 視察! 会議! 視察! あああーー!!」

 

 誰もが司令の優秀さを褒め称え、誰もが司令の手腕を疑わない。

 それゆえに、誰もが彼に対して頼ることに一切の遠慮をしていないという地獄に彼はいる。

 

「くっ、仕事を割り振っても割り振っても僕の時間が作れない!」

 

 昼行燈な司令的にはこの環境はあまりにも辛く厳しい。

 だってのに、必死に時間を作ろうとして、常に120%の実力を発揮してるってんだから、難儀な人だと思う。

 

 

「誰かの、誰かの意思を感じる! 僕をぎりぎりまで扱き使おうという、邪悪な意思を!」

 

 職務中よく響くらしい心からの彼の叫び、疑いの声は基地の風物詩だそうだが……。

 

「百乃介の差配は、経験と才覚、両方が備わっています。天2の司令官は、伊達ではないのですよ」

 

 ……どう見ても黒幕は姫様です。本当にありがとうございました。

 今、彼の傍で彼を献身的にフォローしてる女性ですら、将来のお嫁さん候補として配備されていると聞いて、彼は一生逃げられないんだなって思いました、まる。

 

 

 さて、軍属……と言っても微妙な立ち位置にいるのは、佐々君だ。

 彼はもう、所属こそしているが実質的にはそれぞれの家を動かす立場になっている。

 

 軍に籍を置くことで使える権利を存分に活用するために、所属してるってなレベルだ。

 

「そうだな。この案件なら先日会談した彼を通せば問題なく回るだろう」

 

 佐々君は実家の佐々家当主としてほぼほぼ実権を握り、すでにその人脈をコントロールする立場になった。

 彼自身が天2で培った他家との繋がりや軍部との繋がりも活用することで、彼を中心とした一大人材派遣システムが構築されているらしい。

 

「あぁ、ボクだ。清白女史……ということは! 新型がもう倉庫に!? わかった、すぐに行こう!」

 

 整備系の仕事は趣味の範疇でやっているらしいが、その趣味が莫大な利益を生んでいることは無視できない。

 金周りに関しては天常さんと協調しているそうで、公私共に支えあっているんだとか。

 

 実は最近、二人が同じ指に銀のリングをしているのを見た。

 何とは言わないが順調そうで何よりである。

 

「たとえどんな形になろうと、このボクとお前の関係は唯一無二だ。忘れるなよ?」

 

 なんて、会う度に言ってくれる俺の一番の親友の幸せを、俺は心から祈っている。

 

 

「Hi! オリーにお任せ、だよ!」

 

 オリーは天2解散後、英国との懸け橋役を買って出て、出国した。

 今頃は英国で家族と再会し、覚醒した錬金の力を使って大いにお役立ちしていることだろう。

 

「あ、パパ! これ、天常さんからのお手紙ね!」

 

 オリーの両親は商人らしく、天常さんが声がけを図ろうとしていたのを覚えている。

 案外、そっち方向でもテイラーソンの名前を聞くことになるかもしれない。

 

 けれども今は、彼女が無事家族と再会し、楽しい時間を過ごせることを願ってやまない。

 天2のハピハピハッピーギャルな彼女こそ、一番幸せになる権利があると思うから。

 

 

「はーい、突破ー! 雑魚雑魚にゃー!」

「うぇー、嘘でしょー!?」

「クックック。いい加減白の一族の科学力ってのも頭打ちになってきたかにゃ?」

 

 タマちゃんは、白の一族のクスノキ女史が所属する開発部へ引き抜かれた。

 帆乃花のお母さん、ナズナさんと一緒に本土に向かい、今は様々な開発業務に携わっている。

 

「ほらほら、追加の攻撃プログラムにゃ!」

「うおおーー! ブロックブロックブロックぅー!」

「二人ともー、遊んでないで新型精霊殻のテストに付き合ってくれなーい?」

 

 ふざけまくっていても結果は出ているらしく、なんとも周囲の頭を悩ませているんだとか。

 兵器以外の開発もぼちぼち進めているようで、平和になったその先にも、彼女たちの活躍は確約されていた。

 

 

「おう、新人ども! ここで数多の化け物が生まれた。お前たちはその後に続くことを期待されている……ワケじゃない。いいな? お前たちはお前たちなりに、伸びていけ!」

 

 揚津見先生たちは、天2基地に残っている。

 そこで新人たちを教育する仕事をしているそうで、あの優しくも厳しい日々を後輩たちへと繋いでくれている。

 

「はぁい、みんなー。今日の給食でーす」

「うおっ! すげぇ美人。神が作り給うた天上の芸術品かな?」

「ご存じ、ないのですか? 彼女こそ、世界が育み磨き上げた美の化身、黒木さんです」

「で、デカルチャー……!」

 

 母さんたち婦人会との関係も良好で、楽しく過ごさせてもらっているらしい。

 あと、母さんは何か知らないあいだに謎の補正が入って魅力3500(OW)を越えました。多分何かの神様が手を貸しているに違いありません。ヤバいわよ!

 

「黒木さん、あなたは天使だ……!」

「あらあらまあまあ」

 

 今度天常さんが母さんをモデルにグラビアを撮る計画を立てているらしい。

 息子としてそれをどう受け止めるべきか、俺の心はまだ決まっていない。

 

   ・

 

   ・

 

   ・

 

 ところ変わって。

 隈本、その霊子放送局。

 

「設備、機材準備完了だ。いつでもいけるぞ。九條」

「わかったわ」

『リアルタイム全言語翻訳は任せてにゃ! パイセン!』

「頼んだわよ、珠喜」

 

 大がかりにスタジオを使っての、全世界向け生配信。

 佐々家当主直々のメンテナンスと、建岩家お抱えとなった通信士のバックアップを受けての、本気の本気体制。

 

「準備はいいわね? ……3,2,1……っ!」

 

 その放送で向けられるカメラのレンズの向こうにいるのは――。

 

「は、はじめまして! 九條めぐぐっ、なのです!」

「同じく初めまして。九條めぐのです」

 

 ――九條巡パイセンの、愛すべき妹たちだ。

 

 

「きょ、今日からはっ! めぐぐたちも、コーナーをっ、担当します!」

「お姉様みたいになれるよう、しっかりと勤めます。よろしくお願いします」

 

 彼女らは緊張しながらも挨拶を進め、二人、向き合い頷き合えば。

 

「「転身!」」

 

 まばゆい光と共に、姿を変えて。

 

「太陽の巫女! まじか☆りんぐ!」

「月の巫女、まじか☆のるん」

「二人合わせて……!」

 

「「双星の巫女!」」

 

 新たな現人神の降臨を示した。

 

 

「……ふぅ。これでやっと私の肩の荷も下りた、わね」

 

 熱狂するコメント欄を眺めつつ、妹たちの活躍を見守る九條巡の視線は優しい。

 

「しかし、よもやプロデュース業に目覚めた田鶴原様が、次代の子らを採用するとはな」

「私一人では手が回らなかったところに、視聴者側の要望や妹たちのたっての願いが綺麗に噛み合った。それを田鶴原様が汲んでくださって……ただただ、感謝しかないわね」

『せっかく今世で関わったんだから、遊び倒したいって気持ちはよーくわかるかも!』

「そういうアナタも、クスノキ女史から多くを学んでいるのでしょう?」

『毎日ズタボロになるまで扱き使われる代わりに、ぼろぼろに泣くまで質問攻めしてるよん』

「それについてボクは怒ればいいのか笑えばいいのかわからん」

 

 広報の役割が担う重要性は、戦い終わっても変わらない。

 彼らの戦場は現地から、配信やロビー活動を行なう政治の場へと移り変わった。

 

 最前線を駆け抜ける者たちが不自由しないように、守られる側がその意味を見失わないように、正しい情報を伝え続けることが、今の彼らの使命だ。

 

 中でもとりわけ重要な、一つの情報を。

 

「はっはっは! 双星の巫女、恐れるに足らぬ!」

「「何者!?」」

「わた……こほん! 我が名は鬼姫! 古よりこの世界を牛耳る上位存在である!」

 

 それは――。

 

「上位存在、ですって!?」

「絶対に強い。でも、負けない!」

「なんですとー?!」

「「人類の希望の灯は、消せはしないのだから!」」

 

 ――希望はいつも、そこにあるのだということ。

 

 

「これで私も、安心して前線に出れるわ」

「行くんだな。お前も」

『なんかいいシーンっぽく言ってるけど、あれ新姫様じゃん? ナチュラルにガチの上位存在を配役してるのヤバくにゃい?』

田鶴原様(あね)命令(リクエスト)だそうよ」

『あっ、ふーん……』

 

 この世界では、神様だって楽しんでいる。

 みんなが思う道へと、願う道へと、少しずつでも確かに進めているようだった。




黒木母魅力値内訳(基礎値2336+キラキラアクセ(100)+週刊レディース(150)+愛妻エプロン(200)+精霊銀の指輪:終夜(300))+契約神霊サクヤヒメ(×1.2)=3703(世界一位)

ここまでの読了、応援、本当にありがとうございます。
ぜひぜひ最後まで、よろしくお願いします!!
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