ハーベストハーベスター~踏み台型ラスボス少女と呼ばれた推しを、今世では幸せにしたい!~   作:夏目八尋

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感想・評価いただくたびに、やったぜと喜んでいます。
楽しんでもらえてるんだなと実感が沸きます。

清白帆乃花、動きます。


第41話 清白帆乃花の決意表明と、天常輝等羅の伝達

 

 朝の長めの準備体操。

 俺はステータスの近い清白さんとペアを組み、一緒に訓練していた。

 

 そう、これは。

 訓練中の話。

 

「黒木くん黒木くん。それでね……」

「ああ」

「黒木くん黒木くん。さっきのあれについてなんだけど……」

「うむ」

「黒木くん黒木くん。ちょっとわからないことがあって……」

「それは……」

 

 ………。

 

 質問。終わらなくね?

 

「黒木くん黒木くん」

「ああ」

 

 彼女からの質問は多岐にわたる。

 今やっている訓練の内容についてだとか、自分の能力についてだとか。

 プライベートなところにも触れてきて、あれやこれやと聞いてくる。

 

 さながら物心つき始めキッズのなぜなぜ攻撃のように。

 

 っていうか。

 

 

(……これ、好感値稼がれてね?)

 

 清白さん。

 俺とめちゃくちゃ仲良くなろうとしてね?

 

 

      ※      ※      ※

 

 

「それでね、それでね」

「清白さん」

「ん、なになに? 黒木くん」

 

 パタパタ。

 ぶんぶん。

 

「………」

 

 妙だな?

 清白さんから犬の耳としっぽが生えてるように見える。

 

 

(清白~! 距離が近いぞ距離が! このボクだってそんな踏み込み方はしてないのにズケズケと根掘り葉掘り質問したりして! でも貴重な黒木の情報をありがとう! ありがとう!)

「細川、わかっておりまして?」(ひそひそ)

「ハイお嬢様、すでに彼についての初出情報はメモに記録しております。いざという時の交渉材料として備蓄を用意しておきますね」(ひそひそ)

「……ふぅん。あいつ、コーヒー好きなのね」

 

 清白さんのテンションに当てられてるのか、周りもにわかに騒がしい。

 気分が高揚していること自体は悪くないんだが、踏み込まれすぎるのも問題がありそうだ。

 

 FES的な意味で。

 

 ならば――!

 

 

「清白さん」

「うんうん。なになに?」

「雑談はほどほどにな」

 

 消極的、拒否。

 

 からの。

 

「俺たちは、遊びでやってるわけじゃない」

 

 ハッキリとした、警告。

 

「――ッッ!」

 

 誰かが、息を呑んだ音がした。

 

 

(よし。これで好感値上昇の流れに歯止めが)

「わかってるよ」

 

 え?

 

「今、大切な何かを守るために頑張ってる。黒木くんがそうしてるって、私、わかってるよ」

 

 思わず顔を上げた俺を、清白さんは笑顔で見下ろしていた。

 

 

「だから私も、遊びじゃなく、全力で。今、頑張ってるんだよ」

 

 笑顔のままで、力強く。

 清白さんが頷いた。

 

 

「私ね。我慢しないって決めたんだ。欲しい物には手を伸ばすんだって、そう決めたの」

 

 彼女の瞳は、眼帯越しでも感じられるくらい、どこまでも真っ直ぐに俺を見つめていて。

 

「だからね。黒木くん」

 

 それは俺を諭すような、不思議と優しい声音で。

 

「覚悟、しててね?」

 

 これまでの消極的だった清白さんとは思えないほど明るく、光り輝いた姿で。

 

「私、これからも……ガンガンぶつかっていくから!」

 

 強い意志を伴った宣言は、俺へと放り投げられた。

 

 

「な、あ、あ……!?」

「あらあら、そういうことでしたの」

「ま、まさか……!?」

「………」

 

 

 ………。

 

(つまり、だ)

 

 俺は、確かに理解した。

 

(……清白さんは、どこまでも欲望に貪欲に行くスタイルを貫くってことだな!!)

 

 彼女の、これからのスタンスを。

 

 

(なるほど。これまでの言動のすべて、そういうスタンスだってんなら納得できる)

 

 清白さんはこれまで自分を抑えて生きてきた。

 その分、これからの人生は我慢せず、はっちゃけていきたいってワケだ。

 

 さながらさっきの質問攻めは、知識欲の開放……と、いったところか。

 中二病めいた格好も、そんな彼女の自己表現の発露だと思えばむしろ健全だと言える。

 

(どこまでも自由に、フリーダムに。そういうことだな!)

 

 これからの彼女は、何ものにも縛られない。

 であれば、確かに俺の注意なんてのに意味はない。

 

 なぜならば。

 

(……ゲーマーとして、そうしたプレイスタイルの確立ってめちゃくちゃ分かり味深いから!)

 

 なんでもかんでも効率重視にやることが、この自由度の高いHVV世界を楽しむ生き方のすべてではないと、俺は誰より知っている。

 一意専心。やりたいことを我慢しないプレイ。大いに結構じゃないか!

 

 なんたってこの俺自体、HVV世界最高闇属性美少女黒川めばえちゃんのために生きてるんだし。

 

 

「そうか」

「うん。いい、かな?」

 

 これは彼女にとって初めての意思表示。

 これからあえて茨の道へ歩まんとする志を示す、通過儀礼だ。

 

 なら、背中を押してやることこそが、彼女を表舞台に引きずり出した俺の責任に違いない。

 

 

「清白さんが決めたことだ。なら、好きにしたらいいと思う」

「~~~っ! うんっ!!」

 

 瞳が揺れて、かすかに涙が零れて。

 その後、スチルになりそうなくらいバチクソかわいい笑顔の花が、咲いた。

 

 

「な、な、な、黒木ぃーーーー!?!?」

「おーっほっほっほ! これは、なかなかに面白くなってきましたわね!」

「にわかには信じられません……」

「……ふぅん」

 

 

 そこからは。

 テンションMAX幸福状態になった清白さんのおかげで雰囲気も明るく、朝練が進む。

 

「ふんふふんふ~ん♪」

 

 どこまでも上機嫌な彼女のステータス上昇量は、いつもの数割増しの補正がかかっていた。

 

 

      ※      ※      ※

 

 

「……あ。伝え忘れるところでしたわ」

 

 朝練終わりのクールダウン中、不意に、天常さんが手をポンと叩いて呟いた。

 

「黒木さん。今週末空いてまして?」

「今週末?」

「おい天常! このボクを出し抜いて黒木を誘うなんてもがもが」

 

 細川さんに確保される佐々君についてはスルーして。

 何事かと天常さんに目を向ける。

 

 彼女は腕組みドドンッと仁王立ちすると。

 

「黒木さん。週末、私と一緒に……泊まりで天久佐本島へ同行してくださらないかしら?」

 

 そのまま威勢よく、俺をお泊り旅行にお誘いたもうた。

 

 

「もがぁ!?」

「えっ!?」

「………」

 

 当然のようにざわつく周囲。

 

 だが俺は。

 

「ああ、いいぞ」

 

 その提案を、二つ返事で受け入れる。

 

 

「もががぁっ!?!?」

「ええっ!?」

「………………」

 

 さらにざわつく周囲にも、わかるようにネタバラシ。

 

「天久佐の壁、だな?」

「えぇ、その通りですわ!」

 

 俺の問いに、天常さんが大いに頷いた。

 

 

「黒木さんが以前おっしゃっていた、壁の崩壊。その可能性についての検証・検討・対策を、天常家主導で行なうことになりましたの。非公式ながら重要参考人として、黒木さんにはご同行願いますわ!」

 

 今安定しているこの時期だからこそできる、壁の調査。

 

 俺に否やの理由はなかった。




清白帆乃花は、はりきっている!

応援、高評価してもらえると更新にますます力が入ります!
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