この"沢山の歌声"で、"曲"で、ヒーローを目指します 作:伽華 竜魅
ちびたXtreme様、誤字報告ありがとうございます!
泥の爆豪くんに轟くんの相手を私たちは3人がかりで必死にしている。
けど足元の泥もたまに動いては、2人の欠けた部位を修復させたり、攻撃を加勢したりして来ていた。
おまけに、泥で本人たちじゃないのに、"個性"を使ってきてるから、余計に手ごわい。
「こんっのォ!!」
踏み込み、拳を突き出す。
だけど泥の爆豪くんは、クロスカウンターとして爆破を繰り出してくる。
立て続けに足元の泥が棘となって私の身体を刺してきた。
「くっ…手数は向こうの方がほぼ無限ってほどに上……おまけに再生付き…!」
「どうすれば……!!」
2人の下へ下がってから身構える。
トップ2がここまでとは……こんなの、本家本元、あの2人本人がやった場合もっとヤバい気がする。
すると、泥の2人の両サイドに別で泥が固まっていき、人の型を形成した。
「なっ!?」
「嘘……そんな!?」
形作られたのは、巨体の大男が2人——
「オールマイト…!?」
「エンデヴァー…!?」
——No.1に、No.2だった。
そもそもなんでこの泥は爆豪くんたちも含めて、そして"個性"も含めて創り出すことができるの?
そういった"個性"には到底見えないのに、なんで……ッ!?
「もしかして…
アダムが見せて来たこの世界の過去、神野の悪夢ではオールマイトたちが泥に飲み込まれていく姿があった。
てことは、今目の前にいるオールマイトたちは、泥に取り込まれて、駒にされた被害者ってことか……。
「無茶苦茶としか言えない……もうこれ、"個性"って一言でまとめられるの?」
「混ざり合い進化するって、"個性"終末論に書かれていたけど、私たちの世界ではすでにそれってことだよ幻神さん。終わりなき災禍は、原初であり始まりだけど……"個性"終末論を実現したモノとも言えるの」
なにそれ、やばすぎでしょ……じゃあ爆豪くんたちの"個性"を使ってくるのも、取り込んだから……いや、正確には取り戻したからなの?
いやそれよりも、No.1にNo.2…その実力はきっと泥であろうと本物なんだろう。
負ける気は毛頭ないけど、勝てるって胸を張って言えるかって聞かれたら、難しいよねこれ!
「4対3……幻神、体力は?」
「まだ余裕のよっちゃんだよ。でも、さすがにプロ、それもトップ2になるとやばいかもね」
「——いいえ、4対4よ」
「「「ッ!?」」」
その声に私たちは振り返る。
振り返った先には、『ラピス・フィロソフィカス・ファウストローブ(サンジェルマンVer)』を纏うアリスが立っていた。
「ここからは私も加勢するわ。別に仲間と思わなくてもいい、ただ共通の敵を倒すためだけの、一時的な協力関係と思ってちょうだい」
「……それでも、肩を並べるなら、その背中は守るよ」
「……そう、まぁいいわ。行くわよ!」
銃から赤い刃を伸ばし構えて、それに合わせて、私たちもそれぞれ構える。
すると、泥の4人が私たちへ一斉に駆け出してきた。
——◆——
黒換黎真。
それは『基本世界』では既に亡き、光に導かれた者。だが『並行世界』では同じでなかった。
彼は存命であり、人でなしとなり、今ここにたった一人、血を分けた愛娘を救けるがため、正体を露にした。
「貴様ァ…どうやって生き延びた? いや、そもそもどうやって正体を隠していた…!!」
「……確かに命を落とした…ということになっていたさ。けど、辛うじて生き延びたのさ。まぁ、生命維持装置がなきゃ生きていけない身体にされちまってたけどな」
もはや隠す動機はなしとばかりに、声色はアダムでありながら、口調だけはごく一般的な男性のそれへと変わっている。
否、戻っているが正しいだろう。
どの世界でも、
だがその先は分岐することだろう。
故に、父である黎真は生き、今彼女を救わんとしているのだから。
「終わりなき災禍、お前に悟られないよう、俺は胸を痛めながら、人でなしになることを選んだ」
「…そうだ。貴様は■と同じことをしていた。今更一人の娘を救ったところで、貴様が報われることはない」
「……そうさ、天国で待ってる妻に会うことは叶わないだろう。けどな、ただで地獄に逝くほど、俺は甘くなはい」
「ならばなぜ!! 今になって愚かな行動を!!?」
黎真は己の手を、ミネを抱く手を強く、そして優しく握る直す。
「親ってのは、子に明るい未来に進んでほしい、笑顔でいて欲しいってだけで強くなれる。そのためだったら、神や閻魔にだって歯向かうことが出来るんだ。俺は待ってたんだ……多くの同胞を、罪なき人々を、この世界を救わんとするヒーローたちの命を奪ってきた。この手は汚れてる……けどなぁ!! その汚れを代わりに被って、この子の綺麗な道を作るって意味にもなるんだ!!」
それを聞いたミネは涙を漏らし、表情は崩れてく。
しかし終わりなき災禍はそれを認めず、怒り続けていた。
「ふざけるな……もう貴様の娘は■の物なんだ」
それに対し黎真は「違う」と反論した。
「ミネはミネ自身のものだ。俺たちの娘だが、所有物じゃない。この子は俺たちを超えて未来へ生きていく。その選択、人生、運命は、全部がミネのものなんだよ。勘違いするな」
「………貴様ァ!!!」
2人の目の前に歪なオーラを放つ、巨大な一つ目が現れ、周囲には泥の塊が作られて行く。
そして次の瞬間、その泥は棘となり襲い掛かる。
だが今の黎真はアダムと成り代わっているため、錬金術を発動し、黄金錬成陣を盾として防いだ。
「だけど、時間も惜しい……もっといろいろと話したいこと、言いたいこと、言われなきゃいけないことがあったんだけどな……——」
「パパ、何言って……」
「——だから娘を、
次の瞬間、黎真の言葉に対し、ミネの中にある『
ミネの胸元から輝きが漏れ出し、ミネの身体に纏うことなく、ひとりでに、一つの塊のような形で、それを具現化していく。
『——乗って、一気に飛んで行くよ』
響き渡る声と共にその形は完全へとさせる。
その形は戦闘機——否、『可変戦闘機』にして種類は『YF-29 デュランダル』であった。
そしてキャノピーが開けば、アダムは誰も乗っていない操縦席にミネを乗せる。
だがアダムが乗ることはなく、キャノピーも勝手に閉じた。
「パパ、なんで…!?」
『YF-29』は『ガウォーク』のまま、脚部の推進機から熱を噴射し始め、徐々にと上昇を始める。
それに気づいたミネは声を荒げた。
「ダメッ! まだ、まだパパが乗ってないの!! お願い止まって!! この…止まれ…止まれ! 止まって!!! パパが、パパが生きて今目の前にいるの!!! 言いたいことも、聞きたいこともいっぱいあるのに…!! お願い!!! 止まってよ『
キャノピーを叩き、ユウカの記憶でしか見たことがない操縦桿を握り必死に止めようと試みる。
だがその思いに答えることなかった。
「ぁ…あぁ…!! いや…いやぁ!! もうこれ以上大切な人が、家族がいなくなるのは嫌なの!!! わたしを一人にしないでよォ! パパァ!!!!」
「罪人の俺にとって、これ以上に相応しい死に場所はないんだ。それに……大人が子供より自分を優先して掴む未来何て、あってはならないんだ。なにより、俺は本来死んで当然の存在……だからこれは、俺のわがままで…お前を未来へ進ませる最善策なんだ」
そして『YF-29』は『ガウォーク』から『ファイター』へと変形し、推進機を噴射させ上へと浮上していった。
「——パパァァァ!!!」
それを見届けた黎真は、巨大な目玉へと向き直る。
「生きろ、ミネ。それが俺が送る命題であり……最初で最後の、心からの、一生の願いだ」
「無へと消え失せろ!! 死に損ないの愚か者ォ!!!」
次の瞬間、周辺全方向から、無数の泥の手が黎真へと伸びていく。
そして黎真は瞼を閉じれば、身体が全方向から貫かれる感覚に襲われ、次には取り込まれていく感覚に襲われる。
「(カッコつけたはいいものの、結局何もできなかったな……かっこ悪いなぁ俺……)」
やがてその身体は黒く、泥へと染まって行き、黒換黎真は——
「(でも、頑張ったよな……お前に会えないのは名残惜しいが、俺の代わりに見守っててくれ……娘が、幸せになる…その瞬間まで………)」
——完全に終わりなき災禍に飲み込まれた。
『——頑張ったわね、あなた』
『——……あぁ、頑張ったよ』
——◆——
必死に私たち4人は泥の爆豪くんと轟くんを相手していた。
「うわっ!?」
「な、なに!?」
だけど突如として足元の泥から大きな振動が伝わって、私たち全員が体勢を崩し膝を着いてしまう。
そして前方を見れば、泥の2人がなぜか崩れ始めていた。
「ッ!!!」
次の瞬間、心臓が大きく高鳴った。
これは嫌な予感とかじゃない……『
「泥の中から、戻ってくる」って……もしかして!!
「下からくる!!」
「「「ッ!?」」」
私が叫ぶと泥から光が出てきて、同時に地震のように再び足元が揺れ始める。
そして次の瞬間、泥から巨大な紅白の物体が飛び出た。
「あれは!?」
「わ、『YF-29 デュランダル』!?」
だけどその正体を見てわかった瞬間、私は驚愕に染まった。
『マクロス・クォーター』だけに飽き足らず、『可変戦闘機』にして【劇場版マクロスF サヨナラノツバサ】に初登場した主人公機、『YF-29 デュランダル』。
それがなんで泥の中から……しかもそのまま遥か上空へ飛行を続けてる。
「幻神! 前!!」
「ッ! くっ!!」
出久くんの声でハッとし前を向けば泥のエンデヴァーが片腕に炎を纏って殴りかかろうとしている。私は咄嗟に両腕をクロスして防御する。ダメージはある程度軽減したけど、それでも勢いは殺せずに吹き飛ばされてしまった。
——◆——
遥か上空。
そこに『YF-29 デュランダル』は落下しないよう『ガウォーク』に変形した状態で浮いている。
そして操縦席にはミネが座っているが、自身の腕で足含めて、彼女は体を丸めさせるよう自信を抱きしめていた。
同時に彼女から、涙を漏らし鼻をすする音が漏れている。
「なんで…なんでわたしの大切な人たちは…居なくなるの? なんで…なの……!」
幼き頃に母を、神野の悪夢で妹と大切な友たちを、そして今先ほど、亡くなったと思っていた父を、彼女はその全てが手から崩れ落ちて塵も残っていない。そんな現実から逃げるように、ミネはただ泣くことしかできなかった。
「もうわからないよ……! こんな、周りの人を殺しちゃうわたしなんて…生きてちゃダメなのに…なのに、なんで皆、わたしを……!!!」
——生かそうとするの。
『——泣かないで、■■■■■』
瞬間、ミネの頬を何かが優しく触れる——正確には、そのような感覚が頬から伝わった。
『——ごめんね、救けるって言ったのに、こんなことになっちゃって……でも、それでも■■■■■を救けたいって気持ちは変わらないの』
「…誰、なの……?」
響き渡る謎の音色。
だがその音色に対し、ミネは不思議と懐かしい感覚に包まれていた。
「『
『——そうだね、そう思ってくれてもいいよ。さっきはごめんね? 大切なお父さんを見捨てるような形にしちゃって』
「なんで…パパを……」
『——あの日、約束して、決断したんだ。■■■■■を救けるために、大きな決断を』
ミネは冷静さを取り戻していき、ゆっくりと響き渡る音色の意味を読み取り、理解していく。
やがて、彼女は真に理解したのか、涙を再び漏らす。次の瞬間、ミネは「ありがとう」と小さく呟き、決意した表情で顔を上げた。
「この知識も、記憶も、力も、全部が全部、ユウカから受け継いだ力……何も持ってないわたしには相応しくないことは分かってる。でも!!」
ミネの脳裏には、ユウカの……たった一人の妹の笑顔が浮かび、次には大切な両親の笑顔も浮かび上がっていた。
「思い出したよ。託されたことも、約束したことも……だからお願い——力を貸してッ!!」
『
そして、
『聖詠』を口ずさんだ瞬間、彼女の心臓が「待っていた」とばかりに、大きく最高に高鳴り、周囲に留まっている輝きの粒が、白銀と黄金へと変わっていき、ミネの身体へと、型を作りながらまとわり始める。
肌にピッタリと張り付く橙と白を基調とするバトルスーツを身に纏い、両腕両脚には白の機械装甲であるガントレットと黒いグリーブを装着。
頭部にはヘッドセットを装着し、首元には白きマントが装着され、風と共になびいた。
『マリア・カデンツァヴナ・イヴ(Another)』が纏う、正反対の色をした『白いガングニール(Another)』を、完全とし纏ったミネは、両手を胸元へと添え何かを包むように握る。
そして涙を漏らしながら、逆さになり落下を始めた。
「ありがとう『
腰部のスラスターを全開にして、ミネは地上へと向かう。
だが彼女は気づいていない。
『
お久しぶりデェス!今日10月04日、アニメヒロアカfinalseason放送日!!
ンアァァァアアアアッ!!終わっちゃうよォ!!!!
流石に一話目は直接放送時間に生で見ます!!
速く原作の時間軸に戻れるよう私もプルスウルトラの精神で頑張りますッ!!!!
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