この"沢山の歌声"で、"曲"で、ヒーローを目指します   作:伽華 竜魅

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ちびたXtreme様、誤字報告ありがとうございます!




GODDESS ZABABA

 

 

 

 

「幻神! ミネさん!!」

 

「ッ! 出久さん前!!」

 

緑谷は咄嗟に陽だまりと日陰へと振り向くが、イヴの叫びに気づき、すぐに前へ振り返る。

緑谷の視界に映ったのは、泥を固め型取ることで作られたハンマーを持つ、終わりなき災禍。

咄嗟に、緑谷は防御に移るも、ハンマーを持つの終わりなき災禍はそのまま緑谷を殴り、押し切り飛ばした。

 

「……目覚めが悪いせいなのか、まだ本調子じゃない、か……」

 

「くっ!!」

 

終わりなき災禍の近くで立っていたイヴとアリスは、それぞれ銃口を終わりなき災禍へ向け、銃爪を引く。

それぞれの弾丸、エネルギー弾が飛んでいくが、終わりなき災禍は指を鳴らす。

すると弾はその場でピタリと止まり、逆にそれぞれ逆走し2人に直撃した。

 

「あぁ…ッ!!」

 

「くっ……! 今のは、『指定した空間の動きを全て止める』"個性"に、『無機物の動きの時間を巻き戻す』"個性"…!!」

 

終わりなき災禍の戦い方に既視感を覚えていたアリスは、その答えを口にする。

そう、終わりなき災禍は原初の"異能"である。

しかしその詳細は明かされずにいたが、今彼女たちは理解した。

 

『泥に取り込んだ生命の全てを己がものにする』"異能"。

 

『AFO』の『他者の"個性"を奪い己がものとし、他者に与えることもできる』"個性"の完全上位互換。

 

泥により取り込んだ生命、生き物を泥として再現。

さらにその生命体の所持する"個性"をその泥、もしくは自分自身が扱うことができる。

まさに始まり、原初の名に相応しい"異能"。

故にその実力は、AFOを凌駕する恐れがある。

遠くから土煙が衝撃と共に立ち上り、1人の歌姫が距離を詰めた。

 

「ガントォォォオオオッ!!!!」

 

「ふんっ」

 

陽だまりである幻神。

彼女はガングニールのガントレットをブースターへと変形させ、終わりなき災禍へと殴りかかる。だが終わりなき災禍は幻神の周りの空間全ての動きを止めて、直前の所で幻神自身がピタリと止められてしまう。

終わりなき災禍が手を軽く上げれば、幻神の真下の地面から無数の黒い棘が一瞬にして生えて、幻神の身体を貫いた。

 

「カハッ!!」

 

そのタイミングで停止が解除され、幻神も吐血する。だが次の瞬間、終わりなき災禍の背後に、幻神が駆け出すと同時に紛れていたミネが『白いガングニール(Another)』のアームドギアを構えて、そこにいた。

 

「(獲ったッ!!)」

 

「無駄だよ」

 

終わりなき災禍の発言と共に背面から泥が伸び、手の形を型取れば、アームドギアを受け止めた。

 

「なっ!?」

 

「当初はあなたを取り込むつもりだったけど、それ相応の代替品を取り組んだんだ。あなたはもう用済み」

 

それ相応の代替品。その言葉にミネは引っかかり、答えがすぐに分かった。分かってしまった。

 

「お前…まさかパパをッ!!!」

 

「気づいたところで遅いわ」

 

泥は掴んでいるアームドギアごとミネを持ちあげ、地に叩きつける。

ミネは空気を吐き苦しむ中、復帰したイヴとアリスが放った弾丸が終わりなき災禍の身体に命中していく。だが幾重にも重ねられた泥が、本体の肉まで届くことなく防いでいた。

 

「攻撃が通らない…!!」

 

「これが、終わりなき災禍の本当の力…!!」

 

「……だとしても!!」

 

棘により身動きが取れない幻神は無理やり棘を折り、身体から引き抜く。

ミネもまた、身体を立ち上がらせて、一歩下がる。

 

「くっ…アリス! あなたの仲間は!?」

 

「何度もコールしているが連絡が取れない!! おそらく電波障害を受けているんだわ!! だけど状況だけは向こうもわかってるはず!!」

 

「はぁ…はぁ…イヴちゃん! 出久くんをお願い!!」

 

「ッ! はい!!」

 

未だ戻ってきていない緑谷が心配だった幻神は、イヴに頼み叫ぶ。

イヴはすぐに返事を返し、吹き飛ばされた先にいるであろう緑谷の元へと駆け出した。

 

「数はこっちが上でも、力とかそこらは向こうが圧倒……」

 

「もうお互いの立場とかそういうのはどうでもいいって正直思ってる。だって、終わったら終わりなんだから」

 

「今は、増援が来るまで耐え抜くしかないわね」

 

幻神たち3人はそれぞれ拳を、大剣を、銃を構える。対する終わりなき災禍は泥を生み出し、笑みを浮かべながら構えた。

 

「(たとえ世界が違えど……!) お姉ちゃん!!」

 

「えぇ! 世界が違えど、妹の考える事なんて朝飯前よ!!」

 

幻神はミネを、ミネは幻神見て、互いにやろうとしていることを悟る。

2人は前を向きそれぞれが胸の歌を奏でた。

 

 

——Various shul shagana tron(純心は突き立つ牙となり)——

 

——Zeios igalima raizen tron(夜を引き裂く曙光のごとく)——

 

 

奏でる『聖詠』は『ザババの刃』。

幻神が『シュルシャガナ』を、ミネが『イガリマ(another)』の『聖詠』を奏でた瞬間、それぞれの心臓が大きく高鳴り、ピンクと黄緑の輝きが発生した。

 

幻神は、肌にピッタリと張り付くピンクと白を基調とするバトルスーツを身に纏い、両脚にはピンクの機械装甲である細いガントレットとグリーブが装着。頭部はロングである髪がツインテールに結ばれ、そのツインテールを包み込むようにピンクのコンテナとヘッドセットを装着。

 

ミネは、左右対称に黒の装甲にラインに黄緑の輝きを漏らす大きなプロペラエンジンに、先端が黄緑のエネルギー状とし伸びる尻尾のスラスターウィングを装着。

同時に両腕に小さな黒と黄緑のガントレットを、頭部には2本のうち、左のアンテナにのみバツ印が刻まれているブレードアンテナを装着。

 

輝きが消えれば、それぞれが『シュルシャガナ』と『イガリマ(another)』を纏い姿を露にする。

そしてミネはスラスターウィングを、幻神は脚部の電ノコを起動させる。

 

「行くわよ!」

 

「うん!!」

 

そして陽だまりと日陰は、月と太陽の歌をユニゾンにして奏でる。

 

♪ 警告メロディー 死神を呼ぶ 絶望の夢Death13 ♫

♪ レクイエムより 鋭利なエレジー 恐怖へようこそ ♫

 

幻神は『月読調』に、ミネは『暁切歌』へと声帯を変換させ、互いの動きに合わせて高速の動きを披露。終わりなき災禍は泥に加え、無数に内包されている"異能"らを駆使し即座に対応、そして順応し始めた。

 

♪ DNAを教育してく エラー混じりのリアリズム ♫

♪ 人形のようにお辞儀するだけ モノクロの牢獄 ♫

 

幻神とミネは両サイドから高速で接近し、互いの刃を終わりなき災禍へと差し向ける。

対する終わりなき災禍は防御系の"異能"を発動させ両サイドからの攻撃を防いだ。

 

♪ いますぐに just saw now 痛む間もなく ♫

♪ だからそんな…世界は… ♫

♪ 切う ♫

 

だが2人は今、互いの『紡心(アクシア)』を通してユニゾンを発揮させている。

 

♪ 信じ合って 繋がる真の強さ ♫

♪ 誰かを守るためにも 真の強さ ♫

 

2人は吹き飛ばされるも、それぞれが空中で身構える。幻神はツインテールコンテナを変形させ、左右のホルダーから巨大な2枚の回転鋸を形成。

ミネは手先が鎌となっているガントレットの、刃の部分を分裂させた。

 

♪ 「勇気」と信じてく そう紡ぐ手 ♫

♪ 「勇気」と信じてく そう夢紡ぐTales ♫

 

- γ式・卍火車 -

- 切・呪りeッTぉ -

 

そして幻神は- γ式・卍火車 -を、ミネは- 切・呪りeッTぉ -を投擲した。

終わりなき災禍は回避すべく上へと上昇する。

 

だがミネはかかったとばかりに、スラスターウィングを全開にし、幻神と急接近する。

幻神もまた、ミネへと手を伸ばし、その手をミネは掴み取り一気に終わりなき災禍以上へと上昇した。

 

♪ きっときっと まだ大丈夫、まだ飛べる ♫

♪ 忘れかけた笑顔だけど 大丈夫、まだ飛べるよ ♫

 

「ッ!?」

 

終わりなき災禍は何かしてくると悟るが、既に2人はその直上に移動し、互いに肩を寄せ合い片足を突き出す。

すれば幻神の脚部のヒールからは電ノコが伸ばされ、巨大な電ノコへと形状拡大する。

ミネもまた、尾の部分が突き出している脚に絡みつき、先端が鎌状の刃となって形状拡大した。

 

♪ 輝いた絆だよ さあ空に調べ歌おう ♫

♪ 輝く絆抱きしめ 調べ歌おう ♫

 

2人は揃って終わりなき災禍に向けて、刃の脚蹴りを放つ。

対する終わりなき災禍は防御が間に合わず、その攻撃を諸に受け、地上へと押し込まれ激突する。

そして幻神とミネはすぐに跳躍し、距離を取った。

 

「……これがユニゾンってやつなのね。通常形態のまま1人でここまでの出力は初めてだわ」

 

「あっ、そっか……今更だけど、装者がこうして肩を並べてることなんて今までなかったんだ」

 

そんな会話をしているのもつかの間、落下地点から地面が抉り飛ばされ、終わりなき災禍が這い出る。

 

「……調子に乗るな!」

 

終わりなき災禍は泥を固め大鎌を作り出す。

そして駆け出すと同時に炎と雷の竜を作り出した。

 

「(泥を『武器化』で大鎌に…そして『炎』と『雷』を『竜化』で……) 幻神!!」

 

「くっ!!」

 

2人はそれぞれのギアの機動力を活かし躱していく。

 

「一番の脅威は歌姫である貴様らだ。だから貴様らを先に倒す!」

 

ハッ! やってみるデスよ!!

 

この世界を救って、私たちは皆の所へ帰るの!!

 

2人の歌姫と原初の"異能"が更に激突する。

 

 

——◆——

 

 

一方、少し離れた瓦礫地帯。

そこでは『イチイバル(another)』を纏うイヴが必死に瓦礫を退かしており、ついにはそこから緑谷を見つけ出した。

 

「出久さん! 無事ですか!?」

 

「うっ、うぅ…!」

 

緑谷は瓦礫がなくなったことで身体をゆっくりと起こす。

イヴはそんな緑谷を支える。

 

「傷が…!」

 

「大丈夫…! それよりも、幻神とミネさんたちの加勢に行かないと!!」

 

「……うん!!」

 

イヴは頷き少し離れ、『シンフォギア』とは別に装備してあるジェットパックを起動させ、緑谷は【フルカウル】を纏い出力を少しばかり上げる。

そして同時に、激しい乱戦による音と衝撃波と土煙が発生している地点へ向かいだした。

 

 

——◆——

 

 

「くぅ!!」

 

幻神は装甲の電ノコで逆に走行しながら、ツインテールコンテナから電ノコを連射する。

終わりなき災禍は電ノコを躱しながら幻神へと距離を詰めるが、横から銃弾が迫り、その防御に移るため足を止めてしまう。

 

「チィ!!」

 

「休まず畳みかけるのよ!!」

 

『ラピス・フィロソフィカス・ファウストローブ』を纏うアリスは銃爪を何度も引き、弾丸を放つ。

終わりなき災禍は"異能"を発動させようとするが、ヨーヨーがその身体をピンクのエネルギー状の糸で絡ませて拘束した。

 

「くぅ…! お姉ちゃん!!」

 

幻神が地面にツインテールコンテナを突き刺しながらもがき、『並行世界』の姉を呼ぶ。

すれば終わりなき災禍の直上からミネが急降下して接近していた。

 

 

——Balwisyall nescell gungnir tron(喪失までのカウントダウン)——

 

 

そして口ずさむは【神殺し】の『ガングニール(another)』

 

肌にピッタリと張り付く黄色と白を基調とするバトルスーツを身に纏い、両腕両脚には白色と黄色の機械装甲であるガントレットとグリーブが装着され、頭部には白色と黄色のヘッドセットとブレードアンテナを装着。

首元には足先まで伸びている白色のマフラーが巻かれ、そのマフラーで口元を、表情を隠した。

 

『ガングニール(another)』を纏ったミネは、右腕のガントレットをパイルバンカーとして起動させながら、その手にエネルギーを溜める。

 

——潰れろォォオオ!!!

 

そしてその拳を終わりなき災禍に叩きつけ、パイルバンカーを打ち込む。

 

- 我流・地滅噴砕 -

 

- 我流・地滅噴砕 -が発動し、地面に激突する。次の瞬間、その衝撃波によって地面が抉られ、近くにいた幻神とアリスも軽く吹き飛ばされた。

 

「……——なっ!?」

 

だが土煙が晴れ、右拳を突き出すミネの視界に映ったのは、額の角を光らせることで、防御系の"異能"を発動し紙一重で防御している終わりなき災禍の姿。

 

「……くわぁ!」

 

「ッ! まずっ…!!」

 

終わりなき災禍は、ミネに向け口を開く。

するとその口内から光が溢れ始め、その一瞬で肌から死の予感を感じたミネは急ぎ離れようとする。

だがそれよりも速く、緑の閃光にして稲妻が終わりなき災禍の背後に衝突した。

 

「ッ!?」

 

【スマッシュッ!!】

 

そしてそのまま吹き飛ばされ、ミネはその場に着地し、遅れてイヴも駆け付けた。

 

「出久、イヴ…!」

 

「遅れてごめん! ここからは僕たちも!!」

 

「援護射撃なら任せて!!」

 

そして幻神とアリスも駆け寄り、それぞれが終わりなき災禍に向き構える。

一方の終わりなき災禍は既に立ち上がっており、その手には泥で出来ており、黒炎を纏う大太刀を持ち構えていた。

 

「どんだけ"個性"を内包しているっての……」

 

「相手はこの世界の"原初の異能"にして、"始まりの異能"。この世界では、彼女から"異能"、ひいては"個性"が派生し当たり前になったんだ。オール・フォー・ワンの完全な上位互換として顕現することも容易いんだろう」

 

「ですが、攻撃は効いてるから突破口はあるはず…!」

 

「うん、どんな"個性"にも最強無敵の弱点なしってのはないんだ。必ず限界点があるはずだ」

 

それぞれが口を開く中、幻神は呼吸を整えて、アガートラームの『聖詠』を口ずさむ。

 

 

——Seilien coffin airget-lamh tron(弱い力でも、大切な人たちのために)——

 

 

肌にピッタリと張り付く水色と白を基調とするバトルスーツを身に纏い、両腕は左右統一ではなく、左腕にのみ肩まで鎧。

両足は膝はバトルスーツだけのまま、足首から下が鎧のようなヒールを履き、臑はそれより薄い鎧を装着。

 

SG-x00 Airget-lamh

 

腰部は左右横に鎧、右側にのみ腰マント。

王冠のようなデザインのヘッドセットを装着。

 

SYSTEM ALL GREEN

NORMAL OPERATION

 

最後に胸もとの『ギアペンダント』の左右だけが、それぞれ2本ずつ薄ピンクへと変化した。

 

 

アガートラーム・Ver.XV

 

 

「絶対に負けるわけにはいかない。この世界に来た以上、この世界も救うの!」

 

「後方の蜂沼たちももうすぐ合流する……行くわよ皆!!」

 

アリスの掛け声で、全員が駆け出す。

そして終わりなき災禍もまた移動系の"異能"を発動させて、駆け出した。

 

 

 

 





約一週間以上ぶりです、サーせん!!
あとこんな形ではありますが、再び陽だまりと日陰姉妹のデュエットが叶いました☆


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