ハーベストハーベスター~踏み台型ラスボス少女と呼ばれた推しを、今世では幸せにしたい!~   作:夏目八尋

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楽しんでもらえてるんだなと実感が沸きます。
誤字報告も助かっています。本当にありがとうございます。

会議は踊る。そして……。


第71話 リザルト&踊る会議と急展開

 

 日ノ本、本土。

 都内某所、会議室にて。

 

 

上天久佐(かみあまくさ)第2独立機動小隊、か……」

 

 集められた政府高官たちの一人が、手にした資料をテーブルに放り、頬杖をつく。

 その態度からは明らかな怯えと、戦慄が見て取れた。

 

天常(てんじょう)佐々(さっさ)、そこに建岩(たていわ)の姫が加わって、もはや手のつけようがないではないか」

 

 彼の言葉に多くの者が同意を示す。

 この場に集った者たちは皆、人類、日ノ本を守る最後の砦を自負していた者たち。

 

 次々と送られてくる戦果報告に、ただただ圧倒され続けていた。

 

「なんだこれ、我々は夢でも見ているのか?」

「結成して2ヶ月だぞ? 上天久佐周囲の敵掃討など片手間のように行ないながら、天久佐本島や周辺地域へ遠征しては、ホイホイと成果を挙げてくる!」

「しかもなんだ? 追い返すので精一杯だった戦局に、こいつらが入った途端殲滅とか奪還とか平然と書き込まれてるぞ!?」

「すでにハーベストハーベスター授章者が3人もいる時点で何かがおかしいのだ!」

「ご安心を! 我々の送った戦士木口も近々獲得する予定です!」

「どこが安心できるか! そいつが化け物に変えられているだけではないか!」

「隈本御三家が揃うとこうもなるというのかっ!?」

 

 というか、大混乱していた。

 

 

「ううむ……なんということだ」

 

 役人たちの中でも恰幅がよく年季の入った男――防衛大臣にも、この状況は如何ともし難かった。

 この場の誰よりも地位の高い人物の鶴の一声であっても、きっとこの場は収まるまい。

 

(だって、私の後援……建岩家だもの!)

 

 彼が防衛大臣の席についているのは、建岩家の差配である。

 その建岩家から、彼は――。

 

(――口出し無用って言われてるんだもの!)

 

 つまり、打つ手なしなのだ。

 

 

「こんな化け物集団。手綱など握りようがない」

「あぁ、そのあたりは六牧を送って正解だった。奴の出した独立機動小隊としての運用案がなければ、これほどの結果を出すことも、それを我々の差配による成果とすることもできなかっただろう」

「違いない。もしも初期案の通りあいつらを小隊編成にかこつけてバラバラになどしていたら……」

「飛んでった地でそれぞれ頭角を現し、シンパを増やしていただろうな」

「そして我々のメンツは容易く潰され、信を失った我々に従う者たちは激減していた……か」

「恐ろしすぎる……!」

 

 これでも日常的に日ノ本を守っている集団であり、彼らが都市の治安維持などの根っこの部分をしっかり握ってくれているおかげで、戦時であっても多くの日ノ本人たちの平和な日常が保たれているのだ。

 

 まぁそれはそれとして。

 

「芦子北に続いて八津代まで! もうこいつらだけでいいんじゃないか!?」

「俺らいらなくね!?」

 

 彼らの心はだいぶん削られていた。

 

「くっそぅ。こうなったら大々的にこっちでも天2を担ぎ上げるか!?」

「バカ! そんなことしたら俺らの存在が軽んじられて治安維持しづらくなるだろうが!」

「力を振るう側は舐められたら終わりなんだぞ!」

「もうとっくに世間は天2一色だわバーカ!」

 

 めっちゃ削られていた。

 

 

(……日ノ本としては、うむ、悪い状況ではないのだろうな)

 

 バカみたいな罵り合いの最中、防衛大臣は口ひげを軽くなぞる。

 

(このまま人類優勢に進めば、建岩家が言う最終決戦も有利に)

 

 と、そこに。

 

 バタンッ!

 

「緊急報告です!!」

 

 勢いよくドアを開け、憔悴しきった様子の伝令が飛び込んできた。

 

「!? 何事かね?」

 

 大臣の心に、何か、嫌な予感めいた不快さが沸いた。

 そしてその予感は、残念ながら的中することとなる。

 

 

「報告します! 事前に警戒していた『天久佐の壁』の向こう。東シナ海側に、“赤い霧”が現出した模様です!」

「なんだって!?」

 

 赤い霧。

 それはハーベストたちが海を越えて侵略する際に発生するという怪現象。

 

「11月……天常からのリークが当たっていたとは! すぐに動くぞ!」

「「はい!」」

 

 その緊急報告を受けてからみせる、彼らの動きは早かった。

 

「不知火の壁の二の舞にはさせん!」

「俺たちが守り抜くんだ!」

 

 やはり彼らもまた、日ノ本を守るために戦う者たちであった。

 

「天2は使えるか!?」

「打診します!」

「急げよ! もう動いているかもしれんが、建前は必要だからな!」

 

 

      ※      ※      ※

 

 

「ついに来たか……!」

 

 11月、天久佐の壁崩壊。

 俺の知るハベベ世界の日ノ本を揺るがす大事件。

 

 そしてこの先に、黒木修弥(おれ)の生涯を左右するあの戦いが待っている。

 

 

「天2に出動要請だ。立て続けの大作戦だけど、いけるかい?」

 

 六牧司令の言葉に、集められた主要メンツから否やは出ない。

 みんな自信に満ち溢れて、誰一人として恐れを抱いてはいない様子だった。

 

「いつもの通りにやるだけだ。俺の筋肉に抜かりはない……!」

「とーぜん。むしろ防衛戦なんだから楽なもんでしょ」

「だね。スナイプし放題! つまりは稼ぎ時!」

 

 むしろやる気MAXの絶好調といった様子で結構なことである。

 

 

「黒木。機体の調整は万全だ。このボクが言うんだ、安心していいぞ」

「それでも一応言っておくわよ? 気をつけなさいね、終夜。さすがに海に突っ込んだりしたら、精霊殻の動きは鈍るのだから」

「Maybe、案外緑の風がブオーってなって、大丈夫かも?」

「にゃは、さすがにそこまでじゃないでしょー……ナイヨネ?」

 

 変に気負ったりもせず、いつも通り。

 確かな余裕と、静かな闘志。

 

「いいか。お立ち台だからな。数に含むなよ? いいな?」

「おーっほっほっほ! 大丈夫ですわ! それ以外の役割を貴方に課すほど、戦局を不利になどさせません」

「お嬢様の仰る通りです」

「黒木くん黒木くん! 降下作戦は命ちゃんが相方だったし、次は」

「次も贄が複座を務めます。それが最も世界を救うための最善であると確信しております」

「ぐぬぬ……」

 

 無敵の天2独立機動小隊。

 その名に違わぬ強者の風格が、確かにここにあるような気がした。

 

 

(これは、やれるかもしれないな)

 

 特大級のフラグブレイク。

 天久佐の壁が崩壊しなかったルートへの突入。

 

(これが出来ると、マジのマジで隈本市街とかは安全になるし……間違いなく人類側優勢が確定する)

 

 そうすればゆっくりじっくりめばえちゃんを探して、見つけて。

 彼女が幸せで健やかな道を歩めるよう、その手助けをするのに集中できる。

 

 

(黒木終夜。どうやらここが正念場だぞ)

 

 下っ腹に力を込める。

 気づけば、みんなの視線が俺へと集まっていた。

 

「……やるぞ」

 

 静かに口を開く。

 

「天久佐の壁は、突破させない……!」

「「!」」

 

 確かに口にした、俺の目標に。

 

「「―――!!」」

 

 たくさんの同意の声が、それぞれの口から返ってきた。




防衛大臣「頼んだぞ……六牧君!」

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