ハーベストハーベスター~踏み台型ラスボス少女と呼ばれた推しを、今世では幸せにしたい!~   作:夏目八尋

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楽しんでもらえてるんだなと実感が沸きます。
誤字報告も助かっています。本当にありがとうございます。

さぁさ、第2部も大詰めです。
よろしくお願いします。


第9章 天才神懸かり少女、建岩命!
第53話 夏季特別訓練という名の海回


 

 7月半ば。

 本格的な小隊設立を前にして、おそらく最後の“純粋な学生”として過ごす夏。

 

 青い空。白い雲。

 そしてキラキラと輝く白砂の岸に、打ちつける涼やかな海の青。

 

 対比的で美しい、夏そのものといった光景を前にして。

 

 

「……全員、整列!」

「これより、夏季特別訓練期間を開始しますわっ!!」

 

 俺たち天2(あまに)軍学校の面々は、あっついあっつい契約鎧を身に着けて。

 

「まずは浜辺を往復10周! 始め!」

「「……了解!」」

 

 地獄も地獄の特訓メニューへと、その身を躍らせる。

 

 

「よし、やるか……!」

 

 俺たちの夏は、そんな、とんでもない“強化合宿”と共に始まった……!

 

   ・

 

   ・

 

   ・

 

「今回行なう2週間の特訓期間で達成させる目標は、体力・気力を1100! 運動力・知力を1000! そして感応力を最低Aランク……400まで向上させる!」

「それだけではありませんわよっ! 今回は全員、生存力の底上げのため格闘・射撃のいずれかの技能レベルを1に、そして最低でも夜戦技能レベルを1にすることを目標に、技能習得訓練も行ないますわ!」

 

 前回のスポーツテストで定めたよりもさらに高い基準。

 この世界基準のエリートであるステ600ラインを大きく超えた、世界的強者の入り口まで鍛え上げる。

 

 なぜ1000なのかと問われれば、清白親子というか、白の鳥籠が作ってたステータス閲覧技術によって、マスクデータであるSランク以上の区分が判明したからである。

 能力値のランクによって判定に大きな補正あるとされるこのHVV世界、(999)SS(1000)が引き寄せる結果は言葉通り段違いになる。

 

 今後のことを考えても、小隊員たちには最低限、ここまでは頑張ってもらいたい。

 

 やりすぎ?

 否、やっていいなら目標はSSS(1200)安定なので。これは妥協というものだ。

 

 ちなみに感応力400は、精霊関係の対応できる幅が広がるボーダーライン。

 精霊殻のあれこれができるようになる最低値でもあるので、ここも頑張って欲しい。

 

 

「運動訓練は午前中のみ行なう。その分強度の高い内容になるから、覚悟するように!」

「午後は休憩を挟んでから座学ですわ。覚えるまで何度でも叩き込みますわよ!」

 

 鬼教官となった各クラスの委員長、佐々君と天常さんの宣言に。

 

「どんとこいだよ!」

「俺たちに任せろ!」

「やれるだけはやりますよっと」

 

 しかし、意外にもクラスメイトたちの士気は高かった。

 

 

(あ、いや。意外でもなかったか)

 

 少し考え、思い至る。

 

(思えば小隊士気補正、バッチバチに影響出すイベント起こしまくってたもんな)

 

 文化祭を開催して大成功させたり、社会科見学で湯治をしたり。

 俺たちは学校規模での楽しいことを、派手にいくつもこなしていた。

 

(最低でも全員に士気+500は入ってることを考えたら、こうもなるか)

 

 500はSランクになる数字である。

 Sランクとはつまり、抜きんでているという意味である。

 

 結論。

 今の天2小隊の士気は、十分すぎるほどに高かった。

 

 そしてその結果――。

 

 

「――よくぞ訓練を乗り越えた! まさか全員が目標を達成するとは思わなかったぞ!」

「本当に! 本当によく頑張りましてよ! これでもう、皆様がエースオブエースですわ!」

 

 天2小隊の面々は、用意された目標を全員で達成する。

 現状俺たち以上のステータスを持った小隊は、この世界のどこを見ても存在しないだろう。

 

 そして。

 

 

「訓練は今日までで終わり! あとは……」

「……めいいっぱい、この海のバカンスを楽しみますわよーーーーー!!」

 

「「「うおおおおーーーーーーーー!!!」」」

 

 地獄を乗り越えた俺たちは、ただの学生として最高最後の長期休暇へと突入した……!

 

 即ち。

 海回である!

 

 

      ※      ※      ※

 

 

「オーーーッホッホッホ!!」

「お嬢さばばばばばばば……!!」

「ひゃああああーーーーーっほーーーーーーぅ!!」

「おおおー」

「んんんっっ!!」

 

 バナナボートに連なって、すごい勢いで海上を走る。

 

「最っ高! ですわーーー!!」

「おおおおお嬢様!? 胸! 胸が! 金ビキニが緩んでまろび出てしまいそうですっ!!」

 

 激しく揺れるボートにまたがり、5人連なりガッチリと。

 

 

「あばばばば!! 黒木くんが私の背中に! つかつかつかつかつかまってーー!?!?!?」

「おおおおおお!? 落ち着け、清白さうおぁっ!?」

「んんんっっ!!」

 

 天常さん、細川さん、清白さん、俺、パイセンという配置。

 

 そして。

 

「うおあああああーーーーーー!!」

 

 バナナボートの尻尾に括りつけられたロープで繋がる、デカい浮き輪で佐々君。

 

 

「これれれれ、やばばばばば……! このボボボボボ!?!?」

 

 振り向けば、ジャンケン敗者の佐々君の体が何度も何度も宙を舞っていた。

 

「どあっ!?」

 

 あ、吹っ飛んだ。

 ナムナム。

 

 激しく打ち上がる水飛沫をバックに、さらにしばらく俺たちは、激しく揺れる荒馬の上で必死に食らいついていた。

 

   ・

 

   ・

 

   ・

 

 砂浜遊びも手を抜かない。

 

「こ、これは!?」

 

 埋められた俺の上に作り上げられる、ご立派様。

 

 ではなく……。

 

「……八九式中戦車! 再現度高いなおい!?」

 

 ご立派な戦車様だった。

 

「ふふー。頑張ったよ!」

 

 製造者である清白さんは、大仕事を終えてご満悦である。

 

 

「これは、負けられませんわ! 細川! 巡さん!」

「はい、お嬢様!」

「はいはい」

 

 対する佐々君の上に作り上げられていく物はと言えば。

 

「ぐおおお、動けない……!」

 

 さらに立派な隈本城である。

 

 

「オーッホッホッホ! 美術技能の差が出ましたわね!」

「むむむ……! 黒木くん、何かお題頂戴! リクエストがあったらもっと上手に作れる気がする!」

「あら! でしたら同じテーマで勝負と参りましょう! 巡さんは清白さんのフォローに回られて結構でしてよ!」

「わかったわ」

 

 どんどん白熱していく砂遊び。

 気づけば他のクラスメイトの実況解説入り乱れての、ミニイベントのようになっていた。

 

「く、ぅっ……好きにしろっ!」

「すやぁ……」

 

 そのあいだ、佐々君と俺はずっと砂の中だった。

 

   ・

 

   ・

 

   ・

 

 俺たちはその後も、あれやこれやと遊び倒して、ビーチを満喫した。

 

 ビーチバレー、スイカ割り、ビーチフラッグに波打ち際での追いかけっこ。

 思いつく限りの遊びをハイペースで詰め込みに詰め込んで、全力で遂行する。

 

 一日で遊び足りないなら、二日、三日とかけて。

 手を替え品を替え、つるむ仲間を入れ替えて。

 

「天2軍学校、ビーチクイーン決定戦ですわーー!」

「「イェーイ!!」」

「HEY! クイーンと聞いちゃあ、引くわけにはいかないかな!」

「な、なんで私まで……」

「いつもお嬢様が申し訳ございません。巡様」

「黒木くーん! 私に清くなくていいから一票ちょーだーい!」

 

「紹介しよう、アマビエ姐さんだ」

『私ノ絵ヲ飾リナサイ。大体ノ病ハ余裕デ跳ネ飛バスワ』

「ぴえっ、本物の精霊とかわたし初めて見たよ。終夜ちゃん」

「いつも引きこもりのタマちゃんが契約するとちょうどいいんだ」

『仲良クシテアゲテモ良イワヨ?』

「へぇあ!? それマジで言って――」

「拠点が病気知らずになるし、パソコンが湿気の影響受けなくなるぞ」

「――契約しよう! 姐さん!!」

『現金ナ子ハ嫌イジャナイワ』

 

「バーベキューの用意ができたぞー! さぁ、肉を食って肉を増やせ!」

「なんと本土のブランド肉まで、佐々君と天常さんが用意してくれちゃったよ!」

「野郎ども! 肉が食いたいかー!」

「「うおおおおーーー!!」」

「お代わりいっぱいありますから、存分にお食べになってくださいましー!」

 

 鍛え上げたステータスをフルに使って、全力で夏を満喫する。

 元気になったパイセンも含めて、誰一人欠ける事無くここに集ったみんなで、一緒に。

 

   ・

 

   ・

 

   ・

 

「3,2,1……点火!」

 

 設置された筒が、ボボンッと大きな音を立て。

 

 ドンッ!! ドドンッ!!

 

 その数秒後、夜空に大輪の花が咲く。

 

「たーまやー!」

「かーぎやー!」

「てんじょうや!」

 

 次々と打ち出される空の花だけでなく、地上には幾筋もの光が踊っている。

 

 

「……綺麗ね」

「パイセン」

 

 楽しむみんなを眺めていると、浴衣姿のパイセンがやってきた。

 長い髪を結い上げて、小さいながらも大人な和服美女風の仕上がりである。

 

「あの子たち、いったいどれだけの数を打ち上げるつもりなのかしら?」

「確か、100発は用意したって聞いた気がするな」

 

 頷くと、パイセンは落ち着いた所作で隣に並び、俺と一緒に夜空を見上げる。

 

 ドドンッ!

 

 再び大きな花火が、一面に咲き誇った。




それは確かに、夏の思い出に変わる。

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