ハーベストハーベスター~踏み台型ラスボス少女と呼ばれた推しを、今世では幸せにしたい!~   作:夏目八尋

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楽しんでもらえてるんだなと実感が沸きます。
誤字報告も助かっています。本当にありがとうございます。

豪風無双!


第70話 5分無双ー八津代城址降下作戦!ー

 

 着地。

 と、同時に手にしていた打ち切りロケットランチャーを放り捨てる。

 

『装備換装、ロケットランチャーから精霊殻用大太刀、突撃銃へ変更します』

「ウェストパックからドローンを射出。MAPを更新します」

 

 俺のコマンド入力とは別に、ヨシノの判断によって自動操縦による装備換装を実行。

 さらに複座の姫様がタマちゃん謹製のドローンを放ち、MAPを最新情報へと更新する。

 

 3つの人格が被さずそれぞれの領分で行動し、何倍もの行動を実現する。

 

 ゲーム版も、小説版も凌駕した、現実ならではの狼藉で、俺たちは……行く!

 

 

(作戦時間は5分! 派手に暴れて、ぐちゃぐちゃにしてやる!)

 

 ターゲットは八津代城址の敵マーキングたち。

 残念ながら、破壊を伴わないよう悠長に解除している暇はない。

 

 ここを指定文化財って奴にしたお偉いさんたちには申し訳ないが、お城は元々、戦を想定した場所だったってことで許して欲しい。

 

「おっし、行くぞ!」

「はい」

『私ノ舞踏ハ、貴方ト共ニ』

 

 3人とも気合は十分。

 敵を十分引き寄せたところで、先行入力していたコマンドの処理を開始して。

 

「……GO!」

 

 襲い来るハーベストたちの頭を飛び越えて。

 俺たちは単身、侵略者たちの伏魔殿、八津代城址へと乗り込んでいった。

 

 

      ※      ※      ※

 

 

「終夜様。くれぐれも豪風の足を止める事なきよう。敵の囲いを受けてしまえば最後、その圧に潰されてしまいます」

「了解だ」

 

 管制担当の姫様からの忠言を受けながら、俺は精霊殻を手足のように操って、敵の包囲を掻い潜る。

 ロケットランチャーを使ったおかげでズレてしまった降下地点。目指すべき城跡内部は、堀の囲いの向こう側だ。

 

「超過駆動時の出力調整は任せる。俺の体力気力、フルで使ってくれ」

『デハ、限界ノ一歩先マデ使イマスネ』

 

 早速脚部パーツから燐光を吐き出させ、精霊殻の跳躍力を増強するヨシノにエネルギー管理を丸投げすれば、彼女は俺の体捌きを邪魔しない形で自動操縦を割り込ませ、ついでとばかりに近くにあったマーキングをいくつか、突撃銃でぶち抜いた。

 

 

「グバォォォンッ!!」

「なんとぉー!」

 

 飛び掛かってきたキマイラを、逆にミサイルポットの角タックルで跳ね飛ばしつつ勇往邁進。

 小物は無視して駆け抜けて、辿り着いたは城址唯一の渡り橋。

 

「よし、正面門! ここを突破して――」

「GAOOO!!」

「――っとぉ!」

 

 うっかり足を止めそうになったタイミングで狙われて、慌てて転がり回避する。

 直前まで俺がいたところに、ゴーレムの後ろに隠れていた大量のフェアリーとゴブリンが飛び掛かり団子になっているのを見れば、背筋にゾッと寒気が走った。

 

『何ヲヤッテイルノデスカ貴方ハ』

「今のはドキドキハラハラでございました」

「……フッ。だが今ので敵のまとまりがズレた。突っ込むぞ!」

 

 なんて、強がりながらも内心は……。

 

(っぶねーーーー!!! マジでワンミス=死じゃん! しかも死に覚えゲーみたいな難易度してんじゃんねぇ!? ここを初見で抜けろと!? バカじゃねぇの!?)

 

 メッタメタにキレ散らかしていた。

 

 

(そういやゲーム版ハベベの降下作戦も、初心者詰みポイントの一つだったっけなぁ)

 

 孤立無援。

 弾数有限。

 敵は大勢。

 無限湧き。

 

 やるべきは敵の全滅ではなく、その現出の起点、マーキングの破壊。

 

(戦闘の基本が全部できてないと、あっさり囲まれてボッコボコにされるんだったよな)

 

 ゴーレムの頭を踏んで飛び、橋を飛び越えいよいよ城内区画へ突入しながら、考える。

 

(あの状況に比べると、今はどうだ?)

 

 助けてくれる仲間がいる。

 精霊纏いで実質弾数無限。

 

 これって、思ったよりも……。

 

 

「……ヌルゲーじゃね?」

『ハ?』

「はい?」

 

 

 あれあれ?

 冷静に考えると、同じ降下イベントでもこっちの方が、楽っちゃ楽なのか?

 

「あ、あの、終夜様?」

『終夜! コノこーす取リハ無茶ガ……アアッ!』

 

 お。

 キューブ見っけ。

 

 撃っちゃお。

 

「えっ!? このタイミングでこうげきききき!!」

『脚部胴部超過駆動! グッ、過負荷を検知! 一部をパイロットへフィードバックします』

「ぐっ……!」

 

 今のが動ける、なら。

 

「……よし」

『待ッタ。ソノ入力こまんどハ……!』

「は、ははっ! 贄は! 贄は……!!」

 

 任せるところは全部任せる。

 俺がしかるべき位置取りをすれば、二人は何をするべきかちゃんとわかってくれる。

 

 だから。

 

 

「やるか。城内区画の、殲滅」

『「ハ……」』

 

 残り時間は3分弱。

 確認したキューブは残り4つ。

 

 スコアアタックチャレンジだ。

 

 

      ※      ※      ※

 

 

 八津代城址奇襲作戦。

 そいつぁこのオレ、精霊殻輸送機パイロット十文字(じゅうもんじ)大鉄(だいてつ)一世一代の大仕事になる。

 

 そう勢い込んで請け負った仕事だったが、どうやらオレの勘は当たっていたらしい。

 

「……ハハッ! ハハハハッ!!」

 

 雑な追跡してきたワイバーンを振り切って、現地へと戻ってきたオレが見たもの。

 

 それは。

 

「おいおい、マジかよ! そんなことってあるかぁ!?」

 

 一人の若武者が、無双する姿だった。

 

 

「攻撃すりゃ的に当たる状況っつっても限度があるだろ! ありゃ!」

 

 暴れ回る精霊殻は、飛び掛かっていく敵をちぎっては投げちぎっては投げの大立ち回りで次々とぶちのめし、通りがかりのついでみてぇに敵を呼び出すマーキングを踏みつけ撃ち抜き切り捨ててぶっ壊していく。

 

 一点の迷いもない足捌きと位置取り。

 まるで背後に目でもついてるんじゃねぇかと思うような立ち振る舞いと武器捌き。

 

 攻防一体。

 敵のやりてぇことをさせねぇで、自分のやりてぇことを押し付ける。

 

 敵にとっちゃ鬼畜もいいところの所業だ。

 

 

「あれが、あれが英雄殿、ハーベストハーベスターか!」

 

 複座のパイロットは両方とも、世界が認めたキリングマシーン。

 それを隈本御三家が仲良く全力バックアップで、司令が好きにしやがれと解き放つ。

 

 まさに怪物。まさに化け物。

 人類から生まれた人類の域に収まらない超常存在。

 

 世間じゃアレらを、ヒーローなんて呼んでるらしかった。

 

 

(舞うように戦うってのは、ああいうのを言うんだろうな)

 

 月明かりの下、緑の燐光がその姿を照らし続ける。

 それが誘蛾灯のように敵を惹きつけ、それを分かってる舞い手が次々と蹂躙していく。

 

 まさにそれは、死の舞踏――。

 

(――いや、これは……)

 

 これは……いつか見た時代劇のショーグン様のような、圧倒的な力の執行だ。

 

 圧倒的で絶対的で、なぜか安心感のある立ち振る舞い。

 こいつはこのまま勝つんだと、お約束のように勝利を約束された動きだ。

 

 

「……いけ。そこだ」

 

 だからだろう。

 オレの口からは自然と声が漏れていた。

 

「そうだ! やれ! やっちまえ!! 憎らしいあん畜生どもをぶちのめせぇぇぇ!!」

 

 もう何年も忘れていた恨み節を吐き出して、声援を送る。

 

 だってそうだろ?

 絶対に勝ってくれるから、安心して応援できるんだ。

 

 そう信じられるから、オレのこの声は無駄じゃねぇって思えるんだ。

 

 

「やれぇぇぇぇーー!! 勝てぇぇぇぇーーーーっっ!!!」

 

 だからオレは、あらん限りの声を張り、祈った。

 

 ヴンッ。

 

「十文字のおっちゃーん! ポイント付くからお迎えよろしく!」

「!?」

 

 そんな英雄様からの突然の通信に、ハッとなる。

 

「お、おう! でぇじょうぶだ! 抜かりはねぇ!」

「了解」

 

 短い通信が終わって、気づけばオレの頬はカッと熱くなっていた。

 

 

(てやんでぇばろぉちくしょ! 熱くなりすぎちまってたぜ。声も裏返っちまってたしよぉ!)

 

 恥ずかしさを振り払うように、オレは高度を下げ迎えに行く。

 

 救助タイミングは1度きり。

 本当だったらギリギリの、それこそ賭けみてぇな命がけのミッションだった……が。

 

「ほとんど敵がいねぇこの状況で、このオレがしくじるかよぃ!」

 

 あのお侍様がやってくれたおかげで、難易度はイージーもいいところだった。

 

 

「オラッ! 跳べ!」

 

 勢いのまま、滑るように低空を飛ぶ。

 通り抜けざまにズシンッ、っと重さを感じれば、作戦成功を確信する。

 

「おう、おかえりさん。英雄殿」

 

 そうして声をかけたが、返事がない。

 

「あ?」

 

 一瞬。まさか、と思った。

 

 だが。

 

 

「あ、悪い。最後のマーキング潰すから衝撃に備えてくれ」

「は?」

 

 突然の指示から、直後。

 

「姫様GO」

「はい……マルチロックミサイル。発射」

 

 とんでもねぇ言葉とともに、発生する射出音と――……。

 

 

 ボボボボボボバッ!!!!

 

 ――爆発、衝撃、振動!

 

 

「おああああーーーーーー!?!?」

 

 大慌てで操縦して、何とか乗り切れば。

 

「てやんでぇ! なんで今ミサイル撃ちやがった!?」

「いやぁ、散らばった敵とキューブをまとめてぶっ壊すのには、上からミサイルぶち込むのが一番効率良くてなぁ……それに、おっちゃんならなんとかできるだろって」

「なっ!? こ、この、てやんでぇべらぼぅめ」

 

 口をついて出た悪態もあっさりやり込められちまってよぉ。

 もう、なんも言い返せねぇんだわ。

 

 

「ったく、とんだ英雄様だぜ」

「贄も同意します。終夜様はとんだ英雄様です」

『コノ人ハ貴女モ含メテ言ッテルノヨ。建岩ノ姫様』

「ぶははははっ!」

 

 胸のすく思いってのは、今まさに感じてるコレにちげぇねぇ!

 

 見下ろせば綺麗な更地になった八津代城址。

 周囲のハーベストたちは、寄る辺を失いかなりの数が幽世の門へと帰っている。

 

(たった5分。たった5分だ)

 

 それだけでこいつらは、八津代城を解放しやがったんだ。

 

 

「おら、大人しくしてろ英雄殿。空港に戻るぞ!」

 

 ハンドルを握る手に、力が籠もる。

 

「……へっ。月が綺麗じゃねぇか」

 

 人類の明日って奴は、思ったよりも明るいんじゃねぇかと、そう思えた。




日ノ本軍は、八津代地方を奪還した……!

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