ハーベストハーベスター~踏み台型ラスボス少女と呼ばれた推しを、今世では幸せにしたい!~   作:夏目八尋

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楽しんでもらえてるんだなと実感が沸きます。

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第26話 出撃シークエンスがしっかりしてると嬉しい

 

「……始め!!」

 

 今日就任したばかりの六牧(ろくのまき)司令から告げられた、突然の実戦演習開始指示。

 

「Bクラス! 即座に行動開始! おやっさんと連携して最終点検始めるぞ!」

「Aクラス! 私に続きなさい! 即行で出撃準備を終わらせますわよっ!」

 

 即応したのは、天2軍学校を代表する名家の二人だった。

 

 

「みんな、チェック時のマニュアルは頭に入れてあるな? このボクが作った特別製だ! Aクラスの奴らが契約鎧(スーツ)を着終える前に終わらせて、急かしてやるぞ!」

「みなみな、急ぎますわよ! 契約鎧(ドレス)をまとうのに5分とかかるようでしたら、この私が直々に、その可愛いお尻を蹴っ飛ばして差し上げますわ!」

「お、おう!」

「はい~~っ!!」

 

 こうなることを予想していたかのような鮮やかな対応に、ボヤボヤしていた生徒たちも動き出す。

 

「へぇ、やるもんだねぇ」

 

 そんな二人の雄姿を、我らが司令官殿は朝礼台の上でのんびり眺めていらっしゃった。

 

 

「………」

「おや、キミたちは準備しなくていいのかい?」

 

 この場に残っていた俺とパイセンに気づいて、六牧司令が話しかけてきた。

 昼行燈な見た目相応の片メカクレから、探るような視線が向けられる。

 

「ハ、司令官。私は隊の精神衛生管理が任務であり、戦場には行きませんので」

「九條シリーズなのに?」

「……はい。確かにそうですが、私はもう、耐用年数を超えた壊れかけの備品ですので」

「なるほど、じゃあキミは?」

 

 お、こっちを見たな?

 楽しい楽しいトークの時間だ。

 

 

「ハ、司令官。俺の準備はすぐに整うので、何の問題もありません」

「それはどういう……」

「こういうことです」

 

 言って、霊子ネットリンカーを起動、超常能力を発動する。

 

 ----------

 

 超常能力“精霊(まと)い”を行います。

 

 ----------

 

「!?」

 

 一瞬の輝き。

 六牧司令が驚き、目をわずかに閉じた、その時間で。

 

「……こいつは、驚いた」

「黒木終夜戦士候補生。準備完了しました」

 

 俺は契約鎧(コントラクテッド・アーマー)を装着し、準備を終えていた。

 

 

(自分の物だという刻印を施した装備を呼び出し身にまとう、超常能力。神秘のところの首輪付きなら、このくらいは知っててもらわないと困るんだが……)

 

 見上げれば。

 

「ははっ、なるほど。規格外なのは聞いてた通りか」

 

 OK、確認完了。

 やっぱりこいつ、建岩(たていわ)家の息がかかってる奴だ。

 

「それでは司令官。ドックに向かいます! パイセン、行こう!」

「え、なんで私も?」

 

 今はそれだけ分かればいい。

 俺はHVVの軍隊式敬礼、胸に右拳を当て構えるポーズをしてから、この場から移動した。

 

 

      ※      ※      ※

 

 

「黒木! 西野はまだダメだ! だから今日はこのボクが1番機に乗る!」

 

 精霊殻の整備ドック。

 そこにAクラス一番乗りでやってきた俺を迎えたのは、同じく契約鎧姿の佐々君だった。

 

「西野君ダメか」

「ダメだ。彼はまだ、この先の戦いには付いてこれん」

 

 一応、殻操&戦士(パイロット)技能資格を取れそうなくらいに鍛えていたが、致し方なし。

 

「このボクを専属整備士にという黒木の意向に背くことになってしまうが……悪いがここは、甘んじて呑んでくれ」

「いや、問題ない。適材適所だ」

「適材……!」

 

 正直なところ。

 貴重なチート整備士である佐々君に、今回パイロットを任せるのは避けたかったが……。

 

 

「ねぇ、あなた」

「パイセン……は、やっぱ察してるよな?」

 

 連れてきたパイセンに、パイスーのゴムを引っ張られる。

 見ればこっちを見上げるその顔に、明らかな疑惑を浮かべる表情がくっついていた。

 

「間違いなく、この演習には何かあるわ」

「だろうな。あの司令官、とんだ食わせ者だし」

 

 実戦を想定した演習。

 嫌な予感しかない。

 

 

「黒木! 精霊殻の準備、完了したぞ!」

「わかった! それじゃパイセン、行ってきます」

「………」

 

 ぐっ。

 

「おぇ?」

「気をつけなさい。ちゃんと帰ってくるのよ?」

 

 離れ際。

 一度強めにギュッと握られ、パイセンの手が離される。

 

(あぁ、そうか……パイセンは)

 

 彼女は、何度も繰り返してきたんだ。

 この、見送りを。

 

 戦士たちを、死地へと送り出す役割を。

 

 

「パイセン」

「ん……って、ちょ、やめ、やめなさいっ!!」

 

 嫌がられても気にせずに、よしよしと頭を撫でまわす。

 セクハラで訴えられそうだが、湿っぽい空気をこれでリセットだ。

 

 あとは……。

 

「……なんかあっても俺が全部ぶっ飛ばしてくるんで、お任せあれ!」

「!」

 

 自分史上最強の笑顔を作って、断言する。

 

「これでも俺、この世界の最強目指してるんで、大丈夫!」

 

 ワールドクラス・ラブアンカー黒川めばえちゃんを幸せにするために、俺は前に進み続ける。

 こんなところで躓いちゃいられねぇ!

 

 

「っしゃあ! 愛は勝つ!」

「なっ!?」

 

 

 宣言して、俺は自分の精霊殻へと駆け出す。

 こうなっちまった俺はもう、誰にも止められないぜ!

 

 

「黒木! 急げ!」

「おうよ、佐々君! ってか、そっちこそ急げよ?」

 

 すでに1番機を動かし始めている佐々君に並んで、俺は2番機のコックピットに飛び乗る。

 

「よっ、今日は遊びじゃないっぽいぜ? よろしく!」

 

 手慣れた動きでシートに座り、起動シークエンスを進めていく。

 

『精霊殻、起動コード確認。――ドウセ貴方ハ、イツモ通リデショウ?』

「モチのロンだ! 手動緊急モードで運用。エマージェンスコード入力! そんでもって霊子リンク! 疑似神経接続! 感応・同調・精霊契約・重層同期!」

『セーフティを最低限に設定。コントロールの95%をパイロットに。ドウゾ、ゴ勝手ニ』

「サンキュー!」

『――私ノ新タナル舞踏ヲ、貴方ニ任セマス』

 

 セットアップを終え、コントロールを受け取って。

 

「なっ、黒木はもう起動させたのか!?」

「悪いな! お先だ!」

 

 後から来たけど追い越すぜ! 佐々君!

 

 

「OK、それじゃ行こうか。……ヨシノ!」

 

『了解。セイゼイ大事ニ使イ潰シテ下サイ、終夜(コントラクター)

 

 

 気合一発。

 俺は、精霊殻を立ち上がらせ――。

 

 

「現地近くまでは専用車で運搬されるんだぞ! 大人しくしていろ!」

 

「あ、ハイ」

 

 

 ――られなかった。

 サーセン。

 

 あっ、パイセンから冷たい視線が!

 すんません! すんません!!

 

 

 ……そんなこんなで。

 俺たちは無事、20分以内に仕度を終えて、目的地へと出発したのだった。




スパロボだとパイロットと精霊(サブ)どっちものせかえ出来る奴。

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