ハーベストハーベスター~踏み台型ラスボス少女と呼ばれた推しを、今世では幸せにしたい!~   作:夏目八尋

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感想・評価いただくたびに、やったぜと喜んでいます。
楽しんでもらえてるんだなと実感が沸きます。
誤字報告も助かっています。本当にありがとうございます。

ヒャッハー! 原作蹂躙の時間だぁ!


第69話 取り戻せ、八津代地区!

 

 八津代(やつしろ)平野。

 クマ川の大いなる流れによって栄え、数多の人々の命を繋いできた大地。

 日ノ本が誇る“い草”の一大産地でもあり、それから作られる畳は海外からも求められていた。

 

 数年前の八津代敗戦により平野の多くを奪われ、南の最前線神子島(かごしま)との物流に悪影響を及ぼし、今の日ノ本の苦境を生み出す大きな要因となってしまっているこの土地は。

 

 

「ぶちかませ、清白さん!」

「任せて黒木くん! せーのっ、どっかーーーん!!」

 

 今。

 雌伏の時を抜け、再び人類の手に取り戻されようとしていた。

 

 

「ドッグ3、派手にぶちかまして53体撃破! 内、精霊級はイフリート1体、ユニコーン1体、ワイバーン2体を巻き込んでるよんっ」

 

 タマちゃんの実況を聞きながら、俺も自身のMAPウィンドウで周囲を確かめる。

 清白さんコントロールのミサイルは見事に炸裂し、周辺のハーベストたちは軒並みぶっ飛んだ。

 

 が。

 その中に1点、赤いポインタを見つけてしまう。

 

 

「あっ、1体打ち漏らしてる!」

「大丈夫。対応はもう終わってる!」

 

 さすがに天才姫様のコントロールと比べると、清白さんはまだ未完成だった。

 ただそんなのはとうに織り込み済みだ。小癪にも仲間を使ってミサイルの雨から逃れていた生き残りのユニコーンとの間合いは、すでに俺の間合いである。

 

「豪風の近接火力味わえ! ずえりゃぁーーっっ!」

 

 振り上げた大太刀で一刀両断!

 一角の怪物を叩っ切り、周囲殲滅を完了させる。

 

 キッチリと戦果は稼がせてもらったぜ?

 

 

「っしゃあ! 次!」

「MAPチェック! ヨシノさん!」

『言ワレズトモ完了シテイマス』

 

 まだまだ敵は、わんさかいる。

 

「攻略戦は撃墜数の稼ぎ時だ。どんどん行くぞ!」

「うん!」

『オ好キニドウゾ』

 

 本日の俺は姫様と清白さんをのせかえて、戦場を縦横無尽に駆け巡っていた。

 

 

「黒木くん黒木くん! 精霊纏い、替えの大太刀出すよ!」

「了解っ。さっすが、いいタイミングだ!」

 

 八津代地区奪還戦を始めてすでに1ヶ月近くが経過している。

 今みたいな蹂躙を繰り返し続けて作戦も終盤、あと少しで目標としていた地区の完全開放を達成するところまで来ているのだが。

 

「うーん。やっぱり真っ向からぶつかっても削り切れないな」

「だねぇ」

 

 俺たちは現在。

 最後の詰めの一手のために苦戦を強いられていた。

 

 

      ※      ※      ※

 

 

「敵が守りに徹している?」

 

 八津代にきて何度目かの作戦会議で判明した、敵の妙な動き。

 

「そう。この辺り、とにかく敵が層を厚くして、僕たちが攻め込み切れないようにしてるんだ」

 

 天2の会議室として使用しているテントの中。

 みんなが見つめる中、六牧司令がテーブルに広げた地図上で指定した場所。

 

 そこへ決死の撮影行を果たしたドローンたちが遺した映像には、ウジャウジャと群れに群れてその地を守ろうとするハーベストたちの姿が映し出されていた。

 

 

「天常、ここは……」

「えぇ、この場所は……八津代で最も守りに固い、名城跡ですわ」

 

 その有様に、隈本の歴史に詳しい二人の表情が曇る。

 

「……業腹だが、これはもはや、ハーベストたちの巣とでも呼ぶべきものだな」

「ですわね。いつか風雅を語られた名跡は、見る影もございませんわ……」

 

 かつて――『八津代城』と呼ばれていたその場所は、今。

 人類の脅威が棲む、悪魔の地と成り果てていた。

 

 

「パッと見ただけで周囲に多数のマーキングがあるしさ~ぁ、これ、城址にはキューブもいくつもあるんじゃないの~?」

「ふんむ、間違いないな。別の映像には常に周囲を警戒して複数のワイバーンが飛んでいる様子も映し出されている。それを維持できているってことは、最低でもキューブは3つ以上はある」

「これ、黒木君や贄ちゃんたちのミサイルでドカーンってできないの?」

「ミサイルの最大捕捉数は70体だ。この数相手だとさすがにソロでどうこうは難しいな」

「正面から撃破するなら、贄たちが乗る豪風があと最低10機は欲しいところですね」

「そりゃ無理だ」

 

 さっきの一枚に映っていただけでも、ハーベストたちの数は千を越えている。

 他の画像も似たようなウジャウジャ感だったし、八津代城址周辺のハーベストの数は、万をゆうに越えている。

 

(ハーベストにとって九洲攻略の橋頭堡となっている神子島(かごしま)の奥地にいる敵と、同じくらいの勢力の群れがそこにいる)

 

 神子島戦線。

 ゲーム版でも小説版でも、そこの攻略は叶わなかった。

 そこから無限沸きしてくる敵に対応し続ける以外に方法がないほどの、戦力差。

 

 そんなとんでもない物量の敵が、八津代城址にはいるのだ。

 

 

「ですが……ここを攻略しなければ、八津代地区の解放など夢のまた夢ですわ」

「天常の言う通りだ。どうにかこの城跡に一撃加え、キューブを破壊し敵の侵食力を削げれば、隈本の守りはもちろん、今もまだ踏ん張ってくれている神子島の先達たちを助けることができる」

 

 ………。

 果たしてこの場所を、どうやって攻略するか。

 

 沈黙はしばらく。

 

 そして――。

 

 

「少数精鋭による空からの奇襲。短時間で大暴れして、即離脱……かなぁ?」

 

 

 ――回答は、清白さんの口から零れた。

 

 

      ※      ※      ※

 

 

 っと、いうわけで。

 

「やって来ました、夜空の旅!」

 

 夜。

 大阿蘇空港から飛び立ち、真っ直ぐぶっ飛び八津代市の上空へ。

 

 

(空港の使用許可を建岩家から取り、精霊殻を運べる貴重な輸送機を天常家が用意し、九洲一と評される飛行機のパイロットを佐々家の人脈が連れてきた……!)

 

 これこそが力!

 これこそが隈本御三家!

 

 圧倒的家柄チート!

 

「あと10分もしねぇで作戦ポイントへ到達する! きっちり5分で迎えに来っから、タイミングを逃がすんじゃねぇぞ! 英雄殿!」

「もちろんだ」

 

 通信機器越しにパイロットの爺様と言葉を交わし、意識を集中する。

 江戸っ子気質の爺さんのおかげで、ここまでの空の旅は思った以上に楽しかった。

 

 

(大丈夫だ。降下作戦イベントなんて、前世の俺は何度だってやってきた……!) 

 

 アーケードで繰り返し繰り返しプレイしたあの感覚を思い出せ。

 やることは至ってシンプルなんだ。

 

 飛び降りて、暴れ回って、マーキングを壊しまくって、5分で予定ポイントまで辿り着く!

 

 ……うん!

 

「無茶もいいところだな!」

 

 しかも豪風による単騎駆け。

 パイロット的には清白さんも十分精鋭なんだが、精霊殻の格が足りなかった。

 

『問題ナイデショウ? 私ガ付イテイマス』

「贄も、全力を尽くします」

「頼もしい限りだ」

 

 こんな感じで殻操特化の有能精霊と、天才姫様からのご支援はある。

 それでも恐らく成功率は……7割ってところだろう。

 

 

(この手の状況、不測の事態や思わぬ危機ってのは付き物だからな。そういうやべぇ状況に追い込まれる前に、ぶち破って成功させて、不穏なフラグは叩き折る!)

 

 フラグブレイク。

 このくらいはやり遂げてみせなきゃ、俺の欲しい未来は手に入らない。

 

 じゃなきゃ彼女を、黒川めばえを踏み台にされる運命から救い出すなんてできやしない!

 

 

「おら、着くぞ! 降下準備!」

「おうよ! 姫様、ヨシノ!」

「はい」

『降下シークエンス起動。自動モードをキャンセル、最低限の補助を残し、手動にて行います』

 

 輸送機の後部ハッチが開き、風切りの音が響く。

 

「ヤバい! ワイバーンの野郎、夜目が利かないのを無視して飛び上がってきやがった!」

 

 突如として続く言葉に、けれど俺たちは動じない。

 ゲーム版ハベベじゃ夜戦にワイバーンは出てこない……なんて情報との食い違いに、惑わされたりはしない。

 

 

「大丈夫だ、問題ない。そのまま飛んでてくれ!」

 

 作戦開始時刻ピッタリ。

 俺たちを乗せた豪風は、ゆっくりと機内を滑り、ハッチを抜けて。

 

「降下!」

 

 輸送機から勢いよく飛び降り、直後。

 

「夜戦技能レベル3持ちは、夜の方が強いっ!!」

 

 手にしたロケットランチャーをぶっ放し。

 

 シュボッ……ドゥンッ!!

 

「グギャアアアーーーーーー!!」

 

 正確無比にワイバーンの頭を吹っ飛ばし、堂々地上へ降下するのだった。




ワイバーン「おいら、頑張ったよね……?」(墜落)

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